部下のモチベーションを上げる方法がわからず、どうしたものかとお悩みの上司の方は少なくないでしょう。
モチベーションは環境や気分などさまざまな要因によって左右されますが、なかでも身近な上司の影響は非常に強いもの。あなたの行動次第で、部下のやる気を引き出すことは十分可能なのです。
本記事では、仕事のモチベーションが下がる要因を取り上げつつ、部下のモチベーションを高める方法や注意点を解説します。部下のモチベーション管理にお悩みの方は、ぜひお役立てください。
モチベーションとは?外発的動機付け・内発的動機付けについて
モチベーションには、外発的動機付けと内発的動機付けの2種類があります。
部下のモチベーションを管理するうえで、これら2つのパターンの違いは必ずおさえておきたいポイントです。では、外発的動機付けと内発的動機付けにはどのような違いがあるのでしょうか?
外発的動機付け
外発的動機付けとは、賞与や資格取得、減給や罰則といった、外部からもたらされるものを目的とした動機付けです。
昇格やボーナスアップといった外発的動機付けは誰にとってもわかりやすく、即効性があるというメリットがあります。しかし、外発的動機付けの効果は一時的であり、長期的なモチベーションには必ずしも結びつかないとされています。
内発的動機付け
内発的動機付けとは、好奇心や興味関心、やりがいや楽しさなど、自分自身の内なる欲求による動機付けです。
部下のモチベーションを維持・向上させるポイントは、この内発的動機付けにあります。
内発的動機付けは自身の行動によって欲求が満たされるので、報酬の有無に関わらず、モチベーションが長期的に持続します。また、本人が自発的に考え、学び、行動するため、周囲の想像以上の成長やアウトプットが期待できる点もメリットです。
部下のモチベーションを維持するためには、最初のきっかけは外発的動機付けであっても、最終的には内発的動機付けに移行するのが理想的といえるでしょう。
部下のモチベーションが下がる理由
モチベーションが下がる理由は人それぞれ異なりますが、一般的には以下の7つが考えられます。
1.待遇に不満がある
2.職場の人間関係が悪い
3.事業や業務内容に興味・関心がない
4.人事評価に納得がいかない
5.与えられる業務量が多すぎる
6.組織のビジョンが不明確
7.キャリアに対する不安がある
1.待遇に不満がある
「会社から不当な扱いを受けている」と感じると、誰しも働く意欲が低下してしまうものです。
給与や福利厚生など、待遇に関する不満は、そのまま上司や会社への不満につながります。また、過度な長時間労働やサービス残業、有給休暇を取得できない環境なども、部下が不満を溜め込む原因になります。
2.職場の人間関係が悪い
職場の人間関係は、働くモチベーションを大きく左右します。どれだけ待遇面がよくても、横暴な上司や同僚がいると会社に行くことが億劫になってしまうものです。
また、人間関係を自分一人で改善することは容易ではなく、八方塞がりの状態になってしまうこともあります。実際に、人間関係の悪化を理由に、転職や休職を選ぶ人は少なくありません。
3.事業や業務内容に興味・関心がない
ビジネスにおける内発的動機付けは、自分の仕事に対するやりがいによって刺激されることが多いでしょう。反対に、会社の事業内容や、業務そのものに興味・関心が持てない状態では、モチベーションを高めることは困難です。
部下のモチベーションを維持するには、会社の事業や日々の業務に対して意義を感じてもらうように働きかけることも重要です。
4.人事評価に納得がいかない
いくら頑張っても評価につながらない環境では、モチベーションが低下してしまいます。
また、評価基準が明確でなかったり、フィードバックが十分でない場合も不満を溜め込む原因になるでしょう。
評価制度そのものを変えることは容易ではありませんが、上司が適切なフィードバックやアドバイスを行なうことで、部下のモチベーションを取り戻せる可能性があります。
5.与えられる業務量が多すぎる
個人のキャパシティを上回る業務量を課せられると、不安やプレッシャーからだんだんと心身が疲弊してしまいます。
