「あの人はどうして大事な情報を教えてくれないんだろう…」と思った経験はないでしょうか。
仕事で共有すべき情報は、進捗状況や変更事項、取引先や競合他社のデータ、ナレッジ・ノウハウなど多岐にわたります。しかし、情報共有しない人によって伝達が滞ると、チームワークや生産性の低下、トラブルの発生を招きかねません。
本記事では、情報共有しない人の心理を解説し、具体的な対策をご紹介します。

こまめな報連相が身についている人にとっては、情報共有しない人の行動を不思議に思うのではないでしょうか。はじめに「なぜ情報共有しないのか」その心理を解説します。
まず挙げられるのは、情報共有が重要だと認識していないケースです。「共有しなくても困らない」「自分の仕事ではない」と思っているために、情報共有の優先順位が低くなっています。
また、「共有してもらった情報のおかげで助かった」「事前に報告していたためミスが防げた」などの成功体験がないことも、情報共有の重要性を感じられない一因です。
情報共有のプロセスが煩雑で、面倒に思っている場合もあります。たとえば、資料をメールで送るだけなら、それほど時間や手間もかからないでしょう。しかし、印刷してメンバーそれぞれに配布するとなると、忙しい業務のなかで後回しになります。
また社内ポータルサイトや社内SNSなど、情報共有に利用するツールの操作が難しければ、さらに面倒くさく感じるでしょう。
「共有しても評価されない」「自分の業務効率が上がらない」など、メリットを感じられない人も情報共有に消極的になります。チームのためと思ってナレッジやノウハウを共有しても感謝されなかったり、自分が一方的に共有するばかりで、周囲からは有益な情報が返ってこなかったりすると、「共有しても意味がない」と考えてしまいます。
情報共有しない人のなかには、自分だけが知っている情報で存在価値を示そうとする心理が働いている場合もあります。取引先や競合他社のデータなど、独自の情報によって高い成果を上げ、それが社内の評判や人事評価につながることがあるからです。
そのため、情報共有する人を評価する仕組みがない組織では、情報共有しない人が増えるリスクがあります。
「ミスがばれる」「評価が下がる」「批判される」といった不安から、情報を出し渋るケースもあります。よかれと思って共有した事例に対して思わぬ指摘や批判を受けたり、スキル不足が露呈して恥をかいたりした経験があると、心理的な抵抗が生まれやすくなるでしょう。
多くの場合、背景には、チームの心理的安全性が確保されていないという問題が潜んでいます。
上司やチームメンバーへの不信感から、情報共有をためらうことも少なくありません。過去に共有した情報が適切に扱われなかったり、報告しても否定されたりしたために、「また嫌な思いをするのでは」と後ろ向きになってしまいます。
さらに、日頃の人間関係が良好でなければ「共有した情報が一方的に利用されるかもしれない」と不安になる人もいるでしょう。
意図的に情報共有を怠っているのではなく、本人は共有しているつもりの場合もあるため、注意が必要です。共有すべき情報の範囲とタイミングの認識が異なり、本人と周囲でギャップが生じている状態です。
本人はきちんと伝えているつもりのため、報連相が不十分であると気づきにくく、自身で改善することが難しいケースも多いでしょう。
特定の人を困らせる目的で、あえて情報を渡さない人もいます。必要な情報を共有せず業務を滞らせて、ミスを誘発したり、相手の評価を下げたりする「嫌がらせ」です。
こうした状況は、普段の人間関係やチームワークがうまくいっていないために起こることが多く、情報共有のルール整備とあわせて、日頃のコミュニケーションも見直す必要があります。

