コールセンターでは「コミュニケーションが希薄になりやすい」「応対品質が均一ではない」などの課題が生じます。そうした組織課題の解決策として「サンクスカード制度」があります。
本記事では、コールセンターの組織課題と解決策、サンクスカードを導入するメリット、企業事例を紹介します。
コールセンターでは多岐にわたる組織課題が発生しやすいですが、特に多く見られるのは以下の課題です。
コールセンターでは複数のオペレーターが電話応対業務を行ないますが、スキルやノウハウが属人化していると、応対品質にばらつきが生じやすくなります。
経験が浅くて誤った回答をしてしまったり、オペレーターによって回答内容が異なったりするという事態が続くと、顧客から不信感を持たれて顧客離れにつながりかねません。また、新人だとそもそも応対方法が完璧ではなく、相手の意図していることを把握できないまま応対してしまい、大きなトラブルに発展するリスクもあります。
また、応対品質向上のためにマニュアルを整備していても、マニュアルに記載のない質問・要望が届くことも多いでしょう。先輩オペレーターのナレッジが共有されていないと、イレギュラーな対応が求められる場面で適切に対処できず、顧客満足度の低下を引き起こします。
コールセンターはひっきりなしに問い合わせがくるため、他のメンバーとのコミュニケーションの時間を取れないという課題を抱えている企業もあります。
ずっとデスクに座って顧客対応をしているため、席を立って他のメンバーのところまで行き話しかける時間もなく、同じ空間にいてもコミュニケーションを取れません。また、休憩時間などにコミュニケーションを取ろうと思っても、常に顧客からの電話がかかってくるため時間をずらして休憩を取るために、他のメンバーと関わる時間がないというケースも見られます。
最近は問い合わせのチャネルが増えており、電話以外にもメールやチャット、LINEなどで顧客対応をしている企業も増えています。自分に適したチャネルで問い合わせができるため顧客にとっては利便性が高いですが、対応するオペレーターにとっては負荷が大きくなるでしょう。すべてのチャネルに対応できる人材の育成や、全チャネル用のマニュアル整備などは、現実的に難しいという組織が多いです。
また、電話とメールでチームを分けて運用しているコールセンターもありますが、チームが違うと接点が減るため、部門内でのコミュニケーションが減少してしまうという課題にもつながります。
コールセンターでは、顧客対応以外にもデータ入力や上長への報告、他部門への連絡、発注などさまざまな業務を担います。そのため、オペレーターは覚えることやタスクが多く、業務負荷が大きくなり手が回らなくなります。業務負荷が多いと、入力ミスや連絡漏れなどのトラブルを引き起こす要因にもなるでしょう。
また、業務が多すぎると残業が増えたりストレスを抱えたりするため、離職の増加も懸念されます。
日々多くの問い合わせが舞い込むため、人材育成にリソースを割けないという組織は少なくありません。「育成計画が整っていない」「人材育成ができる人材がいない」などの背景から、せっかく人材を採用できてもしっかりと育成できないことから、スキルにばらつきが生じてしまうのです。
また、常に人手不足なため、新人に十分な育成ができないまま現場に出してしまうという組織もあるでしょう。そのため顧客とのトラブルになり、また離職を引き起こすという悪循環につながります。
コールセンターが一次窓口となり、営業部門や開発部門、施工管理部門などの確認・対応が必要になるケースは少なくないでしょう。
しかし、すぐに他の問い合わせが入ってしまい他部門への連絡が遅れてしまったり、どの部門へ確認したらよいのかわからなかったりするなど、コールセンターと他部門の円滑な連携が難しい企業は多く見受けられます。また、他部門と関係性ができておらず、顧客からの苦情やクレームを他部門へ伝えにくく、オペレーターの精神的な負担となる場合もあります。
コールセンターには、製品・サービスの使い方や不備などの問い合わせだけでなく、クレームが入ることも多いでしょう。また、理不尽な言葉や、時には恫喝を浴びることも珍しくありません。顧客からの感謝を伝えられる機会がなく、クレーム対応ばかりになってしまうと、オペレーターは疲弊してしまい離職にもつながりかねません。
コールセンターでは先述のような組織課題が起こりやすいため、適切に対応しなければオペレーターのモチベーションやエンゲージメントが低下して離職を引き起こします。組織課題の解決策として、以下のような方法が考えられます。
