コラム

ピープルアナリティクスとは?活用メリット・導入手順・注意点まで解説

ピープルアナリティクスとは?活用メリット・導入手順・注意点まで解説

公開日: 2026.06.05
更新日: 2026.06.05

「人事評価や採用基準が、担当者の経験や勘に頼りがちになっている」「人事データはあるものの、活用方法がわからない」このような課題を抱える人事部門の方は少なくないでしょう。データを活用できないままでは、勘や経験に頼った人事判断が続きます。

 

そこで注目されているのが、ピープルアナリティクスです。ピープルアナリティクスは、人事データを分析し、採用・配置・育成・離職防止などの人事課題を解決に導く手法です。

 

本記事では、ピープルアナリティクスの概要から、関連用語との違いや導入メリットを整理し、進め方や注意点も解説します。自社の人事課題を改善するヒントとして、ぜひ参考にしてください。


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ピープルアナリティクスとは

ピープルアナリティクスとは、採用・配置・育成・離職防止といった人事課題を、データ分析にもとづいて解決する手法です。定義を整理すると、勤怠・評価・研修履歴などの人事データを活用し、人事判断の精度を高める取り組みといえます。蓄積された人事データを判断の根拠として活かせれば、勘や経験だけに頼らず、人事施策を改善しやすくなるでしょう。

 

ここでは、関連用語との関係性や違いを整理します。


 

HRテックや人的資本経営との関係性

ピープルアナリティクス、HRテック、人的資本経営は、役割が異なるものの互いに関係しています。

 

それぞれの位置づけは以下のとおりです。

  • 人的資本経営:人材を企業価値の源泉として捉える「経営思想」

  • HRテック:人事データの収集・管理を支える「技術基盤」

  • ピープルアナリティクス:人事データを分析して施策に活かす「手段」

3つは別々のものではなく、連動して機能します。人的資本経営という方針のもと、HRテックでデータを集め、ピープルアナリティクスで分析・活用する流れです。

 

この関係を押さえておくと、自社に必要なHRツールやデータ活用の進め方を整理しやすくなります。

 

タレントマネジメントとの違い

タレントマネジメントとピープルアナリティクスは、どちらも人材活用に関わる取り組みですが、目的や使い方は異なります。違いを整理すると、以下のとおりです。

項目

タレントマネジメント

ピープルアナリティクス

主な目的

人材情報を管理し、配置や育成に活かす

人事データを分析し、判断の精度を高める

主な使い方

スキル管理、異動、研修、後継者育成

採用分析、離職予測、配置・育成の改善

重視する点

従業員一人ひとりの情報整理

データから課題や傾向を見つける

タレントマネジメントで人材情報を管理し、ピープルアナリティクスで分析・活用すれば、人事判断の精度を高められるでしょう。


 

ピープルアナリティクスが注目される背景

ピープルアナリティクスが注目される背景には、人事を取り巻く環境の変化があります。

 

人的資本開示への対応や採用競争の激化により、人事施策にも客観的な根拠が求められるようになりました。さらに、働き方や価値観の多様化、AI・クラウド技術の進化も、データ活用を後押ししています。こうしたピープルアナリティクスが注目される4つの背景について解説します。

 

人的資本開示の義務化

人的資本開示の義務化により、ピープルアナリティクスへの関心が高まっています。

 

人的資本とは、知識・経験・スキルなどを企業の資本として捉える考え方です。近年は、企業が人材をどのように育て、活かしているかを社外へ示す重要性が増しています。

 

女性管理職比率・研修実績・離職率などは、人材戦略を伝える指標です。ただし、数値を並べるだけでは十分とはいえません。自社の課題や施策まで説明できてこそ、投資家や求職者からの信頼につながります。

 

人材獲得の競争激化

人材獲得の競争が激しくなっている点も、ピープルアナリティクスが注目される理由のひとつです。

 

近年の人手不足は一時的なものではなく、少子高齢化の影響もあり幅広い業界で長期化しています。必要な人材を確保しにくい状況では、応募者を集めるだけでなく、自社で活躍できる人材を見極める視点が重要です。

 

