PSJグループは、パチンコホール事業を主軸に飲食事業や不動産事業なども手がけています。地域に根差した事業を展開し、サステナビリティ活動にも力を入れています。同社がRECOGの前身サービスである「HOMETE」を導入したのは2018年。その後、RECOGへの移行を経て長期にわたって活用を続けており、社内では「ほめーる」という愛称で親しまれるほど、日常に溶け込んだコミュニケーション基盤となっています。
従業員約200名のうち約130名がアルバイトスタッフという同社において、人材定着は経営上の課題のひとつだったPSJグループは、どのようにして称賛文化ができあがったのでしょうか。導入当時は主任としてプロジェクトに携わり、現在はエリアマネージャーとして福岡3店舗を統括する内田様と、導入当時はホールスタッフとして現場でRECOGに触れ、現在は人事課でRECOG推進の取りまとめを担う岩田様にお話をうかがいました。
―まず、御社の組織づくりの方針について教えてください。
岩田様(以下、敬称略):弊社は創業52年を迎え、山口県と福岡県でパチンコホールを運営しています。従業員は約200名のうち約130名がアルバイトスタッフです。パチンコホール業界は人の出入りが多い業界でもあり、いかにスタッフに長く働いてもらえるかが課題としてありました。
そのためにもっとも重視しているのが、「風通しの良い職場づくり」です。スタッフが満足感を持って主体的に仕事に取り組める環境をつくることが、定着率の向上に直結するという考えのもと、さまざまな施策に取り組んできました。

内田様(以下、敬称略):私はエリアマネージャーとして福岡県にある複数店舗を統括しています。各店舗を回るなかで感じるのは、スタッフが積極的に仕事に取り組むために「自分はこの会社に認められている」「仲間とつながっている」という実感を得られる環境が不可欠だということです。特にアルバイト比率が高い業態では、この実感がないとあっという間に離職につながってしまうでしょう。
岩田:当社は健康経営優良法人2026の認定も取得しました。身体的な健康はもちろんですが、スタッフ同士が認め合い支え合える関係性をつくり、精神的な健康を支えることにも力を入れています。RECOGもその一環として、精神的な健康を支えるツールのひとつという位置づけで活用しています。
―RECOG導入前に、どのような組織課題があったのか教えていただけますか。
岩田:私自身は導入当時ホールスタッフでしたので、会社全体の課題を俯瞰する立場ではありませんでした。ただ、人事課に異動してから当時の状況を改めて聞くと、業界特性として若い方の入れ替わりが多いのですが、それ以外のスタッフの離職についても当時は少なくありませんでした。その原因をたどっていくと、コミュニケーション不足という課題に行き着きます。
現場にいた立場から振り返っても、コミュニケーションを取れているつもりでも、それが目に見えるかたちで店舗や社内に共有されているかというとそうではありませんでした。個々の関係性のなかでは感謝の言葉が交わされていても、それが周囲に伝わらない状況だったのです。
対策として、一部の店舗でサンクスカードを試験的に導入したことがあったようです。ただ、紙のサンクスカードは、やり取りが当事者間で完結してしまい、他のスタッフにはその内容が見えません。やり取りについてのフィードバックがうまくできず、現場スタッフからも「どのように取り組んだらいいかわからない」という声が上がっていたそうです。書いたカードを全体にどう共有するかという運用面にも課題があり、結局うまく定着できませんでした。
―そうした課題を踏まえて、RECOGを選ばれた決め手は何でしたか?
内田:私は当時主任として店舗で働いており、RECOG導入の際にもプロジェクトに参加しておりました。最終的にRECOGの導入を決めたのは上司でしたが、紙では実現できなかった「全員に見えるかたちでのコミュニケーション」が、RECOGならできるという点が大きな決め手だったと思います。
岩田:人事課に来てから改めて当時の経緯を聞いたのですが、RECOGの紹介を受けて検討した際に、サンクスカードの課題がすべて解決できるのではないかという期待があったようです。
もっとも魅力的だったのは、顔と名前がメンバー一覧として表示されるプロフィール機能だったと聞いています。パチンコホールはシフト制で入れ替わりも多いため、新しく入ったスタッフが既存メンバーの顔と名前を覚えるのに非常に苦労します。紙の名簿を張り出しておくわけにもいかないですが、パッとメンバーを確認できるのはRECOGならではの利点ですね。
―導入が決まった時、現場スタッフからはどのような反応がありましたか?
