そんな悩みを抱える上司の方は少なくないでしょう。
実は、部下のモチベーションを高めるために必要なのは「褒める」ことだけではありません。コーチングや心理学の分野では、「認める(承認する)」ことが、部下の自己肯定感を高め、信頼関係を築くうえで重要だとされています。
この記事では、部下を認める言葉の具体的な例文を、承認タイプ別・シーン別に紹介しています。効果的な伝え方のコツやNG例も解説しているので、ぜひ日々のマネジメントに役立ててください。

部下育成において「褒める」ことは大切ですが、「認める」こととは少し意味が異なります。
「褒める」は、相手の成果や能力に対して評価を与える行為を指します。一方、「認める(承認する)」は、相手の存在や行動、変化をありのまま受け止め、それを言葉にして伝える行為です。評価や比較を含まず、事実をそのまま認めることがポイントとなるでしょう。
現代のビジネス環境では、承認欲求への理解と対応がマネジメントの重要なテーマになっています。
人は誰しも「認められたい」「自分の存在や努力を見てほしい」という欲求を持っているものです。この承認欲求が満たされると、仕事へのモチベーションが高まり、自発的な行動が増えていくでしょう。逆に、承認が不足すると、やる気の低下や離職につながることもあります。
特に近年は、心理的安全性の重要性が注目されています。上司が部下を日常的に認めれば、「自分はここにいていいんだ」という安心感が生まれ、チーム全体のパフォーマンス向上にもつながるはずです。
部下を認めると、以下のような変化が期待できるでしょう。
このように、上司と部下の関係性や、部下自身の変化などに効果が期待できるため、認めること・承認することはマネジメントにおいて重要です。

部下を認める方法は、大きく4つのタイプに分けられます。この4つを意識すれば、成果が出ていないときでも部下を認めるポイントが見つかりやすくなるでしょう。
存在承認とは、相手の存在そのものを認めることです。成果や行動に関係なく、「あなたがここにいてくれることが嬉しい」というメッセージを伝えます。
特に、まだ成果を出せていない新人や、仕事で行き詰まっている部下にとって、存在承認は大きな安心感を与えるでしょう。
<存在承認のフレーズ例>
行動承認とは、具体的な行動や努力に注目して認めることです。結果が出る前の段階でも、望ましい行動を見つけて言葉にすれば、その行動を継続・強化できるでしょう。
<行動承認のフレーズ例>
成長承認とは、過去と現在を比較して、その人の成長や変化を認めることです。本人が気づいていない成長を指摘してあげると、自信につながるでしょう。
<成長承認のフレーズ例>
成果承認とは、仕事の結果や達成した成果を認めることです。最もイメージしやすい承認であり、達成感を強化する効果があるでしょう。
ただし、成果承認だけに偏ると、結果を出せていない部下を認める機会が減ってしまいます。他の3つの承認と組み合わせて使うことが大切です。
<成果承認のフレーズ例>

ここからは、職場でよくあるシーン別に、部下を認める言葉の例文を紹介していきます。
日常のちょっとした声かけも、立派な存在承認になるものです。名前を呼んで挨拶するだけでも、「自分を認識してくれている」というメッセージが伝わるでしょう。
仕事を依頼する際に、なぜその人に頼むのかを伝えれば信頼や期待を示せるでしょう。
報告や相談を受けた際は、まず話してくれたこと自体を認めることが大切です。すぐにアドバイスや指摘をするのではなく、まず受け止めてください。
結果がうまくいかなかったときこそ、プロセス(過程)を認めることが重要です。努力や工夫を認めれば、部下は「見てもらえている」と感じ、次への意欲につながるでしょう。
成果が出たときは、結果だけでなく、そこに至るまでの過程や行動も一緒に認めると、より効果的でしょう。
1on1や面談は、じっくりと部下を認める絶好の機会となります。日頃の観察をもとに、具体的な言葉で伝えてください。

認める言葉は、伝え方によって効果が大きく変わります。ここでは、部下の心に響く伝え方のコツを3つ紹介します。
Iメッセージとは、「私」を主語にして気持ちを伝える方法です。「君はすごいね」(YOUメッセージ)よりも、「私は〇〇だと思ったよ」(Iメッセージ)の方が、相手は素直に受け取りやすくなるでしょう。
| YOUメッセージ | Iメッセージ |
| 君は仕事が速いね | 君が早く仕上げてくれて、私はとても助かったよ |
| 君は優秀だね | 君の提案を聞いて、私はすごいと思ったよ |
| 君は頼りになるね | 君がいてくれて、私は安心できるよ |
Iメッセージにすれば、評価ではなく「自分がどう感じたか」を伝えられるため、部下は抵抗なく受け止めやすくなります。
SBIモデルとは「Situation(状況)」→「Behavior(行動)」→「Impact(影響)」の順で伝えるフレームワークです。具体的に伝えれば、部下は「何を認められたのか」を明確に理解でき、行動の再現性が高まるでしょう。
<SBIモデルの例>
「よくやったね」とだけ伝えるよりも、具体的な状況・行動・影響を伝えれば、部下は自分の強みや良かった点を客観的に理解できるはずです。
認める言葉は、タイミングが重要です。良い行動や成果を見つけたら、できるだけその場で・すぐに伝えてください。時間が経ってから「そういえばあの時…」と伝えても、部下の記憶が薄れていたり、インパクトが弱くなったりしてしまいます。
日常のちょっとした場面でも、気づいたらすぐに声をかける習慣をつけることが大切でしょう。「後で言おう」と思うと、そのまま忘れてしまうことも多いものです。

