工場では「コミュニケーションが取りにくい」「人材が集まらず常に人手不足だ」などの課題が生じます。そうした組織課題の解決策として「サンクスカード制度」があります。
本記事では、製造現場の組織課題と解決策、サンクスカードを導入するメリット、企業事例を紹介します。
工場では、製造現場ならではの課題に悩んでいる組織が少なくありません。具体的にどのような組織課題があるのか見ていきましょう。
担当者ごとに仕事が割り振られている現場では、自身の仕事が手一杯で他のメンバーと話す時間すら取れないというケースが見受けられます。また、意識的に会話をしようとしても、シフトや休憩時間が合わないとそもそも顔を合わせる機会もなくなるでしょう。
一緒に働くメンバーとコミュニケーションを取れない状況が続くと疎外感・孤独感を抱き、組織への帰属意識も低下して離職リスクが高まるかもしれません。
ラインや工程、部署などで縦割りになっていて、同じ工場内で働いていても顔を合わせたことのない従業員同士もいるでしょう。規模が大きな工場ほど、どのような人がどの工程で働いているかも把握しきれないため、従業員同士の相互理解が進まずに縦割りの傾向が強くなってしまいます。
そうなると、他部門の業務内容について理解しようとしなかったり、トラブルが起きたときに責任のなすりつけ合いになったりするなど、ネガティブな社風になりかねません。
製造現場は職人気質の人が多く、昔ながらの「見て覚える」という文化が根付いている組織も珍しくありません。そのため、作業のコツや業務フローなどのノウハウが属人化しやすく、人によって仕事の質に差が生じます。
また、高齢化が進んでいる工場では、新人が入社しても技術の継承ができないまま年配者が退職していき、社内にノウハウが蓄積されないというケースも見られます。
慢性的な人手不足に陥っている日本において、製造現場も人材確保に課題を抱えていることは言うまでもありません。人手不足が加速すると、今いる従業員で現場を回さなければならなくなり、一人あたりの業務量が増えて負担が大きくなります。
その結果、「残業が多くなり身体的に休まらない」「プライベートの時間が取れない」「仕事のプレッシャーで精神的に疲弊する」など、従業員の心身の不調にもつながります。
工場では決まった作業を繰り返す仕事が多いため、やりがいを感じられずに離職するケースもあります。ルールに従って自分の作業をこなすことから、「全員でひとつのものを作り上げる」という意識がなくなっていき、徐々にエンゲージメントの低下を招くでしょう。
また、ルーティン作業が続くと緊張感や集中力が薄れていき、ミスや不正を引き起こす可能性も懸念されます。
工場では、現場と上層部の連携も課題になりやすいです。
上層部は現場の状況について理解できていないにも関わらず、業務効率化やコスト削減などを指示しがちです。しかし実際の現場では「自分の仕事で手一杯で業務効率化に取り組めない」「コストを削減できる部分がない」などの状況のため、上層部と現場での乖離が生じます。
上層部が現場の状況を理解できていないことから、現場がどれだけ声をあげても意見が通らないという事態になります。
工場などの製造業は、以前から「仕事がキツイ」「危険性がある」などのイメージが定着しており、人材が集まりにくいのも課題のひとつです。職場環境の改善に取り組んでいても、それを社外に発信していないとネガティブなイメージをくつがえすのは難しく、人材が集まらずに人手不足に陥ってしまいます。
工場では先述のような課題が起こりやすいため、適切に対策を講じる必要があります。課題解決策として、以下の5つを紹介します。
業務効率化を図るには、製造工程のムダ・ムリ・ムラを削減しましょう。
業務内容やフローを洗い出してみると、二重チェックや過在庫、能力・人手に見合わない業務量、不適切な人材配置などのムダ・ムリ・ムラが発生している場合があります。これらの改称により製造工程がシンプルで効率的になり、少ない人手でも生産性を高められます。
製造現場では、以下の5つの単語から構成される「5S」を意識しなければなりません。
作業環境のきれいな状態を保ち続けることで、作業効率の向上や事故リスクの防止などの効果が見込めます。また、5Sに取り組むことで従業員の清潔や安全の意識が統率され、チームワークが強い組織になるでしょう。
効率化して業務負荷を軽減するには、デジタル技術をうまく取り入れることも重要です。作業のロボット化は業務工程自体を自動化できるため人員が不要になりますが、膨大なコストがかかるというデメリットもあります。そのため、まずは手軽にできるデジタル化から取り入れてみましょう。
このようなデジタル技術の活用により、今まで人の手で行なっていた業務が自動化・効率化できます。さらに、デジタル化に対応していることで製造現場にありがちなネガティブイメージの払拭にもつながるでしょう。
業務ノウハウは会社の資産です。工場ではノウハウが属人化しやすく技術の継承ができないままベテランが退職することも多いですが、教育体制を整えてしっかりと新人を育成しましょう。
マニュアルの整備やOJTの実施のほか、ナレッジ共有ツールによる情報共有や、ベテランと新人によるメンター制度などを導入し、次世代の人材を育成する必要があります。
採用活動の工夫によって、応募者が増えて優秀な人材を獲得できる可能性が高まります。
たとえば、従来のようにハローワークや求人サイトを活用するだけでなく、他の方法を取り入れましょう。たとえば、従業員の友人・知人を紹介してもらうリファラル採用や、一度退職した従業員を再度雇用するアルムナイ採用などがあります。