どれだけ頑張っても仕事が終わらず、連日残業ばかりという状態では、やがて仕事そのものを楽しめなくなってしまうでしょう。また、場合によっては心身の健康に悪影響を及ぼす可能性すらあります。
必要に応じて他のメンバーにタスクを割り振る、個人の能力や経験に応じた業務を与えるなど、業務量を適切にコントロールすることも上司の役割です。
6.組織のビジョンが不明確
組織のビジョンは、従業員が進む方向を示す道標です。会社としての方向性が不明確な状態では、従業員は進むべき方向や、取るべき行動がわからなくなってしまいます。
目標の具体化は、モチベーションを保つ上で非常に重要です。組織のビジョンの明確化は、対外的な側面だけでなく、従業員のモチベーションにもプラスの効果を期待できるでしょう。
7.キャリアに対する不安がある
キャリアプランは、日々の業務に対するモチベーションに直結します。「ここで働いていても、自分のキャリアプランは達成できない」と感じると、働く意欲は低下してしまうでしょう。
また、キャリアに対する漠然とした不安も、モチベーションを下げる原因になります。組織でのキャリアを重ねてきた先輩として、部下の不安を解消できるよう働きかけましょう。
部下のモチベーションを向上させる方法
部下のモチベーションを高めるためには、上司であるあなたからの働きかけが欠かせません。
以下の方法を参考に、部下のやる気のスイッチを押しましょう。
部下のキャリアデザインをサポートする
「働くこと=自己実現につながる」という実感を持てるようになれば、仕事のモチベーションは自然と向上します。
部下のキャリア支援を成功させるためには、ビジョンを共有することが大切です。仕事に対するやりがいや働く動機、プライベートとの両立など、一人ひとりの価値観に合わせたキャリアデザインをサポートしましょう。
成果を出したときはしっかり褒める
人は褒められることで自己効力感が高まり、仕事に対するモチベーションもアップします。
人事評価における評価基準には、定量的評価と定性的評価の2種類があります。
・定量的評価:目標達成率や顧客獲得数といった数値化できる要素の評価
・定性的評価:協調性や創意工夫といった数値化できない要素の評価
個人の頑張りを適切に評価するためには、定量分析と定性分析をバランスよく取り入れることが重要です。普段から両方の視点を持って部下を観察し、成果を上げた際にはしっかりと褒めてあげましょう。また、部下を褒める際は、以下のポイントを押さえると効果的です。
・自分の言葉で褒める
・具体的に褒める
・タイミングを逃さず褒める
・他のメンバーの前で褒める
・結果に至るまでのプロセスを褒める
定期的にフィードバックの機会をつくる
フィードバックには、ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックの2種類があります。
・ポジティブフィードバック:相手の長所や成果に対するフィードバック
・ネガティブフィードバック:相手の問題点や改善点を伝えるフィードバック
ポジティブフィードバックは相手の承認欲求を満たし、モチベーションにプラスの効果を期待できるとされています。
そして、行動や成果に対するポジティブなフィードバックは、部下の成長実感を促すことにもつながります。「できた」という成長実感が得られると、仕事に対する意識やモチベーションが大きく変わるものです。
また、ポジティブフィードバックを行なう際は、次に目指すべき段階的な目標を立てるとさらに効果的です。スモールステップの原理で、部下のレベルに合わせた小さな目標を設定することで、さらなる成長実感を促すことができます。
ここまでポジティブフィードバックのメリットばかり取り上げてきましたが、ネガティブフィードバックが不要というわけではありません。ポジティブとネガティブ、両方のフィードバックを織り交ぜながら、できること・できないことを可視化すれば、部下の成長を効果的に促すことができるでしょう。
部下の話を聞く場を設ける
部下のモチベーションアップを図るためには、相手をよく知ることが大切です。
