コラム

2024.06.03
2024.06.03

セルフマネジメントとは?注目されている理由や能力を身につける方法を紹介

 ▼ 目次
ビジネススキルとして注目が高まっているセルフマネジメント。仕事をスムーズに進めることができ、メンタルケアにも効果があることから、セルフマネジメント研修を実施する企業が増えています。
よく似た言葉で混合しやすいのが「セルフコントロール」。こちらは自分自身の行動や衝動を抑制することを指すため、セルフマネジメントとは少し意味が異なります。
本記事では、具体例を交えながらセルフマネジメント能力を高めるメリットや方法をご紹介します。
 

セルフマネジメントの意味とは?

 
セルフマネジメントは「自己管理」を意味する言葉です。目標や目的を達成するために高いパフォーマンスを発揮できるよう、自分自身の行動・感情を律して管理することを言います。
自己管理の対象は、仕事のタスクや時間、感情、モチベーション、体調など多岐にわたります。昨今、耳にする機会の多いアンガーマネジメントも、感情をコントロールするという意味ではセルフマネジメントの一種といえるでしょう。
 

セルフマネジメントが注目される理由とは?

 
セルフマネジメントがビジネススキルとして注目を集めている理由に「生産性の向上」と「メンタルケア」が挙げられます。
 
リモートワークやフレックス制を積極的に導入する企業も増え、近年、働き方は目まぐるしく変化しています。場所や時間など働き方の自由度が高くなっている一方、従業員にこれまで以上に求められるのが「成果」です。
成果を出すためには、自らの行動や感情を律し管理する必要があります。そのための手段として有効なのが、セルフマネジメントです。
 
セルフマネジメントができる従業員は、タスクや時間を管理することができ、タイムパフォーマンスを高められ、生産性の向上につながります。また健康も管理できるため、体調不良によるパフォーマンスの低下も防ぐことができます。
 
加えて、セルフマネジメントでは自分自身の感情をコントロールします。ネガティブな気持ちに影響されづらい状態を作ることで、心を健やかな状態に保つことが可能です。仮に多少の困難やストレスを感じたとしても、柔軟に対応することができるでしょう。
 

セルフマネジメント能力を高めるメリット

 
従業員のセルフマネジメント能力を高めるメリットは、個人の能力を向上させるだけにとどまりません。企業や組織にも波及効果をもたらし、良い影響を与えます。
 

生産性の向上

前述したとおり、セルフマネジメントを行なうと生産性の向上が期待できます。
その理由の1つは、自分自身の感情や思考をコントロールするためです。モチベーションが上がらない日があったとしても、気持ちを上手に切り替えて目の前の仕事に集中できるようになります。その結果、気分に左右されることなく安定的に高いパフォーマンスを発揮できます。
2つ目の理由は、優先順位をつけて仕事を進められるためです。タスクや時間を管理することで、緊急かつ重要なタスクから適切な順番で着手することが可能です。その業務に対して自分がどのくらいの時間を要するかも正確に予測できるため、締切から逆算しながら効率的に仕事を進められます。
 

心身の健康が保たれる

心と身体の健康を管理することもセルフマネジメントの1つ。
時には「やる気が出ない」「ミスをしてしまって気分が落ち込む」ということもあるでしょう。しかしセルフマネジメントができる人は、意識的に気持ちを切り替えたり、冷静になってから反省をしたりと、負の感情に陥る時間を短くするようコントロールします。
また、自らを律することができるため、疲れが溜まっていると感じたら早めに休む、娯楽の誘惑に負けず睡眠時間はしっかりと確保するなど、体調管理にも余念がありません。
ストレスや疲れの感じ方は人それぞれ。自分の心と身体の声を聞いて健康を維持することで、自分の能力を最大限に発揮できます。
 

