コラム

2024.01.29
2024.01.29

サンクスカードは気持ち悪い?モチベーションを下げる5つの理由と導入・運用を失敗させない方法を紹介

 ▼ 目次
同僚や上司、部下と一緒に仕事をしていても、なかなか感謝の気持ちを伝えられる場面はないものです。そんな中、注目を集めているのが「サンクスカード」です。
従業員同士で感謝を伝え合うことで、コミュニケーションの活性化やモチベーションアップなどさまざまなメリットが期待できます。
一方で、サンクスカードを送り合う制度を「気持ち悪い」「無駄」「強制的で苦痛」と感じる人がいるともいわれます。
 
そこで本記事では、サンクスカードのメリットやデメリットに加え、導入・運用を失敗し無いために押さえておきたいポイントや運用の際の注意点について解説します。
 

サンクスカードとは?

 
サンクスカードとは、「ありがとう」という感謝の気持ちを社内で伝え合うためのメッセージカードです。日々の仕事を進める上で感じた感謝を目に見える形にし、同僚や上司、部下に送ることができます。伝統的な紙のカードに加え、手書きの手間が省けるデジタルカードもあるため、企業の雰囲気やニーズに応じて選ぶと良いでしょう。
 
近年、多くの企業がコミュニケーションツールやビジネスチャットを導入しています。これらのツールは業務の効率化に寄与していますが、仲間の活躍や貢献に対して感謝や称賛を伝える機会は減少しがちです。しかし、サンクスカードを活用し、感謝や称賛を伝える機会を増やすことで、コミュニケーションの活性化や従業員のモチベーション向上などさまざまな効果が期待できます。
 
また、サンクスカードの活用方法は多岐にわたります。
例えば、社内で送られたカードの数を集計し、表彰することができます。
さらに、サンクスカードを導入することで、あとから従業員の活躍や貢献を振り返ることもできるので、1on1や人事評価にも役立つでしょう。
 

サンクスカードを活用するメリット

 
サンクスカードは感謝の気持ちを伝えるというシンプルな取り組みです。この仕組みがあるだけで、以下に挙げるようなメリットが期待できます。
 

コミュニケーションの活性化

サンクスカードを活用することで従業員同士のコミュニケーションの活性化が期待できます。
日々業務に追われる中で一緒に働く仲間にきちんと感謝を伝えられないことも多いでしょう。しかしサンクスカードの制度があれば、あとからでも感謝の気持ちを形にして伝えられるため、人間関係が良好になると同時にコミュニケーションが活性化するでしょう。その結果、社内の雰囲気も向上することが期待できます。
 

モチベーションの向上

サンクスカードをもらった従業員は「自分の仕事が認められた」と実感しやすくなりモチベーションが向上します。
企業で運用されるサンクスカードの制度は、カードを送った・受け取った従業員のみでやり取りをするものではなく、周囲の従業員にもやり取りやカードの内容を見えるようにする場合があります。こうすることで、サンクスカードを受け取った従業員は自分の仕事が感謝されていることを第三者にも知ってもらえるので、仕事に対する姿勢や考え方も上向きになることが期待できます。その結果、離職防止や定着率アップにもつながるでしょう。
 

組織風土の改善

仕事をする中で感謝の気持ちを伝える仕組みがあると、組織風土にも良い影響を及ぼすと考えられます。
「ありがとう」という気持ちを持っていても直接口に出して伝えづらいこともあるでしょう。また、普段あまり関わりがない従業員には、感謝を伝える機会は少ないものです。しかし、サンクスカードを導入することで感謝を伝える仕組みができるので、今までは伝えられなかった感謝を形にして伝えやすい雰囲気になります。その結果、企業全体の雰囲気も明るくなり、従業員一人ひとりの業務や仲間に対する意識にも変化が表れ組織風土の改善に寄与するでしょう。
 

お互いを知ることができる

話の内容や指示が噛み合わない、正当な評価をしてもらえないなどの問題は、相互理解不足が原因と考えられます。そのため、同じ職場で働く上司や部下、同僚同士で相互理解することは、業務をスムーズに進めるために重要なポイントです。サンクスカードを送り合う文化がある職場では、従業員同士がお互いの頑張りや貢献、人となりを知ろうとするようになります。その結果、サンクスカードをきっかけに相互理解が深まり、業務遂行に良い影響をもたらすでしょう。
 

