「内定辞退を防ぎたい」「内定者とのコミュニケーションが思うように取れない」
多くの採用担当者が抱える、この根深い課題。従来の内定者フォローは、担当者のスキルや熱意に依存し、多大な工数がかかるにもかかわらず、十分な成果につながらないケースが多く見られました。実は、その解決のカギは「AIの活用」にあります。
本記事では、従来の内定者フォローが抱える限界を明らかにし、AIがいかにしてコミュニケーションを革新して内定辞退を防ぐのか、具体的な実践方法とともに徹底解説します。
企業と内定者とのコミュニケーションは、関係性を構築して内定辞退を防止するだけでなく、入社後の早期離職防止やモチベーションアップなどの効果も期待できます。内定者コミュニケーションがなぜ必要なのか、具体的に見ていきましょう。
少子化による労働人口の減少と、それに伴う採用競争の激化は、企業の喫緊の課題です。特に、内定承諾後から入社までの「空白期間」は、内定者が他社の魅力的なオファーや自身のキャリアについて考え直す時間が生まれやすく、最大の離脱ポイントとなっています。この期間にどれだけ質の高いコミュニケーションを取り、エンゲージメントを高められるかが、人材獲得に大きく影響するのです。
これからの組織の主役となるZ世代は、画一的な対応ではなく、一人ひとりの個性や価値観を尊重する「個への配慮」を重視します。個人に最適化した対応は、入社前から「この会社は自分のことを理解し、受け入れてくれる」と感じられるような「心理的安全性」をにもつながります。Z世代の内定者の心をつかむには、従来の一方的な情報提供ではなく、双方向かつパーソナライズされたコミュニケーションが不可欠です。
オンラインでのコミュニケーションが主流になっている現代では、面接や内定後フォローもオンラインで行なう企業が少なくありません。そのため内定者は、会社の雰囲気を感じたり、先輩社員と気軽に話したりする機会が減少し、孤独感や不安を募らせる一因となっています。オンラインが主体の環境だからこそ、より細やかなコミュニケーションによる関係構築が求められるのです。
内定期間中の企業との関わり方は、入社後のエンゲージメントや定着率に直接的な影響を与えます。入社前からの丁寧なコミュニケーションを通じて歓迎されていると感じた新入社員は、入社後もスムーズに組織に馴染み、高いパフォーマンスを発揮する傾向があります。そのため、入社前に質の高いコミュニケーションを提供することは、早期離職を防いで長期的な活躍を促すための重要な投資なのです。
重要性を認識しつつも、多くの企業が内定者とのコミュニケーションに課題を抱えています。多くの企業が直面している課題を理解し、自社に当てはまるか確認してみましょう。
コミュニケーションの質が、人事担当者のスキルや性格、熱量に大きく依存してしまっている状態です。「担当者が変わると内定者の反応も変わってしまう」「担当者によって内定辞退率が大きく異なる」といった問題が見られるようになります。組織として安定した質のコミュニケーションを提供して内定辞退率を改善していくためには、「あの人だからうまくいった」という状況から脱却しなければなりません。
内定者一人ひとりに丁寧な対応をしようとすれば、人事・採用担当者の工数は膨大になります。採用活動の繁忙期と重なることも多く、多忙を極めるなかで対応の遅れや抜け漏れが発生し、かえって内定者の不信感を招いてしまうという本末転倒な事態に陥りがちです。
内定者側にも、「こんな初歩的な質問をしても良いのだろうか」「不安に思っていることを正直に話したら、ネガティブな印象を持たれるかもしれない」といった心理的な壁があります。内定者は気軽に質問や相談をすることができず、不安を抱えたまま過ごすことになるため、モチベーションが低下して辞退を招く結果となります。
当然ながら、担当者が対応できるのは勤務時間内に限られます。また、オフィス見学や対面での面談をしたくても、内定者が遠方に住んでいる場合は物理的な制約が生じます。
しかし、内定者が不安を感じるのは、授業の後や深夜に一人で考え事をしている時間かもしれません。疑問や不安を抱いたその瞬間に解消できないというタイムラグや、顔を合わせて直接話せないことによる不安感が、エンゲージメントの低下につながります。
誰が、いつ、どんな内定者と、どのようなコミュニケーションを取ったのか。これらの情報が担当者個人のメールボックスや記憶の中に留まり、組織の資産として蓄積・活用されていないケースがほとんどです。そのため、フォローの効果測定や改善が難しく、いつまでも勘と経験に頼った場当たり的な対応から抜け出せません。
これらの根深い課題を打ち破るカギこそが、AIの活用です。内定者コミュニケーションにAIを活用するメリットを5つ紹介します。
AIは、内定者一人ひとりのプロフィール、選考過程での発言、適性検査の結果などを分析し、個人に最適化された情報やメッセージを自動で提供します。たとえば、入社を機に一人暮らしする内定者には、引っ越しのスケジュールやタスクリストなどの提供が可能です。
内定者は「自分が求めている情報を提供してくれる」と思えるため不安感が解消され、内定者のエンゲージメントを飛躍的に高めます。
