しかし、離職の原因は一つではなく、人間関係や労働条件、キャリアへの不安など多岐にわたるため、どこから手をつければよいのか悩む担当者も多いでしょう。
本記事では、従業員が離職を考える主な原因を整理したうえで、企業が取り組むべき具体的な施策を10個厳選して解説します。施策を成功に導くポイントや、コミュニケーション活性化に役立つツールについても紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
離職防止とは、従業員が自社を辞めることを未然に防ぐための取り組み全般を指します。「リテンション」や「リテンションマネジメント」とも呼ばれ、近年は多くの企業が経営課題の一つとして位置づけるようになりました。ここでは、離職防止の基本的な考え方と、取り組みを怠った場合のリスクについて確認しましょう。
離職防止の本質は、従業員が「この会社で働き続けたい」と感じる環境を整えることにあります。単に退職を引き留めるのではなく、職場環境の改善やキャリア支援、コミュニケーションの活性化など、多角的なアプローチが求められるでしょう。
重要なのは、すべての従業員に同じ施策を一律に適用するのではなく、離職の原因やニーズに合わせた柔軟な対応を行う点です。人間関係に悩む従業員とキャリアの停滞を感じている従業員では、必要な支援の内容が大きく異なります。
離職防止への対応が遅れると、企業はさまざまなリスクに直面します。
まず、採用・育成コストの損失が挙げられます。一般的に、従業員一人の採用から戦力化までにかかるコストは数十万円から数百万円に上るといわれており、離職によってこの投資が回収できなくなるのは大きな痛手です。
次に、業務負担の偏りです。離職者の担当業務を残った従業員がカバーしなければならず、長時間労働やモチベーションの低下につながりかねません。こうした状況が続くと、さらに離職者が増える「連鎖離職」のリスクも高まるでしょう。
さらに、ノウハウ・ナレッジの流出も無視できない問題です。経験豊富な従業員が持つスキルや顧客との関係性は、簡単に引き継げるものではありません。組織の競争力に直接影響を及ぼす可能性があります。
効果的な離職防止策を講じるためには、まず従業員がなぜ離職を考えるのかを正しく理解する必要があります。離職理由は人によって異なりますが、多くの場合、以下の5つに分類されます。
上司との関係性や同僚とのコミュニケーション不足は、離職を考える大きなきっかけになります。「相談できる相手がいない」「意見を言いにくい雰囲気がある」といった状況が続くと、従業員は精神的に孤立し、退職を選択肢に入れ始めるでしょう。
特に、心理的安全性が低い職場では、問題が表面化しないまま不満が蓄積しやすいため注意が必要です。
長時間労働が常態化していたり、休暇を取得しにくかったりする環境は、従業員の心身に大きな負担をかけます。近年はワークライフバランスを重視する傾向が強まっており、柔軟な働き方に対応できない企業からは人材が流出しやすくなっています。
「成果を出しても正当に評価されない」「評価基準が不透明で納得感がない」といった不満は、モチベーションの低下に直結します。同じ成果を上げている従業員同士で評価に大きな差があるケースでは、不公平感から離職に至ることも少なくありません。
「このまま働き続けてもスキルアップにつながらない」「将来のキャリアパスが見えない」という不安は、特に若手従業員に多く見られる離職理由です。成長意欲の高い人材ほど、自身のキャリア形成に対する意識が強い傾向にあるでしょう。
入社前のイメージと実際の業務内容にギャップを感じる「リアリティショック」も、離職の原因の一つです。特に入社後間もない時期に発生しやすく、適切なフォローがなければ早期離職につながってしまいます。
離職防止において重要なのは、従業員が退職を決意する前に兆候をキャッチし、適切な対応を取ることです。兆候を見逃さない体制を整えておけば、早い段階でフォローが可能になります。
離職を検討している従業員には、日常の行動にいくつかの変化が現れることがあります。
たとえば、これまで積極的だった会議での発言が減った、業務への関心が薄れて些細なミスが増えた、報連相の頻度が目に見えて低下した、といった変化には注意が必要です。また、急に有給休暇の取得が増えたり、身だしなみに変化が見られたりする場合も、転職活動を始めているサインかもしれません。
ただし、こうした変化にはプライベートの事情が影響している場合もあるため、決めつけずに丁寧にコミュニケーションを取ることが大切です。
個人の観察力だけに頼るのではなく、組織的な仕組みを構築しておくことが効果的です。