ポジティブな組織文化の醸成

誰しも、虫の居所が悪いタイミングはあるもの。ですが、不機嫌な態度を表に出すことは、職場の雰囲気や人間関係を悪化させる原因になります。「機嫌が悪そうだから、今は声を掛けないでおこう」とまわりに気を遣わせてしまい、結果的に仕事の遅延や、質の低下を招く可能性もあります。
セルフマネジメントで感情をコントロールすることは、自分自身が前向きな気持ちで仕事に取り組めるだけでなく、職場の雰囲気の改善にも効果的です。前向きに物事をとらえる従業員が増え、ポジティブな組織文化の醸成につながります。
 

セルフマネジメントが苦手な人の特徴

 
セルフマネジメントが苦手な人には、いくつかの特徴があります。特徴とその原因を知ることが苦手克服の第一歩になります。
 

質問や相談することができない

質問や相談ができない原因には「質問・相談すること自体が苦手」「人に任せるのが苦手」の大きく2種類あります。
質問・相談すること自体が苦手な場合には、まずは「些細なことでも困ったらまわりに声を掛ける」を習慣付けましょう。その際、相談された側はなるべく丁寧な対応を心がけることが重要です。質問・相談することの心理的ハードルを下げることで、苦手意識を軽減します。
人に任せるのが苦手な人は、責任感の強さや完璧主義ゆえ、まわりを頼ることが苦手な傾向にあります。苦手なタスクを得意な人にお願いし、その分得意な分野でカバーするといったwin-winの関係を築くことが克服のポイントになります。
 

ストレスを溜め込む

うまくストレスを解消できず自分の中に溜め込んでしまうことも、セルフマネジメントが苦手な人の特徴です。ストレスが溜まると精神的なコンディションが悪化し、前向きに仕事に取り組むことができません。心の状態は仕事に大きく影響するため、普段しないようなミスを引き起こしてしまうこともあります。また、日頃の精神状態では「大したことない」と思えるような困難でも、ストレスが溜まった状態だと大きな困難に感じてしまい、対処することが難しくなります。
自分なりのストレス解消法を見つけ、ストレスと上手に付き合っていくことが大切です。
 

セルフマネジメントが得意な人の特徴

 
セルフマネジメントが得意な人の特徴や意識していることを知ると、セルフマネジメント能力を身につける近道になります。
 

自分の能力を把握している

セルフマネジメントが得意な人は「自分ができること・できないこと」を理解しています。
そのため、新しい仕事を担当する際「できない」と判断したときには、他の人の力を借りたり、どうしても難しい場合には得意な人にお願いしたりと、まわりを頼ることができます。その分、自分が得意な分野では積極的にチームに貢献して、組織における自分の役割を十分に果たすのも特徴の1つです。
さらに、自身に足りないスキルを自覚しているため、自己研鑽に励む人もいます。自己研鑽によってできることが増えると、仕事がスムーズに進み、それまで以上に生産性を向上させることができます。
 

優先順位をつけて業務を進められる

タスク管理、時間管理において非常に重要なポイントとなるのが、仕事の優先順位です。セルフマネジメント能力の高い人は、今抱えているタスクを常に可視化して、新しい仕事が入った時にもその都度優先順位を整理して取り組むことができます。
優先順位は一般的に、緊急度×重要度で決まると言われています。緊急度は締め切りで明確に表されるものの、重要度は個人の感覚によってズレが生じる場合もあるでしょう。そのためセルフマネジメントが得意な人は、優先順位を迷った場合必ず上司に相談し、判断ミスが起こらないよう気を配っています。
 

何事も前向きに取り組める

どんなに気を付けていてもミスや予期せぬアクシデントは起こってしまうもの。ミスやアクシデントは起こった後の対応が非常に重要で、対応が後手に回ると余計に事態を大きくしかねません。
セルフマネジメントの得意な人は、「あの時もう一度確認しておけば…」「こんな失敗をしてしまって、どうしよう…」といつまでも後悔したり落ち込んだりするのではなく、気持ちを切り替えて「どうすれば挽回できるか」を考えます。
また、気持ちが不安定なままで仕事をすると、他の業務でもミスをしてしまうリスクが高まります。気持ちを切り替えることで、他のミスを誘発しないよう意識しているのもポイントです。
 

