本記事では、バディ制度の概要からメンター制度やOJTとの違い、導入のメリット・デメリット、成功させるためのポイントまで詳しく解説します。新入社員が安心して働ける環境づくりを目指す方は、ぜひ参考にしてください。

バディ制度とは、新入社員や中途入社者に対して、先輩社員が1対1でサポートを行なう仕組みです。「バディ(buddy)」は英語で「相棒」や「仲間」を意味し、業務の指導だけでなく、職場への適応や人間関係の構築まで幅広く支援します。
通常、同じ部署やチームの先輩社員がバディとして任命され、日常的な質問対応や業務フォロー、精神的なサポートを担当します。新入社員が「誰に聞けばいいかわからない」という状況を防ぎ、安心して働ける環境を整えることが主な目的です。新入社員の早期戦力化と離職防止に効果があるとして、多くの企業で導入が進んでいます。

バディ制度と似た仕組みとして、メンター制度やOJT、ブラザー・シスター制度などがあります。それぞれの違いを理解し、自社に適した制度を選びましょう。
メンター制度は、主にキャリア形成や精神的なサポートを目的とした制度です。メンターは異なる部署の先輩社員が担当することが多く、直接の業務指導よりも中長期的な成長支援に重点を置きます。一方、バディ制度は同じ部署の先輩が担当し、日常業務のサポートや職場への適応支援がメインです。バディ制度はより実務に近い位置でのサポートといえるでしょう。
OJT(On the Job Training)は、実際の業務を通じてスキルや知識を習得させる教育手法です。業務遂行能力の向上が主な目的であり、指導内容も仕事のやり方が中心となります。バディ制度は業務指導に加えて、職場の人間関係づくりやメンタル面のケアなど、包括的なサポートを行う点が異なります。OJTとバディ制度を併用している企業も少なくありません。
ブラザー・シスター制度やエルダー制度は、バディ制度と本質的には同じ仕組みです。名称が異なるだけで、先輩社員が新入社員をマンツーマンでサポートするという点は共通しています。企業によって呼び方が違うだけなので、制度の内容を確認すれば実質的に同じものだとわかるでしょう。

バディ制度を導入すれば、新入社員だけでなく組織全体にもメリットがあります。ここでは代表的な4つのメリットを紹介します。
専任のバディがいれば、新入社員は疑問点をすぐに解消できます。「誰に聞けばいいかわからない」という状態がなくなり、業務の習得スピードが上がるでしょう。職場のルールや暗黙の了解なども、バディから直接教えてもらえるため、スムーズに環境へ適応できます。結果として早期戦力化につながります。
上司には聞きにくいことでも、年齢の近いバディには相談しやすいものです。ちょっとした困りごとや不安を気軽に話せる相手がいれば、新入社員の心理的な負担は大きく軽減されます。「一人で抱え込まなくていい」という安心感が、前向きに仕事に取り組む姿勢を生み出すでしょう。
入社直後は、孤立感や不安から離職を考える新入社員も少なくありません。バディ制度によって「自分を気にかけてくれる人がいる」と感じられれば、会社への帰属意識が高まります。困ったときにすぐ相談できる環境があれば、問題が深刻化する前に対処できるでしょう。早期離職の防止に大きく貢献する制度です。
バディを担当する先輩社員にとっても、成長の機会となります。人に教えるためには自分の知識を整理する必要があり、業務への理解が深まるでしょう。また、後輩の面倒を見る経験は、将来のマネジメントスキル向上にもつながります。教える側・教えられる側の双方が成長できる仕組みです。

