職場環境とは、従業員が業務に取り組む際に自身を取り巻く状態です。室温や騒音などの物理的な要因に加え、人間関係や労働条件なども職場環境に含まれます。
職場環境は離職率や生産性などに大きな影響を及ぼすため、従業員にとって働きやすい環境を整備しなければなりません。
この記事では、職場環境を改善するメリットや方法などを紹介します。離職者の増加や生産性の低下にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
職場環境とは、従業員が勤務先で仕事に取り組む際に自身を取り巻く環境です。従業員にとって働きやすい環境が整っているかどうかは、物理的・心理的・社会的側面から判断します。職場環境を構成する要素は以下の4つです。
作業環境
業務内容
人間関係
労働条件
1つずつ内容を見ていきましょう。
作業環境とは職場の室温や防音性など、オフィス内で従業員が働くうえでの物理的な環境を指します。作業環境が整っていないと、疲労やストレスが溜まりやすくなり、生産性の低下や健康被害の発生を招きます。
作業環境の質を判断する主な判断基準を以下にまとめました。
室内の温度と湿度は適切か
照度は十分か
騒音を気にせず作業ができるか
設備や備品が十分に揃っているか
PCやインターネット回線のスペックは十分か
業務システムは利用しやすいか
上記に加えて、オフィス内の導線確保や作業スペースの広さも作業環境に含まれます。どちらも十分に確保されていない場合は、作業が進めづらくなり、ストレスの蓄積や生産性の低下を招くおそれが高まります。
業務内容とは、従業員一人ひとりの担当業務や作業量を指します。業務内容や作業量が従業員の能力に見合っていない場合、早急な改善が必要です。たとえば、特定の従業員に過度な業務負担が生じた場合、終業時間内に業務が終わらなくなるおそれが生じます。
残業や長時間労働が慢性化すると、疲労の蓄積で業務効率や成果物の品質が低下します。最悪の場合は通常業務にも支障をきたし、組織全体に影響が及ぶでしょう。
組織全体の生産性を高めるには、従業員一人ひとりの能力や経験、適性に見合った業務の割り振りが必要です。
また、「重要な意思決定に参加できない」「上司の指示通りにしか動けない」など自己裁量権が小さいと、従業員のモチベーションが低下します。些細な内容も上司の意向を確認しなければならず、ストレスが蓄積するためです。
従業員が業務を進めやすい環境を整えるには、上司がすべてを管理するのではなく、適度に裁量権を与えることも重要です。
職場環境のなかで、従業員に与えるストレスやメンタルヘルスに影響を与える要素です。
上司や先輩、同僚との相性が悪いとコミュニケーション不足に陥り、業務の進捗状況や注意事項を確認する機会が減る可能性があります。
従業員間の連携不足が常態化すると、生産性や成果物の品質が低下し、最悪の場合は顧客とのトラブルに発展するでしょう。
また、従業員同士の関係が悪いと職場の空気が重くなり、他の従業員のモチベーションが低下するおそれがあります。
関係の悪化が深刻化するとハラスメントや嫌がらせに発展する可能性があるため、素早い対応が必要です。マネージャーは面談の実施や配置転換などを行ない、全員が気持ちよく働けるよう整備しなければなりません。
労働時間や給与、休日数など、労働条件も職場環境を構成する要素の1つに含まれます。「有給休暇が取得しづらい」「給料が低い」など、労働条件への不満が大きくなると、業務へのモチベーションやパフォーマンスが低下し、職場環境の悪化を招きます。
また、人手不足やアナログ業務の多さなどが原因で長時間労働が慢性化すると、従業員の健康状態が悪化します。休憩時間や睡眠時間が不足すると、仕事の疲労やストレスが十分に抜けません。
職場環境が悪いと従業員のストレスが増え、組織全体の生産性や離職率に悪影響を及ぼします。職場環境が悪い事例を5つ紹介します。
業務の進捗状況や重要事項、ノウハウなど、社内で情報共有が十分にされていない事例です。伝達不足や認識のずれが生じる理由は、従業員同士のコミュニケーション不足が原因にあげられます。
コミュニケーション不足が発生する背景には、以下のような要因があります。
気軽に雑談や相談がしにくい雰囲気
人間関係の希薄化
上司との距離感の遠さ
口頭での指示の多さ
ITツールの未活用
部署間の認識不足
情報共有が不十分だと、業務でのミスや事故、顧客トラブルが発生する可能性が高まるため、注意が必要です。
達成困難なノルマや目標を従業員に課している事例です。現実とかけ離れたノルマや目標を設定すると、従業員は「現場の実態をわかっていない」との印象を経営層や管理職に抱きます。
経営層や管理職への不信感が増すため、目標達成へのモチベーションや組織の一体感は高まらないでしょう。
また、達成困難なノルマや目標を設定した場合、職場内でパワハラが発生するおそれが高まります。未達成の従業員に対し、上司がペナルティを課す可能性が出てくるためです。
ノルマや目標の未達成を理由に、ペナルティとして従業員へ自腹で自社商材の購入を命じる行為はパワハラに該当します。
