近年、成果主義が広まり、多くの企業で目標管理制度が採用されるようになり、目標設定シートを活用する機会が増えています。しかし、実際にどのように目標設定シートを作成したらよいか悩む方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、目標設定シートの職種別の例文をはじめ効果的な活用ポイントまでわかりやすく紹介します。
これから目標設定を行なおうと考えている方はぜひお役立てください。
目標設定シートとは?
目標設定シートは、規定のフォーマットに沿って、具体的な目標、達成基準、期限、達成プロセス、最終的な成果などを記入し、効率的な管理を実現する組織の目標管理に欠かせないツールです。一般的には期末やクオーターなどの定期的なタイミングで作成します。目標管理シートを作成することで、設定する具体的な目標や達成のための行動を明確化し、達成度合を測ることができるようになります。
また、対象期間が終了したあとは、達成度に応じた評価を行い、よかった点や悪かった点など、課題を見つけるチャンスにもなります。
目標管理シートを作成することで、統一されたフォーマットや評価基準にも役立つため、より公平で納得感のある目標管理や評価にもつながるでしょう。
目標設定をする目的とは?
目標設定の最大の目的は、目標達成への道筋を可視化し効率的に進行することです。目標を明確に設定することで、自身の位置や目標達成のためにすべきことが明確になるため、目標に対して最短ルートで進む計画を立てることが可能になり、従業員のモチベーションの向上も期待できます。
また、部下をマネジメントする立場であれば、目標内容とそのプロセスを管理することも目的の一つでしょう。目標や達成のための行動を具体化できるため、進捗確認に活用することはもちろん、部下が目標に対してどのような行動をとり、どのような結果になったのかを把握しやすくなります。
目標設定シートのメリット・効果
目標設定シートは、組織の成長と従業員一人ひとりの業務効率を向上させる強力なツールです。
ここではそのメリットと効果を紹介します。
目標達成までのプロセスを整理できる
目標設定シートは単に目標を立てるだけでなく、その目標を達成するまでのプロセスを明確にする必要があります。そのため、 いつまでに何をすればよいのかを整理でき、目標達成に必要なプロセスが一目で分かるようになります。
部下の目標を管理し適切な指示ができる
人事評価に影響を与える目標設定シートは統一したフォーマットで、全員の目標を一元管理できます。そのため、目標設定シートを作成することで、部下一人ひとりの指導を計画しやすくなります。
また、日常的に部下の目標管理とサポートをするため、自身のマネジメント力の向上も期待できるでしょう。
目標設定シートを作成する際に注意すべきこと
目標設定シートを効果的に活用するためにも、作成時には注意が必要です。
ここでは、その注意点について解説します。
適切な数字・難易度になっているか
目標が高すぎるとモチベーションが下がり、目標を達成できないだけでなく、従業員に過度なストレスを与える可能性があります。
また、目標が少なすぎる場合、意欲低下や成長意欲の減退にもつながる可能性があります。そのため、目標は複数設定し、適切な数字になっているか確認しましょう。
定量目標が入っているか
目標管理シートを書く際は、一つひとつの目標の中で、定量的な目標が含まれているかを確認しましょう。定量的な目標の場合は数字を達成したかしていないかが軸になるため、公平かつ客観的な評価が可能になります。
大きな目標・小さな目標それぞれ設定されているか
目標は一つにするのではなく、大目標をどのような行動で達成に導くかを示す小目標を設定すると良いでしょう。途中経過を確認する段階や終了後を振り返る際、小目標ができているかいないかによって、目標が達成できるのかできないのかの指標になったり、PDCAをまわす際にも役立ちます。
オススメの目標設定シートのテンプレート
忙しい中で目標設定シートを作成するのは正直面倒に感じることも。
しかし、現在ではインターネット上に多種多様なテンプレートが存在するため、作成時間の削減や導入コストを押さえることが可能です。
