コラム

管理職の罰ゲーム化とは?構造的な原因と、企業・個人それぞれの対処法を徹底解説

管理職の罰ゲーム化とは?構造的な原因と、企業・個人それぞれの対処法を徹底解説

公開日: 2026.02.09
更新日: 2026.02.09
「管理職になるのは罰ゲームだ」こんな言葉が、日本のビジネスシーンで当たり前のように聞かれるようになりました。

 

かつては出世の象徴だった管理職への昇進が、今では「できれば避けたいポジション」として語られる場面が増えています。書籍『罰ゲーム化する管理職』がベストセラーになったことも、この問題への関心の高さを物語っているでしょう。

 

しかし、「罰ゲーム」という言葉だけが一人歩きしている側面もあるのではないでしょうか。本質的な問題はどこにあり、何を変えれば状況は改善するのか。そして、いま管理職として働いている人、あるいは昇進を打診されている人は、どう向き合えばよいのか。

 

本記事では、管理職が罰ゲーム化した構造的な原因を整理したうえで、企業が取るべきアプローチ、個人の対処法、そして「管理職を引き受けるべきかどうか」の判断軸までを網羅的に解説します。読後に、ご自身なりの答えが見えている状態を目指してください。

 

 

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「管理職の罰ゲーム化」とは?

管理職の罰ゲーム化とは、管理職になると業務量が増え責任も重くなるにもかかわらず、その労力に見合った報酬がないために心理的な負担ばかりが増えていくことで、「罰ゲーム」のようになっている状況です。

 

かつては管理職への昇進を目指して働く人が多い傾向でしたが、現代は「大変だから管理職になりたくない」「管理職になっても得がない」と思い昇進意欲がない人は少なくありません。

 

「罰ゲーム化する管理職」が注目された経緯

管理職の負荷が問題視されること自体は、実は新しい話ではありません。上司と部下の板挟みに苦しむ中間管理職の姿は、昭和の時代からドラマや小説の題材になってきたテーマです。

 

では、なぜ今あらためて「罰ゲーム」という強い言葉で語られるようになったのでしょうか。

 

背景にあるのは、この20〜30年で起きた複数の経営トレンドが、ことごとく管理職の負荷を押し上げる方向に作用してきたという事実です。成果主義の導入、組織のフラット化、働き方改革、ハラスメント規制の強化、リモートワークの普及など、一つひとつは合理的な施策であっても、そのしわ寄せが管理職に集中する構造が生まれてしまいました。

 

こうした問題意識をデータと共に体系化した書籍『罰ゲーム化する管理職』が2024年に出版されると、多くのビジネスパーソンの間で共感を呼び、「管理職=罰ゲーム」というフレーズが一気に広まったのです。今やこの問題は、一企業の人事課題にとどまらず、日本社会全体の構造的課題として認識されつつあります。

 

 

「罰ゲーム」と感じる管理職に共通する3つの悩み

管理職が「罰ゲーム」と感じる背景には、いくつかの共通した悩みが存在します。

 

膨大な業務量

多くの管理職は、自分自身も数字を持つプレイングマネージャーとして現場に立ちながら、同時に部下のマネジメント、人事評価、会議への出席、経営層への報告など、多岐にわたる業務をこなしています。「マネジメントに専念できる時間がほとんどない」というのは、現役管理職の間で極めてよく聞かれる声でしょう。

 

板挟みの構造

経営層からは「もっと成果を出せ」と求められ、部下からは「残業を減らしてほしい」「もっと丁寧にフィードバックがほしい」と期待される。この相反する要求の間に立たされ、どちらを優先しても誰かから不満が出るという状況は、社会学で「役割葛藤(ロールコンフリクト)」と呼ばれる典型的なストレス構造に該当します。

 

報われない間隔

責任の重さに対して報酬が見合わない、残業代が付かなくなった分を管理職手当が補いきれない、評価されるのは短期的な数字だけでマネジメントの苦労は見えにくいなどの不公平感が、管理職をさらに「罰ゲーム」と感じさせる要因になっています。

 

 

なぜ管理職は罰ゲーム化したのか?5つの構造的要因

管理職の罰ゲーム化は、特定の誰かの責任ではなく、複数の構造的要因が重なって起きた現象です。ここでは、特に影響の大きい5つの要因を整理します。

 

