コラム
欧米では、最新のデジタル技術を駆使し、新たなビジネスモデルを展開する企業が大きな利益を上げています。
これらの企業がいち早く着手した取り組みが、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)、略して「DX」です。
近年は国内でもDXを推進する動きが見られ、もはや企業にとってDX推進は必須課題のひとつになりつつあります。
企業のDX化を成功させるためには、その推進を担う「DX人材」が不可欠です。
そこで本記事では、企業におけるDX人材の育成方法について解説します。
具体的な育成プロセスや、DX人材に必要とされるスキルも紹介していますので、ぜひご一読ください。
経済産業省では、DXを以下のように定義しています。
DXとは… 企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネス モデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。 |
引用:「DX推進指標」とそのガイダンス
また、同ガイダンスでは、DX推進には、データやデジタル技術の特性を理解し、プロジェクトを統括する「事業部門における人材」と、データやデジタル技術を活用し、現場で実務を行う「技術を支える人材」の両方を育成・確保することが重要であるとしています。
IT技術の進化は、私たちの生活を便利にするとともに、ビジネスの現場にも大きな変革をもたらしています。
とくに、2020年以降は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、テレワークやオンラインミーティングが急速に普及しました。
また、AIやIoTといった最新のIT技術や、ビッグデータを用いた新たなビジネスモデルも続々と登場しています。
これからの時代、グローバル経済の中で競争力を高めるためには、企業のDX化が不可欠です。
日本でも、経済産業省が2018年に「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)」を発表するなど、DXを推進する動きが見られています。
その一方で、国内ではIT人材の不足が懸念されています。
経済産業省の発表によると、2030年にはIT人材が40~80万人規模で不足すると予測されています。
IT人材とは... IT企業や、企業の情報システム部門に所属し、ITシステムを構築する役割を担う人材 |
IT人材の不足には、「IT人材を育成できる人材」が不足していることも大きく関わっています。
ITは、近年になって加速度的な進化を遂げた分野です。それゆえ、IT人材の指導方法についてはまだまだノウハウが十分ではなく、指導方法が確立されていないため、育成を担う人材が不足しています。
DX人材には、IT技術に対する知見が不可欠です。
すなわち、IT人材の不足は、DX人材の不足にもつながります。
実際に、総務省が2022年に公表した「情報通信白書」によると、DXを推進する上での課題として、企業の約7割が「人材不足」を挙げています。
●IT人材とDX人材の違い
求められる役割 | 求められる能力 | |
IT人材 |
IT企業や、企業の情報システム部門において、 ITシステムを構築・運用する |
システム開発に関する知識や、プログラミングのスキル |
DX人材 |
最新のIT技術やデータを活用し、デジタル技術をビジネス適用して、 DXを推進する |
AIやIoT、ビッグデータやクラウドなど、新しいデジタルの 知識やスキル |
企業のDX化は、複数の部署が連携しながら、組織全体として取り組むべき課題です。
企業の社風をよく知る社員がDX化を先導すれば、DX推進へ向けた社内体制を構築しやすくなります。
また、既存システムの特徴や問題点を熟知した人材が関わることで、現場の状況に適した、効果的で使い勝手のよいシステムを開発できます。既存システムと一貫性のあるシステムを開発できるため、新システムとの連携もスムーズに行えるでしょう。
DX推進をベンダーに一任していると、今後ますますDX人材の不足が進行したときに「DX人材を十分に確保できない」 といった問題が起こるリスクがあります。
DX推進は、社会の変化に合わせて長期的に取り組んでいくものです。社内のDX人材の育成を進めれば、DX推進に向けて安定的な体制を構築できるでしょう。
DX推進に向け、十分な環境を整備するためには、ノウハウの蓄積が不可欠です。しかし、DX推進業務をすべて外部に任せていると、DXに関するノウハウが社内に蓄積されづらくなってしまいます。
