人材獲得競争が激しさを増すなか、採用した従業員にいかに長く活躍してもらうかは、多くの企業にとって最優先の経営課題となっています。
そこで注目されているのが、従業員のコンディションやエンゲージメントを可視化し、離職の兆候を早期に把握できる「離職防止ツール」です。ただし、市場には数十種類ものツールが存在しており、「どれを選べばよいかわからない」と感じる人事担当者も少なくないでしょう。
本記事では、タイプ別におすすめの離職防止ツール10製品をピックアップし、それぞれの特徴や料金、向いている企業を比較します。あわせて、自社に合うツールの選び方や運用のコツも解説しますので、導入検討の参考にしてください。

離職防止ツールとは、従業員のエンゲージメントやコンディションを数値化・可視化し、退職リスクの早期発見と組織改善を支援するITサービスの総称です。サーベイによる定点観測、人事データの一元管理、サンクスカードによる称賛文化の醸成など、アプローチはさまざまです。いずれも「人が辞めにくい組織」を作るための土台づくりに役立ち、離職棒への効果が期待できます。
離職防止ツールが担う役割は、大きく分けて3つあります。
可視化:従業員の心理状態やエンゲージメントを定量的に把握できる
予防:退職の兆候があるメンバーを早期に発見し、1on1や面談などのアクションにつなげる
組織改善:組織課題を分析し、評価制度や配置、コミュニケーション施策を見直す
転職市場の活性化、リモートワークによる従業員の状態把握の難しさ、採用コストの高騰など、人事を取り巻く環境変化のなかで、辞めてから対応するのではなく辞める前に手を打つ仕組みへのニーズが高まっています。