AIチャットボットを導入すれば、内定者は時間や曜日を問わず、いつでも疑問や不安を投げかけることができます。即座に回答が得られるだけでなく、人事担当者に聞きにくい初歩的な質問も気軽にできるため、内定者の心理的な負担を大幅に軽減できるでしょう。内定者の不安が大きくなる前に芽を摘むことで、機会損失の防止につながります。
定型的な質問への回答や、定期的な情報配信といったタスクをAIに任せることで業務が効率化し、担当者の工数を大きく削減します。これにより創出された時間で、担当者は個別面談の設定やキャリア相談など、人間でなければできないような創造性の高い業務や温かみのある業務に集中できるようになります。
AIは、内定者とのコミュニケーションの頻度、返信の速さ、メッセージの内容(使われる単語など)を分析し、「エンゲージメントが低下している」「辞退の可能性が高まっている」などのアラートを出せます。データに基づいてリスクの高い内定者を早期に発見し、手遅れになる前に的確なフォローアップを行なうことが可能です。
AIは、人事担当者と内定者との1対1の関係に留まらず、配属予定先の先輩社員や役員など、組織全体を巻き込んだコミュニケーションを円滑にサポートします。たとえば、内定者のプロフィールを基に、共通の趣味を持つ先輩社員をAIが自動で紹介するといった活用方法が可能です。
組織全体で内定者を歓迎するムードが高まれば入社前から関係性を構築できるため、入社後スムーズに組織や仕事に慣れることができるでしょう。
では、具体的にどのようにAIを導入していけばよいのでしょうか。現実的な4つのステップで紹介していきます。
まずは、最も導入しやすく効果を実感しやすいステップとして、AIチャットボットの導入をおすすめします。
福利厚生や各種手続き、入社までの準備など、よくある質問とその回答をAIチャットボットに学習させ、内定者専用サイトなどに設置します。内定者はすぐに回答を得られるというメリットがあり、人事担当者にとっては対応工数の削減というメリットを、同時に実現できるでしょう。
次に、内定者の職種や興味関心に合わせて、有益な情報をAIが自動で配信する仕組みを構築します。
たとえば、エンジニア職の内定者には「現場で使われているプログラミング言語の紹介記事」、営業職の内定者には「商談で役立つセールストーク集」を送るというように、個別に最適化されたコンテンツを配信して入社意欲を高めます。
内定者専用のオンラインコミュニティ(Slack、Teamsなど)にAIを連携させ、交流を活性化させる方法もあります。
入社後の職種が同じ内定者同士のグループ作成を促したり、会話が途切れているチャンネルに新たな話題を提供したりと、AIがファシリテーター役を担って同期同士のつながりを強めます。
最終ステップとして、これまでのコミュニケーションログをAIに統合分析させ、一人ひとりの内定者のエンゲージメント状態を可視化します。スコアが低下傾向にある内定者を特定し、AIが内定辞退のリスクを予測して「〇〇さんとの個別面談を設定してください」といった具体的なアクションを提案します。データに基づいたフォローアップにより、適切なタイミングで最適化されたコミュニケーションが実現します。
チームワークアプリ「RECOG」は、サンクスカードを贈れるレター機能や、スレッド形式で情報を発信できる投稿機能などを搭載し、内定者コミュニケーションを促進します。テクノロジーと人間の温かみを融合させた、新しいコミュニケーションのかたちを実現できるでしょう。
伝えたい感謝や激励の想いをキーワードで入力するだけで、RECOGの「AIレター機能」が、内定者一人ひとりの心に響く、パーソナライズされた温かい文章を自動生成します。担当者の想いをAIが増幅させ、人間味あふれるコミュニケーションを効率的に実現できます。
感謝や称賛を贈り合うというサンクスカード文化に入社前から触れてもらうことで、内定者は企業のポジティブな風土を肌で感じ、心理的安全性を確保できます。人事担当者からだけでなく、配属先の先輩社員や同期となる内定者からも気軽にカードが届くことで、組織の一員として歓迎されている実感を強く持てるでしょう。
RECOG上でのやり取りやログイン頻度、レターの送受信数など、コミュニケーションの質と量を分析し、内定者一人ひとりの状態を可視化できます。そのデータを基に「次はこの先輩社員とつなげることが効果的」といった最適なネクストアクションを立案でき、データドリブンな改善サイクルを回すことができます。
RECOGを通じて交わされるリアルなコミュニケーションは、企業が大切にしている価値観を知ったり、働く人々の人柄をリアルに感じたりできる、内定者にとって絶好の機会です。入社前に組織文化への理解を深めることで、入社後の「こんなはずではなかった」というミスマッチを未然に防いで早期離職を防止する効果が期待できます。
内定者コミュニケーションにAIを活用する効果は、単なる業務効率化だけではありません。テクノロジーの力で人間同士の温かいつながりを増幅させ、一人ひとりの内定者に深く寄り添うための新しい切り口になります。
AIに任せるべき定型業務と、人間がやるべき血の通った対話を見極めて戦略的にAIを活用することで、内定辞退の防止のほか入社後の活躍と定着につながる土台を築くことができます。未来の仲間を万全の体制で迎えるため、AIを活用しつつ内定者とのコミュニケーションを活性化しましょう。