コンクリートコーリング株式会社(西日本)様は、大阪市にある本社と工場のほか高松市と福岡市にオフィスを構え、コンクリート切断・穿孔を専門に事業を展開している企業です。長年の実績と経験による技術力は外部からの評価も高く、独自の工法は特許も取得しています。
健康経営や人的資本経営についての取組みにも活発で、2025年には「健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)ネクストブライト1000」の認定と、建設業の中小企業で初めてISO 30414を取得しました。その取組みのひとつであるコミュニケーション促進の一環としてRECOGを導入し、他の施策と絡めた活用によって社内コミュニケーションを広げています。
今回は、経営統括室に所属し、RECOGの運用定着を進めている井口様に、健康経営の取組みやRECOG導入の効果をお聞きしました。
―RECOGを導入する前は、どのような課題をお持ちだったのでしょうか?
当社では2022年から人的資本経営を強化しており、人的資本に関する国際的ガイドラインの「ISO 30414」に沿って取組みを行なっています。その一環として、エンゲージメント調査を毎年しているのですが、「この会社では、仕事や部門が変わっても、誰でもなじめる雰囲気がある」「この会社の人たちは、仕事に行くことを楽しみにしている」などの設問のスコアが著しく低い状況でした。
建設業界は現場に行くことが多いため、面と向かって感謝したり褒めたりすることが難しいケースが少なくありません。また、業界特有なのかもしれませんが、対面で感謝や称賛を伝えることに恥ずかしさを感じる人が多い傾向もあります。そうした要因が結びついて、エンゲージメント調査の結果に現れたのだと感じました。
そこで、人間関係の透明性を高め、建設業界の古いイメージを変えたいという想いから、サンクスカードの導入に踏み切りました。また、現場に出ていて対面でサンクスカードを渡すことが難しいことから、手軽に褒め合える基盤をつくるためにデジタルのサンクスカードツールであるRECOGを導入する流れになりました。
―現在はどのように運用していますか?
社長と経営統括室の3名でプロジェクトチームを結成し、RECOGの導入時から現在まで運用を進めております。
導入時は、RECOGの機能や使い方、導入の目的などを従業員に対して説明する場を設けました。当社は新しいツールに対して試してみようという文化があるため、すぐにRECOGを利用してくれた人がいたのは嬉しかったですね。
また、RECOG導入をきっかけに、それまで利用していたチャットツールを廃止してRECOGに移行することになったのですが、説明会にて周知できていたため比較的スムーズに移行できました。
当社が現在メインで利用している機能は、感謝・称賛を贈り合うためのレター機能、レターに付与できるポイント機能、チャットツールの代替として使っているトーク機能です。健康経営の他施策と絡めてRECOGを利用しているのは、当社ならではの使い方ではないでしょうか。
たとえば、年3回行なっているウォーキングキャンペーンでは、参加者に対してRECOGのレターで参加ボーナスを贈っています。さらに目標を達成できたら追加ボーナスを付与しているため、参加者のモチベーションにもつながっているようです。
また、卒煙キャンペーンともRECOGを組み合わせています。卒煙したい人を4月に募集した際、2名の参加者が手を挙げてくれたのですが、その2名が3週間禁煙して見事に卒煙できたため、RECOG上で情報を共有しました。すると、その情報を見た従業員が成功者に称賛レターを贈ってくれたのです。数珠つなぎで称賛の連続が生まれたのは、嬉しい体験でした。

―RECOGを導入してから、どのような効果や変化を感じていらっしゃいますか?
現時点で今年のエンゲージメント調査の分析ができていないため、RECOGとエンゲージメントスコアの相関関係はまだ測定できておりませんが、今後は数値面でどのような改善効果があったのかも検証していきたいと考えています。
ただ、体感としては、RECOG導入後に“面と向かっては伝えにくい感謝や誉め言葉をレターとして送り合う”文化が生まれ、そのレターをきっかけに実際の会話が弾むといった効果が出ています。 おそらく数値的にも良い影響が表れているのではないかと感じています。
定性的な効果としては、レターによって本社と現場の距離が縮まったと感じています。
建設業では現場担当者が本社に寄らず直行直帰することが多く、本社と現場担当者はお互いにどのような頑張りや貢献をしているのかは把握できません。しかし、RECOGのレターを通じて、普段コミュニケーションを取りにくい人の一面を知るきっかけになります。
たとえば、現場担当者同士が「安全に施工してくれてありがとう」というやり取りをしていたり、本社の従業員が「仕事をサポートしてくださり嬉しかったです」というレターをもらっていたりすると、普段は見ることができないその人の仕事ぶりや取り組み姿勢を把握できます。

このようなきっかけが会話の糸口となり、本社と現場のコミュニケーションが活性化できているのも、導入して良かったと思う部分です。RECOGを通じて「Aさんは安全面に配慮してくれているんだな」「Bさんにはこんな一面もあるのか」など相互理解が促進され、社内コミュニケーションにも影響が出ていることを実感できています。
また、先ほどもお話したように、当社では健康経営の施策とRECOGを絡めて運用しています。目標達成で他の従業員からレターを贈ってもらえたり、ボーナスとしてポイントをもらえたりすることが、健康経営施策へ参加する動機付けやモチベーションアップにもつながっているようです。
―今後の展望を教えてください。
現在の課題として、積極的に利用してくれる人とそうでない人の差があると感じています。そのため、まずは初めの一歩を踏み出してくれるよう、レターを贈ったことのない人向けの施策を検討中です。他の従業員のレターに拍手だけしてくれている人もいますが、もっとレターのやり取りが活発になると嬉しいですね。
レターのやり取りが増えれば、今よりも多くの従業員について仕事ぶりや貢献を知ることができるようになります。本社・現場だけでなく、さらに部門を超えて相互理解できるようになるため、社内全員がお互いのことを「知っている」という状態を目指しています。