人手不足や管理職のマネジメント不足、わかりにくい業務フローなどが原因で、残業や長時間労働が常態化している事例です。
残業が多い職場は従業員と企業側、双方にデメリットを与えます。従業員は長時間労働の影響で、健康状態が悪化する点がデメリットです。趣味の時間や家族・友人と過ごす時間を十分に取れないため、メンタルヘルス不調を訴える従業員も出てくるでしょう。
一方、企業側も人件費の高騰やイメージダウン、人材流出など、さまざまな悪影響が生じます。残業時間を減らすには、まず長時間労働を肯定的に捉える姿勢を改めなければなりません。長時間労働=成果の獲得数が増えるとは限らないためです。
長時間労働は従業員の心身を疲弊させ、生産性や創造性の低下、健康状態の悪化など、デメリットを多く招きます。
パワハラやセクハラ、モラハラなど、職場でハラスメントが発生している事例になります。ハラスメントが発生すると職場の雰囲気が悪化し、モチベーションの低下や離職者の増加を招きます。
ハラスメントの発生を防ぐには、発生頻度が高いハラスメントの種類と原因を正確に把握することが重要です。
また、ハラスメントの発生原因は、管理職のマネジメント不足や個人の偏見など、さまざまです。原因を特定しない限り、具体的な対応策を取るのは難しいでしょう。
「ノルマを達成しても給料が変わらない」「数字しか評価されない」など、従業員の努力を正当に評価できていないケースです。人事評価に不満を持つ従業員が増えると、業務へのモチベーションが低下します。
状況が改善されないと、人事評価制度や労働条件が整った職場環境を求め、離職者が相次ぐでしょう。離職者の発生を防ぐには、既存の人事評価制度に問題がないか、客観的な評価を下せているか、確認する必要があります。
職場環境の改善は従業員と企業側、双方に多くのメリットをもたらします。ここでは、職場環境改善によって得られるメリットを4つ紹介します。
職場の作業環境や人間関係などが改善されると、従業員のストレスを軽減できます。温度や湿度の管理、防音対策などによってオフィス内で過ごしやすくなり、業務に集中して取り組めるためです。
また、上司や先輩、同僚との関係が良好だと、コミュニケーションが取りやすくなります。業務でのトラブルや仕事の悩みが生じた際も相談しやすくなるため、ストレスや不安を軽減できます。
職場環境の改善によって、組織内のコミュニケーションが活性化します。従業員同士で相談しやすい雰囲気を作れると、業務の進捗状況や伝達事項などを共有しやすくなるためです。
スムーズな情報共有によって、生産性向上やミスの削減、新たなアイデアの創出など、さまざまなメリットを得られるでしょう。
快適な作業環境や職場内のコミュニケーション活性化にともない、作業効率が高まります。作業環境の改善によって、室内の温度や湿度、騒音が気にならなくなり、業務に集中して取り組めるためです。
オフィスのレイアウトや導線も改善されると、無駄な行動を最小限に抑えられるでしょう。
また、従業員同士のコミュニケーションが活性化すると、業務に関する報告や相談がしやすくなります。納期調整が必要な商品や顧客からの問い合わせ内容、回答時の注意点など、さまざまな情報を事前に共有するため、素早く正確な対応が可能です。
さらに、部署間での連携も取りやすくなり、組織としての一体感や生産性が高まります。
業務内容や労働条件、人間関係など、職場環境の改善で勤務先へのエンゲージメントが高まると、離職率が低下します。
エンゲージメントが高まると、「ずっと今の企業で働きたい」「勤務先に貢献したい」といった思いが芽生えるためです。働きやすい職場環境の形成で人材の定着を促し、優秀な人材の流出を阻止できます。
また、人材の定着率向上によって、組織力の強化やノウハウの継承、教育コストの削減など、さまざまなメリットが得られます。
ここまで職場環境を改善するメリットについて述べてきました。ただし、どのような方法で職場環境の改善に取り組むべきか、わからない方もいるでしょう。
ここでは職場環境を改善する7つの方法を紹介します。今後の参考にご覧ください。
快適な作業環境を整えると、従業員が業務に集中しやすくなります。作業環境の改善には従業員の意向をうかがい、室内の温度と湿度、照度を適切に設定することが重要です。
ただし、快適に感じる環境は一人ひとり異なるため、扇風機やサーキュレーターを併用し、湿度や体感温度をコントロールしましょう。
また、狭い通路に大型の備品や家具を置いた場合は無駄な動きが多くなるため、オフィス備品や家具の導線も見直しましょう。
業務内容や業務量のミスマッチが発生している場合、業務体制の見直しが必要です。能力を最大限発揮できない状態が続くと、従業員は自らの能力や仕事ぶりに自信が持てません。
不安な状態で仕事に取り組むため、生産性向上や組織力の強化は望めないでしょう。
能力や適性を反映した人員配置には、タレントマネジメントをはじめ、人事システムの活用がおすすめです。人事システムの導入で、従業員の能力や職務経歴、人事評価など、人事情報の一元管理が可能です。
また、無駄なプロセスの排除や業務の自動化など、業務プロセスの見直しや標準化によって、業務経験が浅い従業員も適応しやすくなります。
