組織文化の醸成やエンゲージメント向上などを目的として、サンクスカードを導入する企業が増えています。
サンクスカードによってプラスの影響がもたらされた企業がある一方、導入・運用に失敗してしまう企業も少なくありません。
本記事では、サンクスカードが失敗する主な原因や、失敗を防ぐためのポイントを解説します。サンクスカードの導入を検討している方や、失敗せず成功させたい方はぜひ参考にしてみてください。
サンクスカードとは、従業員同士が感謝の気持ちを伝えるためのメッセージカードを贈り合う制度です。日頃の感謝や労い、働きぶりや成果に対する称賛を伝え合うための方法であり、多くの企業で導入されています。また、近年は紙のサンクスカードだけでなく、パソコンやスマートフォンなどで利用できるサンクスカードツールも多く登場しています。
サンクスカードの導入メリットはさまざまありますが、代表的な効果は以下の3つです。
コミュニケーションの活性化
従業員エンゲージメントの向上
ポジティブな組織風土の醸成
企業理念やビジョンの浸透
このように、サンクスカードは単なる社内コミュニケーションツールにとどまらず、組織の成長に大きく貢献するツールといえるでしょう。
サンクスカードの概要については、こちらの記事もお役立てください。
近年は日本でもサンクスカードを導入する企業が増えていますが、なかには運用に失敗してしまうケースもあります。
ここからは、サンクスカードのよくある失敗事例を紹介します。
サンクスカード導入後に「サンクスカードの数が想定より少ない」「一部の人しか利用してくれない」といった状況に陥り、運用に失敗するケースは珍しくありません。せっかくサンクスカードを導入しても、すべての従業員全員が積極的に参加してくれなければ、感謝の文化は根付きにくいでしょう。
また、そのまま「一部の人だけが使うツール」という印象が広がると、サンクスカードそのものが形骸化しかねません。そうなれば、導入に費やした時間や費用が無駄になるだけでなく、施策の推進側のモチベーションも低下してしまいます。
こうした失敗を防ぐためには、サンクスカードをただ導入するだけでなく、従業員が利用したくなるような工夫が必要です。
導入初期は多くの人がサンクスカードを使っていたにもかかわらず、だんだんと盛り上がりが沈静化してしまうという失敗事例もあります。
新たな社内制度やツールを導入すると、最初は物珍しさから利用者が増える傾向があります。しかし、このタイプの盛り上がり方はあくまで一過性のブームに過ぎず、時間の経過によって新鮮味が薄れると参加率が低迷しがちです。
せっかくサンクスカードを導入しても、導入初期の盛り上がりが続かなければ、持続的な効果が見込めずに失敗しかねません。
また、サンクスカードの推進担当者が退職してしまうことで、利用者が減少するケースもあります。サンクスカードを失敗させないためには、従業員への利用促進の取り組みが不可欠です。利用促進の中心人物が退職すると、従業員に対する働きかけが途絶えてしまい、制度の形骸化を招きやすくなります。
サンクスカードには、職場にポジティブな雰囲気を醸成する効果があります。しかし、サンクスカードの導入によって、かえって職場の雰囲気を悪化させてしまう可能性もゼロではありません。
たとえば、サンクスカードの数の偏りにより、従業員間に軋轢が生じてしまうという失敗事例です。
サンクスカードで贈られる感謝や称賛は、目立つ成果を上げている人に集中する傾向があります。一方で、縁の下の力持ちのような存在の従業員には、なかなかスポットライトが当たりません。
その結果、「あの人ばかり褒められている」「私も頑張っているのにカードをもらえない」といった嫉妬や孤独感が生まれ、職場の人間関係に悪影響を及ぼす場合があります。
これでは本末転倒なので、サンクスカードの導入において最も避けたい失敗事例といえるでしょう。
サンクスカードを導入したものの、期待したような効果を実感できなかったという失敗事例も少なくありません。サンクスカードは、「従業員エンゲージメントの向上」や「離職率の低下」といったポジティブな影響を期待して導入されます。しかし、それらについて具体的な変化が見られないと、「導入によって何がどう変わったのか分からない」と感じてしまうでしょう。
また、経営陣からも「サンクスカードにコストをかけ続ける意味はあるのか」という疑念を抱かれかねません。効果が不透明な状態が続けば、取り組み自体が頓挫して失敗してしまう恐れもあります。
サンクスカードの導入が失敗してしまった場合、まずは原因を分析しましょう。失敗の原因が明らかになれば、状況に応じた対策を打ち出しやすくなります。
これからサンクスカードを導入する予定の方も、失敗を防ぐための参考にしてみてください。
サンクスカードの取り組みが従業員の負担になってしまい、運用に失敗するケースは少なくありません。
サンクスカードで感謝を伝え合うことは、従業員にとっても気持ちが良いものです。しかし、「サンクスカードを月に〇枚贈る」といったノルマや義務が課されていると、従業員によっては負担を感じてしまいます。また、通常業務に追われてサンクスカードを書いている時間がないケースや、どんなことを書けば良いか分からず悩んでしまうケースもあるでしょう。