部下を認めようとしても、伝え方を間違えると逆効果になることがあります。以下のようなNG例に注意してください。
「〇〇さんより上手いね」「同期の中で一番だね」など、他人と比較する褒め方は避けてください。比較された側の部下が傷つくだけでなく、褒められた本人も「比較でしか評価されない」と感じてしまうでしょう。
比較するなら、その部下の過去の姿と比較するのがおすすめです。「前より良くなったね」という伝え方なら、本人の成長を純粋に認められます。
「すごいね」「さすがだね」だけでは、何を認められたのかが伝わりません。具体性のない褒め言葉は、「適当に言っているだけ」と受け取られてしまう可能性もあるでしょう。何がどう良かったのか、具体的に伝えることを心がけてください。
「失敗しなくてよかったね」「納期に遅れなくてよかったね」など、否定語を使った褒め方は避けるべきです。
脳は否定形の言葉を理解しにくいと言われています。「失敗しなくて」と言われると、「失敗」という言葉が強く印象に残り、ネガティブなイメージを与えてしまうでしょう。
「納期に遅れなくてよかった」ではなく、「期限より早く仕上げてくれたね」とポジティブな表現に言い換えてください。
「褒める→注意する→褒める」というサンドイッチ法は、一度なら効果的ですが、何度も繰り返すと逆効果になります。部下は「また褒めたふりをして注意したいだけだ」と感じるようになり、褒め言葉の信頼性が下がってしまうでしょう。
認めるときはしっかり認める、指摘するときは指摘する、とメリハリをつけることが大切です。
無理に褒めようとしたり、見え透いたお世辞を言ったりするのは逆効果となります。「心にもないことを言っている」と部下に不信感を持たれてしまうでしょう。
また、大したことではないのに大げさに褒めると、相手のプライドを傷つけることもあります。特にベテラン社員に対しては、適切な水準で認めることが重要です。
本当に良いと思ったことを、素直に伝えることから始めてください。

部下を認めることは、上司一人の努力だけでは限界があります。チーム全体で認め合う文化を育てれば、職場の雰囲気がより良くなり、エンゲージメント向上にもつながるでしょう。
普段から「ありがとう」「助かったよ」「さすがだね」といった言葉を交わしている職場では、部下を認める言葉も自然に出てくるものです。特別なタイミングだけでなく、日常の小さな場面でも感謝や称賛を伝える習慣をつくってください。
認める文化は、上司から部下への一方通行ではなく、同僚同士や部下から上司への承認も含めて、双方向・多方向で広げていくことが理想です。チームメンバー同士が互いの良いところを認め合えば、心理的安全性が高まり、より強い組織になるでしょう。
感謝や称賛を伝える方法は、対面での会話だけではありません。サンクスカードや称賛ツールを活用すれば、日常的に感謝を可視化できます。普段は言葉にしにくい「ありがとう」も、ツールを使えば気軽に伝えられるようになるでしょう。認め合う機会が増えれば、職場全体に承認の文化が根づいていきます。

「日頃から認め合う文化をつくりたい」「部下のモチベーションを高めたい」とお考えなら、称賛・承認ツール「RECOG」がおすすめです。
RECOGは、従業員同士が日常的に感謝や称賛を贈り合えるチームワークアプリです。「レター」と呼ばれるメッセージ機能によって、仕事の成果だけでなく、日々の小さな貢献や気遣いにも「ありがとう」を伝えられます。
RECOGを活用すれば、日常的に感謝・称賛を可視化できるため、誰かのことを認める文化を自然に根づかせられるでしょう。また、チーム全体で認め合う文化を醸成できるため、エンゲージメントが向上し離職防止・人材定着にも効果的です。
上司から部下への承認は、単発で終わってしまいがちです。RECOGを活用すれば、日常的に認め合う仕組みをつくれるため、承認の文化をチーム全体に広げていけるでしょう。
RECOGの詳細はこちらの資料で紹介しているので、ぜひダウンロードしてみてください。
この記事では、部下を認める言葉の例文を、承認タイプ別・シーン別に紹介しました。部下を認めると、信頼関係が築かれ、モチベーションが高まり、チーム全体のパフォーマンスも向上するでしょう。
日常の小さな場面から、部下を認める言葉を意識的に伝えてみてください。その積み重ねが、認め合う職場文化を育てていきます。
認め合う文化の醸成には、RECOGのようなサンクスカード機能を搭載したコミュニケーションツールの導入が効果的です。手軽に感謝・称賛を贈り合うことから始め、チーム全体に認め合う文化をつくっていきましょう。
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