そうした状況を改善する施策のひとつが「サンクスカード制度」です。本記事では、ホテル業界で起きやすい組織課題と解決策、サンクスカードの導入メリットについて紹介します。

ホテル業界では、24時間365日営業という業態の特性から、ほかの業種にはない組織課題が発生しやすい傾向にあります。ここでは代表的な課題を見ていきましょう。
ホテル業界は、ほかの業種と比較して離職率が高い業界として知られています。厚生労働省の「令和6年雇用動向調査結果の概要」によると、宿泊業・飲食サービス業の離職率は25.1%で、全産業平均の14.2%を大きく上回る数値となっています。
離職率の高さは、慢性的な人手不足や採用・教育コストの増大、残された従業員の負担増といった負の連鎖を生み出します。新人がすぐに辞めてしまえば、現場のモチベーションも下がってしまうでしょう。
ホテルでは早番・遅番・夜勤などのシフト制を採用しているため、同じ職場で働きながらも顔を合わせる機会が少ないスタッフが多く存在します。中抜け勤務を採用しているホテルも多く、顔を合わせない日が続くこともあるでしょう。
また、繁忙時間帯は接客や調理など自身の業務で手一杯となり、業務に必要な最低限のやり取りで精一杯です。プライベートな会話やお互いを知るための雑談を交わす時間が確保しにくく、信頼関係の構築につながりにくいといえます。
ホテルはフロント、客室、料飲、宴会、清掃、調理など、業務が細かく分業化されている職場です。それぞれの部門が独立して動くため、ほかの部門の従業員と関わる機会が少なくなりがちです。
部門間の連携が弱まると、宿泊客の情報共有が滞ったり、引き継ぎミスからトラブルが発生したりするリスクが高まります。「フロントは知っていたが料飲には伝わっていなかった」といった事態も起こりかねません。
ホテルの接客品質は、従業員一人ひとりのスキルや意識に大きく左右されます。マニュアルだけでは伝えきれない「おもてなし」の領域が広く、現場でのOJTに頼らざるを得ない場面も多いでしょう。
人手不足で十分な研修時間を確保できないホテルでは、新人とベテランの接客レベルに開きが生じやすくなります。スタッフによってサービス品質にばらつきがあると、宿泊客の満足度や口コミ評価にも影響を及ぼしてしまいます。
ホテル業務では、宿泊客からのクレームや理不尽な要求に直面する場面が少なくありません。近年は「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が社会問題化しており、現場スタッフの精神的負担はさらに重くなっています。
繁忙期で現場が混乱しているときは、上司や同僚が他のスタッフのケアまで手が回らないこともあるでしょう。精神的なフォローが不足すると、ストレスを抱えたスタッフが離職を選ぶ要因にもなります。
複数の施設を展開するホテルチェーンでは、本部・経営層と現場スタッフの距離が物理的にも心理的にも遠くなりがちです。本部が現場の実情を把握しないままコスト削減や業務改善を指示すると、現場からの不満が高まる原因になります。
逆に、本部が打ち出した経営理念やブランド方針が現場に浸透せず、ホテルごとに対応がバラバラになるという課題も生じやすいといえます。

先述のような課題を放置していると、人手不足やサービス品質の低下が加速してしまいます。ここでは、ホテル業界の組織課題に対する解決策を整理しましょう。
まずは労働環境の見直しが基本です。給与・賞与の改善、有給休暇の取得促進、福利厚生の充実、休憩スペースの整備など、従業員が安心して長く働ける土壌を整える必要があります。中抜け勤務の負担軽減や、シフトパターンの柔軟化も検討したい施策です。
接客品質のばらつきを抑えるため、研修制度やマニュアルの整備が欠かせません。新人研修だけでなく、既存スタッフのスキルアップを支援する体系的なプログラムも有効でしょう。動画マニュアルやeラーニングを活用すれば、シフトの合間でも学べる仕組みが構築できます。
人手不足を補う観点では、業務効率化への投資も重要です。チェックイン端末やルームサービス用のロボット、客室タブレット、予約管理システムなどのデジタルツールを導入すれば、スタッフは本来注力すべきおもてなし業務に集中できます。
待遇改善や効率化に加え、従業員の「働きがい」を高める施策も大切です。表彰制度の導入や、評価制度の透明化、キャリアパスの明示などが挙げられます。なかでも、従業員同士で感謝・称賛を伝え合う「サンクスカード制度」は、低コストで始められる効果的な施策のひとつです。

