部下の成長を後押しするうえで欠かせないのが、ポジティブフィードバックです。適切な言葉で良い行動を評価すれば、相手のモチベーションが高まり、組織全体のパフォーマンス向上にもつながるでしょう。
本記事では、ポジティブフィードバックの例文をシーン別に15選、フレームワーク別に5選の計20パターン紹介します。NG例との対比やフィードバックを組織に定着させるツールについても取り上げるので、ぜひ最後までご覧ください。

ポジティブフィードバックとは、相手の行動や成果の良い面に注目し、前向きな言葉で評価を伝える手法です。上司から部下への1on1やフィードバック面談で多く活用されており、相手の承認欲求を満たしながら成長を促す効果があります。
フィードバックには「ポジティブ」と「ネガティブ」の2種類が存在します。両者の違いを整理すると、次のとおりです。
| 項目 | ポジティブフィードバック | ネガティブフィードバック |
|---|---|---|
| 着目点 | 良かった点・強み | 改善すべき点・課題 |
| 伝え方 | 肯定的な表現 | 否定的・指摘的な表現 |
| 主な効果 | モチベーション向上、自己肯定感の強化 | 課題認識、行動修正 |
| 注意点 | 抽象的な褒めにならないようにする | 相手のストレスや意欲低下に配慮が必要 |
たとえば「資料の提出が遅れたものの、完成度は高かった」という場面では、以下のように表現が異なります。
<ポジティブフィードバックの場合>
「内容がよくまとまっていて読みやすい資料でした。今後は提出期限も意識しつつ、この質を維持していけると理想的ですね」
<ネガティブフィードバックの場合>
「内容は良くても、提出期限を守れないのは問題です。今後は期限の厳守を最優先にしてください」
同じ事実を伝える場合でも、表現の方向性によって相手の受け止め方は大きく変わります。状況や相手のタイプに応じて使い分けることが大切でしょう。
近年は年齢や経験、国籍の異なる多様な人材が職場に増えています。否定的な表現で指摘するネガティブフィードバックだけでは、相手からの理解を得にくい場面も珍しくありません。
また、心理的安全性の重要性が広く認識されるようになり、組織のなかで「安心して発言・行動できる環境」の整備が求められています。ポジティブフィードバックは、こうした時代の変化に対応するマネジメント手法として注目を集めているのです。

ポジティブフィードバックを適切に実施すれば、個人と組織の双方に良い影響をもたらします。代表的な5つのメリットを見ていきましょう。
マネジメントの世界では、「人は承認に向かって生きる」と言われることがあります。良い行動をポジティブな言葉で承認されると、部下は「自分にはできる」という自己効力感を高め、さらに意欲的に業務へ取り組むようになるでしょう。
ポジティブフィードバックは、相手への「承認」のメッセージとなります。「上司はきちんと自分を見てくれている」という安心感が生まれれば、その後の業務でも相談がしやすくなり、円滑なコミュニケーションが実現するでしょう。
良い面に注目する習慣が身につくと、部下自身も気づいていなかった強みを発見できる場合があります。客観的な評価を聞いて苦手意識が払拭されるケースもあり、本来の能力を十分に発揮しやすくなるのです。
仕事への努力や姿勢がしっかり評価される組織では、従業員の満足度が高まります。エンゲージメントの向上は離職率の低下にもつながるため、人材不足が深刻な現代において大きなメリットといえるでしょう。
上司からのポジティブな声かけが日常的に行われる組織では、メンバーが安心して意見を出せる雰囲気が醸成されます。心理的安全性の高い環境はチーム全体の生産性向上にも寄与し、組織としての成果につながっていきます。