また、自社のDX人材を確保し、そのノウハウを適切に継承する体制を構築すれば、さらに多くのDX人材を確保できます。蓄積されたノウハウを次に活かすことで、DX推進をよりスピーディに進めることも可能でしょう。
その他の業務と同様に、DXにも適性があります。
IT技術に対する関心が高く、「会社や業務の問題点を改善しよう」という高い意識を持った人材をピックアップしましょう。
また、DX推進プロジェクトのリーダーを育成したい場合は、IT技術に関する素養だけでなく、コミュニケーション能力やリーダーシップなど、リーダーとしてのポテンシャルが備わっていることも必要です。
適任者を選出したら、外部講師やハンズオン講座(体験学習)による講義を受講してもらいましょう。
データサイエンスやU/I・U/Xなど、DX推進に必要な知識やスキルを体系的に学習できます。また、「常に挑戦を続ける」「周りを巻き込む」といった、DX人材に求められるマインドセットを学ぶことも可能です。
DX関連の講義を受講し終えたら、OJT(On-the-Job Training)でより実践的な知識とスキルを育みます。
実務を通じて業務のノウハウやコツを学ぶことで、DX人材としての実践力を磨くことができます。
実際の現場に即したスキルを習得できるため、即戦力となる人材をスピーディに育成できる点がメリットです。
まずは、小規模なプロジェクトにアサインして、できることを少しずつ増やしていきましょう。
加速度的な進化を遂げるデジタル業界において、DX人材として活躍するためには、常に新しい知識や技術を獲得する必要があります。
社内の情報システム部門はもちろん、社外にもネットワークを広げて、常に新しい情報をキャッチできる環境を整えてあげましょう。
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)は、DX人材に必要な資質として、以下の6つの仮説を挙げています。
①不確実な未来への創造力 | 企業が取り組むべき課題を設定し、理想の未来へ向けて、常に新しい分野に挑戦し続ける姿勢 |
②臨機応変/柔軟な対応力 | 計画にとらわれすぎず、状況変化や突発的なトラブルに応じて、柔軟に方向転換する姿勢 |
③社外や異種の巻き込み力 | 社外や異業種との関わりを積極的に持ち、周囲を巻き込みながらプロジェクトを進め、自らの成長の糧にしていく姿勢 |
④失敗したときの姿勢/思考力 | 失敗を恐れずに前進する姿勢/「失敗は成功の母」と捉えて糧としていく姿勢 |
⑤モチベーション/意味づけする力 | 自ら取り組みたい課題を明確にする主体性/課題を前向きに取り組む好奇心 |
⑥いざというときの自身の突破力 | 困難に直面しても諦めず、壁を突破するためにさまざまな方法を模索する姿勢 |
引用:「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた 企業とIT人材の実態調査」
なお、職種によっても求められる資質は異なります。
たとえば「①不確実な未来への創造力」はビジネスプロデューサーやビジネスデザイナーに求められる資質であり、U/Xデザイナーやデータサイエンティストにはそれほど重視されません。
企業のDX化は、ビジネスデザイナーやデータサイエンティスト、U/Xデザイナーやエンジニアなどさまざまな人が関わり合いながら、チームで推進するものです。
スムーズかつ効果的なDX化を実現するためには、メンバー同士の円滑なコミュニケーションを実現し、チームの結束力を高める必要があります。
そこでおすすめしたいのが、弊社が提供するコミュニケーションツール「RECOG」です。
RECOGは、感謝や称賛を通した双方向のコミュニケーションを可能にするサービス。
アプリを通じて「レター」を贈ることで、感謝や称賛を気軽に伝え合うことができます。
人は誰しも、自分を褒めてくれる相手には好感を抱き、心を開きやすいものです。
“ホメる“コミュニケーション方法を導入することは、メンバー間の友好度を高め、風通しのよい組織を作ることにもつながります。
これからの時代、DXの推進は企業にとって重要課題のひとつ。
最新のデジタル技術を存分に活用するためには、優秀なDX人材が不可欠です。
自社のDX人材には、外部ベンダーとは異なるさまざまなメリットがあります。
ぜひ今回ご紹介した内容を参考に、DX人材の育成に取り組んでみてください。
弊社では、人材育成に関する有益なコミュニケーションツールのご提供から運用まで、一貫したサポートを行なっております。
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