社内SNSを導入する際は、万全のセキュリティ対策を講じる必要があります。セキュリティリスクのある状態で社内SNSを利用すると、情報漏えいやデータの損失などにもつながりかねません。
本記事では、社内SNSのセキュリティ対策機能や運用上のルール作りなど、社内SNSのセキュリティ対策について解説します。セキュリティ対策に力を入れている社内SNSツールも紹介するので、社内SNSの導入を検討中の方はぜひ参考にしてください。
社内SNSとは、社内のコミュニケーションに利用されるソーシャルプラットフォームです。
近年は社内SNSを導入する企業が増えており、ビジネスチャットやグループウェアなどのコミュニケーションツールと組み合わせて利用するケースも多く見られます。
社内SNSでは、業務の報連相やノウハウの共有だけでなく、雑談やイベント告知などさまざまな内容の投稿が可能です。プライベートのSNSと同じような感覚で利用でき、役職や部署の垣根を超えたコミュニケーションが促進されます。
社内SNSには、従業員間のコミュニケーションや情報共有に役立つさまざまな機能が搭載されています。社内SNSの代表的な機能は、以下の通りです。
そのほか、社内SNSによっては利用状況の分析や勤怠管理などの機能を備えたものもあります。自社のニーズに合わせて、社内SNSの導入目的を達成できるツールを選ぶことが大切です。
社内SNSの導入は、企業にさまざまなメリットをもたらします。
社内コミュニケーションが活性化される
風通しのよい文化が醸成されることで、従業員の心理的安全性が高まる
必要な情報をリアルタイムで共有でき、情報伝達のスピードが向上する
情報共有の円滑化により、業務効率が向上する
知識やノウハウを共有しやすくなり、ナレッジが蓄積される
緊急時における情報伝達手段を確保でき、BCP対策にもつながる
このような効果により企業の課題が解消され、組織の成長につながるでしょう。
社内SNSには多くのメリットがある反面、さまざまなセキュリティリスクも発生し得ます。
社内SNSの投稿には、社外秘のデータや個人情報など、機密性の高い情報が多分に含まれます。セキュリティインシデントによりこうした情報が漏えいすれば、企業の社会的信用を失墜させ、利益損失にもつながりかねません。
社内SNS運用で気を付けるべき具体的なセキュリティリスクは、以下の5つです。
セキュリティの脆弱性を突かれた結果、従業員アカウントのID・パスワードが第三者に取得されると、社内SNSへの不正ログインを許してしまいます。社内SNSのID・パスワードが流出する主な原因は、以下の3つです。
セキュリティ対策を怠り、社内SNSアカウントへの不正アクセスが起きると、機密情報の改ざんや漏えいなどにつながります。また、第三者が社内SNS上で従業員になりすますことにより、ほかの従業員や取引先にまで被害が拡大する恐れもあるでしょう。
セキュリティリスクは従業員の不注意による操作ミスによっても高まり、社内SNSに投稿された機密情報が外部に漏えいする危険性があります。具体的には、以下のようなケースが考えられるでしょう。
意図していない事故的な情報漏えいであっても、社会的信頼の失墜は避けられません。
退職者のアカウントをそのまま放置していると、退職者が社内SNSの情報を自由に閲覧できてしまい、トラブルの原因となります。退職者が悪意を持っていた場合、社内SNSから技術や顧客に関する情報を不正取得したり、会社に不利益をもたらすような投稿をしたりする可能性もあります。
トラブルを未然に防ぐためにも、従業員の退職後はアカウントを速やかに削除しましょう。また、不要なアカウントがないか定期的な確認も大切です。
端末の紛失や盗難も、セキュリティリスクのひとつです。社内SNSを利用している端末の紛失・盗難により、ログイン中のアカウントを乗っ取られてしまう恐れがあります。
ノートパソコンやタブレット、スマートフォンなど、携帯性の高い端末で社内SNSを利用する場合は、とくに注意しましょう。外出先での業務中やリモートワーク中に、端末を置き忘れてしまったり、盗難に遭ったりするリスクが高まるためです。
社用デバイスの紛失・盗難は、端末内に保存されているデータの流出も招くため、社内SNSアカウントの乗っ取り以上に甚大なセキュリティ被害をもたらす可能性があります。
社内SNSにはプロジェクトの決定事項やナレッジなど、重要情報が数多く蓄積されます。
それらのデータの破損は、コミュニケーションの齟齬や業務の停滞、意思決定の遅延などを招きかねません。
データが破損する原因としては、以下のようなケースが考えられます。
企業の資産である重要データが破損すると、その影響は計り知れません。
社内SNSツールには、上記のようなセキュリティリスクを回避するため、さまざまなセキュリティ対策機能が搭載されています。社内SNSを選定する際は、以下のようなセキュリティ機能が搭載されているか確認しましょう。
社内SNSにログインしようとする端末が、事前に登録・許可されたものであることを確認するセキュリティ機能です。
