「社内報の作成を任されたものの、何から手をつければよいかわからない」と悩む担当者は少なくありません。社内報は、経営理念の浸透や従業員同士の相互理解を深める重要な社内メディアです。しかし、工程が多く関係者との調整も欠かせないため、全体の流れを把握しないまま進めると、発行の遅れや内容のブレにつながってしまいます。
本記事では、社内報の作成方法を7つのステップに分けて解説します。読まれる社内報にするコツや、形骸化を防ぐポイントもあわせて紹介するため、初めて担当する方はぜひ参考にしてください。

社内報の作成にいきなり着手すると、方向性が定まらず誌面に一貫性がなくなる傾向にあります。まずは、作成前に押さえておきたい3つの基本を確認しましょう。
社内報の目的は、大きく分けて「経営理念やビジョンの浸透」「社内の情報共有」「コミュニケーションの活性化」の3つです。どの目的を最優先にするかによって、企画やデザインの方向性は大きく変わります。
たとえば理念浸透が目的なら経営層のメッセージを軸にした構成が適しており、コミュニケーション活性化が目的なら従業員が登場する企画を増やすのが効果的です。目的が曖昧なまま作成を進めると、雑多な情報を寄せ集めただけの誌面になり、読み手の心に届きません。複数の目的を掲げる場合も、最優先はどれかを関係者と議論し、優先順位をつけておきましょう。目的が共有されていれば、企画の採否に迷ったときの判断基準にもなります。
社内報の媒体は、冊子などの紙媒体と、Webで配信するWeb社内報の2種類に分けられます。紙媒体はじっくり読んでもらいやすく、従業員の家族にも届けやすい点が特長です。一方、Web社内報は作成から配信までのスピードが速く、閲覧データの分析も可能です。
現場勤務が中心なのか、リモートワークの従業員が多いのかなど、読み手の働き方に合わせて選びましょう。速報性の高い情報はWebで、じっくり読ませたい特集は紙で、と併用する方法もあります。また、Web社内報を選ぶ場合は、既存の社内ポータルで運用するのか、専用ツールを導入するのかも検討しておきましょう。
社内報の作成方法には、主に2種類あります。
内製:自社の従業員だけで完結させる
外注:制作会社や編集プロダクションに委託する
内製は費用を抑えられ、社内の空気感を誌面に反映しやすい一方、担当者の負担が大きく、デザインの質を保ちにくい面があります。
外注では企画から執筆、デザインまでプロの品質を期待できますが、その分コストがかかり、社内事情を共有する手間も必要です。すべてを委託するのではなく、企画と取材は社内で行ない、デザインと印刷のみ外注するといった分担もできます。予算と社内のリソース、求める品質のバランスから判断しましょう。