職場環境の改善は、コールセンターの組織課題解決において重要です。ただし、職場環境と一口に言っても、ハード面とソフト面があるため自社に適した対策を講じる必要があるでしょう。
ハード面では、以下のような要素が挙げられます。
このように、快適に過ごせるオフィス環境の整備が大切です。
また、ソフト面としては以下があります。
ハード面とソフト面、両方からのアプローチにより、オペレーターが働きやすい職場環境を作りましょう。
オペレーターの応対品質にばらつきが生じたり、人手不足ですべての問い合わせに対応するのが難しかったりするなどの課題には、一次応対の自動化・効率化で対応します。
たとえばチャットボットを導入すると、顧客からの問い合わせにチャット上にて自動で回答できます。設定されている問い合わせ内容であればチャットボットが対応し、有人対応が必要な場合はオペレーターに引き継ぐこともできるため、効率化が見込めるでしょう。
また、WebサイトにFAQやオンラインマニュアルなどを公開しておけば、顧客みずから疑問を解決できるため問い合わせ件数を削減できます。
コールセンターのオペレーターには、自社で扱っている製品・サービスについて正確な知識を持つことと、正しい敬語や態度で顧客に対応すること、どちらも求められます。しかし、製品・サービスの改良が知識がアップデートできていなかったり、苦情を受けたときに誤った回答をしてしまったりすると、大きなトラブルに発展するリスクがあります。
そのため、どれだけ忙しくても社内研修は必須です。自社のビジネスモデルや製品・サービスについて学ぶ勉強会や、顧客対応のノウハウを学べる研修など、目的に合わせてさまざまな研修を実施しましょう。研修時間の確保が難しい場合は、動画やeラーニングコンテンツを使って自身で学習できると便利です。
応対品質の均一化には、先輩やベテランのナレッジ共有も効果的です。
今まで数々の問い合わせに対応してきたベテランオペレーターは、問い合わせ内容や顧客属性などによってどのような対応をすべきか把握しています。また、クレームを受けたときの対応方法も理解しているため、大きなトラブルになりません。
こうしたナレッジは属人化しがちであり、新人オペレーターや経験の浅いオペレーターはベテランのように対応できないでしょう。失敗体験が重なると、精神的なストレスが強くなりモチベーションが低下します。
こうした事態を防ぐため、先輩オペレーターのナレッジを共有してチーム内での横展開が必要です。ナレッジ共有ツールの導入や、業務マニュアルの整備のほか、社内での勉強会を開催して先輩オペレーターから直接話を聞く機会を作るのも有効です。
人手不足によって問い合わせ対応が回らない場合は、コールセンター業務の一部を外部へ委託するのも一つの案です。電話応対やメール応対などを外注できる企業が増えているため、自社が不足しているリソースに応じて活用してみましょう。
ただし、アウトソーシングする際には、顧客の個人情報の取り扱いには気を付ける必要があります。信頼できる委託先を見つけなければ、個人情報の漏えいリスクがあるでしょう。また、自社にナレッジが蓄積されないという側面もあるため、いずれは内製化したいと考えているならば委託先からナレッジを学べる体制構築も検討しなければなりません。
コールセンターの組織課題解決のためには、職場環境の改善やナレッジの共有などが効果的です。こうした課題解決につながる取り組みを実現する方法としておすすめなのが「サンクスカード制度」です。
サンクスカードは、従業員同士で「仕事を手伝ってくれてありがとう」「イレギュラーな問い合わせにも完璧に対応できていたね」などの感謝・称賛を伝え合う制度を指します。紙のサンクスカードでやり取りするのが一般的でしたが、最近ではメッセージやポイントなどを贈れるサンクスカードツールも増えており、デジタルに移行するコールセンターが増加傾向にあります。
それでは、コールセンターでサンクスカードを導入するメリットを見ていきましょう。
次々と問い合わせが入ってくるコールセンターでは、オペレーター同士が直接話す機会がほとんどありません。話すとしても業務上の質問がメインとなり、感謝を伝えたり業務外のことを話したりする時間はないでしょう。
しかし、サンクスカードを導入するとスキマ時間で感謝・称賛のメッセージを贈れるため、直接話す機会がなくてもコミュニケーションを取りやすくなります。サンクスカードを贈られた人が嬉しさを感じるだけでなく、そのサンクスカードを見た周りの人たちが「この人はこんなことまで頑張ってくれているのか」と相手を知るきっかけにもなり、相互理解を促進できるでしょう。
