職場環境の改善は、仕事の生産性や従業員のモチベーション、人材の定着率につながる取り組みです。しかし「職場環境」と一口にいっても、さまざまな要素が考えられるため、何から着手すればよいか、お悩みの方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、職場環境の改善の重要性や手順、施策の具体例を紹介します。職場環境の改善を図りたいとお考えの方は、ぜひ参考になさってください。
 
      
 
 
 

そもそも職場環境とは、仕事をする際に従業員を取り巻く環境を指します。職場環境は4つに分類され、それぞれの具体例は以下のとおりです。
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			 要素  | 
			
			 具体例  | 
		
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			 ➀作業環境  | 
			
			
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			 ➁業務内容  | 
			
			
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			 ③人間関係  | 
			
			
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			 ④労働条件  | 
			
			
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ウェルビーイング経営や健康経営などが注目されている昨今。職場環境の改善への関心度は高まっており、積極的に取り組む企業が増えています。また職場環境の改善は、従業員の働きやすさに直結するため、人材定着のメリットもあります。
 

職場環境の改善を行なうと、具体的にどのような効果があるのでしょうか。職場環境の改善の主なメリットを4つ解説します。
「オフィスが暑い」「照明が暗い」など問題のある作業環境や、膨大な業務量、ギスギスした人間関係は、働くうえで大きなストレスになります。
しかし、職場環境の改善によって従業員を取り巻く環境を快適にすると、業務に集中できるようになり、パフォーマンスの向上が期待できます。また、職場環境の改善で社内コミュニケーションが活発になれば、悩みごとが生じた際にも周囲に相談しやすくなり、不安も軽減するでしょう。
コミュニケーションが不足すると、チームの情報共有や連携がうまくいかなくなり、業務にも支障が出るでしょう。
社内コミュニケーション活性化の手段としても、職場環境の改善は有効です。具体例としては、自然と会話が生まれるような休憩スペースの設置や、社内イベントの実施などが考えられます。また、感謝の気持ちを伝え合うサンクスカードツールを導入して、ポジティブなコミュニケーションを増やすのも、職場環境の改善には効果的です。
物理的な環境整備やコミュニケーションの活性化、業務フローの見直しなど、職場環境の改善を行なうことにより生産性もアップします。
たとえば、作業環境や休憩スペースの整備といった職場環境の改善を行なうと、集中して働けるようになるため、従業員のパフォーマンスは向上するでしょう。ほかにも、オフィス内のレイアウト・動線変更により、無駄な動きを減らして会話が生まれやすい仕組みを整えたり、業務をデジタル化したりすると、さらに業務効率は高まります。
作業環境や業務内容、労働条件などの職場環境が悪いと、ストレスになり離職を検討するきっかけになります。
逆に居心地のいい職場は、多少の不満があったとしても長く働き続けたいと思えるものです。つまり、職場環境の改善によって快適に働ける状態が整うと、従業員満足度が上がり、人材の定着率もアップします。人材が定着すると、組織力の強化や知見・ノウハウの積み上げ、教育コストの削減など、さまざまなメリットがあります。
 

「職場環境の改善を図りたい」と思っても、どのように進めればよいか迷う方もいらっしゃるでしょう。ここからは、職場環境の改善の具体的なプロセスをご紹介します。
職場環境の改善は手探りのまま着手してしまうと、望む効果が得られない場合があります。職場環境の改善の第一歩として、まずは自社の状況を把握しましょう。
具体例を挙げると、従業員のストレス度合いを測る「ストレスチェック」や、職場にどのくらい満足しているかを確認する「従業員アンケート」がおすすめです。従業員に自分事として回答してもらうため、あらかじめ職場環境の改善が目的であるとアナウンスするとよいでしょう。
ストレスチェックやアンケートの結果をもとに、次は問題点を分析します。著しく満足度の低い項目はもちろん、年次や部門によって結果に偏りのある項目にも着目すると、職場環境の改善として取り組むべき課題が見えてきます。データ上で問題点を確認できたら、その背景や実態を詳細に確認するため、従業員にヒアリングするとよいでしょう。
また、職場環境の改善として着手すべき問題点が複数ある場合は、社内外への影響度を考慮して優先順位を決めることも大切です。
問題点を明確にできたら、職場環境の改善の具体的な施策を考えます。具体例を挙げると、コミュニケーション不足が問題であれば、職場環境の改善として手軽にやり取りができるチャットツールや社内SNSの導入が考えられるでしょう。
ただし、職場環境の改善は、すぐに取り組める施策ばかりではありません。福利厚生や評価制度の見直しは長期的なスパンで検討する必要があるため、職場環境の改善のスケジュールもあわせて決めておきましょう。
優先順位やスケジュールの整理ができたら、いよいよ職場環境の改善を実行します。複数のツールや制度が一斉にスタートすると従業員が戸惑い、業務に支障をきたす場合もあります。先ほど決めたスケジュールのなかで、さらに細かく順番を決めて、段階的に職場環境の改善を行なっていくとよいでしょう。また、職場環境の改善は全社に関わるため、事前に「どのような問題解決のために、何を実施するか」を発信しておきましょう。
職場環境の改善を実行したあとは、振り返りを行ないます。ストレスチェックや従業員アンケートを再度実施して初回の結果と比較したり、離職率の推移を分析したりするほか、ヒアリング調査で生の声を聴くことも、職場環境の改善の振り返りとして効果的です。
「働きやすい環境」は、企業や従業員の状況、その時々の働き方によって変化していきます。そのため、職場環境の改善は一度実施したら終わりではなく繰り返し行ない、PDCAを回し続けるようにしましょう。
 