チームワークの向上

従業員同士でサンクスカードを送り合うことで日頃からお互いを気にかける機会が増えます。すると前述したようにコミュニケーションの活性化やモチベーション向上、相互理解を深めることができます。その結果としてチームワークが強力になり、従業員同士の一体感も高まるでしょう。
 

サンクスカードを活用するデメリット

 
サンクスカードにはさまざまなメリットが期待できますが、いくつかのデメリットも存在します。
 

従業員の負担になる

サンクスカードを使ったことがない、感謝の気持ちを目に見える形にして送り合うことに慣れていないという従業員は少なくありません。サンクスカードに書く文章を考えて送るにはある程度手間や時間がかかるので、本来の業務にプラスして行なわなければならないことが負担と感じることもあるでしょう。サンクスカードをノルマや義務のようにしてしまうと、ますます負担が大きくなるため注意が必要です。
 

サンクスカードを気持ち悪い・無駄と思う従業員もいる

サンクスカードを書いて送ることそのものに対して「気持ち悪い」「無駄」だと感じている従業員がいる場合があります。「それほど感謝を感じていないのにも関わらず送らなければならないことが気持ち悪い」「ノルマとして課されていると感謝を強要されているようだ」と嫌悪感を感じてしまう場合があるからです。
また、業務に加えてサンクスカードを作成する手間が無駄と思う従業員も出てくるでしょう。このようにサンクスカードに対してネガティブな印象を持つ従業員がいると、サンクスカードの効果が発揮できず、メリットも薄れてしまうでしょう。
 

効果が出る前に形骸化して活用されなくなる

「通常業務にプラスしてサンクスカードを書かなければならない」とサンクスカードの制度にネガティブな印象を持っていると、負担を感じてしまいます。その結果、サンクスカードが持つ良い効果がを得られる前に、制度そのものが形骸化してしまう恐れがあるでしょう。
そうならないために、サンクスカードにノルマを設けてしまった場合、達成するためだけにカードを作成したり特定の従業員同士でサンクスカードを送り続けたりするようになり、マンネリ化する可能性があります。
 

導入や運用に手間がかかる

サンクスカードを導入するには、大なり小なり手間がかかります。紙のサンクスカードを利用するには書くためのカードの準備や配布、集計などが必要です。専用ツールを使用する場合でも、ツールの準備や操作方法の説明などに手間と時間がかかるでしょう。導入・運用に手間がかかってしまうと本来行なうべき業務に支障をきたす可能性もあります。
 

アプリやツールを導入する場合は費用がかかる

紙のカードに書いて送る以外に、アプリやツールを使用してサンクスカードを送る方法もあります。紙の準備や書く手間が省けるアプリやツールはほぼリアルタイムで送れるメリットがありますが、企業で導入して使用するには初期費用や月額利用料などがかかります。サンクスカードを従業員が活用して良い効果が得られるのであれば問題ありませんが、デメリットばかりが目立つ場合は費用対効果が薄くなってしまうでしょう。
 

サンクスカードの導入・運用を失敗させない5つの方法

 
サンクスカードを導入しても、活用してもらえなかったり従業員への負担ばかりが増してしまったりと失敗してしまうケースも出てくるでしょう。
 
そうならないためにも、運用するには以下の5つの方法を押さえておきましょう。
 

導入目的とルールを全員に周知する

いきなりサンクスカードを導入されても、従業員はなぜサンクスカードが必要なのか、どのように使うのかがわからず、利用してもらえません。そのため、導入時にはまず「なぜサンクスカードを導入するのか」目的を周知して理解を求めましょう。制度を十分理解してもらった上で運用できれば、サンクスカードが社内の文化として定着しやすくなります。
また、ルールを明確化しておくことも必要です。いつ書くか、目標枚数などの運用ルールを設けることで継続的に利用してもらいやすくなります。
 

上司から部下へ積極的にサンクスカードを送る

サンクスカードを導入したばかりの時期は、どのように使えばいいのか、何を書けばいいのか従業員は戸惑ってしまうでしょう。その状態を放置してしまうと利用する機会も減ってしまい、せっかく導入したサンクスカード制度も意味をなさなくなってしまいます。
従業員にサンクスカードを活用してもらうためには、上司から部下に積極的にサンクスカードを送り、どんな内容をサンクスカードに書いたら良いか示しましょう。部下に送るサンクスカードはどんなことに感謝をしているか具体的に書くこと重要です。そうすることで部下はどのような内容を書けばよいかわかり、利用の促進につながるでしょう。
 