リモートワークやフレックスタイム制の導入など、柔軟な働き方を実現するのも1つの方法です。従業員が自身のライフスタイルに応じた働き方を選択できれば、必ずしも育児や介護を理由に仕事を辞める必要はありません。
リモートワークは自宅やコワーキングスペースなど、オフィス以外の場所でも働ける点が魅力です。通勤の必要がなくなるため、疲労やストレスの軽減に加え、プライベートの時間を確保しやすくなります。
一方、フレックスタイム制は一定のルールを守ったうえで、従業員が始業・終業時間を自由に決められる働き方です。業務の進捗状況に問題がなければ、必ずしも1日8時間労働する必要はありません。
働き方の柔軟性が高まると、自身の都合に応じて就業場所や労働時間を決められるため、プライベートとの両立がしやすくなります。オフィスワークが難しい従業員、フルタイム勤務が難しい従業員に対してメリットをもたらします。
スムーズな情報共有や生産性向上を実現するため、従業員同士のコミュニケーションを促す仕組みを作りましょう。コミュニケーションを活性化する方法は、以下の選択肢があげられます。
1on1ミーティングの実施
リフレッシュスペースの導入
コミュニケーションツールの導入
社内イベントの開催
ランチミーティングの実施
業務の進め方や従業員の意向に合わせて、方法を選択しましょう。
人事評価制度の見直しも、職場環境を改善する1つの方法です。
評価基準や評価項目が曖昧だと主観的な評価に陥りやすく、従業員からの不満も多く発生します。状況が改善されないと従業員からの期待も薄れ、制度の形骸化や従業員のモチベーション低下を招くでしょう。
人事評価制度とは従業員の能力や成果、仕事へ取り組む姿勢などを評価し、待遇や等級に反映させるのが目的です。従業員の不満を抑えるには、評価基準が明確で公平性が高く、客観的な視点であることが重要です。
既存の人事評価制度を見直す際は、新しい評価基準と評価項目を設定したら、説明会や書面などで従業員へ通知して内容を理解してもらいましょう。
人材育成体制の整備は職場環境の改善や組織力の強化に有効です。育成プロセスの管理や階層別研修の実施、eラーニングの導入などで働きやすい職場環境が整うと、スキルアップの促進が望めます。ただし、人材育成に十分な時間や労力を割けない企業もあるでしょう。
通常業務と人材育成の両立には、研修会社への外注も一案です。研修会社には豊富な知識を持つ講師が在籍しており、良質な研修を受講できる点が魅力です。一方、新入社員の育成ではOJTやメンター制度を活用し、業務や職場に慣れることを優先しましょう。
職場環境の課題・現状を把握するには、アンケートの実施も有効な方法です。回答結果から従業員の要望や生の声を聞き出せるため、優先度の高い課題を明確化できます。従業員が安心して回答できるよう、匿名性を確保しましょう。
企業が行うアンケートは従業員満足度調査とストレスチェック、主に2種類があげられます。従業員満足度調査とは、業務内容や人間関係などの設問に回答してもらう調査で、従業員が職場環境にどの程度満足しているか把握できます。
職場環境への満足度が低い場合、回答結果から従業員が不満に感じている部分を把握して、改善に努めましょう。
ストレスチェックはストレスに関する設問に回答し、ストレス度合いを可視化する検査です。従業員自身にストレス度合を把握してもらい、メンタルヘルス不調の予防に努めるためのものです。
チームワークアプリ「RECOG」は職場環境改善にも効果的!
職場環境と一口に言っても、物理的な要素から待遇、人間関係など多岐にわたります。特に人間関係は、改善するのに長期間かかる場合も。そうしたときに有効なのがチームワークアプリ「RECOG」です。
RECOGは感謝・称賛を贈り合えるレター機能でサンクスカード制度を始めることができ、一人ひとりの頑張りや成果を組織全体で可視化できます。レターにはポイントを付けられるため、感謝・称賛の度合いに応じてポイントを贈り合うことが可能です。
コメントや拍手などの豊富なリアクション機能で、社内のコミュニケーションが活性化できるのもメリットです。
また、専任のカスタマーサクセス担当者が導入・運用のサポートをさせていただき、活性化のための伴走を行ないます。初めてサンクスカードを導入する企業でも、安心して運用していただけます。
他にも、投稿フィード機能やトーク機能、分析機能も搭載されており、組織のコミュニケーションを集約できるツールです。詳しくは以下の資料で紹介しているので、ぜひダウンロードしてご確認ください。
職場環境を構成する要素は、作業環境・業務内容・人間関係・労働条件の4つです。生産性の低下や離職者の増加などに悩まされている場合、上記いずれかに問題がある可能性が高いといえます。 原因を特定したうえで、作業環境や業務内容の見直し、コミュニケーションの促進など、職場環境の改善に取り組みましょう。 従業員満足度調査やストレスチェックなど、アンケートの回答結果を参考に職場環境の改善に取り組み、従業員のストレス軽減や生産性の向上に努めましょう。 \\編集部おすすめ記事// まとめ