定期的な従業員サーベイやストレスチェックの実施は、従業員のコンディションを可視化する有効な手段となります。また、1on1ミーティングを通じて上司と部下が継続的に対話する機会を設けておけば、小さな不満が大きな問題に発展する前に対処できるでしょう。
近年では、AIを活用して従業員のエンゲージメントを分析し、離職リスクの高い人材を特定するツールも登場しており、テクノロジーの活用も選択肢の一つといえます。
ここからは、離職防止に有効な具体的施策を10個紹介します。自社の課題や状況に合わせて、取り入れやすいものから実践してみてください。
離職防止の第一歩は、自社の課題を正確に把握することです。従業員アンケートやエンゲージメントサーベイを実施すれば、「従業員がどこに不満を感じているのか」「どの部署に課題があるのか」を客観的なデータとして可視化できます。
実施のポイントとして、匿名性を担保して本音を引き出しやすくすること、繁忙期を避けて回答率を高めること、そして結果を必ずフィードバックして改善につなげることが挙げられます。調査しただけで終わらせてしまうと、かえって不信感を招きかねないため注意しましょう。
上司と部下が定期的に1対1で対話する1on1ミーティングは、離職防止に非常に効果の高い施策です。評価面談とは異なり、部下の悩みや考えを引き出すことを主な目的としている点が特徴でしょう。
効果的に運用するためには、上司が「聴く姿勢」を持つことが欠かせません。一方的に指示やアドバイスを行うのではなく、部下が安心して話せる場をつくることが重要です。週1回〜月1回程度の頻度で継続的に実施し、信頼関係を積み重ねていきましょう。
従業員が納得感を持てる評価制度は、離職防止の土台ともいえる存在です。評価基準を明確に言語化し、なぜその評価になったのかを丁寧に説明するプロセスを設けることで、不公平感を軽減できます。
また、成果だけでなくプロセスや行動も評価対象に含めることで、多様な強みを持つ従業員が正当に認められる環境を整えられるでしょう。評価制度の変更は従業員への影響が大きいため、見直しの際は現場の声をしっかりとヒアリングすることをおすすめします。
従業員が「この会社で成長できる」と感じられる環境をつくることは、離職防止に大きく貢献します。
キャリア面談を定期的に実施して一人ひとりの志向を把握したうえで、研修プログラムやスキルアップの機会を提供することが効果的です。社内公募制度やジョブローテーションの導入によって、新たな挑戦の場を用意するのもよいでしょう。
特に成長意欲の高い若手従業員にとっては、明確なキャリアパスが描けるかどうかが、働き続けるか否かの判断基準になりやすい傾向にあります。
テレワークやフレックスタイム制、短時間勤務制度など、多様な働き方の選択肢を用意することは、離職防止に直結する施策です。育児や介護との両立を支援するだけでなく、ワークライフバランスの向上によって従業員の満足度が高まります。
導入にあたっては、制度があるだけでなく実際に利用しやすい雰囲気づくりも不可欠です。管理職自らが制度を活用するなど、組織全体で柔軟な働き方を推進する姿勢を示すことが求められるでしょう。
良好な人間関係は、従業員が職場に居心地の良さを感じるための基盤です。部署やチームの枠を超えた交流の機会を設けることで、組織全体のつながりが強化されます。
具体的には、社内イベントの開催、フリーアドレスの導入、社内SNSやチャットツールの活用などが挙げられます。重要なのは、形式的な取り組みに終わらせず、従業員が自発的にコミュニケーションを取りたくなる仕掛けを工夫することです。
直属の上司以外に相談できる先輩従業員を配置するメンター制度は、特に新入従業員や若手の離職防止に高い効果を発揮します。業務上の悩みだけでなく、キャリアやプライベートに関する相談もできる存在がいるだけで、心理的な安心感は大きく変わるでしょう。
制度を形骸化させないためには、メンター側への研修も重要です。世代間のコミュニケーションギャップを埋めるための具体的なノウハウを共有し、若手が求めるサポートの形を理解してもらうことが成功の鍵となります。
パワハラやセクハラなどのハラスメントは、離職の直接的な原因となるだけでなく、組織全体の士気を低下させます。相談窓口の設置と周知、管理職向けの研修実施、ハラスメント発生時の迅速な対応体制の構築など、予防から事後対応まで一貫した取り組みが必要です。
従業員が安心して声を上げられる環境を整えることは、離職防止のみならず、健全な組織文化を醸成するうえでも欠かせない取り組みといえるでしょう。
