健康経営に取り組みたいものの、「何から始めればよいのか分からない」「担当できる人員や予算が限られていて、自社でも続けられるか不安」と感じている中小企業の経営者・担当者もいるのではないでしょうか。健康経営は、規模の大きな企業だけが行なうものではありません。自社の課題を把握し、無理なく続けられる施策から始めることが大切です。
中小企業では、経営者と従業員の距離が近く、方針を共有したり意見を集めたりしやすいといえます。一方、事業場の労働者数によって求められる安全衛生管理体制や利用できる支援が異なるため、法令上必要な対応と健康経営の施策を分けて考える必要があります。
この記事では、中小企業が健康経営を進める4つの手順をはじめ、取り組み例、活用できる外部支援、健康経営優良法人を目指す場合の流れまで解説します。自社の状況に合った健康経営を始める際の参考にしてみてください。

健康経営は、従業員の健康維持・増進だけを目的とするものではありません。経済産業省は、従業員等への健康投資によって活力や生産性の向上をもたらし、組織の活性化にもつながることが期待されるとしています。
中小企業が健康経営に取り組む主なメリットは、次の4つです。
ただし、健康経営を始めれば必ず成果が出るわけではありません。自社の課題に合わせて取り組み、結果を確認しながら改善していくことが大切です。
従業員が心身の健康を保ちながら働ける環境を整えることは、健康上の課題へ早めに対応し、働きやすい職場づくりを進めるうえで大切です。
健康上の問題を抱えたまま働いていると、出勤していても集中力や作業効率が落ち、本来の力を発揮しにくくなります。こうした状態はプレゼンティーイズムと呼ばれ、「健康経営ガイドブック」では、プレゼンティーイズムによる労働生産性の損失額は、医療費や病気による欠勤・休業に伴う損失額よりも大きい場合が多いとされています。従業員の不調を早めに防ぎ、心身ともに良い状態で働ける時間を増やすことが、生産性の向上につながると考えられます。
経済産業省が健康経営優良法人の中小規模法人部門を対象に行なった調査では、健康経営に取り組んだ効果として「従業員の健康状態の改善」や「従業員の生産性の改善」などを実感した企業が確認されています。
健康診断を実施して終わりにするのではなく、受診後のフォローや働き方の見直しなど、自社の健康課題に合わせて必要な対応へつなげていくことがポイントです。
出典
経済産業省「第5回 健康経営推進検討会 事務局資料(今年度の認定状況と今後の方向性について)」
健康経営優良法人認定事務局「健康経営ガイドブック」(2025年3月版)
人材確保に課題を抱える中小企業では、従業員を大切にする姿勢を社内外へ示すことも重要です。健康経営を通じて働きやすい環境を整えることは、既存の従業員が安心して働き続けられる職場づくりにもつながります。
経済産業省の調査でも、中小規模法人が健康経営に取り組んだ効果として「人材の採用」や「離職の防止」を挙げています。
ただし、健康経営だけで採用難や離職の問題が解決するわけではありません。労働条件や評価制度、職場の人間関係なども確認し、その一環として従業員の健康を支える取り組みを続けることが大切です。
健康経営を会社全体で進める過程では、経営者と従業員が健康や働き方について話す機会も生まれます。従業員の意見を聞きながら施策を改善していけば、職場内のコミュニケーションを見直すきっかけにもなるでしょう。
経済産業省の調査では、「組織の活性化」「企業ブランド・イメージの向上」「従業員間のコミュニケーションの改善・促進」などを効果として実感した企業が確認されています。
健康宣言や健康経営優良法人の認定などを通じて取り組みを社外へ発信すれば、採用候補者や取引先に職場づくりへの姿勢を伝える材料にもなります。
健康経営優良法人の認定を取得すると、融資や補助金などで優遇を受けられる場合があります。ACTION!健康経営の資料では、認定法人を対象としたインセンティブとして、一部の補助金における審査時の加点や、日本政策金融公庫の融資制度での特別利率の適用などが紹介されています。
このほか、ハローワークの求人票に認定ロゴマークを掲載できる、外国人の在留資格審査で提出書類が簡素化されるといった優遇もあります。自治体や金融機関が独自の支援制度を設けている場合もあるため、所在地の自治体や取引のある金融機関の情報も確認するとよいでしょう。
