仕事で指摘したりアドバイスをしたりすることはありますが、それだけでは職場の雰囲気が悪くなったり、上司・部下の人間関係が悪化したりするリスクがあります。褒めること・褒められることで、お互いの理解が深まり信頼関係を築けるでしょう。
本記事では、仕事における褒める効果・褒められる効果を解説します。また、上手に褒めるポイントも紹介するので、マネジメントや職場の人間関係にお役立てください。
仕事をしている中で、誰かの行ないや成果を褒めることや、自分の頑張りを褒められることはありますよね。褒める・褒められるのは、ビジネスでどのような効果があるのでしょうか。
心理学の分野では、褒める・褒められることと深く関連する「ピグマリオン効果」があります。ピグマリオン効果とは、他者からの期待を受けるほど高い成果につながるという心理効果です。
ピグマリオン効果はビジネスの分野でも使われていますが、もともとは小学校での研究結果を基にしています。無作為に選んだ数人の生徒を「成績が伸びると期待できる」と教師に伝えたところ、実際にその生徒たちの成績が向上したという結果があります。これは、教師が期待を持ってその生徒たちに接したことで、生徒たちは期待に影響されて高い成果を出せたためとされているのです。
つまり、仕事でも期待していることを伝えたり褒めたりすることで、本人のやる気を引き出して高い成果につながるといわれています。
一方、期待されていないと本人のパフォーマンスが低下してしまうことを「ゴーレム効果」といい、ピグマリオン効果の反対の心理効果として知られています。
これからの時代を担うZ世代に関しての調査結果があります。
株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが運営する若者マーケティング機関のSHIBUYA109 lab.と、金沢大学 金間研究室が公表した「Z世代の承認欲求に関する調査結果」によると、「人にほめられることが好きだ」と答えた人の割合は78.4%にものぼっています。ただし、褒められることが好きだと答えた人のうち46.3%が「ほめられるのが苦手」という矛盾を抱えているようです。
そのため、Z世代に対しては褒め方の工夫が求められるといえるでしょう。
出典元:SHIBUYA109 lab.×金沢大学 金間研究室 共同調査 本当はほめられたいの?ほめられたくないの?|SHIBUYA109 lab.
褒められることは、仕事のモチベーションにも大きく影響するといわれています。
モチベーションは「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」の2つに大きく分けられます。
上司や同僚などから褒められること・称賛されることは外発的動機づけにつながり、本人のモチベーションアップが期待できます。
仕事において、他者から褒められると嬉しい気持ちになりますが、実は褒める側にもポジティブな効果があります。褒める効果は、主に以下の4つです。
誰かを褒めることで、相手との信頼関係を構築でき人間関係が良好になります。
指摘や批判をしているとギスギスとした関係性になってしまい、仕事で必要な報連相もスムーズにいかなくなる場合もあるでしょう。その結果、大きなトラブルが発生するなど企業の不利益につながるリスクも考えられます。
しかし、褒めることで信頼関係が築けていると、仕事の生産性にも良い影響が生まれるでしょう。
相手の行ないや仕事ぶりなどを見ていなければ、良い称賛は生まれません。褒めるために部下や同僚などメンバーの仕事をよく見るようになれば、「実はあんなことも頑張っていたのか」「気づかなかったけれど、こんな細かいこともしてくれていたのか」など、それまでに気づかなかったような良いところを見つけられます。
仕事を通じて相手の良いところに気づければ、相互理解が深まって人間関係にも影響します。
褒める機会が増えると、職場の雰囲気も良くなっていきます。
褒めた人と褒められた人の人間関係が良好になっていけば、職場にもポジティブな空気が派生していくでしょう。また、褒める・褒められることは個人間で行われますが、誰かが褒められているのをメンバーが見ると「自分も褒められるように頑張ろう」とモチベーションが上がります。
褒めた側の気持ちが明るくなるのもメリットです。
