コラム

2024.02.20
2024.02.20

新入社員受け入れ準備に必要な心構えや役立つリスト、注意点を紹介

企業にとって、春は新入社員を迎える季節。総務や人事担当の方は、新入社員受け入れ準備で慌ただしくなる時期です。
新入社員は、社会人としてのマナーや仕事に必要な知識・スキルなど、覚えることが山ほどあります。一歩一歩着実に成長させ、戦力に育てるためにも、企業の受け入れ準備は大切です。
本記事では、会社側で準備すべきことのリストをご紹介するほか、受け入れにあたっての心構えなどを説明します。
受け入れ初日を万全の状態で迎えるために、ぜひ参考にしてください。
 

新入社員の受け入れ準備をする重要性とは?

 
受け入れ準備が整っていなければ、いざ新入社員が配属されても「歓迎されていないようで居心地が悪い」「必要な備品がなく仕事ができない」といった事態を招きかねません。そうなれば、新入社員は仕事を覚えるどころか、職場に馴染むことも難しくなります。
新入社員が職場環境に慣れ、知識やスキルを早く身に着けるために、企業側は受け入れ準備を万全にしておきましょう。
また、仕事を覚え一人前になるにつれて、少しずつ仕事のやりがいや面白さを感じるようになるもの。スムーズな成長を促すことで、早期離職のリスクを下げることができます。
 

新入社員の受け入れ準備に必要な心構え

 
新入社員はやる気とともに、たくさんの不安を抱えて入社してきます。「仕事を覚えられるだろうか」「上司や先輩、同僚と上手くやっていけるだろうか」など、心配事は多岐にわたります。
新入社員を温かく迎え入れ、歓迎の気持ちを伝えることで、少しでも不安を取り除きましょう。目に見える形で受け入れ準備を整えるのはもちろん、積極的に声を掛ける、歓迎会を兼ねたランチ会を開くなども方法のひとつです。
さらに、入社式での上層部の「活躍を期待しています」といった挨拶や、先輩社員からの「これから一緒に頑張ろうね」といった前向きな声掛けは、企業の一員として迎え入れられていることを実感できるともに、新入社員のやる気も引き出します。
 
また、新入社員を受け入れるうえで、それぞれの個性を理解することも重要です。世代によって受けてきた教育や価値観は異なり、特性もそれぞれです。瞬発力高く自分の意見を発信できる新入社員もいれば、じっくりと思考を深め適切な解決策を導き出すのが得意な新入社員もいます。新入社員同士を比較して、足りない部分ばかりを指摘するのではなく、一人ひとりの良い面を見つけて伸ばすようにしましょう。
 

新入社員を受け入れるために準備すべきこと

 
受け入れにあたって、事務的な手続きから研修まで、幅広い準備が必要になります。特に新人研修では、人事担当だけでなく、必要に応じて他部門の協力を仰ぎながら企業全体で新入社員を育てていきましょう。
 

働く環境や備品

新入社員がスムーズに仕事をスタートできるよう、環境や備品はあらかじめ整えておきましょう。パソコンや自分の名刺を手にすることで社会人としての実感が湧き、責任感が生まれる場合もあります。
業種によって必要なものは異なりますが、一般的に以下のようなものが考えられます。
 
[リスト]
・デスクやチェア
・パソコン・スマートフォン
・ペンや付箋など事務用品
・名刺
・社員証
・退勤カード
・制服
など
 

書類

雇用契約を結ぶにあたり、行政機関にいくつもの書類を提出しなければなりません。企業にとっては毎年行なっている作業でも、新入社員にとっては初めてのこと。署名や捺印、入社前に提出が必要な書類など、戸惑うことがないよう企業から丁寧に説明しましょう。
 

企業から新入社員に送る書類

[リスト]
・内定通知書
・労働条件通知書
・雇用契約書
など
 

新入社員から企業に提出する書類

[リスト]
・入社契約書
・秘密保持契約書
・住民票記載事項証明
・給与振込用の口座情報を記載した書類
・健康診断書
・身元保証書
・通勤手当申請書
・資格や免許の証明書
・マイナンバーカード記載の書類
など
 

手続き

手続きについては企業側で行なうものが多いため、抜け漏れやミスがないよう注意して進めましょう。一般的な手続きは以下のリストのとおりですが、扶養家族がいる場合には追加で必要な書類が発生します。そのため、扶養家族の確認は必須です。
 
[リスト]
・健康保険資格取得の手続き
・雇用保険資格取得の手続き
・給与・住民税に関する申告
など
 

研修・教育

新入社員を戦力に育てるために、育成環境を整えることも大切です。
研修の始めには、研修の目的を新入社員に伝えましょう。何のための研修なのか、どんな場面で使う知識なのかが明確になることで、習熟度もアップします。
 