要因1|組織のフラット化で「一人あたりの管理範囲」が拡大した

バブル崩壊以降、多くの日本企業は人件費を抑制するために管理職ポストを削減してきました。同時に、ピラミッド型の組織階層を減らす「フラット化」を進め、意思決定のスピードアップを図ろうとしたのです。

 

この施策自体には合理性がありました。しかし結果として、残された管理職一人あたりが見るべき部下の数は増え、以前なら複数の管理職で分担していた業務を、より少ない人数で処理しなければならなくなったのです。管理範囲の拡大は、管理職の負荷を押し上げる最も基本的な要因と言えるでしょう。

 

要因2|成果主義の浸透とプレイングマネージャー化

1990年代後半から広まった成果主義は、管理職にも短期的な業績目標を強く求めるようになりました。厳しい事業環境の中で目標を達成するには、管理職自身もプレーヤーとして数字を追わざるを得ません。

 

ここで厄介な悪循環が生まれます。プレーヤーとして優秀だった人ほど「自分がやった方が早い」「自分のやり方が正しい」という思考に陥りやすく、部下に仕事を任せられなくなるのです。その結果、部下は育たず、さらに管理職が業務を抱え込む——この負のループが多くの現場で回り続けています。

 

要因3|働き方改革の「しわ寄せ」が管理職に集中した

働き方改革は、長時間労働の是正という観点で重要な施策でした。しかし、多くの企業では「部下の残業を減らす」という目標だけが先行し、業務の総量自体は変わらないまま施策が進んだのが実態です。

 

その結果、何が起きたのか。18時に帰る部下が終えられなかった業務を、管理職が残業してカバーする——そんな光景が日常になりました。一般社員の働き方は改善した一方で、管理職にそのしわ寄せが集中するという「改革の副作用」が広がったのです。

 

要因4|ハラスメント対応・コンプライアンス業務の膨張

ここ10年ほどで、ハラスメント防止法の施行、コンプライアンス意識の高まり、ダイバーシティ推進など、管理職が対応すべき領域は大幅に広がりました。これらはいずれも社会的に必要な取り組みですが、その実行責任の多くが現場の管理職に降りてきています。

 

部下への指導ひとつとっても、パワハラと受け取られないか慎重に言葉を選ぶ必要があり、かつてのように率直に叱ることが難しくなったと感じる管理職は少なくないでしょう。業績に直結しないにもかかわらず時間と神経を消耗するこうした業務が積み重なり、管理職の負担感を一層高めています。

 

要因5|職務範囲の曖昧さ

欧米企業では、管理職の職務範囲がジョブディスクリプション(職務記述書)によって明確に定義されているケースが一般的です。一方、日本企業の管理職は、「チームで発生した問題はすべて管理職が対応する」という暗黙の期待の中で働いている場合が多いのが実情でしょう。

誰の担当でもない突発的な業務、部門間の調整、トラブル対応などの「こぼれ仕事」を拾い上げるのが管理職の役割として定着しています。職務範囲が曖昧であるがゆえに、際限なく業務が流れ込んでくるこの構造は、日本の管理職の罰ゲーム化を下支えする根本的な要因の一つです。

 

 

企業はどう変わるべきか?罰ゲーム化を止める5つのアプローチ

管理職の罰ゲーム化は構造的な問題である以上、個人の努力だけで解決するには限界があります。ここでは、企業・組織が取り組むべき5つのアプローチを解説します。

 

なお、よくある誤解として、「管理職のマネジメントスキルを研修で鍛えれば解決する」という考え方がありますが、これだけでは不十分です。スキルの問題ではなく、仕組みの問題に向き合う必要があるのです。

 

フォロワーシップ強化|部下の行動変容で負荷を減らす

管理職の負荷を下げるために、まず見直すべきは「部下の側の行動」です。意外に思われるかもしれませんが、部下の行動パターンが管理職の負担を大きく左右するという点は、見落とされがちなポイントでしょう。

 

たとえば、「上司に迷惑をかけないように」と部下が過度に気を遣い、報告や相談を控えるケースがあります。一見すると配慮のある行動に見えますが、結果として管理職は状況を把握できず、問題が大きくなってから対応に追われることになるのです。

 

逆に、部下が主体的に課題を報告し、解決案を提示する「積極的行動」を取ると、管理職の意思決定はスムーズになり、負荷は大幅に軽減されます。フォロワーシップの育成は、管理職本人ではなく、組織全体の文化として取り組むべきテーマです。