採用データや入社後の成果を分析すれば、活躍している従業員に共通する特徴を把握しやすくなります。その結果、採用基準や面接項目の見直しにも活かせるでしょう。

 

働き方・価値観の多様化

近年は、働き方や価値観の多様化も進んでいます。

 

リモートワークや時短勤務など、働き方の選択肢は広がっています。仕事に求めるものも、給与だけではありません。成長の機会や働きやすさ、人間関係など、重視するポイントは人によってさまざまです。そのため、一律の制度だけでは、従業員ごとの課題に対応しきれない場合もあります。

 

ピープルアナリティクスによって勤怠データやアンケート結果を分析すれば、部署ごとの負担や課題を把握し、制度改善に活かしやすくなるでしょう。

 

AI・クラウド技術の進化

AIやクラウド技術の進化も、ピープルアナリティクスが注目される一因です。

 

以前は、人事データが紙やExcelに分散し、集計や分析に時間がかかるケースもありました。しかしHRテックが普及している現在では、採用・勤怠・評価などの情報を一元管理しやすくなっています。

 

さらに、AIやクラウドを活用すれば、大量のデータから傾向や変化を短時間で見つけることも可能です。このようにAIやクラウド技術の進化により、ピープルアナリティクスで活用する人事データを収集・分析しやすくなっています。 


 

ピープルアナリティクス導入の4つのメリット

ピープルアナリティクスを導入すると、採用・離職防止・配置・育成・評価の場面で、人事判断の精度を高めやすくなります。

 

データを根拠に施策を考えられるため、担当者の経験や感覚だけに頼った判断を減らせる点がメリットです。入社後に活躍している人材の特徴を分析すれば、採用基準の見直しに活かせるでしょう。ここでは、ピープルアナリティクスの導入によって期待できる主なメリットを4つ解説します。

 

採用ミスマッチを減らし、活躍人材を見極められる

ピープルアナリティクスを活用すると、応募者の印象だけでなく、データをもとに採用判断ができるため、採用ミスマッチを減らしやすくなります。

 

活躍している従業員のスキルや経験を分析すれば、入社後にパフォーマンスを発揮しやすい人材の特徴が見えてきます。その特徴を採用基準に反映すれば、採用時に重視すべき能力や経験が明確になり、活躍人材を見極めやすくなるでしょう。 

 

離職リスクを早期に察知できる

ピープルアナリティクスでは人事データを分析するため、従業員の不満や負担につながる兆候を見つけやすくなります。たとえば、残業時間の増加や有給取得率の低下、エンゲージメント調査の悪化が続く場合、従業員が職場環境や働き方に課題を感じているサインかもしれません。

 

早い段階で変化に気づければ、面談や業務調整などの対応を検討できます。従業員の課題を放置せずに改善へつなげると、離職率の低下や定着率の向上が期待できるでしょう。

 

人材配置・育成の精度が向上する

ピープルアナリティクスを活用すると、従業員のスキルや適性、実績などをデータで可視化できます。実績だけでなく、得意な業務や過去の評価、研修履歴も確認すれば、従業員が力を発揮しやすい配置を検討しやすくなるでしょう。また、不足しているスキルを整理することで、必要な研修や経験を設計できます。

 

ピープルアナリティクスにもとづいた配置と育成は、一人ひとりの力を引き出すうえで有効です。

 

人事判断の透明性・公平性が高まる

ピープルアナリティクスを活用すると、人事評価や配置の判断に客観的なデータを取り入れやすくなります。たとえば、実績やスキル、評価履歴などの人事データが蓄積されていれば、昇進や異動を検討する際の判断材料として活用できます。データを根拠に判断基準を示しやすくなるため、人事判断の透明性や公平性が高まる点がメリットです。

 

評価や配置の理由が伝わりやすくなれば、人事判断に対する従業員の納得感も高まるでしょう。


 

ピープルアナリティクス分析に活用する6種類のデータ

ピープルアナリティクスでは、複数の人事データを組み合わせた分析が重要です。ひとつのデータだけでは、従業員や組織の状態を正確に把握しにくくなります。人材データや勤怠データに従業員のアンケート結果を組み合わせれば、離職や配置の課題に気づきやすくなるでしょう。

 

