公私混同は同じ職場で働く従業員のやる気や集中力を低下させる迷惑行為です。内容によってはコンプライアンス違反に該当するだけでなく、企業イメージの低下を招くため、早急な対応が必要です。
本記事では、職場における公私混同の迷惑事例やリスク、対処法などを紹介します。職場の雰囲気や人間関係の改善に取り組んでいる方は、最後までご覧ください。

公私混同とは、仕事とプライベートの区別が付いていない状態のことです。職場における公私混同は、会社の設備や資金、業務時間などを私的に流用することです。
また、プライベートな感情や人間関係を業務に持ち込み、周囲に迷惑や不快感を与える言動も公私混同とみなされます。

境界線は企業によって異なるものの、業務の遂行に支障が生じていないか、周囲に迷惑をかけていないかが、公私混同を見極める1つの基準です。ここでは、許容範囲と許されない範囲を紹介します。
以下に該当する行動であれば、多くの企業で公私混同とはみなされません。
昼休みの私用電話
同僚との雑談
業務に支障のない範囲での私物利用
緊急時の私用対応
私用電話や雑談が短時間であれば、ほかの従業員の邪魔になる可能性は低いでしょう。また、ボールペンやハサミ、ノリなどの私物は業務で使用する機会も多いため、公私混同とみなす人は少ないといえます。
多くの企業で公私混同とみなされる行動は以下のとおりです。
業務時間中に長時間の私的行為
会社のリソースを私的流用
個人的感情による不公平な対応
プライベート優先の行動で業務が停滞
自身の担当業務が終わっていないにもかかわらず、プライベートを優先した行動を繰り返した場合、ほかの従業員に迷惑がかかります。
また、企業の備品や設備を無断で使用する行為は、窃盗罪に該当する可能性があり、備品の金額や持ち帰り回数などによっては懲戒処分の対象です。
さらに、プライベートな感情や人間関係を業務に持ち込むと、職場内の雰囲気が悪化します。このあとで公私混同の迷惑事例を詳しく紹介します。

職場で頻繁に起きる公私混同の迷惑事例を内容ごとに紹介します。
「職務専念義務」にもとづき、就業時間中は業務に無関係の作業・行動を取ってはいけません。以下の行動は職務専念義務違反に該当し、組織全体の生産性や従業員のやる気を低下させるだけでなく、懲戒処分の対象です。
就業時間中、長時間の私用電話やSNSのチェックを頻繁に繰り返しているケースです。従業員は担当業務に集中しきれておらず、業務効率や成果物の品質が低下し、部署全体の業務進行に悪影響を及ぼします。
私用電話やSNSを利用する様子を見た周囲の従業員は不快に思い、集中力とやる気が低下するでしょう。また、機密情報の流出やSNSでの炎上リスクなど、多大な損失を被る事態に発展する可能性も考えられます。
副業を認めていたとしても、就業時間中の内職は職務専念義務違反に該当し、懲戒処分の対象です。担当業務を満足にこなせていないにもかかわらず、副業をしていた場合は周囲から「給料泥棒」と思われても仕方ないでしょう。
また、就業時間中に別の仕事をしていた事実が発覚した場合、同じ部署やチームで働くメンバーのやる気を削ぎ、職場の雰囲気や人間関係が悪化させる要因となります。
外回りの際に買い物や美容院、銀行での振り込みなど、プライベートの用事を済ませるケースです。従業員は職務専念義務にもとづき、就業時間中は私的な行動を控えて自身の担当業務に集中しなければなりません。
また、外回りの際にプライベートの用事を済ませる様子が、顧客や取引先に見られた場合、イメージダウンとなります。
企業のリソースを私的流用する行為は、コンプライアンス違反に該当するだけでなく、内容によっては多大な損失を被ります。ここでは3つの迷惑事例を紹介します。
企業が所有するオフィス備品や設備などを従業員が無断で私的利用した場合、経費の増大やコンプライアンス違反を招きます。
たとえば、従業員がコピー機を使用したとしましょう。子どもが学校からもらった年間行事やお知らせなどの書類をコピーした場合、コピー用紙やインク代が無駄になります。