そこで、こちらからフィードバックを与えるだけでなく、定期的に部下の話を聞く場を設けることをおすすめします。現状に対する不満や希望、将来的な目標など、一人ひとりの話に耳を傾け、個々に最適なモチベーション管理を実現しましょう。
また、内発的動機付けは外部から働きかけづらいものですが、部下とのコミュニケーションを密にすることで、個人の動機付けを把握しやすくなります。たとえば、ある部下は「お客様からの感謝がモチベーションにつながる」とわかれば、お客様からの評価を間接的に伝えたりと、より効果的なアプローチを取れるようになるでしょう。
さらに、「この人は自分の話を聞いてくれる」という安心感は、あなたへの信頼にもつながります。相手の話を遮らず、相手を否定せず、相手の気持ちに共感しながら耳を傾ける”傾聴”を心がけ、部下との信頼関係を築きましょう。
部下のモチベーションを管理する際の注意点
上司の言動は、良くも悪くも部下のモチベーションを大きく左右します。あなたの言動次第では、かえって部下のモチベーションが下がってしまう可能性もあるのです。
部下のモチベーションを管理する際は、以下のようなポイントを押さえましょう。
効果的なフィードバックを行なう
部下に対するフィードバックは、その場ですぐが鉄則です。タイミングが遅れるとお互いに細部の記憶が曖昧になり、有益な学びにつながりにくくなってしまいます。フィードバックは可能な限り時間を空けず、リアルタイムで行ないましょう。
また、フィードバックの際は、相手が受け取りやすいような表現を選ぶことが大切です。言葉選びを間違えると真意が伝わりづらかったり、相手に誤解を与えてしまう可能性があります。どのような行動が望ましいのか、行動をどう改善すべきなのか、理由や背景を含めてできるだけ具体的かつわかりやすい表現を心がけましょう。
一人ひとりに合う方法で、内発的動機付けを刺激する
内発的動機付けが高まる要因は、一人ひとり異なります。部下の性格に合わせず画一的な対応をしてしまうと、かえってモチベーションを下げる可能性があります。
普段から部下であるメンバー一人ひとりと真摯に向き合い、それぞれに合わせたアプローチを取りましょう。
部下の課題を共有し、並走してサポートする
現場に的確な指示を出すためには、一段上の視点を持つことが大切です。しかし、それと同時に、上司には現場の目線に立ち、部下が抱える課題を一緒に解決していく姿勢も求められます。
上司が並走してサポートしてくれるという安心感は、部下のモチベーションアップにつながります。ときには司令塔ではなく伴走者となり、課題解決やスキルアップへ向けたサポートを行ないましょう。
「RECOG」なら”褒める”コミュニケーションで組織の課題を解決!
部下のモチベーションを高めるためには、一人ひとりの個性に合わせた働きかけが大切です。
そこでおすすめしたいのが、弊社が提供するコミュニケーションツール「RECOG」です。
RECOGは、感謝や称賛を通した双方向のコミュニケーションを叶えるサービス。
人事評価が行われる頻度は、半年~1年に一度が一般的です。長期に渡る取り組みや、その成果を評価しやすい反面、リアルタイムでのフィードバックが難しいという側面があります。
一方、RECOGならアプリを通じて「レター」を贈ることで、部下の行動や成果を日常的に”褒める”ことができます。
また、協調性や創意工夫といった定性的評価を実現しやすい点もメリットです。
レターの内容は他のメンバーもチェックできるので、モチベーション維持に欠かせない承認欲求も効果的に満たされるでしょう。
まとめ
部下のモチベーションを高めることは、一人ひとりの生産性の向上、ひいては組織全体としての利益にもつながります。したがって、部下のモチベーションを管理・維持することは、上司の重要な役割の一つです。
ただし、画一的なアプローチは、かえって部下のモチベーションを下げる原因にもなります。
部下一人ひとりとコミュニケーションを取り、個人の特性に合わせたアプローチを試みましょう。
弊社では社内コミュニケーションの活性化を支援するため、ツールのご提供から運用まで一貫したサポートを行なっております。
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