内田:一部のスタッフからは「どのような文章を書いたらいいかわからない」という声もありましたが、RECOGの取り組み自体に対してはネガティブな反応はほとんどなかったですね。すでにサンクスカードの取り組みを行なっており、「感謝を伝え合う」という土壌がすでにできていたからだと思います。
正直に言うと、私自身は最初「みんなに投稿が見られるのが恥ずかしい」という気持ちが少しありました。全員が使うツールのなかで自分の言葉がオープンになるというのは、やはり最初は抵抗がありますよね。ただ、役職者が率先して投稿している様子を見て、「こういう投稿をすればいいのか」と参考にできました。上の人が使っていると、現場は自分も使ってみようという気持ちになりますから、私も抵抗感なく始められました。
岩田:私は当時ホールスタッフとして現場にいたのですが、日頃SNSはしているものの、仕事の場で同じように使うとなると「何を書けばいいのか」という戸惑いはありました。ただ、上司や先輩の投稿を参考にしたり、他のスタッフの投稿も見るようになったりするうちに、どんどん慣れていきました。
―現在はどのような体制でRECOGを運用されていますか?
岩田:現在は各店舗に1名ずつ担当者を決め運用しています。各店舗の担当者は、スタッフからの意見を吸い上げて、「今後どのように使っていくか」「どうすれば利用率が上がるか」といったことを一緒に考えてくれる存在です。
担当者の選び方は、指名する場合もあれば、参加に意欲的な方を推薦してもらうこともあります。特に決まった選任基準があるわけではなく、RECOGの活性化に前向きな方にお願いしています。任期はおおよそ1年程度ですが、異動などもありますので固定はしていません。
各店舗の担当者へ声をあげてもらうことで、社内全体みんなが運用に関わっているという意識があります。店舗間で「こういう声かけをしたら利用率が上がった」といった成功事例を共有し合う文化も生まれていて、全店舗で利用率が向上するように努力しています。
正社員もアルバイトスタッフも全員が利用する唯一のツールなので、社内の情報共有基盤という役割になっているのも、利用率が高い理由のひとつだと思っています。
内田:エリアマネージャーとして複数店舗の利用状況を見ていると、利用率が店舗によってばらついているケースもあります。ただ、利用率が高い店舗の取り組み方を他の店舗に共有することで、利用率が低い店舗にもノウハウが浸透して底上げができています。「あの店舗はこういう声かけをしているらしい」という情報が自然と回っていくので、全社的に良い循環が生まれていますね。
―現場の方はスムーズに使いこなせていますか?
岩田:学生のアルバイトの方も多いのですが、日頃からSNSを使い慣れている世代なので、こちらが教える前にボタン操作ができているのには驚きます。「こういう機能があるようですよ」と逆にこちらが教わることもあるので、導入に対する抵抗が少ないと感じています。
ほとんどのスタッフがスマホから参加していて、98%以上はアプリを使って利用しています。スマホからの投稿だけでなく、紙の用紙に記入していただいたものをこちらで代理投稿するという運用もしています。

新人スタッフには、入社当日に各店舗の担当者がRECOGの説明を行なっています。その場で登録からテスト投稿まで一緒に進め、実際に触りながら「わからないところがあったらその場で聞いてね」というスタイルです。マニュアルも用意してはいますが、実践で覚えてもらうのが一番早いかと思います。説明してくれた担当者に、その日のうちに「ありがとうございました」とレターを送っている新人スタッフもいましたよ。
プロフィール一覧を確認して先輩スタッフの名前を覚えるために利用するなど、新人スタッフが慣れない環境で働く心理的ハードルを下げるためにRECOGが役立っていると感じます。
さらに、入社時に一緒にお写真を撮って、ウェルカムボードを作成し「本日入社した○○さんです!」とスレッドに投稿して、全店舗に発信しています。投稿を見た他の店舗スタッフも新人スタッフについて知ることができるので、離れた拠点間でも新人の存在をすぐに認知してもらえる仕組みになっています。
―現在は、RECOGのどの機能を、どのように活用されていますか?