また、企業側が付与した業務用PCを使用し、業務に無関係のWebサイトを就業時間中に閲覧する行為は、コンプライアンス違反に該当します。職務専念義務にもとづき、従業員は担当業務遂行に関するサイト以外は閲覧できません。
顧客情報や商品データなど、業務を通じて得た機密情報や人脈を自身のビジネスに活用するケースです。機密情報を意図的に第三者へ流出させた場合、顧客や取引先からの信用は失墜し、今後の取引に多大な悪影響を及ぼします。
場合によっては損害賠償金を請求され、流出した情報の内容や被害範囲によっては、数百万~数億円規模の費用を支払分ければなりません。また、機密情報の流出は不正競争防止法や個人情報保護法の違反に該当し、刑事罰の対象となる可能性もあります。
仕事終わりや休日などで社用車を利用した場合、ガソリン代の無駄に加え、事故のリスクが発生します。たとえば、営業担当者が営業車を使って外回りをしたあと、直帰してプライベートな買い物をしたとしましょう。
店舗に立ち寄った際や帰宅途中で事故に遭う可能性は0ではありません。仮に事故に遭った際、事故の内容によっては営業車の修理代や買い替え費用などが発生します。
現在、社用車の私的利用を制限する法律や規制はありません。企業によっては事故やトラブルを防ぐため、就業規則に社用車の私的流用を禁止する旨を定めています。
また、「金曜日は社用車での直帰を禁止する」をはじめ、社用車で直行直帰する際のルールを決めておくと、私的利用しにくい環境を整えられます。
プライベートな感情や人間関係を持ち込む行為は、職場の雰囲気や人間関係を悪化させます。ここでは2つの迷惑事例を紹介します。
恋愛感情を職場に持ち込んで職場の雰囲気や人間関係を悪化させるケースです。たとえば、女性従業員が同じ部署で働く男性従業員に好意を寄せていたとしましょう。
自分が好意を寄せる相手にだけ丁寧に接し、ほかの従業員には横柄な態度だと、周囲からの反感を買います。従業員の性格によっては、好意を寄せる相手と会話の頻度が多い同僚や先輩、後輩に嫉妬する可能性もあるでしょう。
従業員の性格によっては嫌がらせを行ない、最悪の場合はハラスメントに発展するおそれも考えられるため、素早い対応が必要です。
また、社内恋愛中のカップルが別れてどちらかが引きずっていた場合、仕事が手に付かないケースも考えられます。失恋が原因で仕事に支障が生じると、部署やチーム全体に迷惑がかかるため、公私混同の傾向が見られた際は上司がすぐに注意しましょう。
プライベートでの人間関係を職場に持ち込み、職場の雰囲気や人間関係を悪化させるケースです。たとえば、パートナーと喧嘩中の男性従業員がいたとしましょう。業務中も不機嫌な様子を隠さない場合、部署やチームの雰囲気が悪化します。
不機嫌な表情が続く場合や日によって気分の差が激しい場合、周囲は男性従業員と距離を取り、最低限のやりとりしか交わさなくなるでしょう。
自身の感情や価値観、信仰などを過度に押し付ける行為は、ハラスメントに発展する可能性があるため、注意が必要です。ここでは3つの迷惑事例を紹介します。
パートナーや子どもの自慢、自身の趣味など、プライベートの話を延々と繰り返すケースです。聞き手は業務の最中に話しかけられることで集中力が低下するだけでなく、話を聞いている間は思うように作業が進められません。
時間が無駄になるだけでなく、興味がない話を聞くことに対するストレスや疲労が溜まります。自身の業務に集中するため、最低限の会話にとどめる、曖昧な返事で流すなど、相手へ必要以上に関わらないようにしましょう。
個人が信仰する思想・宗教をほかの従業員にも押し付ける行為は、レリジャスハラスメントに該当します。レリジャスハラスメントとは、「宗教に関する嫌がらせ」の意味合いで、パワハラの一種です。
宗教団体への勧誘や寄付金の要求、無宗教者への軽蔑などは、レリジャスハラスメントに該当します。職場の雰囲気や人間関係が悪化する要因にもなるため、被害が出る前に就業規則へ禁止・懲戒処分の対象となる旨を記載しましょう。
