サンクスカードを導入すると感謝や称賛が増えるイメージはあるものの、「本当に職場にメリットがあるのか」「かえって従業員の負担にならないか」と感じている方もいるのではないでしょうか。制度として始めても、義務感やマンネリ化が生まれると、期待した価値にはつながりません。
この記事では、サンクスカードの主なメリットと、事前に知っておきたいデメリットを解説します。あわせて、導入前に決めておきたい検討ポイントも紹介するので、社内コミュニケーションの活性化や称賛文化づくりを検討している方は、判断材料として参考にしてください。

サンクスカードとは、職場の仲間に感謝や称賛の気持ちを伝えるためのカードです。紙に手書きする方法のほか、アプリや社内ツール上でメッセージを送る形もあります。普段は口に出しにくい「ありがとう」や「助かりました」を見える形にし、従業員同士の関係性を育てる取り組みとして活用されています。
運用方法は紙とデジタルアプリがあり、それぞれ向いている組織が異なるため、まずは違いを押さえておきましょう。
|
項目 |
紙のサンクスカード |
アプリのサンクスカード |
|
伝わり方 |
手書きの温かみが残る |
テキスト中心だが記録に残る |
|
共有範囲 |
対面や掲示場所に限られる |
部署や拠点を越えて届けられる |
|
集計・分析 |
手作業での集計が必要 |
送受信の状況を把握しやすい |
|
向いている組織 |
単一拠点・少人数で対面が中心 |
複数拠点・テレワークがある |
サンクスカードを送りあえるデジタルアプリは多くの種類があるため、機能やサポート体制などを比較して選びましょう。

サンクスカードのメリットは、感謝を伝える機会を増やすだけではありません。従業員同士の関係性、仕事への意欲、職場の雰囲気にも良い影響が期待できます。導入する価値を判断しやすいよう、代表的な8つのメリットを見ていきましょう。
|
メリット |
期待できる変化 |
|
感謝を伝える心理的ハードルの低下 |
言いそびれていた感謝が届く |
|
部署や立場を越えた関係性の向上 |
普段接点のない相手とつながる |
|
見えにくい貢献の可視化 |
数字に表れない行動が認められる |
|
承認によるモチベーションの向上 |
目の前の仕事に前向きになる |
|
心理的安全性の向上 |
発言や相談がしやすくなる |
|
組織への愛着の向上 |
働き続けたい気持ちが育つ |
|
前向きな職場づくりの促進 |
職場全体の雰囲気が変わる |
|
称賛文化の醸成 |
誰もが自然に称賛し合える |
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
最初に挙げたいのは、感謝を伝えるまでの心理的な壁を下げる効果です。職場では、感謝していても「忙しそうだから声をかけにくい」「改まって伝えるのは照れくさい」と感じる場面が少なくありません。
カードという形式があれば、短いメッセージでも感謝を形にできます。小さなサポートを受けたときや、誰かの気配りに助けられたときなど、口頭では流れてしまう気持ちも相手に届けられるでしょう。感謝を伝える行為を特別なものにせず、日常の中に置ける点が利点です。
サンクスカードは、同じ部署内だけでなく、部署や役職を越えたコミュニケーションにも役立ちます。普段接点が少ない相手でも、業務上の協力や支援に感謝を伝えれば、相手の存在や働きに目を向ける機会が生まれます。
たとえば、営業を支える事務担当者、現場を支える管理部門、拠点をまたいで協力する従業員など、表に出にくい連携は少なくありません。感謝のやり取りが増えるほど、組織内の距離は縮まり、相談や協力も進めやすくなるでしょう。
職場には、数字や成果物だけでは評価しにくい貢献があります。周囲を助ける行動、トラブルを未然に防ぐ気配り、新人への声かけなどは、周囲からは気づかれにくいものです。サンクスカードなら、そうした日々の貢献を言葉として残せます。
感謝の内容が蓄積されると、誰がどのような場面で周囲を支えているのかが浮かび上がります。人事評価そのものとは異なりますが、普段の仕事ぶりに光を当てる仕組みとして機能するでしょう。目立ちにくい行動も見つけられるため、職場全体で貢献を認め合う風土が育ちます。
サンクスカードを受け取ると、自分の行動が見られていたことや、周囲に良い影響を与えていたことを実感できます。人は、自分の仕事が誰かの役に立っていると感じられると、目の前の業務にも前向きに取り組めるものです。
もちろん、カード1枚でモチベーションが大きく変わるわけではありません。それでも、感謝や称賛が継続的に届く環境なら、日々の仕事に意味を見出しやすくなります。報酬や人事評価とは違う形で承認される点が、サンクスカードならではのメリットです。
サンクスカードは、発言や相談のしやすさを支える土台になります。心理的安全性は、発言のしやすさや失敗の受け止め方など複数の要素で育つものですが、日頃から感謝を伝え合う関係はその前提条件といえるでしょう。
否定や指摘だけが目立つ環境では、発言や相談をためらう人が出てきます。反対に、普段から相手の行動を認める言葉が交わされていれば、困ったときにも声を上げられます。安心して意見を出せる関係づくりを後押しする点が、サンクスカードの効用です。
感謝される経験が増えると、従業員は自分の仕事が組織に必要とされていると感じられます。この実感は、組織に留まりたいという気持ち、ひいては人材の定着にも関わります。
職場の人間関係は、従業員の定着を左右する要素のひとつです。感謝を伝え合う仕組みがあれば、従業員は安心して働きやすくなるでしょう。
サンクスカードだけで離職を防げるわけではありません。それでも、自分が貢献できていると実感できる機会が増えれば、働き続けたいと思える職場づくりの一助になるでしょう。
サンクスカードが習慣になると、職場全体の雰囲気が変わっていきます。指摘や依頼だけでなく、感謝や称賛の言葉が日常的に交わされるため、前向きな空気感をつくっていけます。
職場の雰囲気は、制度やルールだけでは変わりません。日々の小さなやり取りの積み重ねが、空気をつくります。サンクスカードは大がかりな施策よりも着手しやすく、互いを認め合う雰囲気を育てるきっかけになるでしょう。雰囲気を少しずつ変えたい企業にとって、取り入れやすい取り組みです。
称賛文化とは、特定の人だけが積極的に褒める状態ではなく、誰もが自然に感謝や称賛を伝えられる状態を指します。サンクスカードは、その習慣を職場に根づかせるための土台になります。
ただし、称賛文化はカードを配るだけでは育ちません。どのような行動を称賛するのか、どのような言葉を歓迎するのかを、あらかじめ共有する必要があります。良い行動が見えるようになれば、組織として大切にしたい価値観も自然に伝わっていくでしょう。