なお、これらは健康経営に取り組むだけでなく、認定を取得していることが前提となる優遇です。対象となる制度や条件は時期によって変わるため、利用を検討する際は各制度の最新情報を確認しましょう。
出典
ACTION!健康経営「健康経営のメリット」
ACTION!健康経営「健康経営優良法人認定のメリット」

健康経営の施策を検討する前に、自社に適用される労働安全衛生上の義務と、健康経営を進める体制を確認しておきましょう。特に注意したいのが、事業場で常時使用する労働者数です。
「50人」という基準にあたるかどうかは、原則として法人全体の従業員数ではなく、支店・営業所・工場などの事業場単位で判断します。まず法令上必要な対応を行なったうえで、健康経営として必要な取り組みを検討することが基本です。
常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医の選任が必要です。ストレスチェックについても、50人以上の事業場には実施義務があります。
一方、50人未満の事業場では、2028年3月31日まではストレスチェックが努力義務です。改正労働安全衛生法により、2028年4月1日からは50人未満の事業場にも実施義務が広がります。
主な違いをまとめると、次のとおりです。
確認項目 |
50人以上の事業場 |
50人未満の事業場 |
産業医 |
選任義務あり |
選任義務なし |
ストレスチェック |
実施義務あり |
努力義務(2028年4月1日から義務化) |
地域産業保健センター |
原則対象外 |
主な支援対象 |
出典
厚生労働省「産業医について教えて下さい。」
厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」
健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定を目指す場合は、次の必須要件をすべて満たす必要があります。
大項目 |
必須要件 |
経営理念・方針 |
健康宣言の社内外への発信及び経営者自身の健診受診 |
組織体制 |
健康づくり担当者の設置 |
組織体制 |
(求めに応じて)40歳以上の従業員の健診データの提供 |
制度・施策実行 |
健康課題に基づいた具体的な目標の設定(健康経営の具体的な推進計画) |
制度・施策実行 |
受動喫煙対策に関する取り組み |
評価・改善 |
健康経営の取り組みに対する評価・改善 |
法令遵守・リスクマネジメント |
定期健診の実施、50人以上の事業場におけるストレスチェックの実施、労働基準法または労働安全衛生法に係る違反による送検がないことなど(自主申告) |
必須要件に加えて、「制度・施策実行」では、健康課題の把握や具体的な健康保持・増進施策などの評価項目を、区分ごとに一定数以上満たす必要があります。
必須要件のうち「健康づくり担当者の設置」については、健康経営のためだけの専任部署を新設することや、担当者が特定の資格を取得していることまでは求められていません。中小企業では、人事・総務など既存の担当者が健康づくりに関する実務を担う方法も考えられます。
担当者の肩書きよりも、健康経営を進める担当者が社内で明確になっていることが大切です。なお、認定申請書では、すべての事業場に健康づくり担当者を設置していることが求められます。拠点が複数ある企業は、事業場ごとの担当者も確認しておきましょう。
出典
ACTION!健康経営「健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定要件」
ACTION!健康経営「健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定申請書」

健康経営は、単発の健康イベントを実施して終わるものではありません。経営上の目的を決め、実施体制を整えたうえで自社の課題に合った施策を行ない、結果を次の取り組みに反映する流れが重要です。「健康経営ガイドブック」でも、「経営理念・方針」「組織体制」「制度・施策実行」「評価・改善」の4つを繰り返し、PDCAサイクルを回していく手順が示されています。
最初から多くの施策に手を広げるのではなく、優先度の高い課題から着手すると継続しやすくなります。
