コラム

2024.01.31
2024.01.31

優秀な人が辞める原因・理由とは?退職前の兆候や会社ができる対策を解説

 ▼ 目次
企業内で組織やチームの運営にかかわる経営者やリーダーは、できるだけ優秀な人材を定着させたいと考えているものです。しかし優秀な人材を採用したのにもかかわらず、その従業員が突然会社を辞めてしまうケースは珍しくないでしょう。もし優秀な従業員の離職が連鎖している場合は、企業内で見直すべきポイントがあるかもしれません。
 
そこで本記事では、優秀な人が辞めてしまう原因や理由、辞める兆候に加えて、離職を防ぐために会社が行なうべき対策を解説します。
 

優秀な人が辞める会社の特徴

 
優秀な人が辞めてしまう会社には、いくつかの共通する特徴があります。まず挙げられるのが、経営層や管理職のスキル不足です。上に立つ人のスキルが不足していると、自分自身のスキルが認められにくくなるからです。また、企業が人材を確保しようと良いことばかりを求人情報に載せて採用を行なうと、採用のミスマッチが起きます。これも、優秀な人が辞めがちになる根本的な原因です。
 
業績が悪い会社や経営方針が不透明な会社も、優秀な人が辞めやすい企業といえるでしょう。なぜなら、人事戦略や評価制度が不明瞭になりやすくなってしまうため、スキルや実績に対して適切な評価を与えられず、給与にもつながらなくなり働く意欲が落ちてしまうからです。これが、優秀な人が定着しなくなる原因とります。
 

優秀な人が辞める原因と理由

 
せっかく優秀な人が入社しても、職場の環境が悪いことが原因で会社を去ることがあります。では、具体的にどのような職場環境が退職の原因となるのでしょうか。その理由とともに解説します。
 

やりがいや成長実感がない

仕事で成果を残しても人事評価に反映されない、設定された目標が低い場合、優秀な人は仕事をすることに対して充足感を得られず、意欲や達成感を感じなくなってしまいます。向上心が高い人も多いため、やりがいがない職場では自分の成長実感もなくなり、成長できる機会がないと感じることが退職理由につながります。
 

労働環境や職場環境が悪い

優秀な人は、自分自身の能力を最大限に発揮できる職場を求めます。無駄な残業が多い、サービス残業が続くなどの長時間勤務が多い職場や、従業員同士の人間関係が悪い職場など労働環境が悪い職場では、十分に能力を発揮できません。仕事に対するモチベーションも下がってしまうため、もっと自分の能力を活かせる職場を望む気持ちが強くなることが、職場を辞める原因となります。
 

人間関係に問題がある

上記の職場環境にも共通しますが、人間関係に問題がある職場も優秀な人が定着しづらい職場です。自分の意見やアイディアにまったく耳を貸さない、適切な指導を行なわない、曖昧な指示ばかりを繰り返すといった上司への不満、同僚や部下との関係がうまくいかず意思疎通がうまく取れないなど、上司や同僚、部下との人間関係に問題がある職場では、精神的にも負担が大きく働きづらいと感じるでしょう。
 
人間関係に問題がある職場では業務がスムーズに進みにくく、自分自身の成長を阻んでしまうこともあります。最悪の場合上司によるパワハラに悩まされることもあるため、長く働けないと判断して退職へ至ってしまうでしょう。
 

ワークライフバランスが取れない

こちらも労働環境の悪さにつながる原因ですが、ワークライフバランスが取れない職場も優秀な人が辞める原因となります。優秀な人は効率的に業務を進め、きちんと休日を取って休息を取りたいと考える人が多い傾向にあるといわれます。
 
ところが、前述のような労働環境の悪い職場では人間関係が悪化し、業務効率も悪くなりやすいものです。逆に、効率性を重視するあまりに優秀な人にばかり業務を集中させて負担を増やすこともあるため、当然優秀な人のワークライフバランスが取れなくなってしまいます。このような労働環境は、優秀な人が辞める大きな原因となるでしょう。
 

会社・組織の将来に不安を感じる

優秀な人が辞める会社の特徴として業績が悪い会社、経営方針が不透明な会社などを挙げましたが、これらは将来性に不安を感じる要素となります。このような明らかなネガティブ要素だけではなく、長く働き続けているうちに従業員に対する会社の対応、曖昧な経営理念を知ることが不安要素となる場合もあるでしょう。優秀な人であれば、不安を感じた会社で長く働き続けるよりも将来性のある会社で働きたいと思うことは当然であり、退職へつながる理由となってしまいます。
 

