コラム

2024.05.15
2024.05.15

企業の周年記念とは?イベントを行なう目的やアイデア、事例や成功のポイントを紹介

企業の10年生存率がたった6%と言われている昨今。厳しい市場環境の中で成長を続け、無事節目の年を迎えることは、企業にとって非常に喜ばしいことです。
記念として盛大にお祝いしたい一方で、周年事業を数年に一度しか行なわない企業では、社内でノウハウが蓄積しづらい傾向にあります。
そこで本記事では、社員向け・お客様向け(取引先向け)それぞれの周年記念イベントのアイディアや事例をご紹介します。
 

周年記念とは?

 
企業の周年記念とは、いわば企業の「誕生日祝い」のようなもの。創立記念日として毎年お祝いする企業もありますが、創業・創立から5年、10年ごとといった節目の年に周年記念事業を行なうケースが多く見られます。これまで企業が歩んできた歴史を振り返るとともに、これからのビジョンを共有することで、今後のさらなる成長へとつなげる良い機会です。
周年記念事業には社内向け・社外向けの2種類があり、決まった形態はないもののイベントの開催やキャンペーンの実施が主流となっています。
 

周年記念イベントを行なう目的

 
周年記念は社内・社外ともに話題性が高いため、企業の成長をお祝いするだけに止めず、周年記念イベントを企業戦略の一環として位置付けることで、今後さらに飛躍するための土壌をつくることができます。
 

社内向け

モチベーション向上

社内向けの周年記念イベントを行なう目的の1つに、従業員のモチベーション向上があります。企業の成長は、従業員の頑張りなくしては成し得ないもの。普段は目の前の仕事に追われてしまうからこそ、日常業務から少し離れる機会を作り、従業員の日頃の努力を労いましょう。
イベントには経営陣も参加するため、普段関わることのない社長や取締役から直接感謝を伝えることができます。会社の「顔」である立場の人から感謝を伝えられることによって、従業員のモチベーションアップが期待できます。
 
従業員の一体感向上
社内向けにイベントを開催することで、日頃関わりの少ない従業員とも自然に交流を図ることができます。全国に支社・支店がある企業の場合、実際に会ったことがなくメールや電話でしかやり取りをしたことがない人もいるでしょう。イベントの場で直接顔を合わせることで、お互いの理解が深まって、日常の仕事が円滑になります。
さらにイベントの中で企業の理念を再認識させ、これからのビジョンを共有することも重要です。組織としての方向性が明確になり、従業員の一体感がより一層高まります。
 

社外向け

取引先との関係性構築

周年記念のタイミングは、取引先との関係を深める絶好の機会でもあります。日頃の感謝、これまでの企業の実績・成長率、そして今後のビジョン・展望。この3点を伝えることで、取引先に安心感を持ってもらうと同時に、未来への期待感を醸成することができます。
周年記念イベントは「今後もこの企業と取引を続けたい」と思ってもらえるよう、信頼関係を構築する重要な場であるとともに、今後の取引拡大の種まきのチャンスにもなります。
 
プロモーション
周年記念は、社外からも注目を集めるタイミングです。場合によってはメディアにも取り上げられるため、広告費を抑えながら自社を宣伝する良い機会となります。自社のPRを行なうだけでなく、新商品や新サービスのリリースが決定している場合には、イベント内で発表すると良いでしょう。認知向上につながるだけでなく、イベントに来場された企業との取引拡大の可能性も高まります。
また、既存の取引先だけでなく、周年記念の名目で、今後取引を行ないたい企業も招待すると新規取引のチャンスも生まれます。
 

周年記念イベントのアイディア

 
周年記念イベントは、誰をターゲットに設定するかによって、最適なコンテンツが異なります。ここからは、社内向け・社外向けそれぞれにおすすめのアイディアをご紹介します。
 

社内向け

代表や役員からのスピーチ

周年記念イベントに欠かせないのが、代表や役員からのスピーチです。これまでの貢献に対する感謝を伝え、従業員を労いましょう。自社の代表から感謝を伝えられることで、組織としての士気も高まります。
また、スピーチの中で企業の理念や今後のビジョンの共有も大切です。代表や役員の言葉で伝えることで強いメッセージとなり、従業員一人ひとりに浸透しやすくなります。企業として目指す方向が明確になれば、組織の結束力も高まります。
 

創業から今に至るまでの歴史をまとめた動画や写真の投影

企業のこれまでの歩みを振り返ることで、企業の理念や、社会にもたらす価値などを再認識できます。企業の軌跡の中で転機となった出来事を中心に振り返り、自社らしさを感じられるような内容にしましょう。当時のことを知っているベテランの従業員にとっては、その時の新鮮な気持ちを思い出す大切な時間になります。
また、社歴の浅い従業員にとっては、自社のことを理解する良い機会になるでしょう。
イベントの場だからこそ、動画やスライドショーなどを用意すると参加者同士の会話も弾み、楽しみながら歴史を感じることができます。
 

ゲーム大会

真面目なコンテンツはもちろん大切ですが、せっかく従業員が一堂に会するイベント。従業員同士の交流を深めることも重要です。ゲームを取り入れるとイベントに緩急が生まれるため、参加者を飽きさせる心配もありません。クイズ、ビンゴ、謎解きといった従業員参加型のゲームであれば、社歴や立場、部署の垣根を越えて全員が楽しむことができ、自然と会話も生まれるでしょう。
仕事から離れた場所でコミュニケーションの機会を作ることで、従業員の新たな関係性の構築を促します。
 

