本記事では、レコグニションとリワードの定義や違いをわかりやすく整理したうえで、レコグニションが注目される背景や導入メリット、制度を成功させるためのポイントを解説します。自社の評価制度を見直すヒントとして、ぜひ最後までご覧ください。
レコグニションとリワードの違いを理解するには、まずそれぞれの定義を正確に押さえておく必要があります。ここでは、ビジネスシーンにおける両者の意味を確認しましょう。
レコグニション(Recognition)は、英語で「承認」「認識」を意味する言葉です。ビジネスシーンでは、従業員の努力や貢献を認め、称賛や感謝を通じて報いる仕組みを指します。
具体的には、社内表彰制度やサンクスカード、ピアボーナスなどが代表的な施策でしょう。金銭的な報酬を伴うケースもありますが、基本的には「感謝」や「賞賛」といった非金銭的な価値の提供が中心となります。
リワード(Reward)は、英語で「報酬」「褒美」を意味します。ビジネスシーンでは、従業員の成果や業績に対して金銭的な報酬を与える仕組みのことです。
賞与や昇給、インセンティブ(成果報酬)などが該当します。定量的な成果に基づいて支給されるケースが多く、営業成績や売上目標の達成度といった明確な基準で評価される点が特徴といえるでしょう。
両者は「従業員を評価し、モチベーションを高める」という目的は共通しているものの、アプローチには明確な違いがあります。以下の3つの観点から整理します。
最も大きな違いは、金銭的報酬を伴うかどうかという点です。
リワードは、賞与やインセンティブなど金銭的な対価を通じて従業員の成果を評価します。一方、レコグニションは感謝の言葉や表彰といった非金銭的な手段で従業員の貢献を承認する取り組みが中心となります。
リワードには即効性がある反面、効果が短期的にとどまりやすいという側面も否定できません。昇給や賞与は受け取った直後の満足度は高いものの、翌月以降は同額でも新鮮さが薄れていくためです。
これに対して、レコグニションは従業員の帰属意識や自己肯定感に働きかけるため、長期的なエンゲージメント維持に適しています。「自分の仕事が認められている」という実感は、金銭では代替しにくい持続的なモチベーション源となるでしょう。
リワードは売上や利益といった定量的な成果を評価対象とするのが一般的です。そのため、営業職や管理職など、成果を数値化しやすい職種が恩恵を受けやすい傾向にあります。
一方、レコグニションは数値に表れにくい貢献も評価の対象に含められます。チームへの協力姿勢やホスピタリティ、業務改善への取り組みなど、定性的な行動にも光を当てられる点が強みです。
| 比較項目 | レコグニション | リワード |
|---|---|---|
| 報酬の種類 | 非金銭的報酬が中心 | 金銭的報酬が中心 |
| 効果の持続性 | 長期的 | 短期的 |
| 評価の対象 | 定性的な貢献・行動 | 定量的な成果・業績 |
| 評価の即時性 | 日常的・即時的 | 期末・査定時が中心 |
| 対象となりやすい職種 | 全職種 | 成果を数値化しやすい職種 |
近年、多くの企業がレコグニションの導入に関心を寄せています。その背景には、ビジネス環境や働く人の意識の変化が深く関わっています。
かつては「高い給与をもらうために働く」という価値観が主流でしたが、現在は必ずしもそうとは限りません。特に若い世代を中心に、「自分の仕事が誰かの役に立っている実感」や「周囲から認められている感覚」を重視する傾向が強まっています。
金銭的報酬だけでは従業員の多様なニーズに応えきれない場面が増えたことで、非金銭的な承認の仕組みであるレコグニションの重要性が高まっているのです。
少子高齢化による労働人口の減少が進む中、優秀な人材の確保と定着は企業にとって喫緊の課題となっています。離職理由として「自分の頑張りが評価されていない」「認められている実感がない」という声は少なくありません。
レコグニションによって従業員一人ひとりの貢献を可視化し、承認の文化を醸成できれば、帰属意識の向上と離職防止につなげられるでしょう。
リモートワークの広がりにより、従業員同士が直接顔を合わせる機会が減少した企業も多いはずです。物理的な距離がある中では、日々の貢献や努力が見えにくくなり、孤立感を覚える従業員が出てくるリスクがあります。
こうした環境下で、意図的に称賛や感謝を共有する仕組みとして、レコグニションが改めて注目を集めています。
レコグニション制度を適切に導入・運用すれば、組織にさまざまなプラスの効果をもたらします。ここでは、代表的な3つのメリットを見ていきましょう。
レコグニションを通じて「自分の働きが組織に認められている」と感じられると、従業員のエンゲージメントは大きく向上します。上司や同僚からの称賛が積み重なれば、仕事への主体性や組織への愛着が自然と高まるでしょう。
エンゲージメントの高い従業員は、業務に積極的に取り組み、生産性の向上にも貢献する傾向があります。
従業員が「この会社にいたい」と思える環境を整えるうえで、レコグニションは有効な手段です。金銭的な報酬だけでなく、日常的に感謝や承認を受けられる職場は、従業員にとって大きな魅力となります。
結果として離職率が低下し、採用・育成にかかるコストの削減にもつながるでしょう。
