優秀な人材の獲得や定着が難しくなるなか、給与だけでは差別化しづらい時代になりました。そこで注目されているのが、自社らしさを打ち出せるユニークな福利厚生です。しかしながら、話題性だけで導入しても使われずに終わってしまう例は少なくありません。
この記事では、分野別の事例から自社に合う選び方、そして導入後に形骸化させないコツまで整理して紹介します。ユニークな福利厚生で従業員エンゲージメントを高めたいと考えている企業は、ぜひ参考にしてください。

ユニークな福利厚生とは、法律で義務づけられた制度を超えて、企業が独自の価値観や従業員のライフスタイルに合わせて設ける、独創性の高い法定外福利厚生を指します。住宅手当や通勤手当のような一般的なものとは異なり、自社の文化を映し出す点に特徴があります。
なお、福利厚生そのものの種類や基礎知識から整理したい場合は、福利厚生の仕組みを解説した記事もあわせてご覧ください。
ユニークな福利厚生が広がる背景には、いくつかの要因があります。
第一に、少子高齢化による人材獲得競争の激化です。給与水準だけで他社と差をつけるのが難しくなり、働く環境そのものが選ばれる理由になっています。
第二に、価値観の多様化が挙げられます。ワークライフバランスやウェルビーイングを重視する人が増え、一律の制度では満足を得にくくなりました。
第三に、限られた予算で効果を高めたいというコスト面の事情もあるでしょう。高額な制度よりも、少ない費用で満足度を高められる工夫が求められています。

ここからは、ユニークな福利厚生を分野別に紹介します。自社の課題や従業員の関心に近いものから検討すると、導入後の活用イメージを描きやすくなるでしょう。
心身のコンディションを整える制度は、生産性とも結びつきやすい分野です。日々のパフォーマンスを底上げしたい企業に向いています。
昼寝・仮眠制度:短時間の仮眠を認め、午後の集中力回復を図る取り組み
フィットネス費用補助:ジムやオンライン運動プログラムの利用料を一部負担する制度
整体・マッサージ補助:肩こりや疲労のケアにかかる費用をサポートする仕組み
禁煙サポート手当:禁煙外来の費用補助や、達成者への報奨を用意する制度
休み方に独自性を持たせる制度は、ライフスタイルの尊重を伝えるメッセージにもなります。比較的低コストで導入しやすい点も魅力です。
推し活休暇:好きな対象を応援する活動のために取得できる特別休暇
バースデー休暇:誕生月に取得できる有給休暇
リフレッシュ休暇:勤続年数の節目にまとまった休みを付与する制度
ペット忌引休暇:ペットを亡くした従業員に配慮した休暇
毎日の暮らしを支える制度は、従業員の満足度を実感として高めやすい分野です。生活コストの負担軽減にもつながります。
社内フリードリンク・フリーフード:軽食や飲み物を無償で提供する取り組み
近距離手当:オフィス近くに住む従業員へ家賃の一部を補助する制度
家事代行サービス補助:家事の負担を軽くし、私生活の余裕を支える仕組み
成長を後押しする制度は、従業員のキャリア意欲と企業の競争力の双方に効きます。前向きな姿勢を歓迎する文化を示すことが可能です。
書籍購入補助:業務やキャリアに役立つ書籍の購入費を負担する制度
資格取得支援:受験料や講座費用を補助し、スキルアップを後押しする仕組み
副業・社外活動支援:本業以外の学びや経験を認め、成長機会を広げる制度
家族や人生の節目に寄り添う制度は、長く働ける安心感につながります。多様な事情を抱える従業員への配慮を形にできます。
育児・看護サポート手当:子の看護や保育にかかる費用を補助する制度
家族記念日手当:結婚記念日や子の入学などの節目に支給する手当
介護支援休暇:家族の介護に専念できるよう設ける休暇
人と人とのつながりを育てる制度は、職場の雰囲気そのものを変える力を持ちます。費用を抑えながらエンゲージメントを高めたい企業に適しています。
サンクスカード・ピアボーナス:従業員同士が感謝や称賛を贈り合う仕組み
シャッフルランチ補助:部署を越えた交流を促すため食事代を補助する制度
社内部活動支援:共通の趣味を通じたつながりづくりを後押しする取り組み

