本記事では、建設業で社内SNSを導入するメリットや情報共有の課題などを紹介するので、情報共有に課題を抱えている方は参考にしてみてください。
建設業では情報共有をしなければならない場面が多々あります。具体的にどのような情報共有のシーンがあるのか見ていきましょう。
なお、ここで紹介しているのは一例のため、企業によって役職名が異なったり他の役職も介在したりする場合があります。
まず重要になるのが、本部と現場責任者(現場監督・施工管理者)の間での情報共有です。本部は工事の全体計画や設計変更、安全管理方針、予算管理など、プロジェクト全体に関わる重要な決定事項を現場責任者へと伝達します。
現場責任者は本部からの指示を正確に理解し、現場の状況や工程に合わせて実行計画を策定する役割を担います。「設計変更に伴う工程の組み直し」「追加工事の人員配置」「資材発注のタイミング調整」など、現場での実施方法を検討して準備を進めなければなりません。
また、現場責任者は現場の進捗状況を本部へフィードバックする役割も担います。工事の進捗率、天候による遅延、予期せぬ地中障害物の発見、協力会社との調整状況など、現場の生の情報を本部へ共有することで、本部は適切なプロジェクト管理や顧客への報告ができるようになります。
現場責任者は、本部からの指示や日々の作業内容を現場作業員へと伝達します。その日の作業工程、安全注意事項、品質管理のポイント、使用する資材や工具など、多岐にわたる情報を共有しなければなりません。
建設現場では職人や協力会社の作業員など、さまざまな立場の人が働いているため、全員に情報を行き渡らせるのは容易ではありません。朝礼やKY活動(危険予知活動)、作業指示書などで情報共有を図りますが、「図面の変更が職人に伝わっていなかった」「新しく入った作業員に安全ルールが徹底されていなかった」といった課題が生じやすいのが実情です。
現場作業員から現場責任者への情報共有も重要です。施工上の問題点、資材の不足、機械の故障、ヒヤリハット事例など、現場で起きている問題を速やかに報告することで、現場責任者は適切な対応を取ることができます。
建設現場では、複数の工種が同時並行で作業を進めるため、作業員間での連携が欠かせません。「鉄筋工と型枠工の作業調整」「電気工事と配管工事の取り合い確認」「重機オペレーターと誘導員の連携」など、リアルタイムでの情報共有が求められます。
また、前工程から後工程への引き継ぎも重要です。「コンクリートの打設状況」「配筋検査の結果」「仮設材の設置位置」など、次の工程に影響する情報を正確に伝える必要があります。しかし、騒音の多い現場や広大な敷地では、口頭での伝達が困難な場合も多く、情報共有の漏れや遅れが生じやすくなります。
複数の現場を抱える建設会社では、拠点間での情報共有も重要です。効率的な施工方法、安全対策の成功事例、トラブルの対処法など、各現場が持つノウハウを共有することで、全社的な施工品質の向上につながります。
また、資材や重機の融通においても拠点間の連携は欠かせません。「A現場で余った資材をB現場で活用する」「C現場の重機が空いている期間にD現場で使用する」など、拠点間で情報共有することで資源の有効活用ができます。優秀な職人や特殊技能を持つ作業員の配置調整においても、拠点間の情報共有が重要となるでしょう。
建設業でスムーズな情報共有ができないと、どのようなデメリットや課題につながるのでしょうか。一つずつ解説します。
建設業において工期の遵守は、顧客との信頼関係や企業の評価に直結する重要な要素です。情報共有の遅れにより、「設計変更が現場に伝わらず手戻りが発生した」「資材の発注ミスで工事がストップした」「前工程の遅れが後工程に伝わらなかった」などの問題が発生すると、工期遅延につながります。
特に、複数の協力会社が関わる大規模工事では、一か所での情報共有の遅れが全体工程に大きな影響を及ぼします。工期遅延は違約金の発生だけでなく、次の案件の受注機会を失うなど、経営に深刻な影響を与えるでしょう。
施工品質の確保には、正確な情報共有が不可欠です。「最新の図面が職人に渡っていない」「品質基準の変更が検査担当者に伝わっていない」「施工上の注意点が作業員に周知されていない」などの状況では、施工不良や手直し工事が発生しやすくなります。
また、現場で発見された施工上の工夫や改善点が他の現場に展開されないと、組織全体での品質向上が実現できません。「あの現場ではこの方法で品質が向上した」という成功事例が共有されないことで、同じような品質トラブルが繰り返される原因にもなるでしょう。
情報共有が不十分だと、さまざまなミスによりコストが増大します。「図面の読み違いによる施工ミス」「資材の重複発注」「仕様変更の伝達漏れによる手戻り」などは、直接的な損失につながります。