従業員同士が日常的に感謝や称賛を伝え合う文化は、職場の心理的安全性を高めるうえで非常に効果的です。人は自分の頑張りを認めてもらえたとき、組織への帰属意識やモチベーションが向上する傾向にあります。
サンクスカードやピアボーナス(従業員同士がポイントや報酬を贈り合う仕組み)を導入する企業も増えています。面と向かって伝えにくい感謝の気持ちを手軽に届けられるため、コミュニケーションの質と量の両方が向上するでしょう。
こうした取り組みを組織に定着させるには、ツールを活用して仕組み化するのが効果的です。
すでに退職を決めた従業員へのヒアリングも、今後の離職防止に役立つ重要な施策です。在職中には言いにくかった本音を聞き出せるため、自社の課題を再確認する貴重な機会になります。
実施のタイミングとしては、退職手続きがすべて完了した後が望ましいでしょう。利害関係がなくなった状態であれば、率直な意見を得られる可能性が高まります。ヒアリングの結果は蓄積・分析し、施策の改善に活かすことが大切です。
施策を導入するだけでは、期待通りの効果は得られません。離職防止の取り組みを成果に結びつけるために、意識したい3つのポイントを解説します。
離職防止で最も重要なのは、「一般的な離職理由」ではなく「自社の従業員が辞める理由」を正確に理解することです。業種・職種・従業員の年齢構成などによって、離職の原因は大きく異なるため、他社の事例をそのまま当てはめても効果が出にくい場合があります。
アンケートやサーベイ、退職者ヒアリングなどを通じて自社固有の課題を特定し、そこに集中的にアプローチするのが効果的です。
離職の原因が多岐にわたる場合、すべてを同時に解決しようとするのは現実的ではありません。まずは影響度の大きい課題から優先的に着手しましょう。
たとえば、長時間労働が深刻であれば労働環境の改善が最優先になり、人間関係の問題が顕著であればコミュニケーション施策から始めるのが合理的です。コストや工数の面でも、小さく始めて効果を検証しながら段階的に拡大していくアプローチが現実的でしょう。
離職防止は、一度施策を実施して終わりではありません。定期的に効果を測定し、必要に応じて施策を見直す改善サイクル(PDCA)を回し続けることが不可欠です。
従業員の価値観や労働市場の状況は常に変化しているため、施策もそれに合わせてアップデートしていく必要があります。経営層が継続的なコミットメントを示し、組織全体で取り組む姿勢を維持することが、長期的な成果につながるでしょう。
離職防止施策のなかでも、社内コミュニケーションの活性化や称賛文化の醸成は効果が高いとされる一方、仕組みがなければ継続しにくい取り組みでもあります。こうした課題を解決するツールとして注目されているのが、チームワークアプリ「RECOG」です。RECOG(レコグ)は、従業員同士が「感謝」や「称賛」を送り合うことで、社内コミュニケーションを活性化するチームワークアプリです。
RECOGの最大の特長は、感謝・称賛を通じて組織の心理的安全性を高められる点にあります。従業員同士が日常的に認め合う文化が根づくと、信頼関係が構築され、コミュニケーションが自然と活性化していきます。
心理的安全性が向上した組織では、従業員が安心して意見を発信でき、小さな不満が蓄積しにくくなるため、離職防止に大きな効果が期待できるでしょう。また、RECOGに蓄積されたデータを独自のAIが分析し、組織の状態を可視化する機能も備えているため、離職リスクの早期発見にも役立ちます。
RECOGには、離職防止につながるさまざまな機能が搭載されています。
RECOGの詳細は以下の資料で紹介しているので、ぜひダウンロードしてみてください。
離職防止は、企業の持続的な成長に不可欠な取り組みです。離職を防ぐためには、まず自社の従業員がなぜ辞めるのかを正確に把握することが出発点になります。人間関係、労働条件、評価制度、キャリアの不安、業務内容のミスマッチなど、原因は多岐にわたるため、アンケートやサーベイで課題を特定するところから始めてみてください。
そのうえで、1on1ミーティングや評価制度の見直し、柔軟な働き方の導入、称賛文化の醸成など、自社の課題に合った施策を優先順位をつけて実行することが重要です。施策は一度きりで終わらせず、継続的にPDCAを回しながら改善していく姿勢が成果につながるでしょう。
特に、社内コミュニケーションの活性化や心理的安全性の向上は、多くの離職原因に横断的に効くアプローチです。チームワークアプリ「RECOG」のようなツールを活用して仕組み化すれば、より効率的かつ持続的に取り組みを推進できます。