こうしたストレスや時間的制約が積み重なると、サンクスカードがただ義務感から贈られるだけのものになる恐れがあります。形だけの感謝や称賛になれば、導入当初の目的も達成しづらくなるでしょう。
参加しにくく感じてしまう従業員がいることも、失敗要因の一つです。従業員の性格や、置かれている状況によっては、サンクスカードを贈るハードルが高い場合があります。
たとえば、恥ずかしがりやな従業員は、他者を褒めることに対して心理的ハードルを感じやすいものです。また、他者とのコミュニケーション機会が少ない従業員は、そもそも感謝のエピソードを見つけにくい可能性があります。とくに、リモートワークが主体の企業では対面での接点が少ないので、人によっては「サンクスカードの内容が思いつかない」と感じてしまうでしょう。
紙のサンクスカードの場合、オフィスにいる時間が短い人は参加が難しいという課題もあります。リモートワークはもちろん、外回りの多い営業職もオフィスにいる時間が限られるため、サンクスカードを手渡しするタイミングをつくりにくいでしょう。
サンクスカードはポジティブな取り組みですが、すべての従業員に受け入れられるとは限りません。なかには、感謝や称賛を強要されることに「気持ち悪い」「わざとらしくて嫌だ」と感じる人もいるでしょう。
また、特定の従業員に感謝や称賛が集中することに抵抗感を抱く人もいます。場合によっては、よく褒められている従業員に対して「あの人ばかりずるい」などのネガティブな感情を抱くこともあるでしょう。
こうした感情は職場の人間関係を悪化させ、施策の失敗につながる可能性があります。
「サンクスカードを書く」という作業には、想像よりも手間がかかります。とくに、文章を書き慣れていない人にとっては、カードを1枚書くだけで多くの時間がかかる場合もあり、施策の失敗につながるでしょう。
また、施策の推進担当者への負担が大きいことも、サンクスカードが失敗する原因のひとつです。たとえば、紙媒体で運用する場合は、サンクスカードの配布・回収・掲示・保管などの作業が必要です。デジタルツールならこうした物理的な作業は不要ですが、ツールの選定や導入、従業員へのレクチャーやサポートなどの手間が発生します。
加えて、サンクスカードの利用促進の活動や、適正に運用されているかどうかの確認も必要な場合があります。
こうした運用の手間が積み重なると、継続的な取り組みが困難になり、施策の失敗につながりかねません。
サンクスカードを導入する場合は、長期的な視点を持つ必要があります。「従業員エンゲージメントの向上」や「コミュニケーションの活性化」などは一朝一夕で達成できるものではなく、短期間で目に見える効果が表れるケースは少ないでしょう。
また、サンクスカードという新しい習慣の定着にも、まとまった期間を要する場合があります。施策に対して即効性を求めすぎるのは、失敗のもとです。利用促進の工夫を続けながら、長い目で見て取り組むことが大切です。
サンクスカードの運用コストがネックとなり、施策が失敗するケースもあります。
とくに、サンクスカードアプリなどのデジタルツールの導入には、一定のコストが発生します。導入コストに加えて、月額料金やオプション費用などのランニングコストも必要です。料金体系はサービスによって異なりますが、従業員数や必要なオプションが多い場合は、それだけコストが増大してしまうでしょう。
また、紙のサンクスカードとは異なり、デジタルでの運用ではツールを使いこなすための教育コストもかかります。従業員の年齢層によっては、デジタルツールに不慣れな人が多く、操作方法のレクチャーに多くのコストがかかる場合もあるでしょう。
サンクスカード制度を成功させるには、失敗の原因を踏まえて具体的な対策を講じましょう。事前に対策を決めておくことで、スムーズな導入・運用が実現します。
サンクスカード導入の失敗を防ぐためには、以下のポイントに注意することが大切です。
サンクスカードの失敗を防ぐためには、導入目的を明確化し、従業員に周知する必要があります。ただ「サンクスカードを贈り合いましょう」と呼びかけるだけでは、従業員にサンクスカードの意義が伝わらず、なかなか利用してもらえない可能性があります。
「チームワークを強化するため」「風通しの良い職場にするため」など、サンクスカードを導入する目的を共有すれば、従業員の主体的な取り組みを促しやすくなります。
どのような目的があり、感謝を伝え合うことがどう結びつくのかを分かりやすく伝えましょう。
「利用率が伸びない」「感謝が形だけのものになってしまう」などの失敗を防ぐためには、従業員の負担にならないようなルール設計が必要です。
たとえば、サンクスカードのテンプレートや書き方の例を提示する、短文でもOKとするなどの施策が有効です。デジタルツールを導入する場合は、操作性や使いやすさを重視して選定するとよいでしょう。
また、「月に〇枚贈る」といったノルマを与える場合は、無理なく達成できる目標を設定するのがおすすめです。
利用のハードルを極力下げて、従業員が気軽に感謝を伝えられる環境を整えましょう。