離職防止ツールは、機能やアプローチによって大きく4つのタイプに分類できます。自社の課題に合わないタイプを選んでしまうと効果が出にくいため、まずは違いを理解しましょう。
定期的なアンケート(パルスサーベイ)をつうじて、従業員のエンゲージメントやストレス状態を数値化するタイプです。スコアの急激な低下といった離職のサインを早期に検知でき、退職予兆を見逃さないための仕組みづくりに役立ちます。リモートワークで部下のコンディションが見えづらい組織や、優秀な人材の突然の退職に悩む企業との相性が良いでしょう。
人事情報、評価、スキル、適性検査などのデータを一元管理し、人材配置や育成、評価運用までを支援するタイプです。サーベイ機能を内包している製品も多く、組織全体の状態を多角的に分析できます。中堅から大企業で、人事戦略を体系的に進めたい企業に向いています。
サンクスカードやピアボーナス、社内SNSなどの機能をつうじて、従業員同士が感謝や称賛を伝え合える環境を作るタイプです。心理的安全性の向上やモチベーションアップに直結しやすく、「人間関係」「承認不足」が離職要因となっている職場に効果が期待できます。
食事補助、健康サポート、ポイント特典といった実利的なサービスをつうじて、従業員の生活満足度を底上げするタイプです。日々の生活コストや健康面の不安が離職要因となっている場合に有効でしょう。
ここからは、各タイプの代表的なツール10製品を比較します。料金は2026年5月時点の公開情報をもとに整理しています。最新の料金や詳細は、各サービスの公式サイトでご確認ください。
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ツール名 |
タイプ |
主な特徴 |
料金目安 |
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Wevox |
サーベイ型 |
パルスサーベイとAIサポート |
要問い合わせ |
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ミキワメ |
サーベイ型 |
適性検査と組み合わせた離職予測 |
要問い合わせ |
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ラフールサーベイ |
サーベイ型 |
ストレスチェック内包 |
要問い合わせ |
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Geppo |
サーベイ型 |
3問の月次サーベイ |
要問い合わせ |
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カオナビ |
タレマネ型 |
顔写真ベースの人材データベース |
要問い合わせ |
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タレントパレット |
タレマネ型 |
テキストマイニング搭載 |
要問い合わせ |
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RECOG |
称賛型 |
サンクスレター+分析機能 |
要問い合わせ |
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Unipos |
称賛型 |
ピアボーナス制度 |
要問い合わせ |
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THANKS GIFT |
称賛型 |
理念浸透機能を併用可能 |
要問い合わせ |
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ハタラクカルテ |
サーベイ型 |
サーベイ機能に特化 |
要問い合わせ |
株式会社シンクスマイルが提供するチームワークアプリで、感謝や称賛を伝える「レター」機能を中心に、心理的安全性と従業員エンゲージメントを高めます。導入実績は2,000組織以上、業種・規模を問わず幅広く活用されています。シンプルなUIと手厚いサポート体制が特徴で、ITに不慣れな現場でもスムーズに定着しやすいでしょう。
向いている企業:人間関係や承認不足が離職要因となっている企業、店舗・拠点が分散しているマルチサイト型の組織。
株式会社アトラエが提供するエンゲージメントサーベイです。短時間で回答できるパルスサーベイによってリアルタイムで組織状態を可視化でき、AIサポート機能が課題に対する打ち手まで提案してくれる点が魅力でしょう。
向いている企業:エンゲージメントを定点観測し、データドリブンに組織改善を進めたい中小〜大企業
株式会社リーディングマークが提供する離職予防特化型のサーベイです。適性検査と組み合わせることで、ストレス耐性や性格特性を踏まえた離職リスクの予測ができる点が特徴。退職を未然に防ぎたい企業に支持されています。
向いている企業:優秀な人材の突然の退職に悩む企業、産業医や人事のフォロー体制を強化したい企業
株式会社ラフールが提供するサーベイツールです。エンゲージメント調査とストレスチェックを1つのツールで完結できるためコスト効率がよく、フィードバック機能で改善策の提案まで受けられます。
向いている企業:ストレスチェックとエンゲージメントサーベイを一本化したい企業
株式会社リクルートと株式会社サイバーエージェントの新規事業開発プログラムによって生まれた、月次3問のシンプルなサーベイツールです。回答負担が小さく、現場での定着率が高い点が支持されています。
向いている企業:サーベイ運用にリソースを割けない中小企業や、まず手軽に始めたい企業
株式会社カオナビが提供する顔写真ベースのタレントマネジメントシステムです。人事評価、スキル管理、サーベイ、配置シミュレーションまで幅広く対応できる点が強みです。
向いている企業:人材データを一元管理し、戦略人事を進めたい中堅〜大企業
株式会社プラスアルファ・コンサルティングが提供する、テキストマイニングを搭載した人材データ活用システムです。アンケート回答のテキスト分析から従業員の本音を可視化できる点が他社との違い。人事評価や育成、採用管理まで一気通貫で運用できます。
向いている企業:複数のシステムを一本化し、データ活用を強化したい大企業
Unipos株式会社が提供するピアボーナス型のサービスで、感謝のメッセージとともに少額のポイントを贈り合える仕組みが特徴です。投稿が全社のタイムラインに流れるため、部署を越えた称賛文化を作りやすいといえます。
向いている企業:理念浸透や行動指針の浸透を狙いたい企業、部署を越えたコミュニケーション活性化を進めたい企業
株式会社Take Actionが提供するエンゲージメント向上ツールで、サンクスカード機能に加えて、組織サーベイや理念浸透のための機能も搭載されています。1つのツールで称賛文化の醸成とサーベイ運用の両方を行ないたい企業に向いています。
向いている企業:理念・ビジョンの浸透と感謝の可視化を同時に進めたい企業
株式会社OKANが提供する組織改善ツールで、従業員のコンディションと組織の健康状態をスコア化して可視化します。離職要因を多角的に分析でき、改善アクションまで支援を受けられる点が特徴です。
向いている企業:データに基づいて働きやすさを改善したい企業、健康経営に注力したい企業