出典:健康経営優良法人認定事務局「健康経営ガイドブック」(2025年3月版)
最初に「なぜ健康経営に取り組むのか」を明確にします。健康経営そのものを目的にするのではなく、人材定着や働きやすい職場づくり、生産性など、自社が抱える経営課題と結びつけて考えることが大切です。
たとえば、「従業員に長く健康に働いてもらいたい」という方針を掲げるのであれば、健康診断後のフォローや長時間労働の見直しなど、取り組みの方向性を整理しておきます。具体的な数値目標は、自社の健康課題を把握したうえで設定します。
経営者自身が目的を理解して言葉にすれば、従業員にも「なぜ会社が健康経営に取り組むのか」を共有しやすくなります。
健康経営を継続するには、特定の担当者だけに負担を集中させない体制づくりが必要です。経営者が方針を示したうえで、社内で必要な役割を分担し、状況に応じて産業医や保健師、保険者などと連携できる状態をつくります。
中小企業では、大人数の専門部署を設ける必要はありません。経営者、人事・総務担当者、各部署の責任者など、日常業務の中で必要な情報を集められるメンバーが協力する方法もあります。
「数値を確認する人」「従業員へ周知する人」「経営層へ報告する人」など役割を決めておけば、担当者の交代があった場合にも継続しやすくなります。
施策を決める前に、自社でどのような健康課題があるのかを把握します。健康診断の結果、時間外労働、休暇取得状況、ストレスチェックなど、すでに社内にある情報から確認を始めるとよいでしょう。
課題が分かれば、改善したい内容に合わせて数値目標を立てます。「再検査の受診率を高める」「月の時間外労働時間を減らす」など、数値で達成度を確かめられる目標にしておくと、取り組みの進み具合を判断しやすくなります。健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定要件でも、「健康課題に基づいた具体的な目標の設定」は必須項目です。
目標を決めたら、対応する施策を選びます。大切なのは、他社の成功事例をそのまま取り入れるのではなく、自社で解決したい問題と施策が合っているかを確認することです。
従業員数や勤務形態、担当者の負担も踏まえ、継続できる範囲から実行しましょう。
施策を実施した後は、設定した目標に近づいているかを確認します。参加人数や受診率といった実施状況だけでなく、施策によって改善したい課題に変化があったかを見ることが大切です。
想定した結果が出ていない場合は、すぐに施策をやめるのではなく、従業員が参加しにくい理由や周知方法、実施時期などを振り返ります。必要に応じて従業員から意見を集めるのもよいでしょう。
健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定要件でも、「健康経営の取り組みに対する評価・改善」は必須項目です。実施と振り返りを繰り返すことが、継続的な健康経営につながります。
出典:ACTION!健康経営「健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定要件」

健康経営の施策は、費用の大きな制度を新設することだけではありません。すでに行なっている健康診断や勤怠管理の結果を活用し、現在の課題に合わせて対応を一歩進める方法もあります。
中小企業が検討しやすい取り組みとして、次のような例が挙げられます。
自社の健康課題を確認し、優先度の高いものから始めていきましょう。
事業者には、常時使用する労働者に対して原則として1年以内ごとに1回、定期健康診断を実施する義務があります。健康経営では、法令に沿って健診を行なったうえで、その結果を職場の健康づくりに活用していくことも大切です。
健康診断で異常の所見があると診断された労働者については、健康保持に必要な措置に関して医師や歯科医師から意見を聴くことが事業者に義務付けられています。
こうした従業員の健診結果は個人の健康情報にあたるため、扱う人の範囲や管理方法に配慮しましょう。医師からの意見聴取などの法令上の対応を確実に行なったうえで、健康経営の施策として受診後のフォローに取り組むことが大切です。