[リスト]
・ビジネスマナーや文書
・コンプライアンス研修
など
 
新入社員の受け入れの際に注意する6つのポイント
 
企業の受け入れ方によって、新入社員のモチベーションや成長の仕方は大きく変わります。ここからは、新入社員と接するうえでの6つのポイントをご紹介します。
 

何を意識して業務に取り組んでほしいのか伝える

入社したばかりの新入社員にとって、どんな努力をすれば成長できるのか、どんなスキルを身に着ければその企業で活躍できる人材になれるのかをイメージするのは、なかなか難しいもの。
企業側から成長の道筋を示すため、どんなことを大切に業務に取り組んでほしいかを伝えましょう。例えば「失敗してもどんどんチャレンジしてほしい」「まずは業務を覚えてほしい」など、心構えだけでなく行動に落として伝えることがポイントです。
また、人によって指導内容がバラバラだと新入社員が戸惑うだけでなく、企業に対して不信感を抱きます。上層部や人事担当から新入社員の育成方針を事前に伝えたり、OJT制度を取り入れるのであればOJT向けに事前研修を実施したりと、指導方針を社内で統一させることが必要です。
 

メンタルのケアを行なう

慣れない環境で、まだ十分に人間関係を築けていない上司や先輩に習いながら、初めての仕事を覚えるのは負担が大きいもの。気付かぬうちに、たくさんの不安と悩みを抱え込んでいる場合があります。
業務の合間や定期的な面談などで、新入社員がどんなことを不安に思っているのか、どんなことを感じながら仕事をしているのかに耳を傾けるようにしましょう。不安を取り除くことは心理的安全性の担保につながります。
また、上司には言いづらいことでも、年の近い先輩には相談しやすいこともあります。年が近いからこそ悩みに共感できることも。先輩から適切なアドバイスをもらい、仕事が上手く回るようになれば、モチベーションの低下を防ぐことができます。
さらに、辛い時は助けてもらえる職場であると実感でき、エンゲージメントの向上も期待できるでしょう。
 

コミュニケーションを積極的に取る

「新入社員の不安を軽減すること」「信頼関係を築くこと」のどちらにも、コミュニケーションは不可欠です。最初は雑談からでも、お互いのことを知りながら、話しやすい雰囲気をつくっていきましょう。
また、会議や打ち合わせの場では、新入社員の意見をなるべく否定しないこと。意見の良し悪しはあったとしても、新入社員の意見を一度受け入れることが大切です。そのうえで、再考した方が良い観点があればアドバイスするようにしましょう。どんな意見でも受け入れてもらえるという安心感は、創造的なアイディアを生み出します。
そのほか、新人教育の一環として、何か仕事のサポートをお願いすることもあるでしょう。そんな時にも「助かったよ。ありがとう」「資料分かりやすくまとまっていたね」など、意識的に声を掛けるようにしましょう。感謝や称賛を伝えることで、信頼関係の構築にもつながります。
 

質問や相談しやすい雰囲気を作る

新入社員に分からないことや疑問が出てくるのは、当然のこと。周りに声を掛けづらく、新入社員が一人で抱えてしまうと、後に大きな問題に発展する恐れがあります。業務効率やミス防止のためにも、上司や先輩社員は、質問・相談を受けたら親切に応じるよう心がけましょう。
また、新入社員が話しかけづらそうにしていれば、こちらから声掛けをして質問を促すことも大切です。どうしても忙しく、打ち合わせなどで離席することが多い場合は「今日の16時から30分間、質問タイムにしましょう」など事前にスケジューリングしておくこともおすすめです。新入社員もその時間までに分からないことをまとめられ、お互いの時間を有効に活用できるとともに、日々の疑問や相談事項を溜めることなく解消できます。
 

マニュアルを活用して指導を行なう

目の前の仕事に追われてしまい、新入社員に対して手取り足取り指導することが難しい場面もあります。また、一度教えたことを繰り返し説明するのは、教える側にとっても負担になり、新入社員も聞きづらさを感じてしまいます。
そんな時には、マニュアルの活用が有効です。マニュアルの手順に沿って行なえば新入社員が一人で取り組むことができ、さらにミスの防止にもなります。
また、「一人でできた」という小さな成功体験を積み上げることで、新入社員の自信にもなります。
業務に慣れてくれば、マニュアルを新入社員に作成させることも研修方法のひとつです。マニュアルを作成することで、その業務への理解が深まるとともに「他の人に理解してもらうためには、どのように説明すればよいか」を考えてアウトプットする練習にもなります。
 

人事評価を明確にする

人事評価の基準は企業によってさまざまで、求めるスキルも異なります。その一方で、給与に直接的に関わっているため、評価基準をあらかじめ明確にしておくことが重要です。
その際、定性的な基準だけでなく、定量的な基準も設定しておきましょう。定性評価ばかりだと、新入社員自身の自己評価と、企業側の評価にギャップが生まれてしまう可能性があります。企業にとっては「求めていたレベルに達していなかった」という場合でも、新入社員としては「頑張ったのに正当に評価してもらえなかった」と感じてしまい、離職の原因につながることもあります。
このような認識のずれを避けるためにも、「売上○○円達成すればA評価」「企画を○案以上提案すればA評価」など、具体的な数字も設定しておきましょう。
 

まとめ

 
新入社員は、企業にとって新しい風をもたらす大切な存在です。初めは新入社員に教えるべきことが多くありますが、成長すれば頼もしい戦力になります。
受け入れ準備を整えることで、新入社員がモチベーションを維持しながら一人前に成長できる環境づくりを行なっていきましょう。
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