コラム

2023.12.19
2023.12.19

企業におけるスローガンの役割と作り方とは?成功事例や浸透のポイントを解説

 ▼ 目次
企業の成功においてスローガンは重要な役割を果たします。しかし、適切な作り方や言葉選びに悩む経営者やマネージャーは少なくありません。
スローガンはシンプルな言葉で企業のビジョンや価値観を表し、記憶に残るものでなければなりません。
 
そこで本記事では、スローガンを設定するメリットや作り方のコツを解説していきます。
企業の成功事例も紹介するので、ぜひ最後までお付き合いください。
 

「会社のスローガン」意味・目的・役割とは?

 
企業のスローガンとは、企業の理念やあり方、そして価値観をシンプルに伝えるフレーズです。目的はブランドの核となるメッセージを伝えることにあります。
そのため、スローガンは短くて覚えやすい言葉でありながら、企業の基本的な信念や姿勢を反映し、ブランドイメージを形成します。
 
一方、企業の理念とは企業の大きな目標や行動指針を包括的に示します。これは組織文化や社会的責任、企業が長期的にどのような方向に進むべきかを示すものです。
さらに企業理念は、従業員やステークホルダーに向けたビジョンや信念を伝え、組織の行動や意思決定に影響を与えます。
そのため、スローガンと企業理念は企業が伝えたいメッセージを表現する手段ですが、次のような違いがあります。
 

スローガンを設定するメリット・効果

 
スローガンを作成することで、企業は認知度やブランドイメージの構築、そして従業員のモチベーション向上など、さまざまなメリットをもたらします。
 
ここではスローガンがもたらす効果を掘り下げていきます。スローガンの必要性を理解するためにも、ぜひおさえてください。
 

企業の認知度向上

エンブレムやロゴが企業を象徴するように、スローガンも企業イメージを想起させる効果があります。例えば、ニトリの「おねだん以上 ニトリ」は価格と価値のバランスを強調したスローガンです。このスローガンにより、消費者にはニトリの商品が手頃な価格でありながら高品質であるという印象を根付かせました。
このように魅力的なスローガンは、企業の特徴やメッセージを簡潔に表現することで、消費者に印象付けます。そして、スローガンがCMや広告を通じて繰り返し使われることで、より消費者の頭に残るようになるのです。
 

ブランドイメージの構築

スローガンは企業が市場で差別され、消費者に対して強烈な印象を与える鍵です。例えば、Appleのスティーブ・ジョブズが掲げた「Think different.」というスローガンは、革新的で斬新なブランドイメージを世に送り出しました。これは単なるフレーズではなく、Appleの価値観や革新性を体現した象徴的存在です。
このように、スローガンは企業の独自性を一言で表現する力を持ち、成功すればブランドイメージの構築に多大な貢献をします。
くわえて、魅力的なスローガンは消費者に印象を残すだけでなく、長期にわたってブランドの価値を伝え続ける役割を果たします。
このように、スローガンは企業の個性を強調し、ブランドが顧客の心に留まる印象を刻み込むのに極めて重要な役割を担っているのです。
 

組織の一体感の醸成

スローガンは、消費者だけでなく従業員やステークホルダーに対しても企業のビジョンや目標を伝える手段にもなります。その結果、従業員は一体感を持って、共通の目標達成に向けてアクションしやすくなるのです。
ラグビー日本代表が掲げた「ONE TEAM」というスローガンは、さまざまなバックグラウンドや価値観を持つ選手が一丸となって戦う姿勢を示している例の一つと言えるでしょう。
 

有名企業のスローガン6つ

 
スローガンは一つの言葉やフレーズで企業の核心を語れる力を持っており、スローガンが生まれる背景には、企業の強い思いが隠されています。
ここでは、有名企業のスローガンがどのようなメッセージを世の中に発信しているのかを紹介します。
 

東日本グループ「未来のキップを、すべてのひとに。」

JR東日本グループのスローガン「未来のキップを、すべてのひとに。」は、同グループのビジョンと密接に結びついています。一般的に企業はターゲットとなる顧客層を明確にし、その獲得を目指しますが、JR東日本は異なるアプローチを取ります。彼らは特定の顧客層を設定せず、「すべてのひと」を対象としている点が特徴的です。これは、鉄道が持つ高い公共性を反映したものであり、社会の基盤として、あらゆる人々に必要とされる鉄道の役割を強調しています。JR東日本にとって重要なのは、全ての人々と共に豊かな未来を目指すことです。
 
