難易度の高いプロジェクトが成功したときや、営業目標を達成したときなど、特定の業務遂行に成功した場合、達成感を得られます。達成感を得られた機会が多い従業員ほど、日々努力に励んだともいえるため、自己効力感が高まります。
ただし勤務先の環境によっては、自身のスキルに見合った挑戦の機会が十分得られず、仕事での目標を見失うケースも考えられます。本記事では、仕事を通じて達成感を得るメリットや組織づくりのポイントなどを紹介します。
従業員のモチベーションアップや自己肯定感の向上に取り組んでいる方は、参考にしてみてください。

達成感とは、目標達成や大きな成果をあげた際などに得られる満足感や充実感のことです。たとえば、仕事で新しいプロジェクトを任されて成功した際、資格試験に合格した際などが、達成感を得られる場面に該当するでしょう。
目標達成の難易度が高い場合や、時間や労力をかけて成果を得られた場合ほど、満足感や充実感を抱くことができ、大きな達成感を得られる傾向にあります。
似たような意味をもつ言葉に「やりがい」があげられますが、やりがいは自身が物事に取り組んだ際の手応えや充足感などを意味する言葉です。仕事におけるやりがいを指す場合、仕事の取り組みまたは対価によって得られる満足感を指します。
必ずしも成果を出さなくてもやりがいが得られるのに対し、達成感は目標達成といった成果を出したときに強く感じられるのが特徴です。

仕事を通じて達成感を得られる機会が増えると自信が身に付き、前向きに仕事へ取り組めるようになります。ほかにはどのようなメリットが得られるでしょうか。ここでは以下4つのメリットを紹介します。
仕事で成功体験を日々積み重ねられると、自信がついて自己効力感が高まります。自己効力感の向上で、自分の能力や考え方に自信がもてるようになり、周囲からの評価を気にせず仕事に打ち込めるでしょう。
また、自己効力感が高い人ほど、自身の強みや特徴を客観的に分析できている傾向にあり、弱さや苦手分野があっても必要以上に自分を卑下しません。
仮に仕事で失敗しても前向きに捉えられ、挫折や逆境を乗り越えられるでしょう。
達成感を得られる機会の積み重ねで自己効力感が増すと、業務へのモチベーションが高まります。仕事を進める過程で自身の成長やスキルアップを実感できるようになり、自信がつくためです。
自信がつくと精神的にも余裕が生まれ、新しいプロジェクトや難易度が高い目標にも積極的に挑戦できるようになります。
また、仕事で達成感を得られる機会が増えるほど、仕事への楽しさを見出せるようになります。従業員が「仕事そのものの楽しさ」に加えて、自己成長を実感するようになり、次の行動を起こすエネルギーが増すためです。
達成感を得られるたびに、「もっと能力を高めたい」「仕事で成果を出したい」と思うようになり、スキルアップや資格取得へのモチベーションが高まります。
仕事で達成感を得られるようになると、現状に満足せずこれまでよりも困難な目標の達成や新しい仕事へ挑戦する意欲が高まります。
達成感を得られる機会が増えるほどポジティブな気持ちが続き、仕事でのパフォーマンスが高まるため、難しい目標へ挑戦する意欲が出てきます。
仕事で達成感を得られる機会が多いほど、「この会社で働けば成長できる」と思うようになり、会社への帰属意識が高まります。達成感を得られる仕事は、充実感ややりがいも感じやすく、前向きな気持ちで日々仕事に取り組めるためです。
帰属意識が高い従業員が増えると離職率が低下し、優秀な人材の流出を防げる効果も期待できます。
また、自身の仕事ぶりや成果を周囲から評価された際も、達成感を覚える瞬間です。同僚や先輩、上司から称賛の言葉をかけられると、「自身の仕事ぶりが役に立った」と実感でき自己効力感が高まります。

従業員が仕事で達成感を得られない原因は、企業によって異なります。以下3つの原因に該当している場合、組織文化や人事評価制度の見直しを検討しましょう。
仕事で具体的な目標が見つけられないと、達成感を得るのは難しくなります。日々の仕事を無難にこなす意識が強くなるため集中力が高まりにくく、自身のエネルギーを最大限仕事に注げません。
また、自身の能力に見合った目標を設定できていない点も、仕事で達成感を得られない原因の1つです。仮に目標設定が低すぎた場合、工夫や努力をしなくても簡単に達成できるため、手ごたえが得られません。
一方、目標設定が高すぎる場合は、「目標達成は難しい」「自分には無理だ」と、達成感を得る前に諦めの気持ちに至るリスクがあります。
自身の成果や仕事ぶり、貢献が周囲から十分に評価されていないケースです。仮に目標を達成しても、上司や先輩、同僚から称賛や感謝の言葉をもらえないと、達成感を得られにくくなります。
「何のために努力しているのか」「成果をあげても社内評価は変わらない」など、ネガティブな思考が意欲的に仕事に打ち込めなくなります。
一部の管理職や経営層に権限が集中している職場は、多くの従業員にとって達成感を得にくい状況です。
たとえば、管理職や経営層が決めた方針に対して、現場で働く従業員が意見を述べたとしましょう。トップダウンの組織では、現場の要望を聞き入れてもらえない機会が続いたとしても不思議ではありません。、
意見を却下される機会が続くと、次第に「権限がなければ意見を聞いてもらえない」と思うようになり、意見や新たなアイデアを言わなくなります。
また、現場に裁量権がないと、次第に従業員は指示された内容だけをこなす傾向が強くなり積極性が低下します。その結果、達成感のために仕事をするのではなく、惰性で仕事をするようになるでしょう。