岩田:メインで活用しているのは、レター機能とスレッド機能です。
レター機能は、日々の感謝や称賛を伝えるために使っています。仕事でフォローしてもらったお礼や、忙しい時期を一緒に乗り越えたスタッフへの感謝が多いですね。私自身も、直接お礼を言えなかった時に、先にレターで感謝を送り、次に会った時に直接その思いを改めて伝えるという使い方をしています。レターで先に感謝を伝えておくと、次に顔を合わせた時に自然と会話が生まれます。「あのレター嬉しかったよ」「いやいや、こちらこそ」といったやり取りが、対面のコミュニケーションをより豊かにしてくれています。

内田:私の場合は、気持ちを伝えるだけでなく、期待を込めてモチベーションが上がるようなレターを送ることもあります。たとえば部下に依頼していた仕事が想像以上のクオリティで返ってきた時に、「ここが良かった」「次もこの調子で頑張ってほしい」と具体的に書くことで、受け取った側も「ちゃんと見てくれているんだ」と感じてくれるようです。
岩田:レターに紐づけられるバッジは、現在6種類のオリジナルバッジを設定しています。信頼を感じた時に贈る「トラスト」、向上心がある人への「アゲアゲ」、嬉しさや喜びを伝える「ビックリ」、キラキラ輝いていた人への「キラキラ」など、感覚的にわかりやすいバッジを用意しました。堅い名称ではなく親しみやすい名前にしたことで、スタッフも気軽に選べるようになっています。
スタッフによって使い分けはさまざまです。たとえば「キラキラ」だと、相手の行動に好感を持てたからという方もいれば、元気がよくて輝いていたという意味で使っている方もいます。どのような気持ちで贈られたレターなのかがバッジを見るだけでわかるので、単に「ありがとう」と伝えるだけではなく、具体的にどのような点に感謝しているのかを伝えられます。感謝や称賛の内容を深掘りできるので、コミュニケーションの質を高めるのに役立っていると感じます。
バッジの設定は、人事課と店舗スタッフで一緒に考えて決めました。現場の声を反映したからこそ、みんなに使ってもらえるバッジになったのかなと思っています。
―スレッド機能はどのように使われていますか?
岩田:もっとも多い使い方は、先ほどお話しした新人スタッフのウェルカムボード的な発信です。それ以外にも、会社全体の情報発信や店舗でのリニューアル情報、地域貢献などの取り組みの発信などにも活用しており、健康経営優良法人に選ばれた際のお知らせもスレッドで共有しました。全社統一で使っているツールはRECOGのみなので、スタッフへの周知の場としてスレッドは欠かせない存在になっています。
―RECOGを導入してから今までで、どのような変化がありましたか?