ここからは、職場環境の改善の具体例を見ていきましょう。職場環境の改善につながる施策をテーマ別にご紹介します。
作業環境の見直しは、物理的な職場環境の改善であるため、比較的簡単に実践できるものが多くあります。具体例を紹介していきます。
職場環境の改善では、必要な備品が揃っているかだけでなく、それらが適切な状態であるかも見直しましょう。デスクワーク中心の場合は特に、どのような机・椅子を選ぶかが重要です。具体例としては「作業スペースが広く取れる机」「身体に負担の少ない椅子」「好みや身長に合わせて高さ調整ができる机・椅子」などがおすすめです。また、書類を収納できる棚やボックスの用意も、職場環境の改善になります。
従業員が快適に働くには、オフィス内の室温・湿度が適切に保たれていることが大切です。職場環境の改善として、空調でオフィス内の温度を均一に管理するのはもちろん、人によって暑さや寒さの感じ方は異なるため従業員各々で調整できるよう、扇風機やサーキュレーターを併用するとよいでしょう。さらに冬場は加湿器を設置するなど、季節や気候に合わせた対策で職場環境の改善を図りましょう。
不快なにおいは集中力を下げるだけでなく、気分が悪くなったり頭痛を引き起こしたりする場合もあります。
職場環境の改善でにおいを対策するために、こまめに窓を開けて換気をし、日々の清掃を徹底しましょう。また、消臭剤の活用も効果的です。新鮮な空気を維持するため空気清浄機を設置するのも職場環境の改善になりますが、オフィスの広さに合った製品を選び、必要に応じて複数台設置しましょう。
暗いオフィスでは気分も暗くなり、作業効率や視力の低下といったリスクもあります。
照明を変えて職場環境の改善を図る際は、業務に応じた明るさを選ぶことが大切です。パソコン作業や資料整理など、業務内容によって適切な明るさを確保しましょう。
オフィス全体が明るくても、棚の影になって部分的に明るさを確保できていない場合もあります。職場環境の改善の際は、デスクに置けるスタンド型ライトも設置するなどの工夫が必要です。
オフィスのレイアウトを変更するだけで、職場環境の改善になるケースもあります。
具体例を挙げると、机やパーテーションの位置を変えると書類棚やミーティングスペースまでの移動がスムーズになり、日々の“ムダ”を削減できるでしょう。また、同じチームのメンバー同士が対面になるよう机を配置すると、コミュニケーションが取りやすくなって、職場環境の改善による業務効率化につながります。
職場環境の改善では、多くの従業員が利用する共用部を清潔かつ居心地よい状態にすることも大切です。
たとえば、全従業員が利用するトイレや会議室などは、清掃を行ない衛生的に保ちましょう。また、職場環境の改善として休憩スペースを設置するのもおすすめです。従業員が業務の合間にリフレッシュできるのはもちろん、居合わせた従業員同士で自然と会話が生まれ、コミュニケーション活性化にも役立ちます。
日々の業務に関しても、フローや方法を見直すことで職場環境の改善を図れます。業務内容改善の具体例を挙げていきます。
従業員がそれぞれ自己流で行なっている業務や、一部の従業員しか対応できない業務があると、ミスに気づきにくく、異動の引継ぎにも時間がかかってしまいます。
そこで、マニュアルを作成し属人化を防ぐことも職場環境の改善のひとつです。マニュアル整備の際には業務フローが明確になるため、無駄な手順の見直しや、より効率的な手法の導入のきっかけにもなります。
業務内容やレベルが従業員のスキルに合っていないと、長時間労働やメンタルヘルス不調の原因となり、離職につながるリスクがあります。
職場環境の改善では、上司の評価と本人の考え、残業時間をもとに、各々に見合った業務レベル・業務量になっているかを見直します。場合によっては、担当変更やツール導入による効率化も検討すると、より職場環境の改善が図れるでしょう。
ツールを導入して業務をデジタル化し、生産性アップを図ることも職場環境の改善に効果的です。頻度の高いアナログ業務を中心に、PRAやAIによる自動化ができないかを検討しましょう。たとえば会議の議事録もAIを活用すると簡単に作成できるため、これまでよりも会議に集中して臨めるようになるでしょう。また分析ツールや支援ツールを活用すれば、業務を効率化でき、職場環境の改善が見込めます。