レコグニションの文化が根付いた組織では、従業員同士が互いの良い面に目を向けるようになります。称賛や感謝が日常的に交わされる環境は、職場の心理的安全性を高め、新しいアイデアや挑戦が生まれやすい土壌をつくるものです。
部署間の壁を越えたコミュニケーションも促進され、組織全体の一体感が強化される効果も期待できます。
レコグニションとリワードは対立する概念ではなく、互いを補完し合う関係にあります。両者を効果的に組み合わせる「トータルリワード」の考え方を理解しておきましょう。
トータルリワードとは、金銭的報酬と非金銭的報酬を総合的に設計・管理する報酬マネジメントの考え方です。給与や賞与といった金銭面だけでなく、成長機会の提供や働きやすい環境づくり、そしてレコグニションによる承認まで含めて、従業員への「報い方」を包括的に捉えます。
欧米を中心に広まった概念ですが、近年は日本国内でもトータルリワードの視点で人事制度を見直す企業が増加しています。
トータルリワードを実践するうえで重要なのは、金銭的報酬と非金銭的報酬のバランスです。金銭的報酬は従業員の生活基盤を支える重要な要素ですが、それだけでは満足度の向上に限界があります。
レコグニションのような非金銭的報酬を組み合わせれば、内発的動機づけにも働きかけられ、より持続的なモチベーション向上が見込めるでしょう。自社の経営方針や従業員の特性に合わせて、最適な配分を検討することが大切です。
レコグニション制度を形骸化させず、組織に定着させるためには、計画的な導入と継続的な改善が欠かせません。ここでは、導入手順を4つのステップに分けて解説します。
最初に取り組むべきは、レコグニション制度の導入目的を明確にすることです。「従業員エンゲージメントの向上」「離職率の改善」「部門間コミュニケーションの活性化」など、達成したいゴールを具体的に定めましょう。
目的が曖昧なまま制度を導入すると、形だけの取り組みに終わってしまう可能性があります。経営層と人事部門が連携し、現場の課題も踏まえたうえで方針を共有するのが望ましいでしょう。
次に、レコグニションの対象範囲と評価基準を定めます。正規雇用の従業員だけでなく、契約従業員やパートタイム従業員も含めるかどうかを検討してください。
対象を限定しすぎると、一部の従業員から不公平感が生まれるリスクがあります。また、「どのような行動や成果を称賛の対象とするのか」を明確にしておけば、従業員も制度に参加しやすくなるはずです。
制度を設計したら、従業員への丁寧な説明が不可欠です。社内説明会の開催やガイドラインの配布などを通じて、制度の趣旨・利用方法をわかりやすく伝えましょう。
特に管理職には、率先して制度を活用する姿勢を見せてもらうのが効果的です。上層部が積極的に称賛を行うことで、組織全体への浸透が加速します。
レコグニション制度は導入して終わりではありません。定期的にアンケートやデータ分析を実施し、制度が期待どおりに機能しているかを検証する必要があります。
利用率や従業員満足度、離職率の推移などを追いながら、必要に応じて評価基準や運用方法を見直しましょう。現場の声を取り入れながら改善を繰り返すことで、実効性のある制度へと育てていけます。
レコグニション制度を効果的に運用するには、専用ツールの活用が大きな助けとなります。紙のサンクスカードや口頭での称賛だけでは、記録が残りにくく、制度の形骸化にもつながりかねません。
デジタルツールを導入すれば、いつでもどこでも手軽に感謝や称賛を送り合えるうえ、蓄積されたデータを分析に活用することも可能です。リモートワーク環境でも従業員同士のつながりを維持でき、部署を越えたコミュニケーションの促進にも役立つでしょう。
レコグニション制度の導入・運用を検討するなら、チームワークアプリ「RECOG」がおすすめです。RECOGは、従業員同士が「レター」と呼ばれるメッセージで感謝や称賛を贈り合える仕組みを提供しています。
RECOGの主な特徴は以下のとおりです。
直感的に操作できるインターフェースを備えているため、ITツールに慣れていない従業員でも抵抗なく利用を始められます。導入後の定着支援やコンサルティングなどサポート体制も充実しており、「ツールを導入したものの活用が進まない」という課題にも対応可能です。
レコグニションとリワードを組み合わせた運用を一つのプラットフォームで実現できる点は、RECOGならではの強みといえるでしょう。
RECOGの詳細は以下の資料で紹介しているので、ぜひダウンロードしてみてください。
レコグニションとリワードは、どちらも従業員の貢献を評価し、モチベーションを高めるための重要な施策です。最大の違いは、レコグニションが感謝や称賛などの非金銭的報酬を中心とするのに対し、リワードは賞与やインセンティブなどの金銭的報酬を主軸とする点にあります。
どちらか一方だけで従業員の多様なニーズに応えることは難しく、両者をバランスよく組み合わせるトータルリワードの視点が求められています。
レコグニション制度を成功させるためには、目的の明確化、対象範囲の設定、従業員への周知、そして効果測定と改善の継続が不可欠です。ツールを活用した効率的な運用も視野に入れつつ、自社に最適な制度設計を進めてみてはいかがでしょうか。