従業員が仕事を通じて自信を身に着けるには、達成感を得やすい環境を整備することが重要です。以下5つの施策に取り組み、従業員が仕事で成功体験を重ねられる組織体制を整えましょう。
仕事で達成感を得るためには、適切な目標設定が重要です。従業員一人ひとりが自身の能力に見合った目標を納得して設定できるよう、本人と対話を重ねましょう。
上司が一方的に目標を設定すると義務感が強くなり、目標達成に向けた意欲が生まれにくくなります。
目標設定の際は現実的な範囲で、具体的な内容や期間を従業員自身に決めてもらうことが重要です。。
たとえば、「半年後には売上達成率を10%高める」「1年で新商品のアイデアを10個出す」など、具体的な目標を自ら設定することで達成への意欲を高めます。
従業員が達成感を得やすい組織を作るには、挑戦に取り組む姿勢や成功に至る過程を組織全体で共有し、称賛する姿勢も必要です。
目に見える成果ばかりを評価している場合、従業員は「成果をあげないと評価が下がる」と感じ、新しい挑戦を躊躇しかねません。
従業員が新しい挑戦を実践しやすい環境を作るには、小さな達成でも組織全体で評価することが重要です。
たとえば、プロジェクトの進行や、電話営業でのアポイント獲得など、小さな成果でも組織で共有・称賛できるようになると、次の目標も達成したいという意欲が生まれます。
1on1ミーティングで目標の達成状況や現在の課題、取り組み内容などを定期的に確認することも重要です。
従業員が仕事で達成感を得られるようにするには、1on1ミーティングを単に目標の達成状況を確認する場にとどめるべきではありません。
目標達成に至るまでの工夫や努力、困難を乗り越えた過程を上司がヒアリングし、評価・承認する場にする必要があります。。
また、現実的な範囲で目標を立てたとしても、想定通りに目標を達成できるとは限りません。思い描いていた成果が得られないと自身の能力に自信を失い、自己効力感が低下するおそれもあります。
部下が自身の能力に自信をもち続けられるよう、1on1ミーティングで上司が目標達成に向けた努力や工夫などを評価しましょう。
上司から称賛の言葉をもらえると、部下は「自身のがんばりを見てくれている」と感じ、スキルアップへの意欲や上司への信頼が高まります。
現場へのエンパワーメントを進め、従業員が仕事を通じて達成感を得やすい環境を整えましょう。
エンパワーメントとは、従業員一人ひとりが自発的に判断・行動できる環境を整え、能力を最大限引き出すことです。エンパワーメントはもともと「力を与える」との意味ですが、ビジネスでは主に権限委譲の意味合いで使用されています。
具体的には「この業務は今後○○さんに任せる」「○○の業務は課長判断で進める」など、現場で決められる範囲を広げることです。従業員が自ら考えて判断を下せる環境が整うと、積極性や判断力が高まります。
また、従業員が失敗をおそれないよう、仮に間違った判断を下しても周囲がサポートする体制を整えておくことも重要です。
エンパワーメントを進めることで、従業員は自発的に行動を起こすようになり、仕事で達成感を得られる機会が増えていきます。
サンクスカード制度や社内表彰制度を導入し、新たな挑戦への取り組みを組織全体で称賛・評価する体制を整えましょう。
サンクスカードとは、従業員同士が自発的に互いの仕事ぶりや貢献に対して、感謝や称賛の気持ちを伝え合うカードです。
サンクスカードは、数値化しにくいサポートや貢献をクローズアップできる点が特徴です。たとえば「提案資料を作ってくれてありがとうございました」「○○さんのアドバイスで受注できました」といった内容をサンクスカードに記載します。カードを贈られた側は「自身の仕事ぶりが正当に評価された」と実感でき、達成感や充実感を得られます。
また、「チャレンジ賞」や「頑張ったで賞」など、社内表彰制度を設けることも1つの選択肢です
従業員の努力や挑戦を正当に評価する体制を整えることで、従業員は周囲からの評価を気にせず積極的に新しいことに挑戦できます。仮に成果をあげられてなくても、周囲から称賛・評価されると、達成感を得られるでしょう。

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仕事で達成感を得られる機会が増えるほど、自身の能力や仕事ぶりに自信が持てるようになります。自己効力感の向上で精神的な余裕が生まれ、より高い目標の達成やスキルアップへの意欲が高まるでしょう。 ただし、個人の能力に見合っていない目標設定をしている場合、達成感を得にくくなります。1on1ミーティングで対話を重ねて、従業員自身が自身の能力に見合った現実的な目標を設定する体制を整えましょう。 また、サンクスカード制度や社内表彰制度などを導入し、新たな挑戦を積極的に評価する体制を作ることも重要です。組織全体で失敗をリスクと捉える文化が定着すると、従業員が新しい挑戦を実行しづらくなります。 本記事の内容を参考に達成感を得やすい職場環境を整備し、従業員のエンゲージメント向上に取り組んではいかがでしょうか。まとめ