一方で、世の中には従業員が長く安心して働き続けている会社も存在します。実はそうした「人が辞めない会社」には、制度・文化・マネジメントの面でいくつかの共通点があるのです。
本記事では、人が辞めない会社に共通する7つの特徴を軸に、離職率が高まる原因や具体的な改善施策までを網羅的に解説します。自社の課題と照らし合わせながら、従業員が定着する組織づくりのヒントを見つけてください。

「人が辞めない会社」とは、従業員の離職率が低く、多くの人が長期にわたって勤務を続けている企業を指します。離職率とは、一定期間内に退職した従業員の割合を示す指標であり、企業の働きやすさを測るうえで欠かせない数値です。
計算式は「離職率=離職者数÷期初の常用労働者数×100(%)」で算出されるのが一般的です。日本企業の平均的な離職率はおおむね15%前後で推移していると言われているため、この数値を一つの基準として、自社の水準が高いのか低いのかを客観的に確認してみましょう。
ただし、離職率が低ければ低いほど良いとは限りません。極端に低い場合にはポストの停滞や組織の硬直化といったリスクも生じるため、数値の意味を多面的に捉える視点が大切です。

それでは、定着率の高い企業に共通して見られるポイントを7つに整理して紹介します。すべてを同時に満たす必要はありませんが、自社に足りていない要素がないかチェックする指標として活用してください。
退職理由として常に上位に挙がるのが「職場の人間関係」に関する不満です。上司との相性が合わない、相談できる相手がいない、ハラスメントが放置されているなどの状況は、早期離職に直結しやすい要因となります。
人が辞めない会社では、役職や部署を超えてコミュニケーションが取りやすく、風通しの良い社風が形成されています。ハラスメント研修の実施や相談窓口の設置など、従業員が安心して働ける体制が整っている点も共通の特徴でといえるしょう。
日頃から些細なことでも声をかけ合える関係性があるかどうかは、組織の定着力を大きく左右します。
「頑張っても正当に評価されない」と感じた従業員は、モチベーションを失い、転職を検討し始める傾向にあります。とくに、評価基準が曖昧で上司の主観に依存している場合、不公平感が蓄積しやすくなるでしょう。
人が辞めない会社に共通するのは、客観的な評価基準が明文化されており、結果だけでなくプロセスも含めて多角的に評価する仕組みが整っている点です。360度評価の導入や、評価結果に対する丁寧なフィードバックの実施も有効な手段といえます。
従業員が「自分の努力がきちんと見てもらえている」と実感できる環境こそ、長く働き続けたいと思わせる土台になります。
給与水準や福利厚生の充実度は、従業員の心理的な安定を支える重要な要素です。有給休暇とは別に特別休暇が設けられていたり、住宅手当や家族手当が支給されていたりする企業は、従業員から「ここで働き続けたい」という信頼を得やすくなります。
ただし、制度が存在していても実際に使いにくい環境であれば意味がありません。利用状況を定期的にモニタリングし、従業員の声を反映させながら「使われる制度」へとブラッシュアップしていくことが求められるでしょう。
働き方改革の浸透にともない、求職者の多くは「定時退社が可能か」「プライベートの時間を確保できるか」を重視するようになっています。残業が常態化している企業や、「残業=頑張っている」という価値観が残る職場は、従業員満足度が低下しやすい環境です。
人が辞めない会社では、無理のない労働時間管理が徹底されており、ダラダラと残業が続くことがありません。評価基準として労働時間の長さではなく成果を重視する姿勢が浸透しているケースが多いのも特徴といえます。
「この会社にいても成長できない」という感覚は、とくに意欲の高い人材ほど離職を決断するきっかけになりやすいものです。研修制度や資格取得支援の整備、社内異動やプロジェクト参加の柔軟化など、従業員が自己成長を実感できる環境をつくることが欠かせません。
キャリアパスが明確に示されていれば、「この会社で頑張れば将来こうなれる」という見通しが立ち、従業員の安心感につながるでしょう。とくにZ世代を中心に、キャリアデザインを自分で描きたいと考える若手が増えている点にも注意が必要です。
心理的安全性とは、チームのメンバーが不安を感じることなく意見を言ったり、挑戦したりできる状態を指します。Googleが実施した大規模調査(プロジェクト・アリストテレス)でも、生産性の高いチームには安全・安心・ポジティブな関係性があることが実証されました。
人が辞めない会社では、ミスを責めるのではなく「学びの機会」と捉える文化が根づいています。上司に何でも相談できる信頼関係が構築されており、従業員は安心して業務に取り組めるのです。
こうした文化は一朝一夕には醸成されませんが、日々のコミュニケーションを通じて少しずつ育てていく価値のある取り組みでしょう。
「ありがとう」「よくやったね」といった感謝や称賛の言葉が日常的に交わされる職場は、心理的安全性が高く、従業員のエンゲージメントも向上しやすい傾向があります。
しかし、感謝の気持ちは思っていても伝えられないケースが多いのが実情です。忙しい日常業務の中で、面と向かって感謝を伝える機会は限られてしまいます。
称賛・感謝の文化を「個人の心がけ」に委ねるだけでなく、組織として仕組み化する視点が重要でしょう。従業員の貢献を可視化し、互いに認め合う土壌を意図的につくっていくことが、定着率の高い組織づくりの鍵となります。