サンクスカードの利用促進には、従業員への声かけも有効です。
とくに、導入初期や利用が停滞したタイミングでは、経営層やマネージャー層、推進担当者からの積極的な声かけが必要となります。朝礼やミーティングで「最近、感謝を伝えたいことはありましたか?」「今月、仕事を助けてもらった人に感謝を伝えてみましょう」などの声かけを行ない、サンクスカードを送るきっかけをつくりましょう。
ただし、サンクスカードを贈る習慣がない人にとっては、いきなり「カードを贈ろう」と言われてもハードルが高いもの。最初はツールに毎日ログインしたり、「いいね」を付けたりするだけでもよいと声かけをして、利用のハードルを下げてあげましょう。
サンクスカードの失敗を防ぐためには、マネージャーやリーダー層の積極的な参加が不可欠です。管理者側が率先してサンクスカードを利用すると、従業員の「自分も贈ってみよう」という意欲を引き出しやすくなります。
また、マネージャーやリーダーが部下に感謝を伝えれば、サンクスカードを受け取る嬉しさも実感してもらいやすいでしょう。上司から褒められることで、働くモチベーションも向上しやすくなります。
デジタルのサンクスカードを導入する場合は、ツールの選定にも気を配る必要があります。
新しいツールを浸透させるにあたり、とくに重要なのが「手軽さ」です。たとえば、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末に対応しているツールなら、いつでもどこでも気軽に感謝のメッセージを伝えられます。画面がシンプルで分かりやすいことや、メッセージを気軽に作成できることなども重要です。
また、社内チャットやメールなど、既存のコミュニケーションツールとの連携が可能なタイプもおすすめです。サンクスカードを受け取った際に既存ツールに通知されたり、メッセージの内容を確認できたりするため、導入がよりスムーズに進むでしょう。
ツールによって感謝を伝えるハードルを下げることが、サンクスカードの定着を促すコツです。
「最初は盛り上がっていたのに、利用率が減少してしまう」という失敗を防ぐためには、サンクスカードに紐付けた表彰やランキング発表を行なうのもおすすめです。
たとえば、サンクスカードを多く受け取った人を表彰する、サンクスカードの送信数が多いチームをランキング形式で発表するなどの方法が考えられます。
また、サンクスカードの内容も発表すれば、誰がどんな貢献をしているのかが可視化されます。これにより、従業員の承認欲求が満たされ、次のポジティブな行動を促しやすくなるでしょう。さらに、メッセージの内容を周知することで「こういうポイントを褒めれば良いんだ」「こうすれば褒められる」というように、周囲にもプラスの影響を期待できます。
ただし、表彰やランキングを取り入れる場合は、特定の従業員だけが目立たないよう注意しましょう。サンクスカードの数だけでなく内容を加味して「縁の下の力持ち賞」をつくるなど、スポットライトが平等に当たるような仕組みが必要です。
サンクスカードの利用促進の一環として、評価制度への組み込みも検討してみましょう。
たとえば、サンクスカードの送受信数を評価項目として設定したり、サンクスカードの内容を評価の参考にしたりする方法があります。サンクスカードを評価制度に組み込めば、従業員はサンクスカードを単なるコミュニケーションツールとしてだけでなく、自身の評価につながるツールだと認識します。
これにより積極的な利用が促され、利用率が低迷するなどの失敗を防ぎやすくなるでしょう。
失敗しないサンクスカード導入には「RECOG」
サンクスカードは従業員の負担や抵抗感などにより失敗しかねないため、手軽に楽しく使えるサンクスカードツールの導入がおすすめです。
チームワークアプリ「RECOG」は、感謝・称賛を贈り合えるレター機能でサンクスカード制度を始めることができ、一人ひとりの頑張りや成果を組織全体で可視化できます。レターにはポイントを付けられるため、感謝・称賛の度合いに応じてポイントを贈り合うことが可能です。
コメントや拍手などの豊富なリアクション機能で、社内のコミュニケーションが活性化できるのもメリットです。
また、専任のカスタマーサクセス担当者が導入・運用のサポートをさせていただき、活性化のための伴走を行ないます。初めてサンクスカードを導入する企業でも、安心して運用していただけます。
他にも、投稿フィード機能やトーク機能、分析機能も搭載されており、組織のコミュニケーションを集約できるツールです。詳しくは以下の資料で紹介しているので、ぜひダウンロードしてご確認ください。
サンクスカードが失敗する理由は、負担の大きさや心理的ハードルなど多岐にわたります。サンクスカードを失敗させないためには、推進担当者と従業員の双方が、無理なく利用できる仕組みづくりが不可欠です。 紙のカードは配布や回収などの運用コストが大きく、従業員にとっても手書きでメッセージを書くのは手間がかかります。サンクスカードの失敗を防ぐためにも、手軽に利用できるデジタルツールの導入を検討してみましょう。 \\編集部おすすめ記事// まとめ