不明な端末から社内SNSへのアクセスが検出された場合は、ログインを拒否したり、管理者へ通知がいくようにしたりすることで、セキュリティ対策を強化できます。従業員のプライベート端末から社内SNSへのログインも禁止できるので、誤操作による外部への情報漏えいも防止できるでしょう。
また、十分なセキュリティ対策が施されていない端末から社内SNSへのログインを禁止すれば、ウイルスやマルウェアの感染拡大リスクを最小限に抑えられます。端末の紛失・盗難が確認された場合も、該当端末の認証の無効化により、セキュリティリスクを防ぐことが可能です。
社内SNSでやりとりされるメッセージやファイル、ログイン情報などを暗号化するセキュリティ機能です。一般的に、通信の暗号化には、SSLやそこから発展したTLSというプロトコルが用いられます。
暗号化されたデータは第三者が読み取れない形に変換されるため、通信の傍受による情報漏えいやデータの改ざんを防止でき、セキュリティ性を向上させられます。
社内SNSにおけるユーザーの操作ログを記録するセキュリティ機能です。具体的には、以下のような社内SNSにおける操作記録が保存されます。
操作ログを残しておけば、誰が、いつ、どの情報を閲覧・ダウンロードしたのかを把握できます。これにより、セキュリティインシデントが発生した際も、流出したデータや被害経路を速やかに特定することが可能です。
また、操作ログの存在そのものが不正な操作の抑止力となり、セキュリティ性が高まる効果も期待できます。
IPアドレスとは、インターネット上の端末に割り当てられた識別番号です。ネットワーク内における住所のような役割を果たし、データの送信先・送信元を特定するために使用されます。
社内SNSにアクセスできるIPアドレスを制限すれば、公共Wi-Fiなどを使用した社内ネットワーク外からのアクセスを禁止できます。これによりセキュリティ性が高まり、社内SNSへの不正アクセスや、なりすましを効果的に防ぐことが可能です。
ただし、取引先での業務やテレワークなどが多い場合は、セキュリティ性と引き換えに利便性が損なわれる可能性があります。自社の就業形態や、社内SNSの使い方に応じた設定が大切です。
遠隔操作により社内SNSからのログアウトや、アカウントのロックをするセキュリティ機能です。社内SNSアカウントの遠隔操作が可能なツールなら、端末の紛失・盗難が発覚した場合も、不正アクセスを即座に防止できます。
社内SNSだけでなく端末本体の遠隔ロックと合わせれば、紛失・盗難時のセキュリティ対策をより強固にできるでしょう。
社内SNSのセキュリティを維持するためには、ツールのセキュリティ機能を活用するだけでは不十分です。
ツールのセキュリティ機能を頼りきりにせず、社内における社内SNSのセキュリティルールを作成し、周知徹底を心がけましょう。
ここからは、社内SNSのセキュリティルールの一例を紹介します。
退勤後は従業員のセキュリティ意識が低下しやすいため、不用意な投稿や誤操作のリスクが高まります。そのため、セキュリティ対策を強化するなら、社内SNSは勤務時間中のみの利用とするのがおすすめです。
また、社内SNSの利用時間を区切ると、従業員が仕事のオンオフを切り替えやすいというメリットもあります。従業員のプライベートの尊重にもつながり、ワークライフバランスの実現にも寄与するでしょう。
社内SNSと個人のSNSの連携を許可している状態では、「個人のSNSアカウントに業務情報を投稿してしまう」「ファイルの共有先を誤ってしまう」など、さまざまなセキュリティインシデントが発生し得ます。
人的ミスを完全になくすのは難しいので、そもそもミスが起こらないような仕組みを作るのが効果的です。社内SNSと個人のSNSとの連携を禁止すれば、上記のような誤操作によるセキュリティリスクを防止できます。
社内SNSは、コミュニケーションの活性化だけでなく、ナレッジの共有にも役立ちます。しかし、セキュリティ的な観点で考えると、社内SNSに記載する情報はある程度選んだほうがよいでしょう。
たとえば、従業員や顧客の個人情報、社内の売上や重要なノウハウなど「漏えいしたときの影響が大きい情報」は、よりクローズドかつセキュリティ性の高い環境で共有すべきです。
従業員に対しては、社内SNSで共有してはいけない内容の具体例を示し、重要情報を安易に投稿しないという意識を定着させる必要があります。
パスワードの使い回しは、不正アクセスによるセキュリティリスクを高めます。複数のツールで同じパスワードを設定していると、いずれかのログイン情報が流出した際に、ほかのすべてのツールのアカウントに侵入されてしまうためです。
そのため、社内SNSのパスワードは、ほかの業務ツールはもちろん、従業員が個人的に利用しているWebサービスやSNSとも異なるものを設定する必要があります。
以下のポイントを押さえて、セキュリティ性の高いパスワードを作成しましょう。
社内SNSのセキュリティを維持するためには、従業員のセキュリティ意識の向上が不可欠です。情報リテラシー研修を定期的に実施し、不正アクセスや情報漏えいのリスクをはじめ、不審なメールやWebサイトの見分け方など、情報セキュリティに関する基本的な知識を教育しましょう。