たとえば、再検査や精密検査が必要と判定された従業員に対し、メールや個別の声かけで受診を促したり、受診のための特別休暇や費用補助を設けたりする方法があります。健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定申請書でも、こうした取り組みが受診勧奨の例として挙げられています。
出典
厚生労働省「職場のあんぜんサイト 定期健康診断」
厚生労働省「労働安全衛生法」
ACTION!健康経営「健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定申請書」
長時間労働が続いている場合は、「早く帰るように」と呼びかけるだけでは、業務量が変わらず従業員に負担が残ることもあるでしょう。そのため、従業員ごとの時間外労働を確認し、業務量や人員配置、仕事の進め方を見直すことが重要です。
休暇についても、取得を促すだけでなく、特定の従業員が休んでも業務が止まらない体制づくりが求められます。
なお、法定の年次有給休暇が10日以上付与される労働者については、使用者に年5日の確実な取得が義務付けられています。健康経営の取り組み以前に必要な法令上の対応を確認したうえで、働き方の改善を進めましょう。
出典:厚生労働省 働き方・休み方改善ポータルサイト「休暇をとることの重要性」
運動不足や食生活に課題がある場合は、従業員が日常生活の中で参加しやすい施策から始める方法があります。
たとえば、歩数を記録するウォーキング大会や、職場で時間を決めて行なうストレッチ・ラジオ体操などが考えられます。食生活では、健康に配慮した食事や飲料を選びやすい環境を整えたり、野菜摂取週間のような全社的な取り組みを行なったりする方法があります。
なお、健康経営優良法人の認定申請書では、運動・食生活の取り組みについて、教育・研修や保健指導、ポスター掲示などの情報提供は除くとされています。認定を目指す場合は、従業員が実際に参加・利用できる具体的な支援を用意しましょう。
施策への参加を強制すると、かえって負担に感じる人もいます。従業員の勤務形態や年齢層なども踏まえ、無理なく参加できる形を選びましょう。実施後は参加状況や意見を確認し、続けやすい内容へ調整することが大切です。
出典:ACTION!健康経営「健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定申請書」
メンタルヘルス対策では、不調が起きた後の対応だけでなく、従業員が早い段階で相談できる環境を整えることも大切です。相談窓口の周知や管理職への研修、ストレスチェックなど、自社の状況に合わせた施策を検討しましょう。
ストレスチェックの対象となる事業場では、実施者や情報管理の方法などを適切に定めて運用する必要があります。
50人未満の事業場については、厚生労働省が義務化に向けた小規模事業場向けの情報を公開しています。前述したとおり2028年4月1日から対象が広がるため、該当する企業は直前になって慌てないよう準備を進めるとよいでしょう。
出典:厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」
従業員同士が相談しやすく、互いの仕事や状況を知る機会がある職場づくりも、健康経営で検討できる取り組みのひとつです。健康経営優良法人の認定要件でも、「コミュニケーションの促進に向けた取り組み」が評価項目に含まれています。
定期的な面談や部署をまたいだ交流、感謝や称賛を伝える仕組みなど、方法は企業によって異なります。
イベントを開催すること自体を目的にせず、自社でどのようなコミュニケーション上の課題があるのかを確認しましょう。拠点や勤務場所が分かれている企業では、対面以外の方法も含めて継続しやすい仕組みを検討することが大切です。
出典:ACTION!健康経営「健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定要件」

健康経営をすべて自社だけで進める必要はありません。特に産業保健の専門職が社内にいない場合は、公的機関や加入している保険者などの支援を確認するとよいでしょう。
利用できる内容や条件は支援機関によって異なります。自社の課題を明確にしたうえで、「社内で対応すること」と「外部へ相談すること」を分ければ、担当者の負担を抑えながら進めやすくなります。