 

ワークシェアリング|管理職の役割を複数人で分担する

管理職の業務は、大きく「ヒトのマネジメント(人材育成・評価・メンタルケア等)」と「コトのマネジメント(業務推進・目標管理・予算管理等)」に分けられます。この2つをすべて一人で担うのが当たり前という前提自体を疑ってみるべきでしょう。

 

具体的な方法としては、部長職を複数名体制にする、副部長やチームリーダーに特定領域の権限を委譲する、「ヒト」と「コト」で担当を分けるなど、さまざまなパターンが考えられます。

 

重要なのは、単に「手伝ってもらう」のではなく、役割定義と管掌範囲を明文化したうえで分担する点です。曖昧な共有はかえって混乱を生むため、誰が何に責任を持つのかを組織として設計する必要があります。

 

ネットワーク・アプローチ|管理職の孤立を防ぐ

管理職は、構造的に孤立しやすいポジションです。部下の前では弱音を吐けず、同僚管理職とも忙しさゆえに深い対話の機会がなく、経営層には成果だけを求められるという環境が、判断力の低下やメンタルヘルスの悪化を招きます。

 

この孤立を防ぐために有効なのが、管理職同士のネットワークを組織として設計するアプローチです。同じ立場の管理職が定期的に集まり、課題や工夫を共有する場を設けるだけでも、「自分だけが苦しいわけではない」という安心感が生まれ、精神的な負担は軽減されるでしょう。

 

加えて、メンター制度や外部コーチの活用、産業医への相談ルートの整備など、管理職が「助けを求めてよい」と思える環境を作ることも大切です。

 

処遇・評価の再設計|「割に合わない」構造を変える

「責任は増えるのに報酬が見合わない」という不満は、管理職のモチベーションを根底から蝕みます。この問題を放置したまま、他の施策をいくら講じても効果は限定的でしょう。

 

見直すべきポイントは2つあります。1つ目は報酬設計です。管理職手当が残業代の喪失分を補えているか、責任の重さに対して適正な水準かという点を客観的に検証すべきです。

 

2つ目は評価指標の見直しです。短期的な業績数値だけでなく、部下の成長度合い、チームのエンゲージメント、組織の健全性といったマネジメント成果を正当に評価する仕組みが求められます。「管理職はコスト削減の手段」という発想から、「管理職は投資対象」という認識への転換が不可欠です。

 

キャリア・アプローチ|次世代リーダーの育成構造を変える

多くの日本企業では、年功序列的に社員を昇進させ、管理職候補を全員一律の研修で育てようとする傾向が残っています。しかし、この「全員均等」のアプローチこそが、管理職の罰ゲーム化を助長する一因になっているのです。

 

必要なのは、次世代リーダー候補を早い段階で見極め、意図的に挑戦的な機会を与えて計画的に育成する仕組みです。一方で、管理職コースに進まない社員には、特定分野のスペシャリストとしてキャリアを深める道を30代のうちから提示しましょう。

 

「選ばれなかった人は不公平ではないか」という懸念が出るかもしれません。しかし、専門職としてのキャリアパスを魅力的に整備すれば、むしろ社員にとっての選択肢は広がります。全員を同じ方向に走らせる画一的な育成から脱却し、適性に応じた多様なキャリアパスを設計することが罰ゲーム化を根本から変えるための鍵となるでしょう。

 

 

現役管理職が今日からできる5つのサバイバル術

企業の仕組みが変わるまでには時間がかかります。だからこそ、現役管理職が自分自身を守り、パフォーマンスを維持するための個人レベルの対処法も重要です。ここでは、明日からでも実践できる5つのサバイバル術を紹介します。

 

1. 「アクションの過剰」を手放す

管理職が疲弊する最大の原因の一つは、「すべてに対応しなければならない」という思い込みです。部下から相談があれば即座に動き、経営層からの依頼には何でも応じ、問題が起きれば自ら火消しに走る「過剰適応」が、自分自身を追い詰めていきます。

 

まず取り組むべきは、「今の自分の仕事のうち、本当に管理職でなければできないものはどれか」を棚卸しすることです。意外と多くの業務が、部下に任せられるもの、あるいはそもそもやらなくても支障がないものだと気づくはずです。完璧主義を手放し、「70点でも回る仕組み」を作る方が、長期的にはチーム全体の成果につながります。