内容のハードルを低く設定する

サンクスカードは、何度も書いていると内容のハードルが上がってしまうことがあります。高いクオリティの内容や長い文章を求めてしまうと、サンクスカードを書くことに対するハードルが高くなり、利用するためのモチベーションが下がる恐れがあります。そのため、書く内容のハードルは低く設定しておくことは、長くサンクスカードを使ってもらうためのポイントです。
 

サンクスカードのやり取りを可視化する

サンクスカードを送った人、受け取った人はやり取りを把握できますが、社内でサンクスカードの制度を成功させるには双方向のやり取りだけでなく、第三者にもやり取りを可視化することが重要です。従業員全員すべてがサンクスカードの内容を把握することで、互いの活躍や貢献を知ることができます。
また「自分も送りたい」「送られたい」と前向きな気持ちになり、利用の促進が期待できます。
 

運用は定期的に見直し改善する

サンクスカードの運用を失敗させないためのポイントを押さえていたとしても、浸透できず制度が根付かないこともあります。浸透したとしても、想定した以上のメリットが得られないこともあるでしょう。そのような場合は、運用方法を見直すべきです。従業員に負担となっている部分を解消したり、導入前に期待していた効果が出ない原因を追究することで、より効果的な運用ができるようになるでしょう。
 

サンクスカードを導入する際の注意点

 
サンクスカードを効果的に活用するために、以下に挙げる注意点を意識して導入しましょう。
 

運用コストが極力かからないものにする

前述の通り、サンクスカードの利用方法には紙のカードを使用するほか、専用アプリやツールを使用する方法があります。いずれにしてもサンクスカードを使うにはコストがかかるので、それを慮してサンクスカードの運用方法を検討しましょう。
紙のカードはコストを抑えられる一方で、利用者が手書きで書き専用の箱に入れたり手渡しで渡したりする必要があります。加えて、運用担当者は手作業で集計しなければならず、別の面でコストがかかる点に注意が必要です。
アプリやツールはさまざまなサービスがあり、かかる料金はそれぞれ異なります。中には安いサービスもありますが、安ければ良いというわけではありません。口コミやサポート内容などをチェックし、自社に適したアプリやツールを選びましょう。
 

内容はわかりやすく具体的に書く

サンクスカードには、長い文章を書く必要はありません。重要なことは、どのようなことに感謝を感じているのかをわかりやすく書くことです。シンプルな短い言葉でも、具体的な内容であれば「自分の成果や活躍が認められている」と感じられ、モチベーションが向上します。そのため、サンクスカードを使う際は内容を具体的にわかりやすく書くのがポイントです。
 

表彰式やインセンティブの導入を行なう

従業員のモチベーションアップのきっかけとしても期待できるサンクスカードですが、その内容や送った数などに応じて表彰やインセンティブを導入すれば、さらにモチベーションアップが期待できるでしょう。
例えば、サンクスカードを送った数、受け取った数を集計して上位の従業員を表彰する、報奨金を出すなどの方法があります。
または、サンクスカードに少額のインセンティブをつけて送り合う「ピアボーナス」も効果的です。このような取り組みにより、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上が期待できるでしょう。
 

まとめ

感謝の気持ちを形として従業員同士で送り合うことができるサンクスカードの制度は、社内のコミュニケーション活性化や従業員一人ひとりのモチベーション向上などさまざまメリットが期待できます。
一方で、感謝の強要や作成にかかる負担などからサンクスカードはネガティブな印象を持たれることもあり「気持ち悪い」と思われてしまうこともある制度です。
しかし、従業員にサンクスカード制度を導入するの目的やルールを周知した上で、運用を定期的に改善したり、表彰やインセンティブなどの制度も組み込んだりすることで、社内にサンクスカードの文化が定着しやすくなります。
また、サンクスカードを活用して従業員同士のコミュニケーションを活性化できれば組織風土が改善し、従業員にとって働きがいのある職場となるでしょう。
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