岩田:もっとも大きな変化は、コミュニケーションの幅が広がったことです。パチンコホールでは、お客様と接する時間を優先する場面が多いので、一緒に働く仲間と接する時間を確保するのがなかなか難しく、どうしてもスタッフ同士のコミュニケーションが不足しがちです。でもRECOGがあることで、直接言えなかったことを空いた時間に送って、次に会った時に改めて伝えるということができます。仲間とのコミュニケーションに時間や場所の制約がなくなったことで、お客様への対応は疎かにせずに店舗内のコミュニケーションも後回しにすることがない環境をつくれています。
内田:店舗を見ていて感じるのは、他者に寄り添い協力して業務を進めるという意識が明らかに強くなったことです。RECOGで感謝を伝えたり伝えられたり、そして他のスタッフ同士の感謝のやり取りを見ているので、協調性を持って物事を進めていく姿勢が自然と浸透してきました。さりげない「ありがとう」のレターでもモチベーションは大きく高まりますし、モチベーションの維持という面でも導入してよかったと強く感じています。
そうした結果、RECOG導入前に抱えていた人材定着に関する課題も解決されてきています。もちろん学生の卒業による退職はいたしかたない部分ですが、それ以外の離職については導入前より明らかに低下している実感があります。RECOGの導入だけが要因というわけではないと思いますが、日々のコミュニケーションの積み重ねが「ここで働き成長していきたい」という気持ちにつながっているのだと感じています。
私自身も、RECOG導入後に効果を感じる場面は少なくありません。
導入当時、私は山口県の店舗に勤めていたのですが、福岡の店舗にどんな方が働いているのか全くわかりませんでした。しかしRECOGを通してプロフィールを見たり、レターを読んだりするうちに、「こういう人がいるんだな」「個性溢れる方が多く楽しい会社だな」と安心感を持てるようになりました。
山口と福岡は距離があるので、普段の業務で直接関わる機会はほとんどありません。しかし、RECOGのレターを通じて福岡の店舗のスタッフがどんな仕事をしているか、どんなことを大切にしているかが見えてきます。実際に会ったことがない人のことも「あのレターを送っていた人だ」とわかるので、グループとしての一体感が格段に強まりました。
上司からも部下からもレターが届くので、仕事をするうえでの励みにもなっています。店舗のために、そして会社のために頑張ろうという意識がすごく強まりましたね。
―運用を続けるなかで、中だるみのような時期はありましたか?
岩田:正直に言うと、最初の盛り上がりから少し利用率が下がってきたなという時期がありました。
そのころ創業50周年を迎えたタイミングでしたので、創業記念とRECOGと絡めて始めたのが「500食チャレンジ」です。RECOGのレター送信が給食の寄付につながる仕組みを活かして、「1年間で500食分の寄付を達成しよう」という全社目標を掲げました。会社を盛り上げるだけでなく、給食提供という社会貢献にもつながるということで、スタッフ全体の共感をいただけたのかなと思います。
積極的に取り組みを続けた結果、目標の500食を大幅に超えて700食以上を達成しました。この結果は社内でも共有され、自分たちのコミュニケーションが誰かの役に立っているという実感がスタッフのモチベーションをさらに押し上げました。今では「前年の記録を塗り替えよう」と毎年取り組んでいて、利用率は下がることなく推移しています。
この経験から、目標を設定すること、そしてそれを社会貢献へとつなげることで「ただやっている感」をなくすことが効果的だったのだと学びました。
当初は声掛けがないと自発的に取り組む方も少なかったのですが、数年続けた今では全員が前向きに参加してくれているので、文化として醸成できているという実感がありますね。ただ、現状に満足することなく、さらに自然にほめあう文化が続くよう働きかけを続けています。
―今後のRECOG活用の展望をお聞かせください。
岩田:今後は、社内全員が参加できる状態をつくることが次の目標です。たとえばレターを送るのはちょっとハードルが高くても、拍手なら気軽に贈ることができます。まずはそうした小さなアクションの積み重ねから始めていけるよう、さまざまな施策にチャレンジしていきたいです。
当初の目的である「風通しの良い職場」というのはこれからもどんどん目指していきたいです。6年経っても利用率が下がらずに使い続けられているということは、RECOGは当グループにとって不可欠なツールになっていると実感しているので、これからも全社で盛り上げていきたいと思っています。

―最後に、同じような課題を抱える企業や業界に向けてメッセージをいただけますか?
岩田:私たちの業界だけではなく、上司・部下・部署の垣根を越えてのコミュニケーションが課題になっていることがあるかと思います。実際に利用しているなかで、RECOGはコミュニケーション課題を解決するのに効果的なツールだと感じます。
内田:導入当初は声かけが必要でも、続けていけば必ず「文化」になります。当社も最初から全員が自発的だったわけではありません。しかし目指すべき環境を明確にし、社会貢献のような共感できる目標を掲げることで浸透していきます。今では誰かに言われなくても自然にレターを送る組織になりました。結果を直ぐに求めるのではなく継続していく事が、一番大事なのかなと思います。また職場内環境をより整えることで、お客様に対してのサービスも必ず向上すると私は感じております。