ここでは、ピープルアナリティクスの分析に活用される6種類のデータを解説します。

 

人材データ

人材データとは、従業員の基本情報をまとめたデータです。年齢・部署・役職・入社年次・スキル・職務経歴などが含まれます。従業員のプロフィールやスキルを把握できるため、採用や配置を検討する際の参考になるでしょう。

 

勤務データ

勤務データとは、従業員の働き方を示すデータです。勤怠・残業時間・出退勤時刻・有給の取得状況などが該当します。部署ごとの残業時間や有給取得状況を確認すれば、業務量の偏りや従業員の負担を把握しやすくなります。

 

オフィスデータ

オフィスデータとは、職場や設備の利用状況に関するデータです。座席の利用状況・出社率・会議室の予約状況などが含まれます。会議室の混雑や出社状況を確認すれば、オフィスの使い方やスペース設計を見直すきっかけになるでしょう。

 

認知データ

認知データとは、従業員の気持ちや考えを把握するデータです。エンゲージメント調査・満足度調査・アンケートなどが該当します。職場環境への満足度や働きがいを確認できるため、離職リスクや人間関係・業務負担の兆候をつかみやすくなるのが特徴です。

 

行動データ

行動データとは、従業員の業務中の動きややり取りを示すデータです。社内チャットやメール、会議への参加状況などから、コミュニケーションの傾向を把握できます。情報共有の不足や、特定の人に業務が集中している状況を見つける際に役立つデータです。

 

デバイスデータ

デバイスデータとは、PC・スマートフォン・各種ツールの利用状況から得られるデジタルデータです。利用時間・ログイン状況・ツールの使用状況などを確認できます。業務実態を把握する手がかりになりますが、従業員に監視と受け取られやすいため、活用目的と範囲を明確にしましょう。


 

ピープルアナリティクスの進め方

ピープルアナリティクスは、目的設定から効果検証まで段階的に進めることが重要です。目的によって集めるべきデータや分析の視点が異なるため、先に課題を明確にする必要があります。

 

ここでは、導入の流れを5つのステップで解説します。
 

ステップ1|解決したい課題と目的を設定する

最初に、解決したい人事課題と目的を明確にします。目的があいまいなままでは、必要なデータの選定に時間がかかり、取得後の確認や整理の負担も増える点に注意しなければなりません。

 

たとえば、離職率を下げたい場合と、採用ミスマッチを減らしたい場合では、確認すべき情報が異なります。分析の方向性を見失わないために、まずは自社の人事課題を洗い出し、分析の目的を明確にしておきましょう。

 

ステップ2|必要なデータを収集・蓄積する

目的が決まったら、課題解決に必要なデータを集め、分析しやすい形で蓄積します。このとき、すべての人事データを集める必要はなく、目的に合う情報を選ぶのが大切です。

 

離職防止なら勤怠・評価・アンケート結果が参考になります。採用改善なら選考評価や入社後の成果、定着状況を確認しましょう。

 

また、人事データを集める際は、取得元や更新状況の確認が必要です。勤怠システムや評価シート、採用管理ツールなど、どこからデータを取得するのかを整理します。入力漏れや古い情報が含まれていると分析結果に影響するため、データ更新担当者や入力の確認方法も事前に決めておきましょう。 

 

ステップ3|分析する

データを集めたら、課題の要因や傾向を分析します。数値を見るだけでなく、なぜその結果になっているのかを考えるのが重要です。

 

たとえば、離職率を下げたい場合は、離職者に共通する働き方や所属部署の特徴を確認します。残業時間やアンケート結果も組み合わせることで、離職につながる背景を把握しやすくなるでしょう。

 

このように複数の視点からデータを確認すれば、優先して取り組むべき課題を見つけやすくなります。

 

ステップ4|施策を立案し実行する

分析結果をもとに、人事施策を立案し実行します。

 

データから課題が見えても、行動に移さなければ改善にはつながりません。若手従業員の離職リスクが高い場合は、上司との面談機会を増やす方法があります。特定部署で残業が多いなら、人員配置や業務分担の見直しが有効です。

 

分析結果を具体的な行動に移せば、採用・配置・育成・離職防止などの課題改善につなげやすくなるでしょう。

 

