コラム

2024.04.16
2024.04.16

離職率が高い会社の特徴・原因とは?業界別のランキングや上司・企業ができることを紹介

 ▼ 目次
転職意欲の強い若者の増加や人材の流動化が急速に進む現代において、多くの会社が「離職率が高い」という問題に直面するのではないでしょうか?
従業員が「辞めたい」と考える背景には、様々な原因が存在します。そのため、現代のビジネスリーダーには新たな対応策が求められています。
 
本記事では、離職率が高い会社の特徴やその原因と離職率が高いとどうなるか、高い離職率を改善するための施策について解説します。
 

離職率とは?

 
厚生労働省では、離職率を「年初の常用労働者数に対する離職者の割合」と定義しています。つまり、離職率とは一定期間内のどの程度の従業員が退職したかを示す数値です。離職率を算出する際の期間に定めはありませんが、厚生労働省では「離職者数÷1月1日時点での常用労働者数×100」で離職率を算出しているため、基本的に年初からの1年間の労働者数を元に算出されます。
 
厚生労働省が実施する「雇用動向調査」では、毎年の離職率や過去15年の離職率との比較データが確認できます。「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、2022年時点での日本における離職率は15.0%でした。近年のデータと比較すると、離職率は2019年に15.6%まで上がった後にやや減少しましたが、2022年になり再び離職率が微増しています。
 
離職率の低さは、その会社で長く働きたいと思う従業員がいることを示し、ポジティブな印象を与えます。反対に、離職率が高いことは従業員が定着しない職場環境とネガティブに判断されてしまうでしょう。
 

離職率が高い会社に共通する特徴とは?

 
離職率が高い会社には、いくつかの共通する特徴があります。現時点で離職者が顕著に増加していない会社でも、以下でご紹介する特徴が多く当てはまっていれば、離職率が高まるリスクがあると考えていいでしょう。
 

給料が低い

仕事をする上で、どの程度の給料を受け取れるかは重要です。そのため、給料が低い会社は離職率が高い傾向があります。労働時間や成果、仕事内容に見合った額であれば、給料が低くても不満は出ないでしょう。しかし、残業や休日出勤が多く拘束時間が長いけれど給料が安い、成果を出していても給料に反映されていないと感じてしまうと、従業員は会社に対して不満を感じます。すると仕事に対するやりがいを失い、離職へとつながります。
 

長時間労働

労働時間が長いことも、離職率が高い会社に多く見られる特徴の1つです。長時間労働が常態化している、または残業をしなければ評価につながらない会社もあります。このような会社では残業をすることが当たり前になっており、定時になっても帰りづらい雰囲気があるでしょう。長時間労働の常態化はワークライフバランスが取れず従業員の心身への負担が大きくなり、労働環境を悪化させる一因となります。
また、長時間労働が常態化している会社では離職者が増えることで人手不足に陥り、さらに長時間労働が増える悪循環に陥ることもあります。
 

常にリソース不足

前述した長時間労働とも共通する点ですが、離職率が高い会社は常にリソースが不足しています。本来必要とする人員が揃っていないにもかかわらず、やるべき仕事量は変わっていない状態では、会社に残る従業員一人ひとりへの負担が大きくなります。業務の進め方も非効率的になることが多く、長時間労働へつながった結果、離職者が増加してしまうのです。
 

評価制度が整っていない

離職率が高い会社は、明確な評価基準が提示されておらず、評価制度が曖昧、上司のみが主観的に根拠のない評価をするなど、きちんとした評価制度が整っていないことも特徴です。特に、数値化できない業務に対する評価基準が曖昧では、従業員の成果が適切に評価されず、会社や上司への不平不満につながります。どんなに努力して出した成果も「評価されていない」「正しく評価してもらえない」と感じると、従業員のモチベーションが低下し、離職につながるでしょう。
 

教育制度が整っていない

教育制度が整っていない会社では、従業員が業務を円滑に進めるための知識を得られる機会がありません。仕事をしながら覚えるという方法もありますが、最初から知識がないまま現場に放り込まれては、従業員は不安を抱えながら業務にあたらなければならず、大きなストレスを感じてしまうでしょう。
また、教育制度が整ってないということは、フォロー体制も整っていないことが多いです。不安とストレスを抱えたままで仕事をし続けていても誰もフォローしてくれない環境では、離職したいと考える従業員が自ずと増えるのは必然といえます。
 

福利厚生が充実していない

離職率の高い会社は、十分な福利厚生が用意されていないことも特徴です。福利厚生には、自社商品の割引制度や住宅手当、慶弔金制度、健康診断や人間ドックの費用補助、休憩スペースの設置などさまざまなものが含まれます。
福利厚生は労働対価ではありませんが、「この会社で働き続けたい」という従業員のモチベーションを維持するために重要な要素です。福利厚生が充実している会社は、従業員へ配慮している印象が強く待遇が良いと印象付けられます。一方で、福利厚生が不十分な会社では待遇の悪さに従業員が不満を募らせて働きにくさを感じてしまうことが多く、離職者を増やしてしまうでしょう。
 

離職率の原因・高くなる要因とは?