コールセンターは一人ひとりが問い合わせ対応に追われているため、チームワークを醸成しにくいという側面があります。その結果、お互いの人柄を知らないまま仕事をすることになり、さらにコミュニケーションが希薄になります。また、頑張っても感謝されないため、モチベーションが維持できないオペレーターもいるでしょう。
しかし、サンクスカードを導入すると感謝・称賛の文化が形成されるため、チームワークが強化されます。チームの結束が強い組織だと、業務が回っていないオペレーターがいたらフォローしたり、モチベーションが下がっている人に気づきやすくなったりするなどの効果もあります。
サンクスカードをうまく活用すると、人材育成も可能です。
たとえば、新人オペレーターにサンクスカードを贈る際、「今日は仕事を手伝ってくれてありがとう!今日の業務は~~することで効率化できるから、ぜひやってみてね」などと業務上のナレッジを付け加えると、新人の知識が深まりスキルアップが望めます。また、そのサンクスカードを見た周りの人たちにとっても学びとなるでしょう。
忙しくて人材育成に時間を割く時間がないコールセンターほど、手軽に贈れるサンクスカードは効果を発揮するかもしれません。
他部門との連携強化にもサンクスカードが有効です。
サンクスカードは顔を合わせなくてもコミュニケーションが取れるため、部門が違っても関わりを持てるきっかけになります。従来は引き継ぎして終わりになっていたとしても、サンクスカードがあれば「本日は現場に行ってくださりありがとうございます」などの感謝のメッセージを贈れます。
また、「今日はお客様から、当社の製品についてお褒めの言葉をいただきました!」など、顧客からのポジティブなフィードバックをサンクスカードで伝えることにより、顧客との直接的な接点がない部門にも顧客の声を展開でき、社内全体のモチベーションアップにもつながるでしょう。
サンクスカードの導入にはチームワークアプリ「RECOG」がおすすめです。感謝・称賛のメッセージをパソコンやスマホから手軽に贈り合うことができ、チームワークの醸成が期待できるツールです。
他にも、情報共有やナレッジ共有ができる投稿フィード機能や、チャットのように利用できるトーク機能があり、コミュニケーションを促進します。また、組織と個人についての分析機能も搭載されているため、組織改善やフィードバックなどに活用できるでしょう。
詳しい機能については以下の資料にて紹介しているので、ぜひダウンロードしてみてください。
最後に、コールセンターでサンクスカードを運用している企業事例を見ていきましょう。
ライフネット生命保険株式会社では、顧客対応を担当するコンタクトセンターにてRECOGを導入しています。
もともと、出社の多い電話対応チームと、在宅勤務がメインのメール対応チームのコミュニケーション不足に課題を抱えていた同社。また、業務時間中に席を立って話すのも難しく、職場の雰囲気や従業員のモチベーションにネガティブな影響が出ることを懸念し、RECOG導入に至りました。
導入後、チームの隔たりなく感謝が飛び交うようになり、コミュニケーションが活性化。投稿機能でもペットや趣味のことについての投稿が増え、SNSのように利用しているオペレーターが増えていることで、交流のきっかけになっているといいます。
株式会社SBI証券のカスタマーサービス部門では、オペレーターの早期離職防止のため職場環境を向上させる取り組みとしてRECOGを導入し、サンクスカードを運用しています。
RECOG上のコミュニケーションから組織の人間関係を把握できるようになり、配属や席替えの参考になっています。また、新人が配属されると先輩がRECOGでメッセージを贈ったり適切にフォローしたりできるため、早期離職の防止にもつながっています。
さらに、対応件数や顧客からの感謝の言葉の数も高まり、応対品質の向上も実感。職場でのコミュニケーションを円滑にするだけでなく、オペレーターのモチベーションや応対品質にもつながっているそうです。
コールセンターでは、コミュニケーションやナレッジ共有、他部門との連携など、さまざまな組織課題が発生します。オペレーターのモチベーションにもマイナスな影響を与えるため、課題解決のための取組みが求められます。
サンクスカード制度はチーム内に感謝・称賛の文化を醸成し、モチベーションやチームワークの向上が期待できます。チームワークアプリ「RECOG」を活用し、コールセンターの組織課題を解決していきましょう。
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