コラム

2024.02.28
2024.02.28

自己肯定感が高い人・低い人の特徴や高める方法を解説

 ▼ 目次
人には多かれ少なかれ、短所や欠点などのネガティブな要素があります。それらによって自分がダメな人間と感じてしまう人がいる一方で、どんな短所や欠点でもそのままの自分自身であることを受け入れ肯定できる人もいます。このような人が、「自己肯定感が高い人」といわれています。
 
自己肯定感が高い人の特徴は、仕事においてポジティブな影響を与えます。その反対に、自己肯定感が低い人は自分に自信がなく、物事をネガティブに考える傾向があるため、仕事や人間関係に悪影響を及ぼすこともあります。そのため、従業員の自己肯定感を高めることは、組織内で円滑に業務を進めるための重要なポイントです。
 
今回は、自己肯定感が高い人の特徴や組織に与える影響のほか、低い自己肯定感を高めるために上司が実践したい方法について解説します。
 

自己肯定感とは?

 
自己肯定感とは1994年、臨床心理学者の高垣忠一郎氏によって提唱された概念で、自分自身の存在や価値などを肯定的に受け入れ、認める感情を指します。どのような感情や欠点、短所があったとしても、そのままの自分を受け入れて肯定することを指します。
 
自己肯定感と似た言葉として「自信」があります。自己肯定感と自信には、自分自身を肯定する根拠の有無に違いがあります。自己肯定感は、特に根拠がなくても自分を肯定できる感情です。一方、自信は過去の経験や実績などを根拠にして自分を肯定するという、肯定の根拠が明確である点が大きな違いです。
 

自己肯定感が高い人の特徴

 
自己肯定感が高い人には、主に以下に挙げる5つの特徴がみられます。
 

何事も前向きに考え主体性がある

自己肯定感が高い人は明確に自分の意志を持って生きており、自分の良いところだけではなく、欠点や周囲よりも自分が劣る点も肯定して満足しています。自分はダメだと考えることや周囲の評価に振り回されることが少ないので、主体性があり何事に対しても前向きです。
そのため、ミスをしても気持ちの切り替えが早く、1つのことに対して長期間落ち込むことがありません。一つの物事にとらわれないことも自己肯定感が高い人の特徴なので、突発的なトラブルや想定外の事態などイレギュラーなことが発生しても動じずに、問題なく受け入れられます。
 

失敗を恐れずチャレンジする

自己肯定感が高い人は何事も素直に受け入れます。もし失敗をしても、ミスをした自分がダメな人間だとネガティブに考えるのではなく、失敗をしてしまうのも自分自身と受け入れて認識します。前述したように物事を前向きに考えているので、失敗してしまうことを恐れずにチャレンジできることも特徴です。
 

他人の意見を否定せず尊重する

自己肯定感が高い人は自分自身を認めて尊重するだけにとどまらず、他者が持つ意見や価値観なども無条件で受け入れます。他人と意見が相容れない状況もでも他人の価値観を尊重し、多様性を重視した考え方を持っています。
 

メンタルが安定している

他者によって振り回されることが少ないので、メンタルが安定していることも自己肯定感が高い人の特徴の1つです。ポジティブで確固たる価値観を持っているため、他者の意見や評価で考え方が変わることはまずありません。メンタルが安定しているので、イレギュラーな事態が発生したとしても「そのようなことが起こる可能性はあり得る」と素直に受け入れられます。
 

今に集中し業務を進められる

過去に失敗したことがあると、その経験に引っ張られて現在に至るまでネガティブに考えてしまう人がいます。しかし、自己肯定感が高い人はミスや失敗を素直に受け入れられるので、過去の失敗に対してとらわれたり、いつまでも落ち込んだりすることがありません。常に今現在の自分や状況に集中し、未来に向かって行動をするので目の前の業務に集中して取り組めます。
 