また、製造業に抱かれているマイナスイメージを払拭するために、工場見学の実施もおすすめです。現代の製造現場を見てもらうことでネガティブなイメージをくつがえし、応募を促しましょう。直接現地を訪れるのが難しい人のために、オンラインでの見学も有用です。
業務効率化のための取組みや教育体制の整備などが効果的です。しかし、そもそも人材がいなければ業務が回らないため、「働き続けたい」と思える職場作りを行なう必要があります。従業員エンゲージメントを高める方法としておすすめなのが「サンクスカード制度」です。
サンクスカードは、従業員同士で「仕事を手伝ってくれてありがとう」「イレギュラーな問い合わせにも完璧に対応できていたね」などの感謝・称賛を伝え合う制度を指します。紙のサンクスカードでやり取りするのが一般的でしたが、最近ではメッセージやポイントなどを贈れるサンクスカードツールも増えており、デジタルに移行する向上が増加傾向にあります。
それでは、工場でサンクスカードを導入するメリットを見ていきましょう。
サンクスカードは日常の仕事での「ありがとう」や「すごいね」などをカード形式で贈れるため、社内コミュニケーションを促進する方法として非常に有効です。忙しくて話す時間がないときや、部門が違って顔を合わせる機会がない相手でも、サンクスカードを通じてコミュニケーションを図れます。
また、贈られたサンクスカードを見た他のメンバーも「この人はこんなことが得意なのか」「この人はあんな成果を出したのか」などその人の人柄や頑張りを知るきっかけになり、相互理解が促進されるでしょう。
サンクスカードはノウハウの共有にも活用できます。
たとえば、ベテランが新人にサンクスカードを贈る際、「今日は仕事を手伝ってくれてありがとう!今日の業務は~~することで効率化できるから、ぜひやってみてね」などと業務上のナレッジを付け加えると、新人の知識が増えてスキルアップにつながります。ほかにも、「今日○○さんがしていた~~という方法は、とてもいいアイデアですね!私も取り入れたいと思いました」などと、誰かの業務上の工夫やコツをサンクスカードで贈ることで、そのサンクスカードを見た周りの人たちにとっても学びとなるでしょう。
サンクスカードは現場と上層部をつなぐ、大事な架け橋になってくれる可能性も秘めています。
上層部は、製造現場における従業員同士のサンクスカードのやり取りを見ることで、現場の状況や課題をキャッチアップできます。また、誰がどのように活躍しているのか把握できるため、公平な評価も実現するでしょう。
サンクスカードで社内コミュニケーションを活性化し、称賛文化を根付かせられれば、職場環境が良好な工場としてのブランディングにもつながります。製造現場はもともと寡黙で職人気質の人が多いというイメージを持たれやすいですが、サンクスカードによる称賛文化が根付いているとチームワークが良好な職場だと印象付けてイメージ戦略ができるでしょう。
サンクスカードの導入にはチームワークアプリ「RECOG」がおすすめです。感謝・称賛のメッセージをパソコンやスマホから手軽に贈り合うことができ、チームワークの醸成が期待できるツールです。
他にも、情報共有やナレッジ共有ができる投稿フィード機能や、チャットのように利用できるトーク機能があり、コミュニケーションを促進します。また、組織と個人についての分析機能も搭載されているため、組織改善やフィードバックなどに活用できるでしょう。
詳しい機能については以下の資料にて紹介しているので、ぜひダウンロードしてみてください。
最後に、工場でサンクスカードを運用している企業事例を見ていきましょう。
協和キリン株式会社の宇部工場では、生き生きと働ける環境を目指して部署の垣根を越えた連携強化を取り組んでいます。その取組みのひとつがサンクスカードです。
サンクスカードを始めるにあたり、工場内のトップ2名を「RECO隊長」、各部署1名ずつを「RECO推進担当」に任命。推進担当を中心に各部署でRECOGのログイン数やレター送信数などに関する目標を設定し、まずはRECOGの利用を習慣づけるところから始めたそうです。
そうした地道な取組みが実を結び、導入1年目に実施したアンケートでは3項目において約70~80%が効果を実感していると回答。さらに従業員の行動や活躍、人と人との関係性も把握できるようになり、マネジメントにも役立っているといいます。
富士フイルムワコーケミカル株式会社の広野工場では、RECOGを導入して「褒める」文化の定着を目指しています。利用促進チームである「スマイルクラブ」が先頭に立ち、各部署に声かけをして利用を促進。サンクスカードだけでなく、投稿機能で「自己紹介リレー」も行なうようになり、相互理解が進んでいるそうです。
ストレスチェックの結果も改善され、定量的な成果も見ているといいます。社内の雰囲気や風通しもよくなっていると肌で感じており、従業員エンゲージメントの向上につながっています。
まとめ
工場では、「コミュニケーションが取りにくい」「技術の継承ができない」「人材が集まらない」など、さまざまな組織課題が発生します。従業員のモチベーションにもマイナスな影響を与えるため、課題解決のための取組みが求められます。
サンクスカード制度はチーム内に感謝・称賛の文化を醸成し、モチベーションやチームワークの向上が期待できます。チームワークアプリ「RECOG」を活用し、工場の組織課題を解決していきましょう。
\\編集部おすすめ記事//