 
会社で働く上で従業員はさまざまな不満を抱えることがあり、その不満が離職率を高める原因・要因となることは少なくありません。
では、具体的にどのような不満が離職につながるのでしょうか。詳しく解説していきます。
 

業務内容の不満がある

従業員が会社へ不満を抱える大きな要因は業務内容です。自分が希望した部署に所属できない、やりたかった仕事を任せてもらえないなど、希望に合わない仕事ばかりを担当させられていると、従業員は不満を感じてしまいます。
異動希望を申し出ても異動ができない、この先もやりたい仕事ができないと感じると、退職して別の会社でやりたい仕事をしようと考えるのは、当然のことといえるでしょう。
 

業務量が多い

たとえやりたい仕事ができていたとしても、業務量が極端に多いとストレスが溜まり、心身のバランスを崩す要因となります。一人当たりに与えられる業務が多すぎると必然的に残業をしなければならず、プライベートの時間を割いて仕事に取り組まざるを得ません。このような状況が続く会社では、思うようなライフスタイルを送ることやメンタルヘルスの改善が困難となり、離職を考える従業員が増えてしまいます。
 

働き方に不満がある

近年は働き方改革の影響により、柔軟な働き方を導入する会社が増えています。以前から導入している会社も多いフレックス制度のほか、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって広まったテレワーク、時短勤務などを導入する会社も増加しています。このような働き方は、従業員のライフスタイルの変化やプライベートを重視する風潮に即した制度です。
しかし、従来と変わらない働き方を続ける会社があるのも現状です。フレックス制度で労働時間を自由に決めたい、時短勤務やテレワークで育児・介護と仕事を両立させたいと希望していても、そもそもそのような制度が存在しない会社では働き方を変えることは不可能です。定時に出社して働き、場合によっては残業の必要もあります。
もっと柔軟な働き方を求める人にとっては、従来の働き方しか選択肢がない会社に不満を感じてはたらにくさを感じてしまうでしょう。
 

残業が多い

前述した業務量の多さや働き方への不満とも共通しますが、残業の多さも離職率が高くなる要因となり得ます。業務量が多い会社では、こなさなければならない業務が定時までに終わらず、必然的に残業をしなければなりません。働き方を変えようとしない旧態然とした会社では効率的に業務を進められず、周囲の従業員が定時に帰宅することがなく半強制的に残業となることもあるでしょう。
残業が多い会社もワークライフバランスを取ることは難しいため、環境の良い職場を求めて離職することにつながります。
 

拘束時間が長い

拘束時間の長さも、離職につながる1つの要因です。プライベートの時間を削ってまで労働をしなければならないほど長い拘束時間が続くと、心身のバランスが保てなくなります。このような会社ではメンタルヘルスへ悪影響を及ぼしかねず、自分の心身を守るためにも離職を考える従業員が増えるでしょう。
また、前述したように、現代ではプライベートを重視する風潮があります。そのため、プライベートの時間が確保できないほどの長時間労働を強いられる職場環境では従業員が定着せず、離職率が高くなる要因となるでしょう。
 

正当な評価がされていない

評価は人事や給与に直結する重要な要素です。しかし、評価制度が整っていない会社では評価基準も明確になっていないため、従業員の成果や仕事ぶりを正当に評価できません。会社のために身を粉にして働いて成果を出したとしても、正当に評価されなければ従業員のモチベーションが下がることは言うまでもありません。それどころか、自分よりも成果を出していない従業員の方が高く評価される可能性もあるでしょう。
このように、正当な評価がされない会社では不公平感が強くなり、会社に対する不満も積もるため、離職率が高くなるでしょう。
 

成長ややりがいを感じられない

離職率が低い会社では、従業員が成長し、仕事にやりがいを感じることで良いサイクルが生まれます。従業員が仕事を通してスキルや知識を身につけ、成果を上げることで会社全体の成長を押し上げるのです。しかし、離職率が高い会社ではこのようなサイクルがなく、成長ややりがいを感じられないため従業員のモチベーションが下がります。この先この会社にいても自分自身が成長せず、仕事にもやりがいがなく、会社に対しての将来性も感じられないと、離職を考える従業員は増えてしまうでしょう。
 