 

2. 「任せる技術」を磨く

プレーヤーとして優秀だった人ほど、「自分がやったほうが早い」という思考から抜け出せません。しかし、この姿勢を続ける限り、部下は育たず、自分の負荷は永遠に下がらないでしょう。

 

任せる技術のポイントは、最初から大きな仕事を丸投げするのではなく、小さなタスクから段階的に委譲していく点にあります。「結果」だけでなく「プロセス」を見守り、適切なタイミングでフィードバックを返す。この繰り返しによって部下の自走力が育ち、結果として管理職自身の時間と余裕が生まれるのです。

 

3. 上司・経営層との「期待値の擦り合わせ」を定期的に行う

管理職の業務が際限なく膨らむ原因の一つに、上司や経営層からの「暗黙の期待」があります。明示されていないにもかかわらず、「管理職ならこれくらいやるだろう」という空気の中で業務が積み上がっていくのです。

 

これを防ぐには、四半期に一度など定期的に上司と「やること」「やらないこと」を擦り合わせる場を自ら設けるのが効果的でしょう。優先順位を明文化し、リソースに対して要求が過大であれば、具体的にどの業務を削るか交渉する。こうした対話を管理職の側から仕掛けていく姿勢が大切です。

 

4. 管理職同士の「横のつながり」を意図的に作る

孤立は、管理職にとって最も危険な状態です。視野が狭くなり、判断の精度が落ち、ストレスの発散先もなくなります。

 

会社が管理職同士の交流の場を用意してくれていない場合でも、自分から動く価値は十分にあります。同じ階層の管理職と月に一度ランチをする、社外の管理職コミュニティに参加する、信頼できる先輩管理職に定期的に壁打ちを頼む、などの小さな行動が、精神的な安定と新たな気づきをもたらしてくれるでしょう。

 

5. 自分のキャリアを「管理職の先」まで設計する

管理職を「ゴール」と捉えてしまうと、日々の負荷に耐えるだけの消耗戦に陥りがちです。しかし、管理職経験を「次のキャリアへの通過点」として位置づけ直すと、見え方が変わってきます。

 

定期的に自分のポータブルスキルを棚卸しし、市場価値を確認する習慣を持ちましょう。管理職として培ったチームビルディング力、意思決定力、利害調整力は、転職市場でも高く評価される汎用的なスキルです。「いつでも次のステップに進める」という感覚を持っておくだけで、目の前の仕事への向き合い方に余裕が生まれるはずです。

 

 

管理職のやりがいを育むチームワークアプリ「RECOG」

管理職を罰ゲーム化させずにやりがいを感じて働いてもらうには、報酬や待遇など目に見える価値だけでなく、「会社に必要とされている」「自分の仕事は意味がある」と感じてもらうことも大事です。

 

チームワークアプリ「RECOG」は、従業員同士で感謝・称賛を贈り合えるサービスです。部下から管理職の上司へ「いつもアドバイスありがとうございます」「本日はさりげなくフォローしてくださり助かりました」などのメッセージを贈ると、管理職のモチベーション向上が期待できます。また、経営層から管理職に対して「部下の育成ありがとう」などのメッセージを贈ることも効果的です。

 

称賛文化を醸成できるRECOGの詳細は、以下の資料で詳しく紹介しているのでぜひダウンロードしてみてください。

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まとめ

本記事では、管理職の罰ゲーム化について、その原因、企業としての解決策、個人の対処法、そして管理職を引き受けるべきかの判断軸までを整理してきました。

 

改めて強調したいのは、罰ゲーム化は個人の能力や適性の問題ではなく、構造的な問題だという点です。組織のフラット化、成果主義の浸透、働き方改革の副作用、コンプライアンス業務の膨張、職務範囲の曖昧さなどの要因が複合的に重なり合って、管理職を追い詰めています。

 

だからこそ、企業の仕組みを変える取り組みが不可欠です。同時に、仕組みが変わるのを待つだけでなく、個人として「全部やらない勇気」「任せる技術」「横のつながり」といった工夫を実践していくことも、現実的な生存戦略として重要でしょう。

 

罰ゲームで終わらせるかどうかは、組織のあり方と個人の選択、その両方にかかっています。本記事が、あなた自身の判断と行動のヒントになれば幸いです。

 

 

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