自己肯定感が低い人の特徴

 
自己肯定感が低い人は、高い人と正反対の特徴を持ちます。
 

物事を否定的に受け止め失敗を恐れる

自己肯定感が低い人は、自分自身が持つ能力や価値観などを受け入れることが難しく、肯定できません。劣等感が強くネガティブなので、物事を否定的に受け止める傾向があります。
例えば、仕事上でのミスを上司に指摘された場合、自己肯定感が高い人は「ミスを伝えてもらえてありがたい」「自分のミスを受け入れて次へ活かそう」などとポジティブに受け入れます。ところが、自己肯定感が低い人は「ミスで迷惑をかけてしまった」とネガティブに捉えてしまいます。このようなネガティブな考え方を「認知の歪み」といい、自己肯定感が低い人の代表的な特徴といえます。
自己肯定感が低いと、物事を否定的にとらえてしまうために失敗を恐れることが多く、チャレンジを避けてしまう傾向があります。
 

他人と比較する

自己肯定感が低いと、自分自身の能力や価値観に対して否定的になってしまいます。自分で自分を肯定できないので、他人と自分を比較することで自分のほうが優れているポイントを探し、存在価値を見つけようとします。
また、自己肯定感が低い人は自分を受け入れられず劣等感が強いため、他人に認められようとする承認欲求が強い点も特徴です。自分に自信がないので主体性に乏しく、自分の価値を認めるにはすべて他人に委ねる必要があります。そのため、他人から評価を得ることではじめて自分が評価され認められると感じるので、他人に依存する傾向があります。
 

人間関係がうまくいかない

自己肯定感が低い人は主体性に乏しく、自分に自信がありません。そのため、認めてもらうための承認欲求が強い傾向があり、他人の意見や評価を必要としています。
また、自分に自信がなく主体性もないので、自己肯定感が低い人は優柔不断で人の意見に左右されることが多いものです。
その一方で、他人の意見や価値観を伝えられても自分が否定されたような気持ちになるので、なかなか素直に受け入れにくいという特徴もあります。その結果、信頼関係を築きにくく、人間関係が悪化する原因となります。
 

自己肯定感が高い人が組織に与える影響

 
自己肯定感が高い人がいる組織では、良い特徴がさまざまな方向で影響を与えます。具体的には、以下に挙げる3つの影響が考えられます。
 

生産性が高く成果や結果を出す

自己肯定感が高い人は、自分に自信を持っています。自己肯定感が高い人が集まる組織では、従業員一人ひとりの個性や長所を活かせる適切なマネジメントを行なうことで、仕事上での成果や結果を出しやすくなります。積極的に物事に取り組めるので、困難や問題に直面しても失敗を恐れずにチャレンジし解決できるため、成果や結果を出しやすいといえます。
 

コミュニケーションが活性化する

他人の意見や価値観を受け入れて肯定的に捉えられる自己肯定感の高い人は、自分にも他人にも優しく、他人の良いところを探すことが得意です。他人も自分と同じように大切な存在と捉えているからこそ、他人の異なる意見や考え方も尊重できます。多様性も素直に受け入れて相手を否定することが少ないため、自己肯定感が高い人がいる組織ではコミュニケーションも活性化します。
コミュニケーションロスも少なくなるので情報伝達もスムーズで、仕事に必要な情報がきちんと行き渡るでしょう。
 

前向きな意見や改善案が出る

自己肯定感が高いということは、失敗を引きずることなく前向きに物事を考えられるということです。前述したように、自己肯定感が高い人がいる組織で結果や成果を出しやすいのは、失敗を恐れることなく前向きに意見や改善案を出しやすいことも理由の一つです。他者の意見や価値観に対して寛容なので、自己肯定感が高いと他人の意見を受け入れられるとともに自分との違いを認め合えます。
組織でこのような特徴が活かせると、何事に対しても前向きな意見や改善案が出しやすく、組織も良い方向へ進みやすくなります。
 

自己肯定感が高すぎるデメリット

 
自己肯定感が高い人はポジティブな考え方を持っており、他人に対しても寛容に受け入れる姿勢を持っています。このような特徴はメリットが大きいものですが、自己肯定感が高すぎると場合によってはデメリットとなることもあります。
 