社内の人間関係は、仕事の生産性やモチベーションを大きく左右します。そのため、職場環境の改善には、良好な人間関係の構築が欠かせません。社内コミュニケーションを促進する
具体例を見ていきましょう。
職場環境の改善として、まず考えられるのが上司と部下のコミュニケーション活性化です。1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で行なう面談を指し、主に上司が聞き手となって部下の仕事に対する考えや悩みなどを傾聴します。2人でじっくりと話すことで、お互いの内面を深く知るきっかけになるとともに、上司は部下の強みを理解する機会にもなります。
仕事を円滑に進め大きな成果をあげるには、チームワークが重要です。チームビルディングのため、ゲームを活用して職場環境の改善を図るのもよいでしょう。
ゲームの具体例としては、チームで話し合って1つの答えを導き出すディスカッション型の「NASAゲーム」や、協力して高いタワーを作る「ペーパータワー」などが挙げられます。いずれも楽しみながらチームの結束力を高めて職場環境の改善ができるゲームです。
職場環境の改善として、組織全体のコミュニケーションを促進したいときには、社内イベントの実施が有効です。イベントを通して、普段あまり関わりのない部門の従業員とも自然とコミュニケーションが生まれ、職場環境の改善になります。
社内イベントの具体例を挙げると、事例発表会や社内勉強会といった業務に関するイベントのほか、バーベキューやスポーツイベントなど業務から離れて楽しめるものが考えられます。
部門を超えたコミュニケーション活性化で職場環境の改善を図りたいときに、気軽に実践できるのがシャッフルランチです。さまざまな部門の従業員がグループとなって一緒にランチをするイベントで、企業によっては役員が参加するケースもあります。食事をしながらリラックスした状態で話せるので、仕事に関することからプライベートまで話が弾みやすいのがメリットです。
「支社・支店が複数ある」「リモートワークを推奨している」などの背景から、コミュニケーション不足にお悩みの企業も多いでしょう。
そのような職場環境の改善に有効なのが、コミュニケーションツールの導入です。気軽に連絡を取り合えるチャットツールや、感謝を伝えられるサンクスカード、スピーディーな情報・ナレッジ共有が可能な社内SNSなどがおすすめです。
人材育成に力を入れると、従業員のスキルアップやエンゲージメント向上が期待でき、職場環境の改善につながります。育成制度の具体例を紹介します。
若手従業員を育成し、適切にフォローできる体制を整えることも職場環境の改善のひとつです。
メンター制度は、若手従業員(メンティ)と先輩従業員(メンター)がペアとなって、仕事やキャリアプランの悩みを先輩に相談できる仕組みです。若手従業員と先輩従業員は同じ部門同士でも効果がありますが、異なる部門であれば部門間のコミュニケーション活性化による職場環境の改善にもなります。
職場環境の改善のため、社内で研修やセミナーを実施するのも有効です。
新入社員向けにビジネスマナー研修を行なっている企業は多いでしょう。そのほかにも管理職や中堅社員向けに、リーダーシップやマネジメント研修を行なうのもおすすめです。さらに、全従業員向けにはタスク管理やタイムマネジメント、プレゼンテーション研修などを実施すると、組織全体のスキル向上が期待でき、職場環境の改善が見込めます。
職場環境の改善の一環として、業務に関わりのある資格取得を企業がサポートすると、従業員のスキルはもちろん、エンゲージメントも高まります。
具体例を挙げると、資格取得のための試験・講座にかかる費用を企業が負担したり、講座受講の時間を業務時間とみなしたりすることが考えられます。実践する場合は事前に、推奨する資格を一覧化し要項をまとめておくと、マニュアル整備による職場環境の改善にもなります。