協会けんぽや健康保険組合などでは、加入している事業所を対象に健康づくりを支援している場合があります。具体的な内容は保険者によって異なりますが、健康情報の提供や健康づくりに関する案内などを受けられる場合があります。
まずは、自社が加入している保険者のWebサイトや窓口を確認しましょう。
保険者から提供される情報は、自社だけでは気づきにくい健康課題を考える材料にもなります。健康経営のために新たなサービスを探す前に、すでに利用できる支援がないかを確認しておくと、費用や担当者の負担を抑えやすくなります。
産業保健総合支援センターは、独立行政法人労働者健康安全機構が各都道府県に設置している支援機関です。産業医や保健師、衛生管理者、人事労務担当者などを対象に、産業保健に関する研修や相談などを行なっています。
研修・相談の内容はセンターや実施時期によって異なりますが、原則無料で利用できるサービスもあります。
メンタルヘルスや治療と仕事の両立など、社内だけでは判断しにくいテーマについて専門的な情報を得られることもメリットです。健康経営の担当者が知識を補い、職場での対応を考える際にも活用できます。
出典:独立行政法人労働者健康安全機構「産業保健総合支援センター」
地域産業保健センターは、労働者数50人未満の小規模事業場の事業者や労働者を対象に、産業保健サービスを原則として無料で提供しています。
健康診断結果に基づく健康管理やメンタルヘルスなどについての医師・保健師による健康相談、長時間労働者への医師による面接指導の相談、医師等が事業場を訪問して行なう産業保健指導などが主な支援内容です。
自社だけで健康管理を進めることが難しい場合は、所在地を担当する地域産業保健センターの支援内容と利用方法を確認しましょう。50人未満の事業場だから専門家へ相談できない、というわけではありません。
出典:独立行政法人労働者健康安全機構「地域窓口(地域産業保健センター)」

健康経営を継続するなかで、健康経営優良法人の認定を目指す企業もあります。ただし、認定取得だけを目的に施策を増やすのではなく、自社の健康課題に合った取り組みを行なうことが基本です。
中小規模法人部門では、健康宣言への参加や認定要件への対応、申請書の提出などが必要になります。申請期間や要件は年度によって変わる可能性があるため、必ず申請する年度の公式情報を確認しましょう。
健康経営優良法人の中小規模法人部門へ申請するには、事前に「健康宣言事業」へ参加する必要があります。
協会けんぽ・健康保険組合に加入している場合は、加入している保険者が実施する健康宣言事業へ参加します。国民健康保険組合・共済組合・その他の保険者に加入している場合も、まず保険者が健康宣言事業を実施しているか確認しましょう。
該当する保険者が健康宣言事業を実施していない場合は、自治体が実施する健康宣言事業への参加、または自社独自の健康宣言で代替できる場合があります。加入している保険者によって対応が異なるため、早めに確認しておくことが大切です。
なお、健康保険組合に加入している場合は、健康保険組合連合会の各都道府県連合会が実施する健康宣言事業への参加が必要です。公式Q&Aでは、自社独自の健康宣言のみの場合は認定されないとされています。
出典
ACTION!健康経営「中小規模法人部門の申請」
ACTION!健康経営「健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)申請に係るQ&A」
健康経営優良法人の中小規模法人部門では、「経営理念・方針」「組織体制」「制度・施策実行」「評価・改善」「法令遵守・リスクマネジメント」の区分で認定要件が設定されています。
また、小規模事業者などを対象とした「小規模法人特例」があります。対象は、中小企業基本法上の小規模事業者と、その他法人格における従業員数5人以下の法人です。
小規模法人特例では、一部の選択要件が通常の中小規模法人部門より軽減されています。対象になるかどうかは、認定申請書の回答内容によって自動判定されるため、申請書と最新の認定要件を確認しましょう。
出典:ACTION!健康経営「健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)申請に係るQ&A」
中小規模法人部門の申請は、例年夏から秋にかけて受け付けられ、翌年3月頃に認定法人が発表されます。認定申請書を専用サイトからダウンロードして必要事項を記入し、専用サイトへアップロードする流れです。