ここからは、実際の業務シーンごとにポジティブフィードバックの例文を紹介します。NG例との対比も交えるので、日々のマネジメントにお役立てください。
<良い例①>
今日のプレゼンでは、冒頭で課題を明確に提示してから解決策につなげる構成がとてもわかりやすかったです。
聞き手を引き込む話し方も印象的でした。
次回は質疑応答の想定パターンも準備しておくと、さらに説得力が増すと思います!
<良い例②>
スライドに顧客満足度のグラフを入れた判断は的確でした。
データがあったおかげで、参加者全員が納得しやすかったと思います。
この調子で次のプレゼンにも臨んでください。
<NG例>
「プレゼンよかったよ」 だけでは、何が良かったのか具体性がなく、相手に「次も繰り返すべき行動」が伝わりません。
<良い例①>
新規顧客の獲得目標10件に対して、先月は12件を達成しましたね。
毎日のアプローチを地道に続けた成果だと感じています。
今後もこのペースを維持しつつ、既存顧客のアップセルにも取り組んでみてはどうでしょうか。
<良い例②>
今期の売上は前年比120%を記録しましたね!
目標を上回れた要因として、顧客ごとにカスタマイズした提案資料が大きかったと思います。
そのアプローチはチーム全体にも共有してほしいです。
<良い例>
今回の企画書は、市場データと自社の強みをうまく結びつけた構成になっていて説得力がありました。
特に競合分析のセクションが充実していましたね。
<良い例②>
報告書のレイアウトが見やすく整理されていて、要点が一目で把握できました。
忙しいなかで丁寧に仕上げてくれたことに感謝しています。
提出も期限前で助かりました。
<良い例①>
先日の会議で、全員が沈黙していたなか最初に意見を出してくれましたね。
あの発言がきっかけでほかのメンバーも発言しやすくなったと感じています。
引き続き積極的な姿勢を期待しています。
<良い例②>
会議で反対意見を論理的に述べてくれたおかげで、リスクの見落としに気づけました。
建設的な議論に貢献してくれたことを評価しています。
<良い例①>
入社3か月前と比べて、電話応対がずいぶんスムーズになりましたね。
敬語の使い方も安定してきたと感じます。
この調子で経験を積んでいけば、半年後にはもっと自信を持って対応できるようになるでしょう。
<良い例②>
初めての顧客訪問でしっかりヒアリングができていたのは立派です。
緊張するなかでも相手の話を最後まで聞く姿勢が好印象でした。
次回は自分から提案を一つ加えてみると、さらに成長につながるはずです。
<良い例①>
今回のプロジェクトでは、タスクの進捗管理を的確に行ってくれたおかげで、スケジュールどおりにリリースできました。
メンバーからも「安心して仕事ができた」という声が上がっています。
<良い例②>
部門横断プロジェクトで、他チームとの調整役を積極的に担ってくれましたね。
関係者全員の意見をまとめるのは簡単ではありませんが、あなたの調整力のおかげで合意形成がスムーズに進みました。
<良い例①>
リモート環境にもかかわらず、毎朝の進捗共有をチャットで欠かさず行ってくれていますね。
チーム全体の状況把握に大きく貢献しています。
テキストコミュニケーションも簡潔でわかりやすいです。
<良い例②>
オンライン会議の進行役を率先して引き受けてくれたおかげで、議論が脱線せずスムーズでした。
画面共有を使った説明もわかりやすかったと参加者から好評です。
<NG例>
「リモートでもちゃんと働いてるね」という表現の場合「ちゃんと」が曖昧で、監視しているような印象を与える恐れがあります。
<良い例>
今回の提案書は、構成がしっかりしていて読み応えがありました。
特にデータの裏付けが充実している点は説得力があります。
一方で、結論部分をもう少し簡潔にまとめると、意思決定者が判断しやすくなるでしょう。
全体としてはとても良い仕上がりです!
ポイントは、改善点をポジティブな評価で挟む「サンドイッチ型」の構成です。最初と最後を肯定的な内容にすれば、改善点も前向きに受け止めてもらいやすくなります。

フィードバックの質を安定させるには、フレームワークの活用が効果的です。代表的な5つの型と、それぞれのポジティブフィードバック例文を紹介します。
SBIモデルは、リーダーシップ開発の権威機関であるCCL(Center for Creative Leadership)が40年以上の研究データに基づいて開発した手法です。Situation(状況)、Behavior(行動)、Impact(影響)の3つを順序立てて伝えることで、具体的かつ客観的なフィードバックが可能になります。
<例文>
SBIモデルは短時間で要点を伝えられるため、日常的なフィードバックにも取り入れやすい手法です。
ポジティブな内容でネガティブな内容を挟む手法で、「褒める→改善点を伝える→褒める」の順番で構成します。
<例文>
今月の営業レポートは分析の切り口が鋭く、とても参考になりました。
ただ、グラフの凡例がわかりにくい箇所があったので、次回は色分けやラベルを工夫してみてください。
それ以外の部分は完成度が高く、チーム内でも模範として共有したいと考えています。
改善点を伝えなければならない場面で、相手のモチベーションを維持しやすいのがサンドイッチ型の利点です。
ペンドルトン型は、対話を通じて相手自身に気づきを促すフレームワークです。「良かった点を本人に聞く→上司が良かった点を補足→改善点を本人に聞く→上司が改善点を補足→今後のアクションを一緒に決める」という流れで進行します。
<例文(対話形式)>
ペンドルトン型は内省を深めたい場面に適しており、自律的な成長を促したいときに有効でしょう。
KPTは、Keep(継続)・Problem(問題)・Try(挑戦)の3つで振り返りを行なうフレームワークです。
<例文>
KPT型はチームの振り返りにも活用でき、ポジティブな要素と改善点をバランスよく整理できるのが強みです。
DESC法は、Describe(事実を説明する)・Express(感情を伝える)・Specify(改善策を提案する)・Consequence(結果を伝える)の4ステップで構成されます。
<例文>
DESC法は感情を含めて伝えるため、相手に気持ちが届きやすい点が特徴です。