高すぎる自己肯定感は自己愛が強くなり、自信過剰になってしまいます。「自分が上の立場にある」「他人よりも自分が正しい」と過剰評価して、良い点は積極的に前面に出す一方で、悪い面を隠してしまうこともあるでしょう。
自分自身を正しく評価できなくなるということは、他人の評価も正しくできなくなることを意味します。すると、成果に対して正しい評価ができなくなり、デメリットとなります。
 

従業員の自己肯定感を高めるために上司ができる方法

 
自己肯定感が高い従業員は組織に良い影響を及ぼすことが期待できる一方で、自己肯定感が低い従業員がいることでデメリットが及ぶ可能性も考えられます。
では、組織内に自己肯定感が低い従業員がいる場合、上司はどのように対処すべきなのでしょうか。
 
上司が実践できる方法を4つご紹介します。
 

1on1を行ない部下に寄り添う

まず、部下に対して1on1で定期的にミーティングを行ないましょう。自己肯定感が低い人は、抱えている悩みや問題をネガティブに考えてしまいます。そこで、ミーティングで部下に寄り添いながら、悩みや課題をヒアリングします。その上で、聞き取った内容を「すでに起こったこと」である事実と、「事実に対してどのように考えているか」という解釈に分けて整理しましょう。そうすることで、前をむきやすくなるでるでしょう。
また、部下の意見を肯定的に受け止めたり、頑張りや活躍を褒めることで自己肯定感を高めるきっかけとなりす。
 

従業員からの意見やアイデアを受け止める

自己肯定感を高めるには、その人の意見やアイディアを受け入れることもポイントです。自己肯定感が低い人は自分が出す意見やアイディアが他人に受け入れられないのでは、とネガティブに考えて表に出せない傾向があります。そこで、上司には従業員が発言しやすい環境づくりを求められます。どのような意見やアイディアでも受け止められる環境を作ることで、自己肯定感が低い部下も発言しやすくなります。その結果、自分の考えを受け入れられることがわかり、自己肯定感を高めるきっかけとなります。
 

小さな成功体験をたくさん積ませる

成功体験があると、人の自己肯定感が高まります。しかし、自己肯定感が低い人は失敗を恐れてしまうので物事に消極的になり、成功体験につながりにくい傾向があります。最初から大きな目標を掲げてしまうと達成が難しく、途中で挫折してしまうこともあるでしょう。そのため、自己肯定感を高めるには、大きな成功よりも小さな成功体験を積み重ねるのがコツです。そこで、クリアしやすい目標を複数設定し、小さな成功体験を積ませましょう。自己肯定感が低い人でも成功体験を重ねるにつれ徐々に自分に自信を持ち自己肯定感を高められます。


サンクスカードを導入する

自己肯定感が低い人は他人に認められたいという承認欲求が強い傾向があり、もし認められていない、受け入れられていないと感じると自己肯定感はどんどん低くなります。そこで、サンクスカードを導入してみましょう。サンクスカードとは、従業員同士で感謝の気持ちを伝え合うカードです。手書きで作成した紙のカードを使うこともあれば、オンラインツールや社内SNSを使用する場合もあります。サンクスカードを受け取ることで承認欲求を満たし、モチベーションの向上も期待できます。


まとめ

自己肯定感とは、自分自身を認め受け入れて肯定することを意味します。高すぎる自己肯定感は悪影響を及ぼす可能性があるものの、自己肯定感が高い人は前向きで他人の意見や価値観を素直に受け入れられる、人間関係を円滑に進められるなど、組織において良い影響を与えうる人物です。
 
自己肯定感が低いと人間関係や業務にも支障をきたす恐れがあります。一方で、自己肯定感を高いと成果を出しやすく業績アップに貢献するでしょう。そのため、マネジメント側は従業員の自己肯定感を高めることが重要です。
 
今回ご紹介した方法を実践し従業員の自己肯定感を高め、働きやすく成果を出しやすい環境づくりを行なってみましょう。
一覧に戻る