サンクスカードとは、従業員同士が「手伝ってくれてありがとう」「あなたの接客は素晴らしいね」といった感謝や称賛のメッセージを送り合う仕組みです。紙のカードでやり取りする方法が一般的でしたが、近年はスマホやパソコンから手軽に送れるデジタルツールが主流になりつつあります。
ホテル業界の代表例として、ザ・リッツ・カールトンの「ファーストクラス・カード」が知られています。スタッフ同士で感謝を伝え合う文化が根付いており、世界的なホスピタリティブランドを支える基盤のひとつとなっています。それでは、ホテル業界でサンクスカードを導入する具体的なメリットを見ていきましょう。
出典:異業種に学べ!世界最高のホテル リッツ・カールトン・ホテルに学ぶ真のホスピタリティとは?|医療経営戦略研究所
サンクスカードの最大の効果は、従業員のモチベーション向上です。「クレームに丁寧に対応してくれて助かった」「客室の清掃が完璧でゲストから褒められた」といったメッセージを受け取ると、自分の仕事が認められた実感が湧き、承認欲求が満たされます。
特にホテルの仕事は、宿泊客から直接「ありがとう」と言われる場面もある一方、裏方業務に従事するスタッフは感謝されにくい立場です。サンクスカードを通じて陰の頑張りに光を当てられれば、すべての従業員が前向きに働けるようになるでしょう。
サンクスカードは、フロント・料飲・客室・宴会・清掃など、普段交流の少ない部門同士をつなぐ架け橋になります。たとえば、フロントから料飲スタッフへ「先日の対応でゲストがとても満足されていました」と伝えれば、部門の壁を越えた一体感が生まれます。
部門横断の感謝が日常化すれば、引き継ぎや情報共有もスムーズになり、結果として宿泊客の満足度向上にもつながります。シフトが異なるスタッフ同士でも、デジタルツールを使えば時間や場所を問わずメッセージを贈り合えるため、シフト制職場との相性が抜群です。
ホテル業界の根幹は「おもてなし」の文化にあります。経営理念や行動指針を打ち出していても、それを日常業務に落とし込むのは簡単ではありません。サンクスカードを「経営理念に沿った行動を称賛する仕組み」として運用すれば、理念が自然と現場に浸透していきます。
たとえば「お客様の名前を覚えて声をかける」「予想を超える気配りをする」といった行動指針に該当するエピソードをサンクスカードで共有すれば、ほかのスタッフにとっても良い手本となるはずです。称賛文化と理念浸透を同時に実現できる点は、大きなメリットといえるでしょう。
感謝・称賛が行き交う職場は心理的安全性が高まり、人間関係を理由とした離職を防ぐ効果が期待できます。「ここで働いていてよかった」「仲間に恵まれている」と感じる従業員は、多少の困難があっても辞めずに踏ん張れるものです。
人手不足が深刻なホテル業界において、人材定着率の向上は採用コストの抑制にも直結します。長く働き続けるベテランスタッフが増えれば、ノウハウが蓄積され、サービス品質の底上げにもつながるでしょう。

サンクスカードは、運用方法を誤ると形骸化してしまうリスクもあります。ここでは、ホテル業界で成功させるためのポイントを押さえておきましょう。
第一に、強制しないことです。「月に〇枚送らなければならない」といったノルマを課すと、従業員の負担となり「やらされ感」が生まれます。素直な気持ちで送れる雰囲気づくりが大切です。
第二に、デジタルツールの活用が望ましいといえます。シフト制で勤務時間が異なるホテル業界では、紙のカードを手渡しする運用は限界があります。スマホからいつでも送れる仕組みを導入すれば、休憩中や勤務終了時に気軽にメッセージを贈れるでしょう。
第三に、導入目的を全従業員に共有することです。「なぜ取り入れるのか」「どのような職場を目指すのか」を最初に伝えておけば、参加への納得感が生まれます。経営層が率先してサンクスカードを送る姿を見せることも、定着への近道となるはずです。

ホテル業界でサンクスカードを導入するなら、チームワークアプリ「RECOG(レコグ)」がおすすめです。RECOGは、感謝・称賛のメッセージをスマホやパソコンから手軽に贈り合えるツールで、シフト制で勤務時間が異なるホテル業界の働き方とも相性が良いアプリです。
部門や拠点を超えてメッセージを共有できるため、フロント・客室・料飲・宴会・清掃といった分業化された組織でも、横のつながりを生み出せます。投稿フィード機能やトーク機能で本部から現場への情報発信も可能なため、多店舗展開のホテルチェーンにも適しています。
組織や個人の状態を分析できる機能も搭載されており、エンゲージメントの可視化や組織改善のヒントを得るのにも役立つでしょう。
機能や活用シーン、料金などをまとめた資料を無料で提供しています。ホテルの組織課題解決に関心をお持ちの方は、ぜひ資料をダウンロードしてご確認ください。
ホテル業界では、離職率の高さやシフト制によるコミュニケーション不足、部門間の壁、接客品質のばらつきなど、業態特有の組織課題が発生しやすい状況にあります。これらの課題を放置すれば、人手不足の悪化やサービス品質の低下を招いてしまうでしょう。
そうした課題に対する有効な施策のひとつが、サンクスカード制度です。従業員同士で感謝・称賛を伝え合う文化が根付けば、モチベーション向上や離職防止、おもてなし文化の浸透など、多面的な効果が期待できます。チームワークアプリ「RECOG」を活用し、自社の組織課題解決に向けた一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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