サイバー攻撃の手口は日々進化しているので、運営サイドが最新の脅威やセキュリティ対策について理解し、共有することも大切です。
社内SNSにおけるアクセスや閲覧、編集やファイルの送信などの権限を設定すれば、情報の不用意な露出や流出を防止でき、社内SNSのセキュリティ性が高まります。
とくに、社内SNS内で機密性の高い情報を扱うスレッドやファイルなどには、特定の従業員のみがアクセスできるよう制限をかけておくとよいでしょう。
社内SNSを選定する際は料金プランや機能だけでなく、セキュリティ対策もチェックしたいポイントです。
ここからは、セキュリティ対策に力を入れている、おすすめの社内SNSを紹介します。
RECOGは、「称賛」を主軸とした社内SNSツールです。組織が抱えるさまざまな課題を「ホメる」によって解決します。メンバー同士が「感謝」や「称賛」を伝え合うことにより、モチベーションやエンゲージメントの向上、明るくポジティブな組織風土の醸成を実現します。
RECOGには感謝や称賛を贈るレター機能のほか、ノウハウの共有やイベント告知など多様な用途に活用できる掲示板機能、メンバーの強みやチームの状態を可視化する機能など、機能が満載です。
また、大切なデータをお預かりするからこそ、RECOGでは万全のセキュリティ体制を整えています。データの暗号化はもちろん、IPアドレスによる制限や遠隔操作による強制ログアウトにも対応し、不正アクセスを徹底的に防止。
情報セキュリティの国際標準規格である「ISO27001(ISMS)」を取得し、第三者機関による脆弱性診断を定期的に実施することで、安全性のチェックとさらなる向上に努めています。
「Talknote」は情報の整理・共有に強みを持ち、組織内のナレッジの共有に役立つ社内SNSツールです。テーマや共有するメンバーごとに「ノート」を作成でき、効率的な情報伝達を実現できます。
また、コミュニケーションデータの分析により、チームのコンディションを可視化できるのも特徴です。
通信データの暗号化や2要素認証、利用端末やIPアドレスの制限にも対応しているほか、端末の紛失・盗難時にはチャットルームやデータを遠隔で削除可能です。セキュリティ性の高い環境を保てるため、業務内容に関する情報も安心して共有できます。
「TUNAG」は、サンクスメッセージやリーダーコラム、社内ポイントなど、組織課題に合わせてさまざまな機能をカスタマイズできる社内SNSツールです。専任のカスタマーサクセスによるサポートを受けながら、現在の組織状態や課題に合わせた取り組みの設計を実現できます。
情報セキュリティマネジメントシステムの国際標準規格を取得し、通信の暗号化や2要素認証のほか、GoogleやMicrosoftなどのアプリケーションとの連携によるシングルサインオン認証にも対応しています。ユーザーごとの権限設定も可能であり、日ごとのデータバックアップにより、万が一の損失にも備えられます。
サイボウズGaroonはコミュニケーションや予定管理、社内イントラやワークフローなど、多種多様な機能がワンパッケージにまとまった社内SNSツールです。導入後の運用サポートも充実しており、電話やメール、チャットでのサポートを追加料金なしで受けられます。
外部期間から評価された信頼性の高いクラウド基盤で運営されており、セキュリティインシデント対応専門のチームを設置するなど、安全対策に力を入れています。
管理機能も充実しており、グループやユーザーごとの細やかな権限設定も可能です。2要素認証やシングルサインオンにも対応しているほか、アプリケーションごとのログも取得でき、トラブル発生時にも状況を迅速に把握できます。
LINE WORKSは、LINEと同じような感覚で利用できる社内SNSツールです。LINEのようなトーク機能のほか、掲示板やカレンダー、資料の保存・閲覧など、多彩な機能が集約されています。音声通話やビデオ通話も可能であり、リモートワークにも適しています。
ユーザーごとの権限付与や操作ログの記録、遠隔制御にも対応しており、セキュリティ機能が充実しているのもポイントです。
また、運営元のLINE WORKS株式会社は情報セキュリティに関する各種国際認証を取得しており、企業としても万全のセキュリティ体制を整えています。
社内SNSでは業務に関するやりとりやノウハウなど、企業にとって重要な情報を多く扱います。情報の漏えいや破損などのリスクを低減するためにも、セキュリティ機能が充実した社内SNSを選びましょう。また、社内SNSの利用ルールを定めるとともに、従業員に周知徹底する必要もあります。情報リテラシー研修の実施や、社内SNS内での権限設定なども効果的です。
セキュリティ対策がばっちりな社内SNSをお探しなら、ぜひRECOGをご検討ください。「称賛」を軸としたコミュニケーションを活性化し、組織課題を解決に導きます。
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