近年、これらの課題に対する有効な打ち手として「レコグニション」が注目を集めています。レコグニションとは、従業員の功績や日々の頑張りを認め合い、称賛する仕組みのことです。金銭的な報酬にとどまらず、感謝の言葉や表彰を通じてモチベーションを高められるため、多くの企業が導入を進めています。
本記事では、レコグニションの基本的な意味から実際の成功事例6選、導入メリット、失敗しないためのポイントまで徹底的に解説します。自社に合ったレコグニション制度を設計するヒントとして、ぜひお役立てください。
レコグニション制度の導入を検討するにあたり、まずは基本的な意味と関連用語との違いを押さえておきましょう。なぜ今レコグニションが注目されているのか、その背景も合わせて紹介します。
レコグニション(Recognition)は、もともと「認識」「承認」「認定」を意味する英語です。ビジネスの文脈では、従業員の功績や仕事への貢献を認め合い、称賛する制度や取り組みを指します。
賞与や昇給といった金銭的な報酬だけでなく、表彰制度やサンクスカード、社内SNSでの称賛メッセージなど、非金銭的な手法も広く含まれるのが特徴です。従業員が「自分の働きが認められている」と実感できる環境をつくることが、レコグニションの本質だといえるでしょう。
レコグニションと混同されやすい用語に「リワード」と「ソーシャルレコグニション」があります。それぞれの違いを整理しておきましょう。
リワード(Reward) は「褒美」を意味し、必ず金銭的な報酬を伴う点がレコグニションとの最大の違いです。賞与や昇給がその典型例にあたります。リワードは即効性がある反面、効果が一時的にとどまりやすい傾向にあるとされています。
ソーシャルレコグニション は、レコグニションの一種です。企業から従業員への一方向ではなく、従業員同士が日常的に感謝や称賛を送り合う仕組みを指します。社内SNSやチャットツールを活用して行われるケースが多く、組織全体にポジティブなコミュニケーション文化を根付かせる効果が期待できるでしょう。
レコグニション自体は決して新しい概念ではなく、社内表彰制度などは以前から多くの企業で導入されてきました。それでも改めて注目が高まっている背景には、以下の3つの要因があります。
1.人材確保の難易度が上昇している
少子高齢化や働き方の多様化によって、優秀な人材の採用は年々困難になっています。既存の従業員に長く活躍してもらうための施策として、レコグニションへの関心が高まっているのです。
2.金銭的報酬だけではエンゲージメントを維持しにくい
特に若い世代を中心に、「給与や待遇だけでは働くモチベーションにつながらない」と考える人が増えています。自分の貢献が周囲に認められる実感こそが、長期的なエンゲージメントの鍵となるでしょう。
3.リモートワークの普及によるコミュニケーション課題
テレワークの浸透で、従業員同士が直接顔を合わせる機会は減少しました。物理的に離れた環境でも互いの貢献を可視化し、称賛し合える仕組みとして、レコグニションが再評価されています。
レコグニション制度を適切に運用すれば、組織にさまざまなプラスの効果をもたらせます。ここでは、代表的な4つのメリットを見ていきましょう。
レコグニションの最大のメリットは、従業員エンゲージメントの向上につながる点です。「自分の仕事が周囲に評価されている」「組織に必要とされている」という実感は、金銭的報酬とは異なる持続的な動機づけになります。
昇給やボーナスは一時的な満足感をもたらしますが、日々の称賛によって得られる承認欲求の充足は、長期にわたって従業員のモチベーションを支えるでしょう。
従業員が離職を考える大きな理由の一つに、「職場の人間関係」や「自分の貢献が正当に認められていない」という不満が挙げられます。レコグニションによって称賛し合う文化が根付けば、組織への帰属意識が高まり、結果として離職率の低下が見込めるはずです。
人材の流動性が高まる現代において、既存の優秀な従業員をつなぎとめる仕組みは企業にとって大きな競争優位になります。
レコグニションを通じて互いの貢献に関心を持つようになると、部署や役職を超えたコミュニケーションが自然と生まれやすくなります。特にソーシャルレコグニションの仕組みを導入した場合、普段は交流の少ない他部署の従業員の活躍にも目が向くでしょう。
こうした相互理解の深まりは、部門間連携の強化やチームワークの向上にも寄与します。
従来の人事評価では、営業成績のように数値で測れる成果が評価の中心でした。一方、バックオフィス業務や同僚へのサポート、後輩の育成といった成果が見えにくい貢献は、どうしても評価が難しくなりがちです。