10製品を見たうえで、改めて比較検討時にチェックしたい5つのポイントを整理します。
最も重要なのは、自社の離職要因とツールが提供する解決策が一致しているかどうかです。たとえば人間関係やコミュニケーション不足が要因の組織にサーベイ型を入れても、課題の可視化はできても直接的な打ち手にはなりにくいでしょう。退職者面談やエンゲージメント調査などから自社の真の離職要因を分析したうえで、タイプを絞り込むのが王道です。
離職防止ツールの料金は、ユーザー数に応じた月額課金制が一般的で、中小企業向けプランが用意されている製品もあります。初期費用やオプション費用が別途かかるケースもあるため、年間総額で比較するのがおすすめです。採用1名のコストや、年に何名の離職を防げれば投資が回収できるかという観点で試算するのが現実的でしょう。
ツールは導入後の運用が成果を左右します。導入時の研修、運用コンサルティング、定期的な活用支援といったサポート体制が整っているかは要チェックです。とくに人事リソースが限られる中小企業ほど、サポートの厚さが成否を分けます。
すでに人事システムや勤怠管理システムを導入している場合、データ連携ができるかどうかも重要なポイントです。CSVでのインポート・エクスポートだけでなく、APIによる連携可否も確認しておきましょう。
どれだけ高機能でも、現場の従業員が使いこなせなければ意味がありません。スマートフォンアプリの有無、UIのわかりやすさ、設定の手間など、実際に使う人の目線で評価することが大切です。無料デモやトライアル期間を活用し、現場メンバーにも触ってもらいましょう。

人間関係や承認不足が離職要因となっている組織には、メンバー同士の感謝や称賛をつうじてコミュニケーションを活性化するチームワークアプリ「RECOG」がおすすめです。RECOGは、レター機能で日々の「ありがとう」や「すごい!」を気軽に贈り合える仕組みを備えており、心理的安全性の向上と従業員エンゲージメントの底上げを同時に実現します。
レターのやり取りから組織の状態を可視化する分析機能も搭載されており、1on1や組織改善の打ち手づくりにも活用が可能です。導入企業は2,000組織以上にのぼり、シンプルなUIと手厚いサポート体制によって、ITツールに不慣れな現場でもスムーズに浸透させられます。「給与以外の要因で離職が続いている」「リモートワークで称賛の機会が減った」とお悩みの企業は、ぜひ一度サービス資料をご覧ください。詳しい機能や活用シーン、料金は無料の資料請求からご確認いただけます。
最後に、導入の成否を分ける2つの注意点を押さえておきましょう。 離職防止ツールは、あくまで課題の可視化と対応を支援する道具です。給与・待遇への不満、長時間労働、評価制度への不信など、根本的な人事課題が放置されたままでは、データを取っても離職は止まりません。ツール導入とあわせて、評価制度の見直し、1on1の運用ルール整備、マネージャー育成といった人事施策とセットで進めるのが効果的でしょう。 ツールを契約しただけで満足してしまい、現場で活用されないまま形骸化するケースは少なくありません。導入時には、運用担当者を明確に決め、利用ルールや活用シーンを設計しておくことが欠かせません。経営層やマネージャー層が率先して使う、定期的に利用状況を振り返る、効果をデータで共有するといった地道な取り組みが、最終的な定着率向上につながります。 離職防止ツールは、サーベイ型・タレントマネジメント型・コミュニケーション型・福利厚生型の4タイプに大別されます。本記事で紹介した10製品のなかにも、得意領域や向いている企業規模がそれぞれ異なるため、自社の離職要因とすり合わせて選ぶのが成功の第一歩です。 料金や機能だけでなく、サポート体制や運用のしやすさ、従業員視点での使いやすさまで含めて多角的に比較しましょう。そして、ツールはあくまで仕組みである点も忘れてはいけません。導入後の運用設計や、人事施策とのセットでの取り組みが、定着率向上の決め手となります。 人間関係や承認不足が課題と感じている企業は、称賛文化を醸成する「RECOG」の活用もぜひ検討してみてください。 \\編集部おすすめ記事// 離職防止ツールを導入する際の注意点

ツール導入だけで離職は止まらない
運用と定着の設計が成果を分ける
まとめ