優秀な人が辞める兆候

 
優秀な人が会社を辞める際には、いくつかの兆候がみられることがあります。退職を希望する優秀な従業員に対して会社に対する率直な不安を聞くことは難しいため、企業として優秀な人材流出を防ぐために従業員のちょっとした変化に気を配り、辞める兆候に気がつけるようにするべきです。
 

出社態度が変化したとき

これまで遅刻をせず、提出するべき書類の期限を必ず守っていた従業員の遅刻が増えたり、期限に遅れが出てくるような様子がみられる場合、辞める兆候の可能性があります。これらは、仕事に対して消極的でモチベーションが落ちることで起こり得ます。
 
その他にも、辞めようと考えている人はセミナー参加や情報収集などの転職活動をするために、退社後の時間を確保しようとする傾向があります。そのため、残業時間が減っている、今まで依頼を断らなかった案件を断るようになった場合も、辞める兆候かもしれません。
 

モチベーションや生産性が低下したとき

会議での発言が少なくなった、積極的なコミュニケーションを取らなくなったような様子がみられた場合も、辞める兆候の可能性があります。本来、会議などでの発言や積極的なコミュニケーションは会社の業績を良くしようというモチベーションが高く前向きだからこその行動です。しかし、反対にモチベーションが低下していると前向きな言動が減り、その結果生産性が低下するでしょう。よって、このような兆候も会社を辞める前のサインと考えられます。
 

コミュニケーションが減ったとき

仕事を辞める前に転職活動を始めた人は、転職活動中であることを知られることを避けるため、現在勤務中の会社の従業員とのコミュニケーションが減る傾向にあります。転職先が決まってしまえば、今の会社の従業員との人間関係を気にする必要もなくなるので、ランチ会や退社後の飲み会などの参加も消極的になるでしょう。以前と比較して明らかに人間関係が希薄している場合、退職を見据えて転職先を検討しているかもしれません。
 

有給休暇の取得頻度が増えたとき

転職活動が本格化すると平日の日中に時間を取る必要が出てくるため、半休や遅刻を含めて有給休暇を消化する機会が増えます。また、会社との関わりを少なくするために休む頻度を増やしていることもあります。以前よりも明らかに有給休暇の取得頻度が増えている人は、転職活動を進めている可能性が高いといえるでしょう。
同時に、デスク周りの整理を始めている場合は、転職先がほぼ決定し退職する可能性が高くなります。
 

優秀な人が辞めるデメリット

 
優秀な人が辞めてしまうと、会社にはさまざまなデメリットが発生することが考えられます。優秀な従業員が一人減るだけで、会社全体に大きな悪影響をもたらすこともあるのです。具体的なデメリットには、以下の3点が挙げられます。
 

生産性が低下する

従業員が減ると、その分の業務を他の従業員がこなさなければならないため、1人あたりの負担が増えます。優秀な人は仕事に対する理解や作業効率に優れているので、そのような人材が辞めてしまうことは、実質的には1人減った以上の損失といえます。
 
そのため、会社への貢献度が高い優秀な人が辞めることによって会社の生産性が低下することが考えられます。会社や事業の成長が鈍化することもあり、社内だけに限らず取引先などにも影響が出ると、業績や企業イメージにも悪影響を及ぼす可能性もあります。
 

従業員のモチベーションが低下する

仕事ができる優秀な人が辞めてしまうと、残された従業員にも影響が及ぶ可能性があります。優秀な人は社内で高い評価を受けていることが多く、場合によっては重要な業務やプロジェクトを担当していることもあるでしょう。そのような人物が辞めるということは、この会社に何か不満があるのだろうか、将来性に不安があるのだろうかと、残された従業員は不安や不信感を感じてしまい、仕事に対するモチベーションが低下します。
 
また、人員が減ったことにより残された従業員への負荷が増大し、時間外労働が増えて心身に不調を感じやすくなることも、仕事に対する従業員のモチベーション低下につながるでしょう。最悪の場合、他の従業員の退職の原因にもなってしまいます。
 

採用や従業員の育成にコスト・時間がかかる

人材を採用するには、採用そのものに加えて育成にもコストと時間がかかります。時間をかけて育成した従業員が辞めてしまうということは、これまでかけたコストと時間が無駄になるだけではなく、新たな人材を採用・育成するにも一からコストと時間がかかってしまう点は、企業にとって大きなデメリットとなるでしょう。
 