家族やパートナー、恋人への愚痴を頻繁にこぼし、ときには不満や怒りを同じ職場で働く従業員へ八つ当たりするケースです。プライベートの不満を職場に持ち込む従業員がいると、ほかの従業員のストレスが増大し、業務へのモチベーションが低下します。
愚痴や八つ当たりに毎回対応していると、聞き手の精神的な負担が大きいため、相手に必要以上に肩入れせず、一定の距離を保ちましょう。また、プライベートの不満を職場に持ち込む従業員に対し、上司が面談の場で注意することも重要です。

公私混同による迷惑行為は以下5つの悪影響を招きます。
公私混同による迷惑行為が原因で組織全体の生産性が低下します。勤務中の私用電話やSNSの利用などによって、本人が担当業務を片手間でこなしていると、通常時と比べて作業効率が大幅に低下するためです。
業務に集中しきれていない様子を見た周囲の従業員も、集中力ややる気が削がれるでしょう。状況が改善されない限り、通常業務の遂行に支障が発生し、最悪の場合は顧客トラブルに発展します。
プライベートの不満や人間関係を職場に持ち込む従業員がいると、職場の雰囲気が悪化します。たとえば、家族やパートナーの不満・愚痴を毎日のように聞かされた場合、ほかの従業員は精神的に疲弊します。
仮に公私の区別が付かない従業員から八つ当たりされた場合は、部署内の人間関係がギクシャクし、仕事が進めづらくなるでしょう。
また、恋愛感情や私情を業務に持ち込み、自身が気に入っている従業員だけを評価する行為は、ほかの従業員に不公平な印象を与えます。従業員のモチベーションが低下し、最悪の場合は離職者が相次ぐでしょう。
個人の感情や思想を必要以上に押し付ける行為は、セクハラ・パワハラを招く要因となります。たとえば、成果をきちんと出しているにもかからわず、上司が自身の考え方に従わないとの理由で、部下を罵倒する行為はパワハラです。
パワハラの被害に遭った従業員が訴訟を起こした場合は損害賠償金を請求され、場合によっては数百万~数千万円規模の費用を支払わなければなりません。パワハラや訴訟の事実が報道された場合、企業イメージやブランドイメージが低下し、多大な損失を被ります。
また、恋人の有無や休日の過ごし方など、プライベートの過ごし方を執拗に聞く姿勢はプライバシーの侵害に該当し、従業員によってはセクハラと感じます。パワハラやセクハラの発生を防ぐため、日々の言動には細心の注意が必要です。
公私の区別が付かない従業員の問題行動が原因で企業イメージが低下し、多大な被害を被るリスクが高まります。たとえば、従業員が業務で得た機密情報を活用し、副業をはじめたとしましょう。
仮に顧客情報を第三者に流出させた場合は顧客からの信用が低下し、最悪の場合は取引停止や損害賠償請求に至るケースも出てくるでしょう。
また、業務用PCやスマートフォン、社用車の私的利用などは、コンプライアンス違反に該当する行為です。違反した従業員に対して厳しい処分を下さない場合、ほかの従業員からの不満や不信感が高まります。
公私混同する従業員に厳しい処分を下さないと、優秀な従業員が流出します。真面目に働いている従業員の不満が蓄積し、状況が改善されない場合はより良い職場環境を求めて離職を決断するためです。
優秀な人材が流出すると、業務を通じて従業員が培ってきた知識や経験、ノウハウが失われ、組織力が大幅に低下します。後継者候補が流出した場合は、長い時間をかけて新たな人材を育成しなければなりません。
また、多くの人材が流出すると離職率が高まり、求職者から「働きにくい企業」とネガティブな印象が定着し、自社の条件に見合う人材が採用しにくくなります。

企業側は以下4つの対処法を実践し、公私混同による実害の発生を防ぎましょう。
ハラスメントや副業、備品・設備の使い方など、職場内のルールや服務規程に関して、就業規則で明示しましょう。就業規則は従業員と企業側、双方が守るべき内容をまとめた職場内の規律や労働条件に関するルールブックです。