ユニークな福利厚生は、従業員と企業の双方に価値をもたらします。それぞれの観点から整理してみましょう。
自分に合った制度が用意されていると、従業員は「会社に大切にされている」と感じやすくなります。心身の健康やワークライフバランスが整い、満足度やエンゲージメントの向上につながるでしょう。学びを支える制度であれば、キャリア形成への意欲も高まります。一人ひとりのニーズに応える姿勢が、働く意義の実感へとつながります。
企業にとっては、採用活動での訴求力が大きな利点です。他社にはない制度は求職者の印象に残り、自社の価値観に共感する人材を引き寄せます。さらに、働きやすさへの納得感が高まれば、離職率の低下も期待できます。
メディアやSNSで話題になれば、企業ブランドの向上にも結びつくでしょう。結果として、採用と定着の両面で投資効果を回収しやすくなります。

話題性だけで制度を選ぶと、思うように活用されないことがあります。次の4ステップで、自社に合うものを見極めましょう。
ステップ1:目的を明確にする
ステップ2:従業員のニーズを把握する
ステップ3:費用対効果を見極める
ステップ4:小さく始めて段階的に広げる
まず、何のために導入するのかをはっきりさせます。採用力の強化なのか、定着率の改善なのか、目的によって適した制度は変わります。軸が定まっていれば、後の判断もぶれにくくなるでしょう。
次に、従業員が本当に求めているものを調べます。アンケートや面談を通じて声を集めると、現場の実感に合った制度を選びやすくなります。経営側の思い込みだけで決めないことが、活用される制度づくりの第一歩です。
続いて、かけられる予算と見込める効果のバランスを確認します。高額な制度ほど効果が高いとは限りません。少ない費用でも満足度を大きく高められる施策は数多くあります。
いきなりすべての福利厚生施策を全社展開せず、期間を区切ったり始めやすい施策から試したりする方法が有効です。従業員の反応を見ながら調整すれば、自社に合った施策を見極められ、無理なく定着できるでしょう。うまくいった制度を少しずつ広げていけば、現場の納得感も得られやすくなります。

せっかく導入した制度も、使われなくなれば意味を失います。形だけの制度にしないために、押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
福利厚生が単独で存在していると、次第に「あることを忘れられた制度」になりがちです。日々の業務やコミュニケーションと結びついていれば、自然と使われ続けます。たとえば感謝を伝え合う習慣と制度がつながると、利用のきっかけが生まれやすくなるでしょう。
誰がどれだけ使っているのかが見えないと、改善のしようがありません。利用状況を定期的に確認し、使われていない制度は見直す姿勢が欠かせません。従業員の声を反映しながら磨き続ければ、制度は生き続けます。
制度を根づかせる土台になるのが、認め合う文化です。どれだけ魅力的な仕組みでも、貢献が見過ごされる職場では定着しにくいものです。感謝や称賛が日常的に交わされる環境であれば、福利厚生も「使ってよいもの」として受け止められます。一人ひとりの行動が認められる空気こそ、制度を生かす鍵といえるでしょう。

ユニークな福利厚生を用意しても、日々の感謝や称賛が伴わなければ、制度はやがて形だけのものになりがちです。チームワークアプリ「RECOG(レコグ)」は、従業員同士が感謝や称賛のメッセージを贈り合えるサービスで、累計2,000社以上に導入されています。
自社の価値観に紐づくバリューバッジや称賛のレターを通じて、一人ひとりの貢献を見える化できるため、サンクスカード制度を手軽に始めることが可能です。レターにはポイントもつけられるため、ピアボーナス制度としても機能します。
詳細は以下の資料で紹介しているので、ぜひご覧ください。
ユニークな福利厚生は、自社らしさを伝え、人材の獲得と定着を後押しする有効な手段です。ただし、話題性だけで導入しても、使われなければ意味を持ちません。目的を定め、従業員の声を聞きながら選び、感謝や称賛が交わされる日常とつなげることが、制度を根づかせる近道です。まずは自社に合う一歩から始めてみましょう。
RECOGでは、感謝・称賛を通じて従業員エンゲージメントを高める方法をまとめた資料を無料で配布しています。福利厚生を「使われる制度」へと育てたい方は、ぜひ資料をダウンロードのうえご活用ください。