MBO目標設定シート
世界的経営学者ピーター・ドラッカーが提唱した「Management by Objectives(目標による管理)」に基づいたシートで、目標を共有し、業務目標、具体的アクション、フィードバックなどの項目を作成します。これにより、 自主性やモチベーション向上、業務内容の振り返りが容易になることが期待できます。
マンダラチャート
大谷翔平選手も使用していたという、マンダラチャートは9×9のマスを使い、中心に目標を書き、それを達成するための要素と行動目標を埋めていきます。これにより目標達成までのプロセス案が出てきやすくなったり、行動の優先順位の設定しやすくなることが期待できます。
woopの法則を活用した目標シート
心理学者ガブリエル・エッティンゲン博士の目標達成術、woopの法則を基にしたシートで、4つのステップ(願望、結果、障害、計画)に沿って目標を立て、障害を具体的に克服する方法を考え作成します。これにより、想定される結果を見据え困難や問題にも適切に対処できるため、目標達成率の向上が期待できます。
目標設定シートの職種別の例文・書き方
ここでは、主要な職種ごとの目標設定シートの例文や書き方を紹介します。
どのような目標を設定したらよいか悩む方はぜひ参考にしてください。
営業職
・対応可能なプランを考えることで、現在のリソースでも期末までに利益率を30%上げる。
・一年後までに見込み顧客を月に10件訪問することで、新規顧客獲得を昨年の20件→40件に増やす。
・今期の最終月までに週3回の営業ロープレを続けることによって、成約率を15%から30%に上げる。
総務
・半年後までに、各部署のマネージャーへの声掛けと仕事量の把握を徹底することで、各月の平均残業時間を30時間から15時間に減らす。
・今期の最終月までに、業務マニュアルをチーム全員で見直すことで、総務部全体の評価を平均3ポイントUPさせる。
・一年後までに、月に一度の勉強会を行うことで、総務部メンバー全員がマイナンバー実務検定を取得する。
人事
・今期の最終月までに効率的なシステムを導入することで、勤怠管理のエラーをゼロにする。
・半期に一度、各部署代表に従業員の個別面談を実施させることで、離職率前年比10%減を目指す。
・来年度の社員採用までに新人研修マニュアルを見直し、社内ノウハウ反映率を20%増加させる。
経理
・2カ月後までに、毎朝15分を決算書の更新にあてることで、月次決算報告書の作成に5日かかっていたのを3日に短縮する。
・今期の最終月まで、2週間に一度の経費精算を月に一度集中的に行うことで、ミスをゼロにする。
・6カ月後までに会計ソフトを導入しそのマニュアルを作成・運用することで、経理課全体の休日出勤数を0にする。
事務職
・第一四半期末までに契約書の保管棚を整理することで、収納スペースを現在の1/4にする。
・半年後までに、毎月の備品購入時により単価の低い商品を選ぶことで、消耗費の前年比10%減を目指す。
・今期の最終月までに日々効率化の視点を持ちながら業務に当たり、業務効率化に関するアイディアを10件提案する。
経営企画
・毎月・四半期と予実管理を行い、今期末までに会社の年間目標を達成する
・月1回金融機関の担当者と会い、今期末までに融資限度額を40%引き上げる
・第二四半期末までに競合各社の動向分析を終わらせることで、第三四半期の経営会議の時期を1週間早める。
マーケティング
・来月末までに関連書籍を読んで効果的なSEO対策を行うことで、現在月4000セッションの訪問者を6000セッションにする。
・第一四半期末までに広告流入を分析することで、不要な広告をやめ、広告費を昨年比の15%減する。
・LPをリニューアルすることで、今期の最終月までに主要製品のCV率を5%向上させる。
広報
・第一四半期末までにユーザー招待イベントを開催することで、現在30%の商品リピート率を40%にする。
・WEB・SNSでの情報発信を積極的に行うことでファンを増やし、今期の最終月までに1回はテレビへの露出をする。
・Xでの日常投稿を日に3回は行なうことで、半年後までにフォロワー10,000人を達成する。