従業員の表彰

成果を上げている従業員を表彰することも、モチベーションを向上させる1つの方法です。表彰された従業員は、これまでの努力が認められることで、さらなるモチベーションアップが期待できます。
また、仲間の活躍や頑張りを知ることは、他の従業員にとっても刺激になります。表彰された従業員にはその場で、その成果に至った経緯やコツなどを簡単にスピーチしてもらうと、社内のナレッジが蓄積されます。
 

社外向け

懇親会の開催

ビジネスにおいて「情報交換」は、社運を握る重要な要素といっても過言ではありません。社外向けのイベントでは、ホテルの宴会会場を貸し切って、取引先や株主といったステークホルダーとの懇親会を行なうと良いでしょう。食事やドリンクを用意すると、リラックスした雰囲気の中でコミュニケーションを取ることができます。
深い話をする場合には着席スタイルが適していますが、より多くの方と会話の機会を持ちたい場合には立食形式がおすすめです。
 

記念品の配布

周年記念イベントでは、来場してくださった社外の方に、お土産の品として記念品を配ることもあります。記念品は感謝の気持ちを形として表せるだけでなく、社名やロゴを入れることによって企業のPRにもなります。
記念品の品としては、ボールペンやお菓子などが人気ですが、自社商品に関連のあるものであれば、より一層宣伝としての力を発揮します。
自社商品と直接関連がなくとも、例えば「環境問題に力を入れている企業であれば、環境にやさしい素材を使った記念品を選ぶ」といったように、記念品を通して企業の姿勢を表すことも可能です。
 

イベントを成功させるポイント

 
貴重な時間を使って準備・開催するため、せっかくならば実り多きイベントにしたいものです。ここでは、周年記念イベントを成功させるための2つのポイントを解説します。
 

開催目的を明確にする

まず1つ目のポイントは、開催目的を明確にすること。「従業員同士の交流を図る」「感謝を伝える」「取引先との信頼関係を構築する」などが主な目的として考えられますが、企業のポジションや成長フェーズによっても異なります。自社が今置かれている状況や今後の事業戦略を鑑みて、目的を設定しましょう。
開催目的が明確になると、その目的に合わせて企画を組み立てることができるため準備の話し合いもスムーズに進むようになります。
 

ターゲットを明確にする

2つ目のポイントは、ターゲットを明確にすることです。まずは、社内の従業員または社外のステークホルダー、どちらをターゲットに設定するかを決めます。
次に、社内であれば特に「若手の従業員に重きを置くのか」「管理職に重きを置くのか」、コアターゲットを絞ります。周年記念イベントはもちろん全従業員を対象にしたイベントであるべきですが、組織課題に合わせて特に重視する従業員層を定めることで、企画のブレを防ぎます。
社外向けも同様に、「取引先に重きを置くのか」「株主に重きを置くのか」を検討しましょう。ターゲットが明確になれば、かけるべき予算や企画内容も決めやすくなります。
 

実際に行なわれた周年記念イベントの事例

 

有限会社エスピーシー

結婚・出産の内祝い、記念品をはじめ、さまざまなギフト商品のオンラインショップを運営する、有限会社エスピーシー。創立20周年を祝い、社外の方を招いた式典を行ないました。
当日は、従業員はもちろん来賓の方も名札を着用。顔と名前が一目でわかることで普段電話などでやり取りをしていた方とも直接挨拶することができ、取引先の方との関係を深められたそうです。
また、10年以上勤務した従業員に対しては永年勤続表彰を開催。ギフト商品を扱う企業ならではの「オリジナルの表彰状」と記念品を授与し、自社“らしさ”を存分に生かした式典となりました。
 

リョーユウ工業株式会社

鉄・アルミ・ステンレスなどの金属板の切断・曲げ加工などを行なう、リョーユウ工業株式会社。創業50周年を迎えたことを記念し、長年お取引のある企業を招いた「取引先感謝祭」を開催しました。
「お客様に感謝を伝える」をコンセプトに、記念品には手作りのメッセージカードを添えて、従業員自らセッティング。
当日は会を盛り上げるため、鏡割りやマグロの解体ショーを行ったほか、スペシャルゲストによる演奏会も実施しました。演奏の後半では、サプライズして常務が演奏に参加し、会場は一層の盛り上がりを見せたようです。
「感謝を伝える」というコンセプトが明確だったからこそ、お客様に楽しんでいただく企画をぶれることなく練り上げられた事例です。
 

日本トランスオーシャン航空株式会社

日本トランスオーシャン航空株式会社は、那覇空港を拠点とする日本航空グループの航空会社。創業50周年を記念して、社内交流イベント「ONE JTA」を開催しました。
従業員と、その家族に感謝を伝えることを目的として設定し、イベントには従業員の家族も招待。子どもたちにも楽しんでもらえるよう、実際に触って楽しめる「3分の2サイズの木製コックピット」といったキッズコーナーも用意しました。さらに、実際の飛行機も会場にセッティング。航空会社ならではのアイディアがふんだんに詰まったイベントに、参加者の笑顔が溢れました。
イベントを通して、自社の理念や目指すべき方向を再認識できたと同時に、サービスの在り方を考えるきっかけになったようです。
 

まとめ

周年記念は、従業員やその家族、取引先に感謝を伝えるだけでなく、企業がさらなる発展を遂げるための重要なタイミングです。社内向けのイベントは組織課題の解決やインナーブランディングの機会に、社外向けのイベントはビジネスチャンスとして最大限活用することができます。
企業が抱えている課題や目指す方向性によって最適な企画内容は異なるため、現状に合った方法で自社らしい周年記念イベントを開催しましょう。
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