情報共有しない人がいると、仕事が円滑に進まず、さまざまなトラブルを招きます。ここからは、情報共有されないことによるリスクを具体的に見ていきましょう。
情報共有されないことによるリスクのひとつは、生産性の低下です。
たとえば、過去の資料やデータを共有せず個人で保管していると、他のメンバーが必要なときにすぐに情報を見つけられません。場合によっては、誰が持っているかから探さなければならず、余計な時間や手間がかかります。
さらに、メンバー間で十分な進捗共有やコミュニケーションが行なわれなければ、同じ作業に取り組んでしまうなど、業務の重複も発生するでしょう。
また、情報共有しないことは、実は「情報共有しない人」本人の生産性も低下させます。もし、取引先の情報を共有していなければ、メンバーや上司、他部門の人からも、進捗確認の問い合わせが相次ぐでしょう。その都度、質問に答えなければならず、時間を大きくロスしてしまいます。
情報共有が不十分な組織では、仕事の進め方や注意点を特定の人しか把握していないために、業務の属人化が起こります。
具体的には、取引先とのやり取りをすべて自分のメールやメモで管理している場合、その人が異動したり退職したりすると、周囲は状況がわからず困ってしまうでしょう。「どこまで話が進んでいるのか」「何に気をつけるべきか」がわからず、適切な対応が難しくなります。その結果、大きなミスやトラブルにつながり、先方との関係に亀裂が生じる可能性もあります。
さらに引継ぎの場面でも、過去の履歴や情報が共有されていなければ、新しい担当者は一からやり方を模索しなければなりません。業務が滞り生産性が低下するだけでなく、組織としてのナレッジが蓄積されず、新たな取り組みへのチャレンジもできなくなるでしょう。
情報が共有されなければ、伝達漏れによる品質低下やクレーム、納期遅延といった問題も発生しやすくなります。
たとえば、取引先から「納期を1週間早めてほしい」と依頼があったにもかかわらず、それを社内外の関係者に共有し忘れてしまった場合、希望の納期に間に合わないリスクがあるでしょう。仮に間に合ったとしても、急な対応のために製品に不備が生じてしまう事態も珍しくありません。
ミスが発覚した際も、すぐに報告されなければ対応が遅れ、トラブルがより深刻化する可能性があります。取引先の信頼を失ったり、取引が中止になって経済的な損失を招いたりすることもあるでしょう。また、本人がミスやクレーム対応に追われるのはもちろん、上司や上層部が対応に当たらざるを得なくなると、他の業務に差しさわりが出て、組織全体のパフォーマンスが低下します。
情報共有されないことによる影響は、業務面だけでなく、チームの人間関係にも及びます。
上司の指示や会議での決定事項など、重要な情報が共有されなかったために、ミスや業務の重複が起こると「なぜ教えてくれなかったのか」と不満が募ります。同じような状況が続けば、「また必要な情報が共有されていないのでは」と不安になって、過度に確認を行なったり、強い口調で問い詰めたりしてしまうでしょう。メンバー同士が互いを信頼できなくなって人間関係やチームワークが悪化し、業務効率も低下するなど、悪循環に陥ります。
さらに、信頼できないメンバーと一緒に働くことは日々のストレスになります。「頑張っても成果につながらない」とモチベーションが下がり、最悪の場合、離職を選択するケースも少なくありません。

適切な対策を講じることで、情報共有の頻度や質は高まります。具体的な対策を5つご紹介しますので、情報共有しない人にお悩みの方は、ぜひ取り組んでみてください。
まずは組織やチームに対して、改めて情報共有の目的・メリットを伝える場を持ちましょう。「生産性を上げて残業時間を減らすため」「過去の○○のようなトラブル再発防止のため」など、組織の今の状況や、危機感を持ちやすい具体例を交えて話すと効果的です。
情報共有しない人が一部に限られている場合は、情報共有できないわけを個別に確認し、その理由に合わせて目的・メリットを伝えましょう。たとえば、情報共有の重要性を理解していなければ「業務進捗やナレッジ・ノウハウを共有し合うと、チームの成果や業務効率の向上につながる」ことを説明します。また、自分にメリットがないと感じている人には「実は自身の負担軽減になる」「人事評価に反映される」など、本人にとってのメリットにフォーカスして伝えるとよいでしょう。
情報共有に関するルールを具体的にしておくことも有効です。情報共有とひと口に言っても、人によって重要だと感じる内容や、共有するタイミングは異なります。そのため、個々人の判断に任せていると、どうしても認識の差や共有漏れが発生します。
チーム全体が同じ基準で情報共有できる状態を整えるため、「何を」「いつ」「どのように」共有するかを明文化しましょう。ルール例は以下のとおりです。
「何を」…業務進捗、会議での決定事項・変更点、懸念事項 など
「いつ」…チャットで随時、相談は定例ミーティングで など
「どのように」…日々の業務進捗はチャット、緊急の場合は電話、取引先へのメールは関係者全員をcc.に入れる など
こうしたルールを決めておくと、情報共有の個人差や曖昧さがなくなり、「共有しているつもりだった」というギャップも解消できます。
情報共有を促すためには、個々人の意識を変えるだけでなく、組織全体の仕組みを整えることも重要です。
たとえば、日報フォーマットを用意すると、日々の業務進捗や取引先とのやり取りを自然に報告できます。タイムリーに共有できるため、周囲がミスやトラブルに早く気づけるメリットもあります。
また、手軽に連絡を取り合えるチャットツールを導入すれば、「面倒くさいから」という理由で情報共有しない人への対策にもなるでしょう。
さらに、定例ミーティングの設定も有効です。進捗状況を確認できるのはもちろん、チーム内のコミュニケーションが増え、些細な困りごとも相談しやすくなります。
このように仕組みやツールを上手に活用できれば、情報共有の負担が減り、日常業務のなかで報連相が定着していくでしょう。
チームや組織の情報共有をより活性化させるためには、情報共有した人が評価され、インセンティブを受けられる仕組み作りが必要です。
具体的には、ナレッジ共有の件数や内容を人事評価項目に加える仕組みが挙げられます。情報共有のモチベーションが上がり、多くのナレッジ・ノウハウが集まることが期待できます。また、情報共有を評価対象にすることで、「情報を独占して優位性を保ちたい」という心理から情報共有しない人への対策にもなるでしょう。
さらに、優れた共有事例を表彰する取り組みも効果的です。前向きに取り組む動機付けになるのはもちろん、表彰を通して“いい情報共有”の例を提示できるため、組織全体の共有の質向上につながります。
情報共有することが組織のスタンダードになると、情報共有しない人が目立つようになるため、おのずと報連相が活発化していくでしょう。
冒頭の「情報共有しない人の心理」で解説したとおり、情報共有しない背景には、メンバーや上司との関係性を構築できていないという理由もあります。逆に言えば、相互理解が深まり、信頼関係が築けると「この人になら教えてもいいかな」「このチームの役に立ちたい」といった前向きな気持ちから、主体的に情報共有するようになります。
その土台作りのためにも1on1ミーティングを設定してメンバーとじっくりと話をしたり、自らの失敗談を開示したりと、日頃から関係性をつくることが大切です。
また情報共有の成功体験となるよう、些細な情報であっても共有してくれたメンバーに感謝し、ポジティブなフィードバックを行ないましょう。特に、過去に情報共有が原因で叱責されたり、情報が適切に扱われなかったりした経験のあるメンバーに対しては、安心できる環境だと感じてもらう必要があります。