ここからは、社内報の具体的な作り方を7つのステップで解説します。全体像を先に把握しておくと、スケジュールの遅れや手戻りを防ぎやすくなるでしょう。
最初に、発行目的をもとに社内報のコンセプトと編集方針を固めます。「誰に、何を、どのようなトーンで届けるか」を言語化しておくと、毎号の企画がブレにくくなります。
経営層や各部門の責任者にヒアリングを行ない、組織が抱える課題を洗い出しておくのも有効です。課題が明確になれば、社内報で扱うべきテーマもおのずと見えてきます。コンセプトは「会社と従業員の心をつなぐメディア」のように、短い言葉で表現しておくと関係者に共有しやすくなります。あわせて、発行頻度や想定ページ数、社内報の名称もこの段階で決めておきましょう。
次に、誰がどの工程を担当するのかを明確にします。社内の編集チームだけで作るのか、デザインや印刷を外部に委託するのかによって、必要な調整や費用は変わってきます。
体制が決まったら、発行日から逆算して原稿の締切日や校正の日程を組みましょう。スケジュールには、原稿作成の期間、入稿日、初校から校了までの確認日程などを盛り込みます。取材や原稿依頼は相手の業務都合に左右されるため、余裕を持った日程設定が欠かせません。年間の発行計画と、1号ごとの詳細スケジュールの2段階で管理すると運用しやすくなります。工程が多い場合は、ガントチャートで1日単位のやることを可視化し、誰がいつまでに何を完了させるのかを明確にしておくと安心です。
続いて、編集会議を開き、特集や連載などの企画を決定します。代表的なコンテンツは以下のとおりです。
経営層からのメッセージ
部署紹介や従業員インタビュー
新しく入社した従業員の紹介
社内イベントやプロジェクトの報告
表彰や成果の共有
堅い情報ばかりでは読まれにくいため、趣味の紹介や社内アンケートといった気軽に読めるコンテンツも織り交ぜるとよいでしょう。季節の話題やトレンド情報のような、仕事と直接関係のない読み物は、誌面の空気を和らげる箸休めとなります。企画ごとに「なぜ載せるのか」という意図を明確にしておくと、誌面に一貫性が生まれます。
企画が決まったら、執筆者への原稿依頼と原稿作成を進めていきましょう。従業員に執筆を依頼する場合は「企画の趣旨」「文字数」「締切日」「提出先」をまとめた依頼シートを用意すると、意図が正確に伝わります。
質問項目に回答例を添えたり、質問数を絞り込んだりすると、書き手の負担を減らす工夫も大切です。依頼して終わりではなく、進捗をこまめに確認しながら締切に間に合うようフォローしましょう。原稿が集まったあとの表記の統一やトーンの調整といったリライトも、担当者の大切な役割です。
インタビュー企画では、取材と撮影を並行して進めるのが一般的です。事前に質問内容を対象者へ共有しておくと、当日の進行がスムーズになり、聞き漏らしも防げます。話が本題からそれてしまった場合に軌道修正できるよう、その企画で必ず聞きたいポイントを整理しておくことも大切です。座談会や対談の形式では、参加者の組み合わせや当日の進行役も事前に決めておきましょう。
撮影した写真は誌面のレイアウトに影響するため、掲載位置を想定した構図をあらかじめ考えておくことをおすすめします。取材後は、録音の書き起こしや原稿の整理を早めに行ない、記憶が新しいうちに執筆へ進むのが理想です。
原稿がそろったら、レイアウトに沿って誌面を組み、デザインを仕上げていきます。写真や図版の配置、見出しの表現なども含めて、読みやすさを意識して調整しましょう。
校正では、誤字脱字だけでなく、氏名や部署名、数値などの事実確認も入念に行ないます。掲載される従業員本人と、その上長にも内容を確認してもらう流れにしておくと、公開後のトラブルを防げます。修正は初校、再校と段階を踏んで反映し、校了の期日を守れるよう進捗を管理しましょう。
校了後、印刷・配布または配信を行ない、発行は完了です。ただし、発行して終わりにせず、読まれたかどうかの検証まで行ないましょう。
Web社内報であれば閲覧率や読了率などのデータを確認でき、紙媒体でもアンケートで従業員の反応を集められます。得られた結果をもとに次号の企画を改善していくサイクルこそが、読まれる社内報への近道です。「読了率が低い企画は翌号で見直す」「反応のよかった連載は継続する」など、判断基準をあらかじめ決めておくと改善を進めやすくなります。

社内報は発行するだけでは読まれません。作り方の手順に加えて、ここで紹介する読まれるための4つのコツも押さえておきましょう。
読まれない社内報に共通するのは、会社からの伝達事項を一方的に並べているだけという点です。読み手が「自分に関係がある」「おもしろそう」と感じられなければ、忙しい業務の合間に読んではもらえません。従業員は日々、メールやチャット、SNSなど多くの情報に囲まれており、社内報はそれらと読む時間を奪い合う関係にあります。
福利厚生など従業員にとって得になる情報や、仕事に役立つノウハウの共有など、読み手のメリットを起点に企画を考えましょう。企画会議では「会社が伝えたいこと」と「従業員が知りたいこと」を並べて洗い出し、両者が重なるテーマから優先的に取り上げるのがおすすめです。
人は、知っている人が登場するコンテンツに自然と関心を持ちます。普段は接点のない部署の従業員や、現場で活躍するメンバーの素顔が見える記事は、部署間の垣根を取り払うきっかけにもなります。従業員インタビューや部署紹介、座談会など、多くの従業員が誌面に登場する企画を増やすと、読まれる確率は高まるでしょう。
また、誌面で取り上げられた本人にとっては「自分の仕事が認められた」という実感につながり、モチベーション向上も期待できます。特定の部署に偏らないよう、登場する顔ぶれのバランスにも配慮しましょう。
会社から従業員への一方通行では、読み手はしだいに受け身になってしまいます。社内アンケートの結果発表、読者からのお便りコーナー、Web社内報ならコメントやリアクション機能の活用など、従業員が参加できる仕掛けを設計しましょう。
たとえば「今号でいちばん心に残った記事」を投票してもらうだけでも、読み手の参加意識は変わるものです。読み手が参加者に変わると、社内報は「読まされるもの」から「みんなで作るもの」へと育っていきます。
社内報は1回の発行で効果が出るものではなく、継続によって組織に浸透していくメディアです。最初から完成度を追求しすぎると、担当者の負担が大きくなり、発行自体が続かなくなるリスクがあります。
まずは無理のないページ数と発行頻度で始め、従業員の反応を見ながら少しずつ改善していくことが大切です。発行が続けば、従業員の中に「次はどんな内容だろう」と期待されるようになっていき、読了率も高まっていきます。