 

味の素株式会社「おいしさ、そして、いのちへ。」

味の素株式会社のスローガン「おいしさ、そして、いのちへ。」は、食物と健康の深い関連性を際立たせています。このスローガンは、美味しい食事が健康な生活を支える重要な要素であることを示しており、食品の価値を直接的に表現しています。
また、味の素は、アミノ酸の研究などの科学的なアプローチを通じて、「世界中の人々のウェルネスの実現」を企業の使命と位置付けています。このスローガンは、美味しさと健康の両立を重視する企業の哲学を反映しており、その強い意志をスローガンに込めていることが伺えます。
 
 

株式会社ロッテ「お口の恋人」

「お口の恋人」という株式会社ロッテのスローガンは、株式会社ロッテが掲げる、愛される企業を目指すミッションを象徴しています。一般的に企業が「恋人」という言葉を使用することは珍しいですが、この表現はロッテの強い意志を反映しています。ロッテは、その企業名をゲーテの作品『若きウェルテルの悩み』のヒロインであるシャルロッテに由来しており、彼女は「永遠の恋人」として広く知られています。このことから、ロッテが世界中から愛される存在であり続けることを目指していることが理解できます。「お口の恋人」は、そのシンプルながらも強い印象を与えるスローガンとして、成功していると言えるでしょう。
 
 

株式会社リクルート「まだ、ここにない、出会い。」

テレビCMでおなじみの「まだ、ここにない、出会い。」というスローガンは、株式会社リクルートのビジネス姿勢を象徴しています。
リクルートは、1960年代の高度経済成長期に学生向けの就職情報提供事業からスタートしました。同社は就職先の選択肢を増やすことで、学生たちに新たな出会いを提供し続けてきたのです。
企業と個人の出会いを通じて、これまでにない選択肢を創出することがリクルートの行動指針です。
このスローガンは、企業と個人に「新しい選択肢を提供する」というリクルートの姿勢を、はっきりと表現しています。
 
 

コスモ石油株式会社「ココロも満タンに」

「ココロも満タンに」は、ビジネス面だけではなく、消費者やステークホルダーへの貢献を重視している姿勢が伺えます。
コスモ石油株式会社は、単に事業を発展させ、自社の利益を追求するだけではなく、地球環境への配慮も欠かしません。エネルギーという重要な社会基盤に関わる事業を行っているため、社会貢献と消費者の満足度の向上を使命として掲げています。これらの要素が、スローガンに反映されているのです。
 
 

株式会社資生堂「一瞬も 一生も 美しく」

株式会社資生堂のスローガン「一瞬も 一生も 美しく」は、お客様に焦点を置き、社会に対して美への真摯な取り組みを宣言しています。このスローガンは、資生堂がユーザーとの強い結びつきを持つブランドを目指し、人々が一生涯にわたって美しくあり続けられるような商品開発を進めていることを示しています。
さらに、資生堂は、単に商品提供に留まらず、ビューティーコンサルタントなどの美に関わる多様な専門家の活動もサポートしています。これにより、消費者のニーズに応えるだけでなく、従業員間の共通認識としてもスローガンが機能していることが伺えます。
 


スローガンの作成方法・コツ・注意点6つ

 
ここからは、スローガンを生み出すための方法や注意点について解説していきます。
どのようにして魅力的なスローガンが作成できるのか、その際に何を心掛けるべきなのか、ぜひチェックしてください。
 

1.企業のビジョンや価値を明確にする

企業のビジョンや価値を明確にすることは、スローガンを作成する基本です。
そのためにも、まずは企業の長期的な目標や方向性をしっかりと見極めましょう。ビジョンをはっきりさせれば、自ずと将来の理想像が見えてきます。そして、それを簡潔な言葉で表現するのです。
また、企業の核となる価値観がブレないことも重要です。企業文化や行動指針の基盤となる価値観を理解し、スローガンに組み込む際にこれらを考慮しましょう。
加えて、企業が提供する価値やサービスが、顧客やステークホルダーにどのような影響を与えるかまで描ければベストです。
 