情報共有してくれない人への具体的な対策をご紹介しましたが、それでも人によっては頑なに共有してくれないこともあるでしょう。その背景にはより深刻な問題が隠れている場合もあるため、適切な対応が求められます。
情報共有しない人と1on1ミーティングを行ない、なぜ共有できないのか、本音を個別に聞き出します。このとき、批判ではなく課題解決のスタンスで対話することが重要です。「情報共有のタイミングがつかめない」「共有すべき情報だと思っていなかった」など、個別に解決できるものはアドバイスによって改善を、情報共有のルールや仕組みに不備がある場合は見直しを行ないましょう。
情報共有できない理由を本人に確認し、個人の課題ではなく組織の問題であると判断した場合には、人事制度や評価制度の見直しを上申します。他チームでも同様の事象が起こる可能性があるため、早めに対応しましょう。
また、情報共有によってチーム内で理不尽な叱責や否定など、パワハラのような行為が疑われる際は、適切な部門に報告し、組織として迅速に解決する必要があります。

組織の情報共有を活発にするためには、「称賛・感謝の文化」を育むことがポイントになります。日常的に感謝を伝え合い、前向きなコミュニケーションが飛び交う環境では、心理的安全性が高まり、自然と情報共有への抵抗感が薄れていくでしょう。
たとえば、共有した際に「ありがとう」「助かる」と声をかけてもらえると、自分の情報共有がチームの役に立っていると実感でき、その後も安心して共有できるようになります。また、サンクスカードなどを通して感謝・称賛されると貢献が可視化されるため、「情報共有しても意味がない」という思い込みも解消されるでしょう。

組織の称賛文化醸成は、情報共有をしない人を減らすことにも効果が期待できます。チームワークアプリ「RECOG」は、搭載されているレター機能で感謝・称賛の気持ちを贈り合うことができ、手軽に称賛文化の醸成が可能です。
また、投稿機能ではノウハウや成功事例などの情報を投稿し、社内で共有することも可能。画像やファイルも添付できるため、RECOGで称賛文化の醸成と情報共有の促進を同時にかなえられるでしょう。
詳しい機能はこちらの資料で紹介しているので、ぜひダウンロードしてみてください。
組織やチームで仕事をするうえで、情報共有は欠かせません。報連相が不十分であれば、「情報共有されない人」はもちろん「情報共有しない人」にとっても、生産性の低下やミスの発生、人間関係の悪化など、さまざまなリスクが生じます。
一方、情報共有しない人には、それぞれの理由があります。重要性やメリットを感じられなかったり、過去の経験から不安を抱いていたりと、個々人の背景があるため、その理由にあわせた対策が必要です。
また、情報共有の課題を解決するうえでは、ツールの活用も効果的です。組織全体の情報共有を活性化させたい方は、ぜひチャットツールの導入や、称賛文化を根付かせる仕組み作りを重点的に取り組んでみてはいかがでしょうか。
\\編集部おすすめ記事//
[inter id="36情報共有しない人への対策にお悩みの方へ。本記事では、情報共有しない人の心理的原因を8つ解説し、具体的な対策5選をご紹介。業務効率の低下や属人化などのリスクを防ぎ、チームの情報共有を活性化させる方法がわかります。2"]