従業員のセルフマネジメント能力を身につける5つの方法

 
ここからは、セルフマネジメント能力を身につけるにあたって押さえるべき5つのポイントをご紹介します。
 

役割・求められている成果を明確にし理解させる

組織の中で求められている役割や成果を理解できると、おのずと「その目標に到達するためには、どんな行動をすべきか」を考えられます。
求める役割や成果を伝える際は、具体的であることが重要です。例えば「チームリーダーとして、個人の売上達成に加え、メンバーの売上達成もフォローしてほしい」「自社の新たな主力商品となるような企画を考えてほしい」など、求められていることが明確であるほど達成への道筋が立てやすくなります。同時に、達成した時のイメージも描きやすくなるため、モチベーションの維持にも役立ちます。
認識の齟齬や疑問が生まれないよう、期初・期中などの定期的な面談の場で上司から直接伝えるようにしましょう。
 

目標を細分化しタスクを決める

仕事を進めるうえで、タスクを細かく分けることも大切です。「企画書の作成」と一口に言っても、「どんな内容にするかを考える」「必要なデータを集める」「パワーポイントで資料を作成する」といった工程があります。それぞれの作業にどのくらいの時間を要するかを考慮して、「内容を考えるのに1日、データ集めに2日、資料作成に3日」など、タスクを細かく分けてそれぞれの締め切りを設定しましょう。
タスクを細かく分けることで「○日までに内容を決定する」など小さな目標を立てることができます。その目標を一つひとつクリアして達成感を味わいながら着実に作業を進められます。
 

パフォーマンスが落ちるタイミングを把握させる

仕事をしている中で「今日は仕事が捗るな」と感じる日もあれば「今日は進みが悪くてミスが多い…」という日もあるでしょう。
例えば寝不足の時、ミスをした直後、会議続きで疲れが溜まっている時など、人それぞれ”パフォーマンスが落ちるタイミング”があります。自分のパフォーマンスが落ちるタイミングや傾向を知ることで、睡眠時間は必ず確保する、ミスの直後こそ意識的に前向きな気持ちを持つ、疲れが溜まるタイミングで小休憩を入れるなど、具体的な対策を講じることができます。
 

集中力をつける練習をする

集中することも、自分で自分をコントロールする方法の1つです。集中力が高まると、同じ1時間でも多くのタスクを精度高く完了させられるため、業務効率もアップします。
集中力を維持することが苦手な場合は「30分でここまで終わらせる」など、まずは短い時間で区切って練習すると良いでしょう。達成できれば、小さな成功体験が積み重なって、より長い時間集中できるようになります。
また、デスクに私物が多ければ多いほど、気が散りやすくなります。仕事に関係のない置物や写真などは最小限にとどめて、集中できる環境を整えましょう。
 

心身のケアをする

ストレスや疲労によって心身の健康が害されると、良いコンディションで仕事に取り組むことができません。
趣味に没頭する、仕事終わりに運動するなど、自分なりのストレス解消法を見つけ、ストレスを溜めずに定期的にリフレッシュしましょう。また、自覚している以上に、ストレスを受けている場合もあります。定期的にセルフチェックを行なうこともおすすめです。
さらに、疲れを感じたら無理せず休み、自分に必要な睡眠時間をしっかりと確保するといった体調管理も大切です。
 

まとめ

自己管理というと、何かを我慢しながら自らを律するイメージを持つ人もいるでしょう。しかしセルフマネジメントは、自分自身が心身ともに良い状態で仕事をするための、前向きなスキルです。意識を始めてすぐに身につくものではありませんが、日頃から少しずつ意識してセルフマネジメント能力を高めていきましょう。
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