給料が低い

仕事を頑張った成果が目に見える形となるのが、給料です。1日のうちのほとんどの時間を拘束されて残業で成果を出しても、その頑張りが給料に反映されていないと、モチベーションは急降下してしまうのは当然でしょう。業務負荷が高い会社では、心身へも影響を及ぼすことがありますが、その負荷に対して給料が見合わないと、やる気が下がるばかりです。
また、勤続年数が長いにもかかわらず昇給がほとんどない場合も、「これ以上この会社で頑張っても意味がない」とモチベーションが下がり、離職の原因となります。
 

人間関係が悪い

人間関係が悪い会社も、離職率が高くなる傾向があります。仕事は一般的にチームや部署単位の複数名で行なうもので、相互協力が必要不可欠です。ところが、人間関係が悪い会社では、コミュニケーションをうまく取れず、業務がスムーズに進まないことがあります。人間関係がうまくいかない職場では、いつまでたっても馴染めずに居づらいと感じることもあるでしょう。
会社は、1日のうちの長い時間を過ごす場です。人間関係がうまくいかない会社で1日の大半を過ごしていると強いストレスを感じ、心身に大きな負荷がかかってしまいます。人間関係が改善しないかぎりストレスは減らないため、離職につながるのです。
 

有給が取りづらい

一定の要件を満たした場合に取得できる有給休暇は本来、1年のうち最低でも5日間は取得することが動労基準法で定められています。しかし、周囲の従業員が誰も有給を取得していないと、自分だけが休みづらく、有給を申請できる雰囲気ではなくなってしまうでしょう。有給が残っているにもかかわらず取得できない状況が続き、十分に休みを取れない職場環境は、従業員が離職を考えるきっかけとなります。
 

社風が合わない

たとえ同じ業種であっても、それぞれの会社には独自の雰囲気や価値観、文化などの「社風」が存在します。社風は、「アットホーム」「風通しが良い」「チャレンジしやすい環境」などと表現されます。これらの文言は、求人募集の広告でアピールしている企業も多いでしょう。
しかし、社風を確認した上で入社しても、実際に働いてみると「自分と合わない」と感じてしまうことがあるものです。社風は人間関係や企業理念、会社の方針などによって異なり、簡単に変えられるものではありません。社風が合わない、違和感を感じる場合、働き続けてもそれらの改善は見込めないため、社風が合わない従業員が増えると離職率も上がります。
 

ハラスメントがある

昨今、パワーハラスメントやモラルハラスメント、セクシャルハラスメントなど、さまざまな種類のハラスメントが社会的に大きな問題となっています。その影響による問題意識の向上により、ハラスメントが改善しているケースがある一方で、依然としてハラスメントが続いている会社もあるでしょう。
会社内のハラスメントは、人間関係が悪化する一因です。精神的にダメージを受けることも多いため、心身の健康を害することから退職の理由となり、結果的に離職率が高まる要因となります。
 

離職率が高い業界ランキング

 
離職率は、業界によっても差があります。「令和4年雇用動向調査結果の概況」によれば、業界別に見た離職率は以下のようなランキングとなっています。
 

1位 宿泊業・飲食サービス業:26.8%

令和4年度で最も離職率が高かったのは、ホテルや旅館などの宿泊施設、レストランやナイトクラブなど飲食を提供する「宿泊業・飲食サービス業」です。この業界は、全業界で入職率も最も高いのですが、離職率も同時に高い結果となっています。
宿泊業・飲食サービス業は需要が増加している業界であるため、長時間労働になりがちで休日を取りにくいのが現状です。年収も他業種と比較すると低いことも、離職率を上げている原因といえるでしょう。
 

2位 サービス業(他に分類されないもの)を除く:19.4%

このサービス業には、学術・専門知識の提供や労働派遣業、宗教・文化団体など幅広い業種が含まれます。この業種も入職率は宿泊業・飲食サービス業に次ぐ2位ですが、離職率も高くなっています。
このサービス業も、宿泊業・飲食サービス業と同様、給与水準が低めです。また、人間関係や社風などの職場環境の不一致や接客業が合わないなどの理由により、退職者が増えてしまうことが多いようです。
 