項目 |
内容 |
申請受付 |
例年夏から秋にかけて実施 |
認定申請料 |
1件ごとに必要(金額は申請年度の案内で確認) |
認定法人の発表 |
翌年3月頃 |
認定期間 |
約1年間(継続するには毎年度の申請が必要) |
申請期間や申請料、必要書類は年度ごとに公表されるため、申請前にACTION!健康経営の「中小規模法人部門の申請」ページで最新情報を確認しましょう。
認定申請書には、自社の要件適合状況を確認できる「認定基準適合書&申請にあたって保存すべき資料」のシートも用意されています。簡易的な判定であり認定を保証するものではありませんが、申請前の確認に活用できます。
また、公式Q&Aでは、支援事業者が配布する記載例や他法人の記載内容と著しく類似した記載が確認された場合や、代理申請が発覚した場合は認定されないと注意喚起されています。健康経営の推進計画などは、自社の課題に沿って自社で記入しましょう。
出典
ACTION!健康経営「中小規模法人部門の申請」
ACTION!健康経営「健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)申請に係るQ&A」

健康経営では、身体面の施策だけでなく、職場のコミュニケーションや働きやすさに目を向けることも大切です。RECOGの導入企業にも、健康経営の施策とコミュニケーション施策を組み合わせている事例があります。
ここでは、RECOGを活用しながら健康経営に取り組んでいる2社を紹介します。各社の施策をそのまま取り入れるのではなく、自社の課題に合わせて運用方法を工夫している点に注目しましょう。
RECOGの導入事例では、コンクリートコーリング株式会社(西日本)は51〜100名規模の建設会社として紹介されています。2025年には「健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)ネクストブライト1000」の認定を受けています。
同社では、本社と現場の距離や従業員同士のコミュニケーションを課題のひとつとして捉え、RECOGを導入しました。年3回のウォーキングキャンペーンでは、参加者へRECOG上で参加ボーナスを贈り、目標達成者には追加のポイントを付与しています。
卒煙キャンペーンでは、3週間の禁煙を達成した2名をRECOG上で共有し、内容を見た従業員から称賛レターが贈られました。健康施策と日常的なコミュニケーションを組み合わせている事例です。
出典:RECOG「本社と現場の距離を縮めた健康経営―中小建設業が業界初のISO 30414を取得できた理由」
RECOGが2023年に公開した導入事例では、富士フイルムワコーケミカル株式会社は101〜300名規模として掲載され、健康保険組合連合会神奈川連合会から「健康優良企業」に認定された企業として紹介されています。現在も同社は公式サイトで健康経営への取り組みを公開しています。
広野工場では作業場同士が離れており、従業員同士が顔を合わせる機会が少ないという課題がありました。RECOG導入時には管理職向けの研修を実施し、各部署からメンバーを集めた利用促進チーム「スマイルクラブ」も設置しています。
RECOGの導入事例では、社内の雰囲気や風通しが良くなったという声に加え、ストレスチェックの結果にも定量的な変化が表れたと紹介されています。担当者は、コミュニケーションの活性化が従業員のストレス低減につながっているのではないかと話しています。
出典
RECOG「利用促進チームのアイディア施策で、"褒める"文化の定着を促す」
富士フイルムワコーケミカル株式会社「健康経営への取り組み」

中小企業が健康経営を進める際は、日々の取り組みだけでなく、認定制度や必要な費用について疑問を持つこともあるでしょう。
特に健康経営優良法人を目指す場合は、通常の健康づくりとは別に申請条件を確認する必要があります。中小企業の健康経営に関する主な疑問に回答します。
中小企業も、申請区分や認定要件を満たせば「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」の認定を受けられます。
ただし、企業規模が小さければ自動的に中小規模法人部門の対象になるわけではありません。法人区分や従業員数、資本金・出資金額などによって申請区分が決まるため、ACTION!健康経営の申請区分を確認しましょう。