さまざまな内容を就業規則に記載しておくことで、禁止事項と許可されている内容が明確になり、従業員とのトラブルを避けやすくなります。
また、内容を見直した就業規則は所轄の労働基準監督署に提出したあと、従業員全員に周知しましょう。書面を事前に配布して内容を説明する場を設けると、従業員が新たに追加された内容や見直された内容を正確に理解できます。
良好な職場環境とは、従業員が心身の健康を保ちつつ、自らの能力を最大限発揮できる環境のことです。従業員が働きやすい職場環境が整っている企業の特徴は、主に以下のとおりです。
コミュニケーションが取りやすい
働き方の選択肢が多い
残業時間が短い
福利厚生が充実している
オフィスの物理的環境が整っている
教育や研修制度が充実している
人事評価制度の公平性が高い
職場環境の改善に取り組む前に、どのような課題を抱えているか、把握することが重要です。たとえば、従業員から休憩時間が満足に取れないとの声があがった場合、オフィス内での弁当販売や休憩室の設置などを行ない、休憩時間を確保しやすい環境を整えます。
また、残業時間の多さが課題の場合は、ノー残業デーの導入やデジタル技術の活用など、業務効率化に向けた取り組みを実施します。
定期的な1on1ミーティングの実施で、上司と部下の関係性改善やコミュニケーション不足解消が期待できます。面談で上司が部下の仕事ぶりや成果を評価することで、信頼関係が構築されます。面談ではプライベートな内容も含めて話すため、相互理解が深まるきっかけにもなるでしょう。
週1回や月1回など、定期的に1on1ミーティングを実施すると、次第にコミュニケーションが取りやすくなります。会話の頻度が増えると、部下が仕事の悩みを上司に相談しやすくなり、不安や困りごとがあっても早期解決が望めます。
公私混同や嫌がらせなどで迷惑を受けている従業員を守るため、相談窓口を設置しましょう。相談窓口を設置しておけば企業側が現状を素早く把握し、被害を受けた従業員へのメンタルケアや問題行動を取った従業員への処分など、素早い対応が可能です。
相談窓口の設置で、従業員に「嫌なことがあったらすぐに相談窓口へ連絡すればいい」と安心感も与えられます。また、リソースに不安を抱える場合は、社外相談窓口を利用しましょう。
社外の相談窓口には法律や心理の専門家に加え、客観的な立場で悩みを聞いてもらえるため、社内の人に話しにくい内容も相談ができます。

職場の雰囲気を良くし、公私混同が起きにくく従業員が気持ちよく働ける環境を作るには、社内コミュニ―ションの活性化が必須です。ポジティブなコミュニケーションが広がれば、職場トラブルが起きにくくなるでしょう。
「RECOG」は、感謝・称賛といったやり取りを通じて社内コミュニケーションを活性化できるチームワークアプリです。サンクスカードを贈り合えるレター機能、情報共有を促進できるスレッド機能、チャット形式で会話ができるトーク機能といった、コミュニケーション活性化につながる機能が充実しています。
RECOG上のやり取りはリアルタイムで分析できるため、社内の人間関係の可視化にも役立つでしょう。
RECOGの詳細は以下の資料で詳しく紹介しています。
職場における公私混同とは時間やリソースの私的流用など、企業側に迷惑や実害を及ぼす行為です。業務用PCや機密情報の私的流用は一歩間違えると、自社に多大な損失が生じるだけでなく、刑事罰の対象になります。トラブルを防ぐには就業規則の見直し・周知を行ない、職場内のルールを従業員に伝えることが重要です。
また、プライベートな感情や人間関係を業務に持ち込む従業員がいた場合、職場の雰囲気や人間関係が悪化します。1on1ミーティングの実施や相談窓口の設置などを行ない、従業員のケアや実害の発生防止に努めましょう。
本記事を参考に職場環境を改善し、公私混同が原因での迷惑行為削減に取り組んでみてはいかがでしょうか。
\\編集部おすすめ記事//