レコグニション制度であれば、こうした定量化しにくい頑張りにも光を当てられます。職種を問わず公平に評価される環境は、組織全体のモチベーションを底上げする力を持っているでしょう。
レコグニションと一口にいっても、その手法は多岐にわたります。自社の課題や組織文化に合った方法を選ぶために、代表的な種類を整理しておきましょう。
最も古典的なレコグニションの形が、企業主催の表彰制度です。年間MVP、月間ベストプレイヤー、永年勤続表彰など、多くの企業で導入実績があります。
全従業員の前で称賛されるインパクトは大きく、「あの舞台に立ちたい」というモチベーションにつながりやすい手法です。ただし、頻度が年1〜2回に限られるため、日常的なレコグニションとの併用が望ましいでしょう。
サンクスカード(ありがとうカード)は、従業員同士が感謝のメッセージを贈り合う仕組みです。紙で運用するケースもありますが、近年はデジタルツールへ移行する企業が増えています。
ピアボーナスは、称賛のメッセージにポイント(少額の報酬)を添える制度で、レコグニションとリワードを組み合わせたハイブリッド型といえるでしょう。「感謝+ちょっとしたご褒美」の組み合わせは、従業員に好評な手法の一つです。
社内SNSやレコグニション専用アプリを活用すれば、リアルタイムで感謝や称賛を共有できます。リモートワーク環境下では、場所を問わず使えるデジタルツールが強みを発揮するはずです。
ツール上に蓄積された称賛データは、1on1やマネジメントの材料としても活用可能です。「誰が誰にどんな感謝を送っているか」が可視化されるため、組織の健康状態を把握する指標としても役立ちます。
ここからは、実際にレコグニション制度を導入して成果を上げている企業の事例を6つ紹介します。大企業から中小企業、導入初期から10年目の長期運用まで幅広く取り上げていますので、自社への応用イメージを膨らませてみてください。
ITサービスインテグレーターであるNECネクサソリューションズでは、NECグループ全体で掲げるエンゲージメントスコア向上の目標達成に向け、レコグニションツールを導入しました。
導入の背景には、1on1ミーティングや経営層からの発信だけではスコア改善が十分に進まなかったという課題があったといいます。ツール導入後は、従業員同士が日常的に称賛を送り合う文化が芽生え、わずか3ヶ月で心理的安全性やコミュニケーションの面に改善の兆しが見られました。
今後は行動指針の浸透も視野に入れ、エンゲージメントスコアのさらなる向上を目指しているとのことです。大企業がデータドリブンでレコグニションに取り組む好事例といえるでしょう。
デスクレスワーカーが多い建設業界では、本社と現場の間にコミュニケーションの壁が生じやすいという課題があります。ある中小建設企業では、この距離感を解消する手段としてレコグニションツールを導入しました。
現場の従業員がスマートフォンから気軽に称賛を送り合える環境を整えた結果、本社と現場の心理的な距離が縮まり、健康経営の推進にもつながったといいます。さらに、蓄積されたコミュニケーションデータを人的資本の情報開示に活かし、建設業界で初めてISO 30414の取得を実現しました。
中小企業でも、レコグニションを起点に健康経営や人的資本経営といった経営テーマとの好循環を生み出せることを示す事例です。
BPO事業を手がけるBODでは、レコグニションツール導入後にログイン率100%を達成。毎月数百通のサンクスカードが従業員間で飛び交う活発な運用を実現しています。
高い利用率を支えているのは、導入初期の設計の工夫です。管理者目線ではなく「従業員が実際に使いたくなるかどうか」を重視した導入プロセスにより、定着に成功しました。ツールの操作性やデザイン性も、自社の従業員にフィットするかどうかを丁寧に見極めたといいます。
導入検討中の企業にとって、「どうすればツールを形骸化させず全員に使ってもらえるか」を学べる実践的な事例です。
「感動」をテーマに多角的な事業を展開するある企業では、レコグニション制度の導入を通じて離職率の低下を体感しています。
多業態を運営するなかで、業態や拠点が異なる従業員同士のつながりをどう維持するかが長年の課題でした。レコグニションツールを活用して部門や拠点を超えた称賛のやり取りが生まれたことで、組織全体の一体感が醸成され、従業員の帰属意識が高まったとのことです。
「離職率の低下」という多くの企業が追い求める成果に、レコグニションがどう貢献するのかを具体的に示す事例でしょう。
縦割り組織の弊害に悩んでいたある企業では、レコグニションをバリュー(行動指針)浸透の手段として戦略的に位置づけました。