3位 生活関連サービス業・娯楽業:18.7%

「生活関連サービス業・娯楽業」のうち、生活関連サービスとは美容や旅行代理店、クリーニングなど日常生活にかかわるサービスを指します。娯楽業は、映画館や劇場、競輪・競馬などが該当します。
生活関連サービス業・娯楽業は入職率が後述する教育・学習支援業に次ぐ低い割合だったにもかかわらず、離職率は第3位です。これらの業界は不規則な勤務が多く、労働負荷が高い一方で給与水準が低めなので、労働に見合った対価を得にくいことが離職率が高くなる原因と考えられます。
 

4位 医療・福祉:15.3%

医療・福祉には医療を提供する病院やクリニック、介護・福祉施設のほか、年金や保険などの社会保険事業も含まれます。
4位は離職率の平均値である15%に近い数値なので、平均的な離職率といえます。しかし、医療・福祉はどちらも体力的に負担が大きい仕事が多く、ハードワークでも給料や待遇に不満を抱えやすいことが、離職率を高める理由の1つです。また、医療・福祉業界は閉鎖的な環境で働くケースが多いため、人間関係で問題を抱え退職する人が多いことも、離職率が高い原因といえるでしょう。
 

5位 教育・学習支援業:15.2%

教育・学習支援業は、学校教育を行なう幼稚園から大学、専門学校などに加えて、学校教育の補習授業を行なう学習塾、図書館や植物園などの事業所などが該当します。
教育業界では残業が多い傾向にあり、生徒・学生を指導する教員だけではなく塾などにおいて学習指導を行なう講師なども長時間労働が化している傾向があることが、離職率の高さにつながっています。
 

離職率が高い会社のデメリット

 
離職率の高さは、会社にとってさまざまなデメリットが生じます。社内だけの問題ではなく、社外にも悪い印象を与える可能性があります。具体的には、以下に挙げるデメリットが考えられます。
 

採用コストがかかる

離職率が高くなると、不足する人員を補充するために新たな人材を採用する必要があります。人材採用にかかるコストは当然ながらタダではなく、人材募集から面接、選考などの採用前にかかる費用に加えて、採用後は新人教育にも費用がかかります。1人採用するだけでも採用コストは少なからずかかるものなので、離職率が高い会社では、採用コストが膨らんでいく大きなデメリットがあります。
 

優秀な人材が離職する

離職率が高いということは、優秀な人材が離職し、他社に流出するデメリットがあります。どの会社においても、優秀な人材は確保したいと考えるものです。しかし、このまま働き続けても成長もやりがいもなく、ストレスばかりが溜まる一方の職場環境では、従業員がより良い環境を求めて転職を検討することは必然です。優秀な人材であれば、現在よりも良い職場環境の会社への転職は難しくはないでしょう。
そして、優秀な人材の離職は会社全体のパフォーマンスや競争力低下を招く恐れがある点もデメリットです。


人材も会社も成長しない

離職率が高い会社では、人材流出が顕著です。優秀な人材も含めて会社を離れてしまうと、業務が停滞したり業績が落ちたりすることにより、会社そのものの成長もストップする可能性がある点も離職率が高い会社のデメリットです。また、優秀な人材は会社の成長とともに人材育成にも重要な存在です。優秀な人材が離れることで、残る従業員の育成が難しくなるため、従業員の成長も妨げられるでしょう。
 

会社のイメージが低下する

離職率の高さは、会社のイメージを低下させる要素です。離職率が高い会社は、人材が定着しないほど職場環境が悪いというイメージが付いてしまい、印象が悪くなってしまいます。自社のイメージアップを図るのであれば、離職率を下げる努力も必要です。
 

離職率を下げるために上司・企業ができる6つの施策

 
離職率が高い会社は、優秀な人材が流出するリスクが高くなります。自社の離職率を下げて人材を確保するには、上司が対策を施すだけではなく企業全体で施策を講じる必要があります。離職をするのは若い従業員が多いため、若手のみをターゲットにすればいいのでは、と考えられがちですが、30代以降の従業員でも一定数の離職者が発生する可能性は十分にあります。そのため世代を問わず、すべての従業員を対象に施策を講じてみましょう。
そこで、離職防止のために上司や企業ができる6種類の施策をご紹介します。
 

評価制度を明確にし従業員に伝える

成果に対する評価が正当であれば、従業員のモチベーションは上がります。しかし、適切な評価を受けられない場合、従業員は成果に見合った対価が得られなくなるため、会社に対して不満や不信感を持つ原因となります。そこで、まずは評価制度を見直しましょう。上司からの視点ではなく、公正かつ客観的に従業員の能力や成果を評価できるよう、明確な基準を設定します。
評価制度は、改善するだけで終わりではありません。従業員の不信感を解消するためにも、評価制度の改善や見直しをした際はその内容を従業員に開示し、評価制度の意図を伝えることが重要です。
 