2.ターゲット・伝えたい内容を明確にする

スローガンの作成には、まず「ターゲット」と「伝えたい内容」をはっきりさせることが不可欠です。これらを具体的に把握すれば、スローガンに求められる方向性やメッセージが明らかにできます。
そのためにも、まずはスローガンを見てほしい相手は誰かを考えます。具体的には取引先や顧客、従業員など、対象となるグループを特定しましょう。
次に、スローガンに込めたい思いや伝えたいメッセージを検討します。経営理念なのか主張なのか、企業目標なのかビジョンなのかなど、一番伝えたい価値観を言葉に反映させるのです。客観的に、自社の従業員や取引先に対してどのような印象を残せるのかもイメージするとよいでしょう。
 

3.企業理念・MVVと関連性をもたす

スローガンは企業の核となる理念やMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)をシンプルに表現する必要があります。そのためには、企業の大切な部分を端的にまとめ、わかりやすい言葉で表現することが大切です。
そして、企業の方向性とMVVとの整合性が保たれているかも確認してください。
 

4.ブランディングと一貫性を持たせ出る

スローガンは、幅広い層に訴求する力を持っていなければなりません。多様な人々の共感を呼び、親しみやすいメッセージであることが重要です。
したがって、社外に発信してもなお、スローガンと企業ブランドの一貫性が保たれていなければなりません。
これらの要素を総合的に考慮できているスローガンは、企業ブランドとして世の中に広く受け入れられるのです。
 

5.自社の利益だけを追求したスローガンにしない

スローガンは企業の利益追求だけに焦点を当てていては心に残らないため、社会や顧客にも意義のあるメッセージを作成しましょう。
例えば、企業の利益追求を強調するよりも、顧客や社会貢献、利益や幸福の共有にフォーカスしたスローガンが理想的です。
このようなスローガンを作成するためにも、企業の社会的責任やSDGsへの取り組み、顧客への価値提供など、幅広い視点を持つことが大切です。
 

6.わかりやすく、伝わりやすい表現にする

スローガンはわかりやすく、伝わりやすい表現であることが基本です。しかし、簡潔でありながらも強い印象を与えるフレーズでなければなりません。
そのため、人々がすぐに理解し、覚えやすい内容であることがポイントです。抽象的すぎず、具体的なイメージを呼び起こす言葉を選ぶことで、スローガンの効果を最大化できます。
スローガンが理解されやすく、親しみやすい言葉であれば、消費者や顧客に強い印象を与え、記憶に残る可能性が高まります。企業やブランドの価値観を表現しながらも、シンプルで力強いメッセージを作成しましょう。
 

スローガンを浸透させる方法

 
ここまでお伝えした通り、スローガンは企業やブランドの核となるメッセージを伝える力があります。その効果を最大限に引き出すためには、適切な浸透方法が欠かせません。
 
ここでは、スローガンを効果的に浸透させる方法について紹介します。
作成後のアクションに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
 

掲示板でスローガンについて発信する

スローガンを社内に浸透させるためには、トップダウンのアプローチが鍵となるため、役員や経営陣から定期的にスローガンに関するメッセージを周知しましょう。
具体的には、社内の掲示板や全社会議のような場でアナウンスするのがおすすめです。トップから定期的に発信すること、そして日々スローガンを目にすることで、結果敵に従業員はスローガンの意義や重要性を定期的に認識することができます。
 

スローガンに沿った行動をした従業員を称賛する

スローガンに沿ったアクションや成果を上げた従業員を称賛することは、スローガンの具現化につながります。
また、称賛された従業員はモチベーションが上がり、さらにスローガンに沿った行動を仕様とするでしょう。
称賛する際は「サンクスカード」を使用することが非常に有効です。従業員に感謝の意を示し、彼らの功績を具体的に企業として称えることができます。
 

スローガンに紐づいたイベントを開催する

スローガンに基づいたイベントは、従業員がスローガンの精神を具他的に体験できる有効な手段です。例えば、スローガンにマッチするチームビルディングのイベントや、社内外のボランティア活動、従業員参加型のセミナーなど、スローガンの理念を実践する機会を積極的に開催してください。
言葉で繰り返し伝えるよりも、具体的な取り組みをもってスローガンに込められた思いを感じてもらう方が有効です。
 

まとめ

 
本記事ではスローガンの作成方法や有名企業の事例について紹介しました。
企業の理念を具現化するスローガンは、顧客や消費者に企業の価値観や使命を伝える重要な手段です。
そして、同時に従業員にとっても組織の方向性を示す重要なガイドラインとなります。
 
まだスローガンを作成していない経営者や事業責任者、マネージャーの皆様は、ぜひ本記事を参考に心に刺さるスローガンを作り出してください。
全従業員が一丸となって目標を追求する、強い組織になるはずです。
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