経営層が率先して称賛を送る「トップダウン」のアプローチと、従業員同士が自発的に認め合う「ボトムアップ」のアプローチを両立させた点がこの事例の特長です。称賛のメッセージに企業のバリューを紐づけることで、従業員は日常的に行動指針に触れるようになり、理念が「知っている」から「実践している」段階へ自然と移行していきました。
レコグニションを単なるコミュニケーション施策にとどめず、経営戦略と連動させた好事例です。
レコグニション制度を10年以上運用しているある企業では、長期利用に伴う形骸化という課題に直面しました。制度が「当たり前」になることで新鮮味が薄れ、利用率が徐々に低下していったのです。
しかし、ツールの活用方法を見直し、運用ルールの再設計や新たな仕掛けを加えることで、制度の再活性化に成功。10年という圧倒的な継続期間のなかで培われた称賛文化をベースに、改めて組織全体の活気を取り戻しました。
「導入して終わり」ではなく、長期的に制度を進化させ続けることの重要性を教えてくれる事例です。
レコグニション制度は導入すれば自動的に効果が出るものではありません。形骸化させず定着させるために、以下の5つのポイントを意識しましょう。
「なぜレコグニションを導入するのか」という目的と、「どのような行動や成果が称賛の対象になるのか」という基準を事前に定めることが不可欠です。基準が曖昧なままでは特定の従業員ばかりが評価される偏りが生じ、公平性が損なわれるリスクがあるでしょう。
企業理念やバリューに紐づけた評価基準を設計すれば、事例⑤のように理念浸透も同時に実現可能です。
レコグニション制度の対象を正規従業員に限定すると、パートやアルバイト、契約社員のモチベーション低下を招きかねません。雇用形態を問わず全員が参加できる制度設計が、組織全体の活性化につながります。
称賛のタイミングは鮮度が命です。成果を出した直後に認められることで、従業員は自分の行動と評価の結びつきを明確に実感できます。
年に1〜2回の表彰だけでは日常の頑張りを拾いきれないため、リアルタイムで称賛を送り合えるデジタルツールの活用が効果的でしょう。
制度を導入して終わりではなく、定期的な効果測定が欠かせません。エンゲージメントサーベイや利用率の推移、離職率の変動などを指標として追跡し、課題が見つかれば柔軟に制度を見直す姿勢が大切です。
先ほど紹介した事例のように、3ヶ月単位でスコアの変化を追うといった短いサイクルでの検証も有効でしょう。
レコグニション制度が最も失敗しやすいのは導入初期です。「何を書けばよいかわからない」「恥ずかしくて送りにくい」という心理的ハードルが、利用率の伸び悩みにつながるケースは少なくありません。
先ほどの事例のように、管理者目線ではなく従業員目線で導入プロセスを設計し、「まずは触ってみる」ハードルを極力下げるアプローチが有効です。無理に利用を強制するのではなく、他の人のメッセージにリアクションするだけでもOKといったルールを設けるのも一つの方法でしょう。
前章で紹介した6つの事例に共通しているのは、レコグニション専用のデジタルツール「RECOG」を活用している点です。
RECOGは、従業員同士が「感謝」や「称賛」をレター形式で贈り合えるチームワークアプリです。累計1,600社以上の導入実績を持ち、業界・業種を問わず幅広い組織で活用されています。
RECOGは直感的に操作できるUIと、運用から定着までの手厚いサポート体制が強みです。ツールに不慣れな従業員が多い組織でも安心して導入できるでしょう。さらに、メンバーが月10通以上のレターを贈ると世界中の子どもたちに給食を届ける社会貢献の仕組みも備わっており、利用そのものがやりがいにつながる設計となっています。
詳細について以下の資料で紹介しているので、ぜひダウンロードしてみてください。
レコグニションは、従業員の功績や日々の頑張りを認め合い、称賛する仕組みです。金銭的報酬だけでは実現しにくい持続的なモチベーション向上やエンゲージメント改善に効果を発揮するため、多くの企業が導入を進めています。
本記事で紹介した6つの事例からは、レコグニション制度がエンゲージメントスコアの向上、離職率の低下、バリュー浸透、さらには健康経営やISO 30414取得にまでつながる可能性が見えてきたのではないでしょうか。
導入を成功させる鍵は、自社の課題に合った手法を選び、明確な目的と基準のもとで運用を続けることです。そして、長期的に制度を進化させ続ける視点も欠かせません。
レコグニション制度の運用にお悩みの方は、多くの導入実績を持つRECOGの活用もぜひ検討してみてください。まずは無料トライアルで、自社に合ったレコグニションの形を見つけてみてはいかがでしょうか。