従業員に新しいスキルの取得や学びの場を提供することも、職場環境の改善には重要です。前述の研修・セミナーは、講師を招き1つの会場に従業員を集めて開催する必要があります。一方、eラーニングであれば従業員が各々好きなタイミングで、好きなプログラムを受講できます。マーケティングやITスキル、コミュニケーションなど多様なプログラムが揃ったeラーニングを導入するとよいでしょう。
職場環境の改善として昨今は特に、ハラスメントや従業員の健康への取り組みの重要度が増しています。具体例としては、以下が挙げられます。
職場環境の改善において、パワハラやセクハラなどの心配がない、安心して働ける環境づくりが非常に重要です。
ハラスメントを予防するには「どのような言動がハラスメントになるか」を知ることが第一歩になります。専門の講師を招いたりeラーニングを活用したりして、全従業員を対象に研修を行ないましょう。その際、相談窓口の存在もアナウンスすると安心感につながり、職場環境の改善の一助になります。
健康に不安を抱えていると、本来のパフォーマンスを発揮できなかったり、欠勤が多くなったりして仕事の生産性は低下します。そのため、職場環境の改善では従業員の健康にも気を配ることが大切です。定期的な健康診断、健康チェックのほか、残業の多い企業ではストレスチェックも行なうとよいでしょう。また、産業医面談などの仕組みを整えておくのも職場環境の改善のひとつです。
職場環境の改善の施策として、ハラスメント相談や医師への健康相談、カウンセリングなど相談窓口を設置することも考えられます。ハラスメント相談は特に、直接相談に出向くのはハードルが高く感じる人もいるため、メールや匿名での相談も受け付けると従業員が安心して利用できます。職場環境の改善によって、従業員が一人で悩みを抱え込まない状態を作りましょう。
労働条件は、職場環境の改善のなかでも長期的に取り組む施策が多いですが、見直しにより従業員のモチベーションアップが期待できます。具体例は以下の通りです。
職場環境の改善では「従業員が報酬体系に満足しているか」「一人ひとりの活躍を適切に評価できる制度になっているか」を見直しましょう。より公平に従業員を評価し、報酬に反映したいと考えている場合は、サンクスカードやピアボーナス制度の導入がおすすめです。従業員同士が評価し合うため、上司が把握できていないチームへの貢献など多面的な評価を実現でき、職場環境の改善につながります。
職場環境の改善のなかでも、多様な施策を検討できるのが福利厚生です。企業によって内容はさまざまで、社員食堂や休憩スペース、自動販売機、マッサージチェアの設置など、従業員がリフレッシュでき、健康に働ける環境を整えているケースもあります。職場環境の改善として福利厚生を見直す際は、どのような施策があれば快適な職場になるか、従業員の声を聞きながら検討するとよいでしょう。
職場環境の改善の取り組みとして、近年特に広まっているのが働き方の見直しです。リモートワーク、フレックスタイム制、時短勤務など、ライフステージや個人の事情に合わせて柔軟に働き方を選択できると、離職率の低下につながります。一方で、一部の従業員に業務負担が偏ってしまうケースもあるため、ルールの明文化も含めて職場環境の改善を行ないましょう。
 

職場環境の改善と一口にいっても、物理的な環境だけでなく業務内容や人間関係など多角的な取組みが必要です。
チームワークアプリ「RECOG」は、仕事での感謝・称賛をレターとして贈り合うことができ、職場の人間関係を円滑にし社内のポジティブな雰囲気を醸成します。関係性が構築できている職場では業務の連携も取りやすくなるため、業務面の改善にもつながるでしょう。
RECOGの詳細については以下の資料で紹介しているので、ぜひダウンロードしてみてください。
         職場環境の改善は「働きやすさ」の向上から、従業員のモチベーションやエンゲージメント、人材の定着率に効果のある取り組みです。また生産性アップにより、売上増加や企業成長も期待できるでしょう。   具体例でご紹介したとおり、職場環境の改善は、明日から始められるものから、長期的に取り組む施策まで幅広くあります。離職率やコミュニケーション不足、業務効率にお悩みの方は、ぜひできる施策から職場環境の改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。  
 まとめ