また、「他現場で余った資材の情報が共有されず新規購入してしまった」「重機の稼働スケジュールが共有されず無駄なレンタル費用が発生した」など、情報共有不足による非効率な資源配分もコスト増大の要因となります。建設業は利益率が低い業界のため、こうしたコスト増大は経営を圧迫する深刻な問題といえるでしょう。
建設現場において安全は最優先事項です。しかし、情報共有が遅れると重大な安全リスクが生じます。「高所作業の予定が他の作業員に伝わっていなかった」「地下埋設物の情報が重機オペレーターに共有されていなかった」「前日のヒヤリハット事例が朝礼で共有されなかった」などの状況は、重大事故につながる危険性があります。
特に建設業は労働災害の発生率が高い業界のため、安全に関する情報共有の遅れは人命に関わる問題です。事故が発生すれば工事の中断だけでなく、企業の信頼性や指名停止など、事業継続に関わる重大な影響を受けることになるでしょう。
情報共有が円滑でない現場では、作業員のモチベーション低下が起きやすくなります。「何度も同じことを聞きに行かなければならない」「急な変更で作業のやり直しが発生する」「自分の意見や改善提案が上に伝わらない」といった状況は、作業員のストレスとなります。
また、本部の方針や工事の全体像が見えないまま作業することで、仕事への誇りや達成感を感じにくくなります。優秀な職人や若手作業員の離職にもつながり、技術継承や人材確保という建設業界全体の課題をさらに深刻化させる要因となるでしょう。
建設業での社内SNSの導入により、以下のようなメリットが期待できます。
建設現場では図面や仕様書、作業指示書など膨大な書類のやり取りが発生します。社内SNSを活用すれば、これらの情報をデジタルで共有でき、「最新版の図面がどれかわからない」「FAXが不鮮明で読めない」といった問題を解消できます。
また、騒音の多い現場や離れた場所での作業でも、チャット機能で確実に情報を伝達できます。「型枠の検査が完了しました」「明日の資材搬入時間を変更します」といった連絡事項を、関係者全員に一斉に共有できるため、伝達ミスや聞き漏れを防げるでしょう。
スマートフォンやタブレットで社内SNSにアクセスすれば、現場にいながら最新の情報を確認できます。「図面の変更箇所」「本日の作業指示」「安全注意事項」などを、その場で確認できるため、事務所に戻る手間が省けます。
また、現場の状況を写真や動画で撮影して即座に共有できるため、「この部分の施工方法を確認したい」「このトラブルの対処法を教えてほしい」といった相談も、リアルタイムで行えます。本部や他現場の専門家からアドバイスを受けられるため、問題解決のスピードが格段に向上するでしょう。
建設現場では予期せぬトラブルが日常的に発生します。社内SNSを使えば、トラブルの状況を写真付きで即座に共有し、関係者全員で対応策を検討できます。「地中から予期せぬ障害物が出てきた」「急な天候悪化で作業中断」といった情報を、本部や協力会社にリアルタイムで伝えられます。
過去のトラブル事例と対処法がデータベース化されていれば、類似のトラブルが発生した際に素早く解決策を見つけられます。「以前A現場で同じような問題があった時はこう対処した」という情報が即座に引き出せるため、工期への影響を最小限に抑えられるでしょう。
建設業では、熟練職人の技術やノウハウの継承が大きな課題となっています。社内SNSに施工のコツや品質向上のポイント、効率的な作業方法などを動画や写真付きで蓄積しておけば、若手作業員の技術習得に役立ちます。
「この方法で配筋すると効率的」「このような養生をすると仕上がりがきれい」といった現場の知恵を全社で共有することで、組織全体の技術力が向上します。また、安全対策の成功事例やヒヤリハット事例を共有することで、全現場での安全意識の向上にもつながるでしょう。
建設業の情報共有を促せる、おすすめの社内SNSがチームワークアプリ「RECOG」です。
RECOGは掲示板(投稿)機能やトーク(チャット)機能など、メンバー間でのコミュニケーションや情報共有を促進できる機能が搭載されています。さらにサンクスカードとして使えるレター機能では感謝・称賛の気持ちを伝えられるため、改善提案や安全活動への取り組みが可視化され、従業員のモチベーション向上にもつながります。
RECOGの詳しい機能についてはこちらの資料で紹介しているので、ぜひダウンロードしてみてください。
建設業では、本部と現場での情報共有だけでなく、複数の協力会社や職人との連携も欠かせません。情報共有が遅れることで、工期遅延や品質低下、安全事故など、深刻なリスクにつながる可能性があります。 社内SNSは、建設業の情報共有に寄与するツールです。社内SNSの活用により、ペーパーレス化の推進やトラブル対応の迅速化、技術継承の促進などが実現します。情報共有で悩んでいる建設業の企業は、ぜひ社内SNSを導入してみてはいかがでしょうか。 \\編集部おすすめ記事// まとめ