サンクスカードには多くのメリットがある一方、運用方法によっては従業員の負担や義務感につながります。導入前にデメリットを知っておけば、無理のない仕組みを設計できるため、それぞれ見ていきましょう。
|
デメリット |
起こりやすい状態 |
対策の方向性 |
|
記入の負担 |
書くことが手間に感じられる |
短文でも送れる形式にする |
|
ノルマ化 |
枚数を満たすための作業になる |
枚数より内容を重視する |
|
送付の偏り |
一部の人だけが目立つ |
称賛する行動の幅を広げる |
|
管理負担 |
集計や保管に手間がかかる |
アプリやツールで見える化する |
それぞれ詳しく解説していきます。
サンクスカードは、気軽に送れる仕組みでなければ負担になります。日々の業務が忙しい中で毎回長い文章を書かなければならないとなると、従業員にとっては手間の多い取り組みに映るでしょう。
特に、紙のカードを用意して手書きする場合は、記入や提出に時間がかかります。感謝を伝えること自体は前向きな取り組みでも、運用が重くなれば継続は困難です。短文でも送れる形式にしたり、送るタイミングを自由にしたりするなど、負担を抑える設計が欠かせません。
送る枚数を強く求めすぎると、義務感が生まれます。「毎月必ず何枚送る」といったルールが厳しいと、感謝を伝えるためではなく、枚数を満たすための作業になりかねません。
ノルマ化すると、内容が浅くなったり、無理に送る相手を探したりする状況も起こります。感謝の気持ちを自然に伝える取り組みが、従業員の負担や不満に変わってしまっては本末転倒です。枚数よりも、相手の行動に目を向けた内容を重視しましょう。
サンクスカードは、積極的に送る人や、目立つ業務を担う人に集まりやすくなります。一方で、裏方の業務や個人作業が多い職種では、貢献していてもカードを受け取りにくくなります。
偏りが続くと、サンクスカードは一部の人だけの取り組みに見えてしまいます。受け取る機会が少ない従業員は、かえって疎外感を抱くかもしれません。部署や職種による差が出ないよう、称賛する行動の幅を広げておく必要があります。
紙のサンクスカードは手書きによる温かみがある半面、管理側の負担が重くなります。カードの回収・掲示・保管・集計などを手作業で続けるうちに、担当者の業務は増えていくでしょう。
また、紙だけの運用では、誰にどのような感謝が集まっているのかを把握できません。運用状況が見えないままでは、偏りや停滞にも気づけないままです。継続的に活用するなら、送付状況を確認できるアプリやツールの導入も選択肢になります。