叱責や非難などネガティブな言葉ばかり使っているのは、イライラとした不機嫌な精神状態となっているでしょう。そうした精神状態が続くと、気持ちも後ろ向きになっていきます。
しかし、ポジティブな言葉は気持ちを明るくしてくれるため、褒めることで前向きな気持ちになれます。また、褒めることで相手が喜んでいる様子を見ると、自分も嬉しい気持ちになるでしょう。
仕事で褒められることでも、良い効果が期待できます。
先述のように、褒められることや称賛は外発的動機づけになりモチベーションアップにつながります。部下のモチベーション管理に課題を抱えている方は、褒めることから始めてみても良いかもしれません。
褒められると「もっとこの会社に貢献したい」という気持ちになり、帰属意識が高まります。帰属意識が高いと離職も防止できるため、組織としても大きなメリットが期待できるでしょう。
ピグマリオン効果でいわれているとおり、期待に沿うために高い成果を出そうと努力するようになるため、生産性向上も見込めます。称賛文化が根付けば組織の生産性が高まり、企業成長につながります。
「褒めるのに慣れていない」「わざとらしくなってしまう」など、褒めることに苦手意識がある人も少なくありません。そこで、上手な褒め方のポイントを見ていきましょう。
褒められるのは嬉しいことですが、人によって「嬉しい」と感じるポイントは異なります。
たとえば、大勢の前で褒められるのが嬉しい人もいれば、1対1で褒められるのが嬉しいという人もいます。また、面と向かって伝えられるよりも文章で伝えられるほうに喜びを感じる人もいるでしょう。
そのため、相手の性格や特徴などに合わせた状況・方法で褒めるのが効果的です。
褒めるときは具体的な内容を盛り込むことが重要です。抽象的に「いいですね」「良かったよ」などと伝えるよりも、良かったポイントや称賛に値する行ないなどを具体的に伝えたほうが、相手はさらに嬉しさを感じます。また、次も同じポイントを意識するようになり、仕事での成果にもつながるようになるでしょう。
<褒め方の例>
仕事で大きな成果を出したときは、成果を出すために本人は相当な努力をしているはず。そのため、成果だけでなく過程も褒められることで嬉しさが増します。また、「過程もしっかりと見てくれている」と感じ、信頼関係を築けるでしょう。
<褒め方の例>
「○○さんはできていなかったけれど、あなたはできていたからすごいね」など、他者と比較した称賛は効果的ではありません。ともに働いているメンバーをけなしていることになり、褒められている本人も喜べないでしょう。
比較を用いて褒める場合には、「以前はここが不足していたけれど、できるようになったね」などのように本人の過去と比べると良いでしょう。
何でもかんでも褒めれば良いというわけではありません。褒めすぎると図に乗ってしまう人や恥ずかしがってしまう人もいるため、過剰に褒めすぎるのは控えましょう。
また、褒めるときの過度な表現も逆効果です。「日本一だね」「最高!」などのオーバーな表現は上辺だけのように感じられるため、本心でないように受け取られてしまいます。
褒める際に活用できる「さしすせそ」を覚えておくと便利です。
この言葉を応用して使えば、褒めるのが苦手な人でもスムーズに褒められます。
<褒め方の例>
褒めること・褒められることは企業にポジティブな影響をもたらすものの、「面と向かって伝えるのは恥ずかしい」「褒めるタイミングを見失ってしまった」などの理由から、なかなか褒め合う文化が根付かない企業も見受けられます。
そうした企業におすすめなのが、サンクスレターを贈り合えるチームワークアプリ「RECOG」です。レターにはメッセージだけでなく、称賛・感謝に応じたポイントも付与できるため、文章だけではない表現方法ができます。
レター機能のほかにも投稿フィード機能やトーク機能も搭載しているため、従業員同士のコミュニケーション促進につながります。詳しい機能はこちらの資料で紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
褒める効果・褒められる効果は個人間の人間関係だけでなく、職場全体にも良い影響を与え、ひいては企業の成長にもつながります。今回紹介した上手な褒め方のポイントを取り入れることで、称賛が飛び交う職場を作れます。褒める文化を根付かせ、企業を活性化させていきましょう。
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