企業ができる対策5つ

 
ここまで解説したように、優秀な人が辞めてしまうと会社全体にさまざまな悪影響が及びます。これまで一緒に働いてきた従業員にとっても、優秀な人の損失の影響は大きく、連鎖的に他の従業員の退職という危険も考えられるでしょう。
 
このような事態を防ぐために、企業が行なうべき対策として以下の5つが挙げられます。
 

採用のミスマッチをなくす

最初に実施するべき対策は、採用時のミスマッチをなくすことです。前述したように、企業が優秀な人材を確保しようとする際に良い情報ばかり求人情報に掲載してしまうと、求人情報になかった条件や環境が「思っていた職場と違う」と判断され、ミスマッチの原因となってしまいます。
 
採用のミスマッチをなくすには、求人情報だけではわからない情報を積極的に発信することが必要です。例えば、企業サイトやSNSなどを利用して従業員や実際の職場の様子を公開する、経営者などのメッセージを載せるなど、より詳しい情報を発信できればミスマッチをなくしやすくなるでしょう。
 

コミュニケーションを積極的に取る

社内で積極的なコミュニケーションを図ることも、優秀な人の退職を防ぐための対策の1つです。他の従業員とのチーム単位での業務で成果を出すことを重視する人であれば、チーム内で活発なコミュニケーションを取ることを意識し、風通しの良い環境づくりを心がけましょう。
 
もし優秀な人が会社や業務に対して不信感や不安を抱えている様子がみられた場合は、意見を聞いてみることも大事です。そのためには、普段から上司や同僚が積極的に声掛けをし、相談や意見を聞きやすい環境にしておくことが必要でしょう。
 

成果に対して正しく評価する

自分の成果が正当な評価を受けられないと、誰しもモチベーションが下がってしまいます。評価を得られない会社ではやりがいがなく、スキルアップもできない環境だと判断されてしまうでしょう。また、待遇面での不満も退職につながる原因です。成果を出しているにもかかわらず評価されず給与面の変化もなければ、やる気がなくなってしまうのは当然ともいえます。
 
優秀な人の退職を防ぐには、成果を正しく評価することが求められます。成果に対して適切な給与を支払うことに加えて、待遇や評価制度の見直しや従業員同士で評価し合える制度を作るなど、正当な評価を得られる仕組みづくりを行ないましょう。評価基準には成果だけではなく、普段の働きぶりやこなしている業務量も加えることや、昇格・昇進のための基準を明確化するなどの取り組みも、正しい評価を行なうために検討しておきたいところです。
 

従業員が成長できる機会を与える

優秀な人は、仕事で成果を出すことで自分自身の成長を望む傾向があります。成長できない環境では意欲ややりがいを感じにくくなるため、退職につながる原因になりかねません。そのため、従業員が成長を感じられる機会を与えることも、優秀な人の流出を防ぐ対策となります。
 
誰しも自分を成長させるためには、学んだり自分と向き合って考えたりする時間が必要です。しかし、長時間労働や無駄な残業が多い職場では、時間の確保が難しくなるため成長しづらい環境といえます。そのような環境にならないためにも仕事の配分を適切に行なったり、従業員一人ひとりの業務内容を見直したりしましょう。
 
その上で、キャリアパスを明確にすることで、従業員自身が「ここで自分は成長ができる」と感じることができるでしょう。また、モチベーションが高い優秀な人にとっては新たな目標を立てやすくなります。その結果、将来的なビジョンを持てるので、退職抑止となることが期待できるでしょう。
 

福利厚生を充実させる

満足度の高い職場を実現させるには、福利厚生の充実も大切な要素です。充実した福利厚生の例としては、働くためのモチベーションや心身の健康維持に良い効果が期待できます。一例として、一般的な有給休暇に加えてさまざまな特別休暇を取得できる休暇制度の充実や社員食堂の設置、フィットネスジムの利用補助などがあります。直接業務に関わる要素ではない福利厚生でも従業員の心身のケアとなり、快適に働き続けられる環境づくりに役立ちます。
 

まとめ

優秀な人の退職には、明確な原因や理由が会社内に存在しているはずです。優秀な従業員が1人欠けてしまうだけで社内の雰囲気や従業員のモチベーションにも悪影響が考えられ、会社全体の業績やイメージにも影響が出る恐れがあります。そのような事態を防ぐには、会社が職場環境や人間関係などを今一度見直す必要があるでしょう。

優秀な従業員の離職率が高く悩んでいる経営者やリーダーの方は、今回解説した情報を参考に、企業の環境を見直してみてはいかがでしょうか。
一覧に戻る