サンクスカードのメリットは、導入前の設計で決まります。目的が曖昧なまま始めると、前述したデメリットが表面化し、形だけの取り組みになりかねません。カードを用意する前に、次の4点を決めておきましょう。
最初に決めるべきなのは、なぜサンクスカードを導入するのかです。感謝を増やしたいのか、部署間の関係性を良くしたいのか、理念に沿った行動を見えるようにしたいのかによって、設計の方向性は変わります。
目的が共有されていないと、従業員は「なぜカードを書く必要があるのか」と疑問を感じます。導入時には、期待する変化だけでなく、職場をどのような状態にしたいのかまで伝えましょう。目的が伝われば、取り組みへの納得感も生まれます。
続けられるかどうかは、ルールの内容で決まります。送付枚数や文章量を細かく決めすぎると、感謝を伝える取り組みが業務の負担に変わってしまうでしょう。
短い一言でも送れるようにする、送るタイミングを自由にするなど、参加のハードルを下げる設計が有効です。完璧な文章を求める必要はありません。業務の中で感じた感謝を、そのまま残せる仕組みにしておきましょう。
どのような行動を称賛するのかは、導入前に定義しておく必要があります。基準がないままだと、称賛の対象が目立つ成果に偏り、裏方の貢献を拾えません。
たとえば「部署を越えた協力」「新人を支えた行動」「理念に沿った取り組み」など、自社が大切にしたい軸を言語化しておきましょう。称賛の対象を明確にしておけば、送る側も何を書けばよいか迷わずに済みます。
紙で運用するのか、アプリを使うのかも、導入前に決めておきたい項目です。単一拠点で対面が中心なら紙でも運用できますが、複数拠点やテレワークがある組織では、感謝が届く範囲に限界があります。
また、送付状況を見える化しておくと、運用の改善に役立ちます。誰が多く送っているのか、どの部署でやり取りが少ないのかを確認できれば、偏りにも早く気づけるでしょう。記録や集計の機能があるアプリなら、こうした把握も無理なく進められます。

サンクスカードを検討していると、導入する価値や類似の取り組みとの違いが気になる方もいるでしょう。よくある疑問を押さえておくと、自社で導入する際の判断がしやすくなります。
主なデメリットは、次の4つです。
記入にかかる従業員の負担
ノルマ化による義務感
送る人や受け取る人の偏り
紙運用による管理負担
いずれも運用設計で解消できるものであり、制度そのものの欠陥ではありません。短文でも送れる形式にする、枚数より内容を重視するなど、導入前の設計で対策しておきましょう。
目的が曖昧なまま始めると、無駄に感じられます。枚数だけを重視したり、書くことを義務にしたりすると、従業員にとって負担のある取り組みになるためです。反対に、感謝を伝える目的や称賛したい行動が共有されていれば、職場の関係性づくりに役立ちます。導入後も送付状況を確認し、運用を調整していきましょう。
名称に明確な違いはなく、企業や組織によって呼び方が異なるだけです。「サンキューカード」「サンクスレター」といった呼称もあります。重要なのは名称ではなく、どのような目的で運用し、どのような行動を称賛するかです。自社に合った呼び方とルールを決めれば、取り組みは浸透しやすくなります。

サンクスカードツール「RECOG(レコグ)」は、パソコンやスマートフォンなどから手軽に感謝の気持ちを伝えられるツールです。「仕事を手伝ってくれてありがとう」「受注おめでとう!」などの感謝・称賛を伝えることで、社内に称賛文化を醸成できます。使いやすいインターフェースと手厚いサポートで、導入実績は2,000組織にのぼりました。
RECOGは以下の機能が搭載されています。
感謝・称賛を伝えるレター機能
情報や日報を投稿できる投稿フィード機能
レターの送受信の状況を可視化できる分析機能
レターの送受信件数のランキング機能
このほかにも組織を活性化できるこだわりが詰まっているので、詳細につきましては以下の資料をご確認ください。
サンクスカードには、感謝を伝えやすくする、従業員同士の関係性を育てる、見えにくい貢献を可視化するなど、8つのメリットがあります。承認や称賛が増えれば、前向きな職場づくりや、組織への愛着を育てるきっかけにもなるでしょう。
一方で、記入の負担やノルマ化、送付の偏り、紙運用による管理負担には注意が必要です。これらは制度そのものの問題ではなく、運用設計で抑えられます。
導入する際は、目的を共有し、無理なく続けられるルールを整え、称賛する行動を定義したうえで、自社に合う運用方法を選びましょう。紙での管理が負担になる場合は、アプリやツールの活用も検討してみてください。
RECOGでは、感謝や称賛を手軽に贈り合えるほか、利用状況を可視化する機能も備えています。サンクスカードのメリットを最大限に活かしたい場合は、あわせてご検討ください。
\\編集部おすすめ記事//