継続的に人材育成を行なう

会社の目標と従業員の目標のミスマッチが発生していると、キャリアプランにズレが生じます。働き続けていてもそのズレが解消されないままでは「今の会社は自分には合わない」と感じ、従業員のモチベーション低下から離職につながります。
このようなミスマッチを防ぐには、継続的な人材育成を行なうのがポイントです。定期的に面談を実施する、従業員のスキルアップを支援するなどの取り組みでキャリアプランを明確にできれば、従業員は転職を考えることなく今の会社でキャリアを積む方向で定着が期待できます。
 

風通しの良い職場を作る

従業員同士のコミュニケーションがうまくいっていない、コミュニケーションが特定の従業員同士のみで固定化されているなど社内の風通しが悪い状態は職場環境を悪化させる一因です。このような職場では上司や同僚などに仕事に関する悩みや相談がしづらくなり、問題を抱えたままで働き続けることとなります。結果的に働くことがストレスとなり、離職を考える従業員も出てくるでしょう。そのため、風通しの良さは離職率を下げるために大切な要素です。
風通しの良い職場を作るには、コミュニケーションの活性化が必要です。休憩スペースを設置する、交流イベントを実施するなどの施策で、上司や同僚など多くの人とコミュニケーションができる場を作ることを意識しましょう。
 

業務を効率化する

業務量の多さや業務効率の悪さは、離職の大きな原因の1つである長時間労働や残業を引き起こす可能性が高いものです。これらを減らすには、業務効率化が必要です。無駄を減らして効率的に業務を進められるだけでも、働きやすさが改善します。
具体的には、無駄な工程を減らすためのツールを導入する、テレワークの活用、短時間勤務や派遣社員・短時間勤務の職員を増やすなどの方法があります。
 

労働環境を整える

仕事とプライベート両方のバランスが取れた状態であるワークライフバランスを充実させるには、労働環境の良し悪しが影響します。労働時間が長すぎる、待遇が悪いなどの環境が悪い会社は、勤続が難しいと感じさせてしまい離職者を増やす原因となります。
風通しの良い職場作りと共通しますが、社内SNSやチャットツールの導入、イベントの実施などで従業員同士が円滑なコミュニケーションを取れる環境にすることが、良好な労働環境に必要な要素です。
 

メンター制度や1on1を取り入れる

不満や疑問などを何でも相談できる環境があれば、風通しの良い職場となります。そのための施策として、メンター制度や1on1を導入する方法があります。
メンター制度とは、上司や先輩が部下の相談役となる制度です。経験豊富な従業員が仕事の進め方やキャリアプランなどの仕事面から生活面、メンタル面までサポートを実施します。気軽に質問をして疑問をすぐに解消できるほか、仕事やプライベートの相談も可能なので、従業員は不安をいつまでも残すことなく業務にあたれます。
 
1on1は上司と部下が一対一で実施するミーティングです。上司は部下の疑問や悩みをきちんとヒアリングできる場となるので、従業員の悩みや不安を解決することで労働環境改善効果が期待できます。
 

コミュニケーションを活性化させる

従業員同士のコミュニケーションの良し悪しは、職場環境の良し悪しにつながるポイントです。しかし、従業員同士、上司と部下間で円滑なコミュニケーションが取れていないと、オフィスの雰囲気が悪くなるどころか業務にも支障をきたす恐れがあります。そのため、コミュニケーションを活性化させることは職場の人間関係を改善し、離職率を下げるための重要な要素となるでしょう。
 
コミュニケーションを活性化させるには、前述の社内SNSやイベントの開催などの方法があります。また、従業員同士で感謝の気持ちを贈り合うサンクスカードも、コミュニケーションを活発にできる制度です。口頭やメールなどではなかなか伝えられない感謝も、サンクスカードの仕組みがあれば気軽に伝えられ、コミュニケーションの機会も増えるでしょう。さらに、感謝されることでモチベーションがアップする効果も期待できます。


まとめ

離職率の高い会社には多くの共通する特徴があり、職場環境や会社の風土などに改善がない限り、離職率の改善は難しいといえます。さらに、離職によって人材不足に陥ると労働環境の悪化が想定され、さらなる離職者の増加の可能性も考えます。
離職率が高い状態が続く会社は、人材不足が常態化して業績悪化を招くばかりか、企業イメージに悪影響を及ぼす可能性も少なくありません。
離職率が高く人材が定着しづらい悩みを抱える会社は、今回解説した離職率が高くなる原因や施策を参考に職場環境や労働環境の改善を実施し、離職率改善に努めましょう。
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