バディ制度にはメリットが多い一方で、運用次第ではデメリットも生じます。導入前に注意点を把握しておきましょう。
バディを担当する先輩社員は、通常業務に加えて新入社員のサポートを行うことになります。十分な時間が確保できなければ、自身の業務に支障が出たり、サポートが中途半端になったりする恐れがあります。バディの業務量を調整し、サポートに充てる時間を確保する配慮が必要です。
バディの指導力やコミュニケーション能力には個人差があります。担当するバディによってサポートの質に差が生じると、新入社員の成長スピードにも影響が出るでしょう。事前研修やガイドラインの整備など、サポートの質を一定に保つための工夫が求められます。
1対1の関係であるため、バディと新入社員の相性が合わない場合は逆効果になることもあります。相性が悪いと相談しづらくなり、制度本来の目的を果たせません。定期的な面談でフォロー状況を確認し、必要に応じてバディの変更も検討できる柔軟な運用が大切です。
導入当初は機能していても、時間が経つにつれて形骸化してしまうケースもあります。バディとのコミュニケーションが減り、名ばかりの制度になってしまうと意味がありません。制度の目的を定期的に確認し、振り返りの機会を設けることで形骸化を防ぎましょう。

バディ制度を効果的に運用するには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。ここでは成功のための3つのポイントを解説します。
まず、バディ制度を導入する目的を明確にしましょう。「早期戦力化」「離職防止」「職場適応支援」など、何を達成したいのかを具体化します。そのうえで、バディが担う役割を明文化してください。役割が曖昧だと、バディ自身も何をすればいいかわからず、サポートが中途半端になってしまいます。
誰をバディに任命するかは、制度の成否を左右する重要なポイントです。業務スキルだけでなく、コミュニケーション能力や面倒見の良さも考慮しましょう。新入社員が相談しやすいと感じる人柄かどうかも大切な基準です。適性のある人材を選び、必要に応じて研修を実施してください。
バディだけに任せきりにせず、上司や人事部門と連携したサポート体制を構築しましょう。定期的にフォロー状況を確認し、問題があれば早めに対処できる仕組みが必要です。バディが困ったときに相談できる窓口を設けておけば、サポートの質も安定します。

バディ制度をより効果的に運用するには、バディの頑張りを認める仕組みも重要です。新入社員のサポートは目立ちにくい貢献であり、評価されにくい傾向があります。
バディの努力を称賛し、感謝を伝える機会を意図的に設けましょう。「ありがとう」の言葉が日常的に交わされる環境であれば、バディのモチベーションも維持されます。新入社員からバディへ、バディから新入社員へと、相互に感謝を伝え合う文化が根付けば、制度全体の効果が高まるでしょう。
称賛や感謝を仕組み化することで、バディ制度は単なる業務サポートを超え、組織全体のコミュニケーション活性化にも貢献します。

バディ制度と称賛文化を組み合わせるなら、RECOGの活用がおすすめです。RECOGは、従業員同士が感謝や称賛のメッセージを贈り合えるコミュニケーションツールで、日常的な「ありがとう」を可視化できます。
RECOGでは、メッセージを送る際に企業のバリュー(行動指針)を紐づける機能があります。「サポート」「チームワーク」といったバリューを設定すれば、バディとしての貢献が正当に評価される仕組みを作れるでしょう。
また、感謝のやり取りが全社で共有されるため、バディの頑張りが周囲にも伝わります。目立ちにくい貢献にスポットライトが当たり、バディのモチベーション向上につながります。
RECOGの詳細は以下の資料で紹介しているので、ぜひダウンロードしてみてください。
バディ制度は、新入社員の早期戦力化と離職防止に効果的な仕組みです。同じ部署の先輩社員が1対1でサポートすることで、業務習得のスピードアップや相談しやすい環境づくりが実現します。先輩社員にとっても成長の機会となり、組織全体にメリットをもたらすでしょう。
一方で、先輩社員の負担増加やサポートの質のばらつき、相性の問題といった注意点もあります。制度の目的と役割を明確にし、適切な人選とサポート体制の構築を心がけてください。
バディの貢献を称賛・感謝する文化を醸成すれば、制度の効果はさらに高まります。RECOGのようなツールを活用して、バディ制度と称賛文化を組み合わせた取り組みを検討してみてください。