例文を参考にしながら、以下の5つのコツを意識すると、フィードバックの効果がさらに高まります。
「すごいね」「よくやったね」だけでは、相手に「何が良かったのか」が伝わりません。「〇〇の場面で、△△の行動をとったことが良かった」と具体的な事実を示すことが重要です。
抽象的なフィードバックは「ざっくり褒め」と呼ばれ、行動の強化にはつながりにくいとされています。SBI情報(状況・行動・影響)を意識して観察する習慣をつけるとよいでしょう。
フィードバックは、対象の行動が起きてからなるべく早く行なうのが鉄則です。時間が経つと状況の記憶が薄れ、せっかくの指摘も効果が半減してしまいます。
「鉄は熱いうちに打て」の言葉どおり、良い行動を見つけたらすぐに声をかける意識が大切でしょう。
良い結果が出た背景には、必ずそこに至るプロセスがあります。「売上が伸びたね」という結果の評価に加えて、「顧客ごとに提案内容をカスタマイズした工夫が功を奏した」とプロセスにも触れれば、次回以降も同じ行動を再現しやすくなるのです。
新入社員とベテラン社員では、持っている経験やスキルが異なります。ベテラン社員に対して基本的な業務を褒めると、「馬鹿にされている」と受け取られかねません。
一方、新入社員に対して高すぎるハードルの改善点を示すのも逆効果になり得ます。相手の成長段階を見極めたフィードバックを心がけてください。
ポジティブフィードバックは一度きりの取り組みでは効果が限定的です。日常的に称賛や感謝を伝え合う文化を組織に根づかせてこそ、その真価が発揮されます。
フィードバックの習慣化には、毎週の1on1で必ずポジティブフィードバックを一つ以上伝える、チーム会議の最後に「Good & Better」の時間を設けるなど、仕組みとして取り入れるのがおすすめです。

ポジティブフィードバックの効果を最大化するには、個人の努力だけでなく「仕組み」としての基盤が欠かせません。称賛文化を組織全体に浸透させるうえで注目されているのが、チームワークアプリ「RECOG」です。RECOGは、メンバー同士の「感謝」「称賛」を通じてコミュニケーションを活性化するアプリで、累計1,600社以上の導入実績を誇ります。
レター機能で手軽に称賛を送れる
RECOGの「レター」機能を使えば、PC・スマートフォンからいつでも感謝や称賛のメッセージを送信できます。テキストだけでなくポイントも添えられるため、日常的にポジティブフィードバックを実践する習慣づくりに最適です。
データの蓄積で1on1・面談に活用可能
レターや投稿などのすべてのデータが蓄積されるため、1on1ミーティングやフィードバック面談の際に過去の実績を振り返りながら具体的なフィードバックが行えます。普段の業務では見えにくい貢献も可視化されるのが大きな利点です。
専任コンサルタントが運用定着を支援
初めてツールを導入する方でも安心の、専任コンサルタントのサポート付き。導入時だけでなく、運用方法や活性化についてもご相談できるので、スムーズに社内に定着します。
ポジティブフィードバックを個人のスキルに留めず、組織の文化として根づかせたいとお考えの方は、RECOGの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
ポジティブフィードバックは効果的な手法ですが、やり方を間違えると逆効果になる場合もあります。ありがちな失敗パターンを押さえておきましょう。
「いいね」「頑張ってるね」といった曖昧な表現は、何を評価されたのかが相手に伝わりません。具体的な行動や成果に触れることが、ポジティブフィードバックの基本です。
ポジティブフィードバックを他のメンバーがいる前で行なうと、周囲にも好事例が共有される利点があります。しかし、注目されるのが苦手なタイプの場合は逆に萎縮してしまうケースも考えられるでしょう。相手の性格や状況を見極めた対応が必要です。
ポジティブフィードバックの目的は、過去の行動を単に承認するだけではありません。「その良い行動を今後も継続・強化する」という未来志向の意図を持って伝えることが大切です。フィードバックの最後に「この調子で次も〇〇に取り組んでみよう」と具体的なアクションを添えると、相手の成長がさらに加速するでしょう。
ポジティブフィードバックは、部下のモチベーション向上、信頼関係の構築、組織全体のエンゲージメント強化に欠かせないマネジメント手法です。
本記事で紹介した20パターンの例文や5つのフレームワークを活用すれば、日々のフィードバックの質が格段に向上するはずです。大切なのは、相手の行動を具体的に観察し、早いタイミングで前向きな言葉を伝えること。そして、一過性の取り組みに終わらせず、称賛文化を組織に定着させる仕組みを整えることでしょう。
「RECOG」のようなツールを活用すれば、フィードバックの記録・分析・仕組み化が容易になります。まずは今日から一つ、身近な部下やチームメンバーに対してポジティブフィードバックを実践してみてください。小さな積み重ねが、やがて組織全体を変える大きな力となるはずです。
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