開発・エンジニア
・半年後までに、週一でチームの勉強会を行うことで、現在技術的質問にかかっている回答スピードを2週間→1週間以内に早める。
・半年後まで、月に一度は営業に同行することで、新製品の販売予算100%達成を目指す。
・第一四半期末までに、データを整理し不要なコストを洗い出すことで、開発コスト10%減を目指す。
カスタマーサポート
・第一四半期末までにマニュアルを改定することで、問い合わせに対する解決率を70%→95%にする。
・6カ月後までに、週1回ロープレを行うことでカスタマーサポートに対する月間のクレーム率を10%削減する
・今月末までに、従業員にCSの参考書籍を読ませることで、クレーム件数を80件→30件にする。
デザイナー
・今期の最終月末までにデザインソフトの使用率を分析することで、経費を10%削減する。
・月末までにホームページを更新することで、年間の取引先数を8件増やす。
・12月末までにWEBデザインの関連書籍を3冊読むことで、来年のWEBサイト受注数を15件→30件にする。
コンサルタント
・今年度末までに、HPをリニューアルすることで、来年度の見込み顧客数を3倍にする。
・今年中に、5社へのERPパッケージソフト導入を行うこと経験値を高め、来年度の導入オファーを15件に増やす。
・今年中にSAP認定コンサルタントの資格を取得することで、来年度の顧客数を15社→25社に増やす。
医療
・来月末まで、毎日のミーティングにかかる時間を1時間短縮することで、一日の診察数を30→35人にする。
・半年後までにJB-POTを取得することで、心臓外科内でのワンランク昇進をはかる。
・半年後まで、往診の頻度を週1回から週2回にすることで、患者数を2000人を3000人に増やす。
介護
・半年後までに認知症に関するセミナーに参加することで、認知症の担当患者数を10人→15人にする。
・年度末までに、後輩の介護技術へのアドバイスを心がけることで、離職率15%減を目指す。
・半年後までに毎週情報交換や受験対策の勉強会を開くことで、介護福祉士試験合格者を10人→20人に増やす。
保育
・半年後までに、月に一度の電話連絡を徹底することで、保護者の方からの平均クレーム件数を3件→1件にする。
・一年後までに、スタッフの業務配分を見直すことで、一人あたり残業時間を月10時間→5時間に減らす。
・一年後までに、地域紙に園の取り組みやイベントをアピールすることで、次年度の園児数を1.5倍にする。
教員
・月1回HRで道徳の講義を実施することで、今期末までにクラス内のいじめ0を達成する
・定期的な3者面談を含め密に進路相談を行うことで、今年度末の希望進路進学率80%を達成する
・夏休みの間、週3日の合同練習を行うことで、合唱コンクールで優勝を目指す。
公務員
・半年後まで、毎週の朝礼でホワイトボード利用を周知徹底することで、オフィス内の連携ミスをゼロにする。
・来月までに、地域のごみ捨て場にポスターを貼ることで、ごみの不法投棄量を20%削減する。
・半年後まで、オフィスの備品の減少率を毎週確認することで、不要な備品を洗い出し、消耗品費を5%削減する。
効果的な活用ポイント
進捗状況の把握
目標達成のためには、定期的な進捗方向や途中経過の把握によって今後の計画を立てる必要があります。目標設定シートでは作成時にプロセスも明記することが一般的なため、途中経過や進捗状況の把握に活かせるでしょう。
PDCAに活かす
目標管理シートは、進捗状況の更新や途中経過の把握をすることができるためPDCAが回しやすくなります。
期間終了後も継続する場合もあるため、適宜見直して反省点や課題点を抽出しながら次の行動に活かせるようにしましょう。
まとめ
目標設定シートは、仕事における目標に向かって取り組む際の重要なツールです。これをを活用することで、目標項目やプロセス、達成基準、評価基準を明確化したうえで目標を管理することができるようになります。
目標管理シートを作成するだけでなく、進捗状況の把握やPDCAをまわしながら活用することが大切です。
目標管理シートの効果的な活用で、目標の達成だけでなく組織や従業員一人ひとりの成長にもつながるでしょう。