定着率の高い会社の特徴を理解したら、逆の視点も押さえておきましょう。離職率の高い会社には、いくつかの共通した問題が存在します。
上司の質は職場環境に直結する要因です。人望がなくリーダーシップに欠ける上司のもとでは、とくに若手を中心に不満が蓄積しやすくなります。
適切なフィードバックがない、指導が場当たり的である、ハラスメントが放置されているといった状況は、従業員の離職を加速させる大きな要因です。管理職の育成や評価者研修への投資は、離職防止において見逃せないポイントといえるでしょう。
特定の従業員に業務が集中している職場では、過度なストレスや体調不良のリスクが高まります。慢性的な人手不足によって一人あたりの負担が増えると、「この会社では身体を壊すのではないか」という不安が離職の引き金になりかねません。
さらに、人手不足が採用難を招き、採用難がまた人手不足を深刻化させるという悪循環に陥りやすい点も注意が必要です。
能力が高く多くの業務をこなしている従業員に対して、ほかの従業員と同等の報酬しか支払われないケースは珍しくありません。こうした不公平感は不満として蓄積し、より正当な評価を受けられる環境を求めて転職を決断する原因になります。
優秀な人材ほど自分の市場価値を客観的に把握しているため、報酬と実績の乖離には敏感に反応するでしょう。結果として、本来手放したくない人材から先に離れていくという皮肉な状況を招きます。

「人が辞めない会社」は一見理想的に映りますが、離職率が極端に低いことには別のリスクも潜んでいます。このキーワードとあわせて検索される「ヤバい」という声の背景を理解しておきましょう。
離職率が低いということは、管理職やリーダーのポジションに長年同じ人物が就いている可能性が高いということでもあります。そのため、若手や中堅の従業員にとっては昇進のチャンスが極端に限られてしまうのです。
「出世して裁量を持ちたい」「マネジメントに早く挑戦したい」と考えている従業員にとっては、ポストの停滞がモチベーション低下の原因となり得るでしょう。
従業員の入れ替わりが少ない企業は、新しい視点や発想が入りにくく、旧態依然とした体質になりがちです。新しい意見を出しても「今までのやり方」が優先される環境では、変化への対応力も鈍くなってしまいます。
市場環境が激しく変化する時代において、組織の新陳代謝が滞ることは、企業の成長を阻む大きなリスクとなるでしょう。
離職率はゼロを目指すものではなく、「健全な水準に保つ」ことが重要です。ポストの循環を促すための社内公募制度の導入や、部署異動の活性化など、組織に適度な新陳代謝をもたらす取り組みが求められます。
従業員が「辞められないから残っている」のではなく、「この会社で働き続けたいから残っている」と感じられる環境をつくることが、本来の目標といえるでしょう。