せっかく創刊した社内報も、運用を誤ると「発行されているだけ」の存在になりかねません。社内報は成果が見えにくい業務のため、問題に気づかないまま形骸化が進みやすいのが実情です。ここでは、よくある3つの失敗と防止策を解説します。
社内報の作成を特定の担当者ひとりに任せきりにすると、異動や退職のタイミングでノウハウが途絶え、発行が止まってしまうリスクがあります。
編集方針や制作手順、依頼先のリストなどをドキュメント化し、複数人で運用できる体制を整えておきましょう。各部署に「社内報委員」を置き、ネタの収集を分担する方法も有効です。引き継ぎ資料は最初から完成形でなくても構いません。運用しながら少しずつ更新していけば十分です。
毎号同じ構成、同じ顔ぶれでは、読み手は新鮮味を感じられません。登場する人物や部署が入れ替わるだけで企画自体が何年も変わらない状態は、マンネリ化のサインです。
年間の企画計画を立てる際に、季節や社内行事に合わせた特集を組み込み、定番企画と新企画のバランスを取りましょう。従業員からネタを募集する仕組みを作っておくと、担当者だけでは思いつかない企画も生まれます。アンケートで「読みたい企画」を聞いておくのも、ネタ切れ防止に効果的です。
もっとも多い失敗が、「発行すること」自体が目的になってしまうケースです。読了率や反応を検証しないまま発行を重ねると、誰にも読まれていないのに工数だけがかかり続ける、形骸化した状態に陥ります。
この状態を防ぐには、創刊時に決めた目的へ立ち返り、「何のために発行しているのか」を定期的に問い直す機会を持つことが重要です。閲覧データやアンケートで効果を測定し、読まれていない原因を特定して改善する運用をルール化しましょう。数値の変化を編集チームで共有すれば、改善のモチベーションにもつながります。

社内のコミュニケーションを活性化するうえで、社内報とあわせて活用したいのがチームワークアプリ「RECOG」です。RECOGは、従業員同士が「感謝」や「称賛」のレターを日常的に送り合える仕組みを通じて、心理的安全性の高い組織づくりを支援します。前身サービスから累計2,000社以上の導入実績があり、業種や規模を問わず活用されています。
社内報が会社から従業員へ届ける発信だとすれば、RECOGは従業員同士が日々称え合う双方向の場です。レターとして蓄積された貢献のエピソードは、社内報で紹介する話題の発掘にも役立ちます。両者を組み合わせれば、組織の一体感を多面的に高められるでしょう。詳しい機能や活用事例に興味のある方は、お気軽に資料請求ください。
社内報の作成は、目的とコンセプトの設定から始まり、体制づくり、企画、原稿作成、取材・撮影、デザイン・校正、そして発行と効果測定という7つのステップで進めます。大切なのは、発行をゴールにせず、読み手である従業員の反応をもとに改善を続けることです。
読まれる社内報は、一朝一夕には完成しません。無理のない体制で継続しながら、従業員が登場し、参加できる誌面へと育てていきましょう。あわせて、日常の感謝や称賛が行き交う文化づくりに取り組めば、社内報の効果はさらに高まります。本記事で紹介した作り方のステップとコツを参考に、自社らしい社内報作りへの一歩を踏み出してみてください。
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