また、法人格がなく法人番号が付与されていない団体は申請できません。代表者1人のみで従業員が0人の法人についても、健康経営優良法人としては認定されないと公式Q&Aで示されています。
なお、中小規模法人部門ではブライト500に申請した法人のうち、上位500法人が「ブライト500」、501〜1500位が「ネクストブライト1000」として認定されます。「ホワイト500」は大規模法人部門の上位法人に付く冠です。
出典:ACTION!健康経営「健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)申請に係るQ&A」
健康経営に必要な費用は、企業が選ぶ施策や現在の体制によって異なるため、一律の相場はありません。健康診断後の対応や社内での情報発信、働き方の見直しなど、既存業務の延長で始められる取り組みもあります。
一方、外部講師による研修や健康管理サービスなどを導入する場合は、別途費用が必要です。
産業保健総合支援センターや地域産業保健センターなど、無料で利用できる公的支援もあります。まず自社の健康課題を明確にし、必要な施策へ予算を配分しましょう。健康経営優良法人の認定を目指す場合は、前述した認定申請料も考慮する必要があります。
従業員数が少ない企業でも健康経営には取り組めます。大規模なイベントや新しい制度を一度に導入する必要はなく、健康診断後の対応や休暇を取得しやすい環境づくり、従業員との定期的な対話など、現在の体制でできることから始められます。
少人数の企業では、経営者が従業員から直接意見を聞きやすい場合もあります。施策に対する反応や困りごとを確認し、次の取り組みに反映するとよいでしょう。
また、自社だけでは対応しにくい健康課題については、公的な相談窓口や保険者などを利用できます。社内だけで完結させようとせず、必要に応じて外部の支援を組み合わせることも選択肢のひとつです。
健康経営優良法人の認定を継続したい場合は、毎年度申請が必要です。認定期間は約1年間で、前年に認定を受けていても自動的に更新される仕組みではありません。
認定を受けた法人も、翌年度以降に認定を継続するには、あらためて申請する必要があります。前年度の申請内容をそのまま使えるわけではない点に注意しましょう。
前年度から同じ施策を続けている場合でも、取り組み状況を確認し、最新年度の申請書や認定要件に沿って申請しましょう。毎年度の振り返りを、自社の健康課題や施策を見直す機会として活用することも大切です。
出典:ACTION!健康経営「健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)申請に係るQ&A」

中小企業では、担当者が少なく施策を企画しても参加が広がらない、拠点や現場が分かれていて従業員同士の接点が少ないといった課題を抱えることがあります。RECOGは、従業員同士が感謝や称賛をレターで伝え合い、ポイントを贈り合えるサービスです。日常的なコミュニケーションの促進に加え、健康施策の参加者や目標達成者へレター・ポイントを贈れば、取り組みが周囲から認められる機会をつくれます。
健康経営優良法人の認定要件でも、「コミュニケーションの促進に向けた取り組み」は評価項目の1つです。自社の課題に合わせて、RECOGの活用もご検討ください。
中小企業が健康経営を進める際は、最初から多くの施策を実施する必要はありません。経営上の目的を決めて推進体制を整え、自社の健康課題に合う取り組みから始めることが大切です。健康診断後の対応や長時間労働の見直し、運動・食生活への支援、コミュニケーションの促進など、現在の体制で着手できる施策もあります。
社内だけで対応が難しい場合は、保険者や産業保健総合支援センター、地域産業保健センターなどの支援も活用できます。健康経営優良法人を目指す場合は、健康宣言や認定要件、申請スケジュールを最新の公式情報で確認しながら準備を進めましょう。
RECOGでは、従業員同士が日々の貢献や感謝を伝え合える仕組みを通じて、社内コミュニケーションや称賛文化づくりを支援しています。健康経営の一環として、従業員同士のつながりを深める施策を検討している場合は、RECOGの活用もぜひご検討ください。
\\編集部おすすめ記事//