ここまでの内容を踏まえ、定着率の高い組織づくりに向けて具体的に何から取り組めばよいのかを紹介します。すべてを同時に導入する必要はなく、自社の課題に応じて優先順位をつけながら進めてみてください。
離職防止の第一歩として有効なのが、社内コミュニケーションの質と量を高める取り組みです。
上司と部下が定期的に対話する1on1ミーティングの導入は、従業員の悩みや不安を早期に把握するうえで効果的でしょう。部署横断のランチ会やプロジェクトチーム制度など、日常的な接点を増やす仕組みも有効です。
また、フリーアドレス制度の導入や社内SNSの活用によって、部門間の壁を低くし、風通しの良い職場環境を整える企業も増えています。
評価制度への不満は離職の大きな要因となるため、見直しの優先度は高いといえます。
まずは評価基準を明文化し、全従業員に周知するところから始めましょう。上司単独の評価ではなく、同僚や部下も含めた多面評価を取り入れることで、客観性と納得感を高められます。
評価者自身のスキルアップも欠かせません。評価者研修を定期的に実施し、属人的な判断に偏らない評価体制を構築していくことが重要です。
従業員のライフステージは年齢や家庭環境に応じて変化します。テレワークやフレックスタイム制など、柔軟な働き方の選択肢を用意しておくことで、「状況が変わっても辞めずに働き続けられる」と感じてもらえるようになるでしょう。
副業・兼業の容認も、従業員の成長意欲やキャリアの幅を広げる施策として注目されています。多様な働き方を認める姿勢は、採用時の訴求力向上にもつながります。

人が辞めない会社の特徴の中でも、「称賛・感謝の文化」は近年とくに注目を集めている要素です。人は誰でも、自分の努力や貢献が認められると嬉しいものです。承認欲求が満たされた従業員は、職場への愛着や仕事への意欲が自然と高まります。
感謝や称賛のコミュニケーションが活発な職場では、心理的安全性が向上し、従業員は安心して業務に集中できるようになるでしょう。結果として、エンゲージメントが高まり、離職率の低下につながるという好循環が生まれます。
一方で、称賛の文化を個人の自発性に任せるだけでは、忙しい日々の中で自然消滅しがちです。組織として仕組み化し、持続的な運用を支える環境が不可欠といえるでしょう。
チームワークアプリ「RECOG」は、メンバー同士が感謝や称賛のレターを贈り合えるチームワークアプリです。日常業務の中で見えにくい従業員一人ひとりの活躍を可視化し、称賛文化を自然に根づかせる仕組みを提供しています。称賛し合うことで従業員のモチベーションを高め、社内のエンゲージメントを向上させていくことが可能です。
RECOGの詳細は以下の資料で紹介しているので、ぜひご覧ください。
人が辞めない会社には、人間関係や社内制度、組織文化などの共通点が見られます。一方で、離職率が極端に低い場合にはポストの停滞や組織の硬直化といったリスクもあるため、「健全な定着率を保つ」という視点を忘れないようにしましょう。
定着率を高めるためには、制度の整備だけでなく、日々のコミュニケーションの質を高める取り組みが不可欠です。とくに、感謝や称賛の文化を組織全体に根づかせることは、エンゲージメントの向上と離職防止を同時に実現する効果的なアプローチとなります。
まずは自社の離職要因を把握し、優先度の高い施策から着手してみてください。称賛文化の醸成に課題を感じているならば、RECOGのようなツールを活用し、仕組みとして継続的に運用する方法も検討してみてはいかがでしょうか。
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