ステップ5|効果検証とPDCAを回す

ピープルアナリティクスは、一度分析して終わりではありません。施策を実行した後は、効果を検証し、次の施策の見直しにつなげます。面談を増やした後に離職率が下がったか、エンゲージメントに変化があったかを確認します。

 

期待した効果が出ない場合は、見るべき指標や分析方法、施策内容の見直しが必要です。検証結果を次の施策に反映すれば、PDCAを回しながら人事施策の精度を高められます。


 

ピープルアナリティクス導入時の注意点

ピープルアナリティクス導入時は、人事データに個人情報や働き方に関する情報が含まれるため、データの扱い方に注意が必要です。利用目的が伝わらないまま勤怠や行動データを分析すると、従業員が監視されていると感じる可能性があります。

 

人事データを適切に活用するためにも、利用目的や管理ルールを明確にしてから進めましょう。

 

分析の目的明確化

ピープルアナリティクスでは、何を解決したいのかを起点に設計する必要があります。目的があいまいなまま進めると、データ収集や分析自体が目的化してしまうからです。

 

「離職率を下げたい」「採用ミスマッチを減らしたい」など、解決したい人事課題を先に整理します。課題が明確であれば、必要なデータや分析の方向性も絞りやすくなるでしょう。

 

使えるデータをすべて集めても、何を改善したいのかが不明確では施策につながりません。まずは何を解決したいかを起点に、分析の方向性を決めるのが大切です。
 

従業員の心理的抵抗への配慮

従業員の心理的抵抗に配慮することも重要です。人事データの活用は、従業員が「監視されている」と感じる可能性があります。勤怠やコミュニケーションのデータを分析する場合、目的が伝わっていないと不安を招きかねません。評価や処分に使われると不安を感じる人もいます。

 

そのため、データの利用目的や活用範囲を事前に開示しましょう。評価や処分ではなく、職場環境の改善に活かすことが伝わると、従業員の不安を和らげやすくなります。

 

個人情報保護と法令遵守

ピープルアナリティクスでは、氏名・評価・勤怠・健康に関わる情報などの情報も扱うため、個人情報保護と法令遵守を徹底する必要があります。万が一、個人情報が流出すれば、従業員との信頼関係を損ないます。また、企業としての信用にも影響しかねません。

 

個人情報保護法を遵守し、情報漏れを防ぐ管理体制を整える必要があります。アクセス権限の限定や、必要に応じた匿名化などの対策も重要です。

 

専門人材・スキルの確保

ピープルアナリティクスを効果的に進めるには、専門人材やスキルの確保も必要です。

 

人事データを正しく扱うには、人事知識とデータサイエンスの両方が求められます。ただし、両方に詳しい人材は多くありません。社内だけで対応しようとすると、分析結果の読み違いや施策への落とし込み不足が起こる可能性があります。

 

そのため、社内で人材を育成する方法に加え、外部の専門家やツールを活用する方法も検討しましょう。

 

 

認知データ・行動データの蓄積ならRECOG

ピープルアナリティクスでは、エンゲージメントやコミュニケーションを示す認知データ・行動データの蓄積が欠かせません。

 

称賛・感謝のメッセージを送り合うチームワークアプリ「RECOG」なら、日々のやり取りを通じてデータが蓄積されていき、従業員や組織の状態を可視化できます。蓄積したデータは離職の兆候把握やエンゲージメント改善の分析に活用でき、人事施策の精度向上を後押しするでしょう。2,000組織以上の導入実績があり、今まで多くの組織の課題解決を後押ししてきました。

 

こちらの資料で詳細を確認できるので、ぜひご覧ください。

 

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まとめ

ピープルアナリティクスは、人事データを分析し、採用・配置・育成・離職防止などの人事課題を改善する手法です。勘や経験だけに頼らず、根拠にもとづいて判断できるため、人事施策の精度や説明力を高めやすくなります。

 

導入時は、目的を明確にしたうえで必要なデータを整理し、従業員への説明や個人情報保護にも配慮する姿勢が大切です。まずは自社の課題を整理し、活用できるデータの確認から進めましょう。


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